島本和彦 『燃えよペン』 | 私の耳は底ぢから

島本和彦 『燃えよペン』

島本 和彦
燃えよペン

お勧め度:★★★★☆


島本和彦の漫画には、「クレヨンしんちゃん」の

「アクション仮面」や「カンタムロボ」、「機動戦艦

ナデシコ」の「ゲキガンガー」、「すごいよマサル

さん」の「ヨロシク仮面」などに代表される劇中劇

に通じるものがある。

言い換えれば、ものすごいテンプレ臭がする。


意味もなく熱い主人公と彼に降りかかる障害、

判で押したようなヒロイン、勢いだけの画力、

物語を進めるための理不尽な展開など、まさか

こんなベタなことはかかないだろう、という読者

の期待を裏切らずに「こんなベタなこと」を描く。

それが島本和彦。


「燃えよペン」の主人公は作者自身をモデルと

した炎尾燃(ほのお もゆる)なる漫画家だ。

いい効果線を描くためだけに秘蔵のバイクを

燃やし、「アイドルに会わせろ」と編集者に駄々

をこね、締め切りを控えて忘年会に出たが為に

酔いつぶれて地獄を見るなど、「漫画家は体力

勝負」という格言を肌で感じさせてくれる作品だ。