私の耳は底ぢから -25ページ目

小山正 他『バカミスの世界』

小山 正, バカミステリーズ
バカミスの世界―史上空前のミステリガイド

お勧め度:★★★★☆


バカミスとはおバカなミステリーの略である。

これは別に蔑称ではなく、バカミスに愛がある

からこそこういう名称を使うのである。


という訳で、古今東西の様々なバカミスを紹介

する副読本である。バカミスの定義は人によっ

て様々だが、個人的には


・トリックがあまりにしょぼい、もしくは大掛かり

・トリックが物理的に実行不可能

・犯人や探偵が変態

・演出が過剰


といった条件を満たすものがバカミスといって

いいんではなかろうかと思う。

週刊少年ジャンプに「魔人探偵脳噛ネウロ」と

いう漫画が連載されているが、あれだって立派

なバカミスである。


この本は大きく分けて二つの章に分かれている。

前半はバカミスの歴史と称して、ポーから始まる

バカミスがどのような遍歴をたどって現在のような

形になったのかを分かりやすく解説。

後半はバカミス百選と題して、クリスティーやカー

などの大御所から最近の作品まで、見さかいなく

ぶった切りまくっている。


評価の高い古典的名作を、面白おかしく「バカミス」

として紹介することに抵抗のある人もいるかも知れ

ない。しかし、要は作品を読むことが肝心であって、

それが面白ければ入り口は何でもかまわないと思う。

実際この本が無ければ、私は島田荘司の名作

斜め屋敷の犯罪』を読むことは一生無かっただろう。


その他にも書き下ろし短編や海外作品の初訳、い

山口雅也へのインタビューや北村薫、若竹七海の

対談も収録されていてとってもお得。


冒頭にエドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」の

ネタバレがあるので、未読の方はこちらを先に読ん

でおくのがいいだろう。

改蔵内閣

この前「ライジング・サン」を観たんだが、

「アソー」って英語で「大ばか野郎」位の

意味なんだね。


ass・hole
肛門; 〔米卑〕 くっそたれ, 大ばか野郎.
(goo辞書より)



大丈夫か麻生太郎外務大臣。

鳥山明 『鳥山明○作劇場2』

鳥山 明
鳥山明○作劇場 VOL.2 (2)

お勧め度:★★☆☆☆

(鳥山先生の萌えキャラが見たい人にはお勧め)


中野まんだらけで購入。

鳥山明は読みきりをあまり書かないので、

この本に収録されている漫画も十年位の

スパンで書き溜められたものだ。

だから読み進めていくと、作者の画力が

どんどん上がっていくのが分かる。

この人も昔は立派な萌え絵描きだったん

だなあと思う。

島本和彦 『燃えよペン』

島本 和彦
燃えよペン

お勧め度:★★★★☆


島本和彦の漫画には、「クレヨンしんちゃん」の

「アクション仮面」や「カンタムロボ」、「機動戦艦

ナデシコ」の「ゲキガンガー」、「すごいよマサル

さん」の「ヨロシク仮面」などに代表される劇中劇

に通じるものがある。

言い換えれば、ものすごいテンプレ臭がする。


意味もなく熱い主人公と彼に降りかかる障害、

判で押したようなヒロイン、勢いだけの画力、

物語を進めるための理不尽な展開など、まさか

こんなベタなことはかかないだろう、という読者

の期待を裏切らずに「こんなベタなこと」を描く。

それが島本和彦。


「燃えよペン」の主人公は作者自身をモデルと

した炎尾燃(ほのお もゆる)なる漫画家だ。

いい効果線を描くためだけに秘蔵のバイクを

燃やし、「アイドルに会わせろ」と編集者に駄々

をこね、締め切りを控えて忘年会に出たが為に

酔いつぶれて地獄を見るなど、「漫画家は体力

勝負」という格言を肌で感じさせてくれる作品だ。

高橋源一郎 『一億三千万人のための小説教室』

高橋 源一郎
一億三千万人のための小説教室

お勧め度:★★★★★


岩波新書から出ている小説創作の指南本。


小説を書くためのテクニック的なことは一切書かれてお

らず、一冊かけて小説を書くための心構えとか、世界の

見方、を教授している。小説は誰かに言われて書くもの

ではなく、内省によって初めて得られるもの、とでもいう

つもりだろうか。

実際の書き手によって書かれているので、読みやすい。

もちろん、高橋源一郎の書くもののことだから、内容は

馬鹿爆発である。


トピックスを抜粋。


①なにもはじまっていないこと、小説がまだ書かれていないことをじっくり楽しもう

②小説の、最初の一行は、できるだけ我慢して、遅くはじめなければならない

③待っている間、小説とは、ぜんぜん関係ないことを、考えてみよう

小説を書く前に、クジラに足が何本あるか調べてみよう


小説とは形の無いものなんだ、何を書いてもいい

んだ、という立場から書かれた書籍としては、最良

のものだろう。

ブルボン小林 『ブルボン小林の末端通信』

ブルボン小林
ブルボン小林の末端通信 Web生活を楽にする66のヒント

お勧め度:★★☆☆☆


芥川賞作家、長島有が変名で書いていたWebコラム集。

ああ、またどうでもいい知識が一つ増えてしまった。

なんで長島有がブルボン小林になるのかという問題に関し

ては、キッチュ→松尾貴史(本名は岸邦浩)という例もある

ことなので、あまり気にしない。


Web上のコラムを活字で読むというのは、なかなか不思議

な気分である。微妙に温度差がある感じだ。

中身は良くも悪くも普通のコラムといった感じ。実用書を多く

出しているカッパブックスからの刊行だが、これを読んでも

特にWeb生活が楽になることはないだろう。

細かい雑学がちょこちょこあって面白い。暇つぶしにどうぞ。

絶望先生人物ファイル

絶望先生人物ファイル09

関内・マリア・太郎 (せきうつ まりあ たろう)

2のへ組の生徒。

コンテナに乗って日本にやってきた不法入国者。

男性名なのは関内太郎という生徒から二のへ組

のクラス籍を買ったためである。マリアはミドルネ

ーム。


「日本豊カ 飢えて死ぬことナイ」を信条として、ゴ

ミ箱の中身を拾い食いしたりしている。

危なっかしくて見ていられないほどの天真爛漫さ

を発揮して、クラス内ODAを受けて生活している

らしい。

使い勝手が悪いのか、最近はモブ化しつつある。

絶望先生人物ファイル10

日塔 奈美 (ひとう なみ)

二のへ組の生徒。

普通少女。

当初は不登校児であり、自分を全く気にかけない

クラスの連中に業を煮やして登校、偽リストカット

や狂言自殺などで周りの注意を引こうとしたが、

二のへの個性的なメンバーには結局勝てず、

普通少女に収まる。


他のメンバーがネタ振りをした後にごく普通の発言

をして、「普通」と流されるという、「良い子悪い子普

通の子」「天才秀才ばか」的な三段オチを担当。


使い勝手のよさ故か、最近は活躍の幅を広げて

ナレーションの役目を務めるようになって来た。

心なしか、造詣がかわいらしくなっているような

気が……。

今週のさよなら絶望先生

週刊少年マガジン2005年47号

第二十五話「吾輩は天下りである 仕事はまだない」



今週は天下りネタです。具体的には出身中学

の部活にお邪魔して、逆らえない後輩を相手に

エバりまくる、とかそんな話。「かってに改蔵」

の「逆セリエA」の話の焼き直しですね。

でも面白いからいいや。


マガジンの巻末漫画「もう、しませんから」に

久米田先生登場。

なんか、中島らもみたいな風貌。

荒木経惟 『眼を磨け』

荒木 経惟
天才アラーキーの眼を磨け

お勧め度:★★☆☆☆

写真家・荒木経惟のインタビュー本。


■朝目覚めて何をする?


バルコニーから青空を撮る。

眼を磨くんだよ、

毎朝、歯を磨くみたいに。


という煽り文句が素晴らしい。

ただ、本文にこの台詞以上にかっこいい

フレーズが無いのが残念。

ユーゴー 『死刑囚最後の日』

ヴィクトル・ユーゴー, 豊島 与志雄
死刑囚最後の日

お勧め度:★★☆☆☆


若き日のビクトル・ユーゴーが書いた、死刑廃止論を

説いた小説だそうです。名も知らぬ囚人が、死刑判決

を受けてからパリのグレーブ広場の処刑場で首をちょ

ん切られる、その瞬間までが克明に描かれています。


前半は主人公が留置所に拘束されている様子が描か

れていますが、読み進めていくと、本文の半分辺りで

何の予告も伏線も無くいきなり呼び出されて処刑場に

送られることに。その唐突さ、脈絡の無さには少々驚か

されました。現実の囚人もこんな感じだったのかしらん。


巻末には序文がついています。何故巻末についている

のかというと、本書は当初匿名で出され、序文は後の版

で付け足されたものだからなのだそうです。

この「序文」は、学校で死刑廃止論を議題にディベートを

することになった、というような人は役に立つかも。


眠いので今日はこの辺で。