「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」その2 | とんとん・にっき

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「石元泰博写真展 伝統と近代」チラシ

 

東京オペラシティアートギャラリーで開催された「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」SNSユーザー内覧会に行ってきました。

 

日時:2020年11月28日(土) 10:00~11:00

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

1.初期作品
シカゴの写真クラブでのサロン写真から、インスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)在学中の実験的な作品を中心に紹介します。

2.シカゴ I
シカゴの人と街は東京とならんで石元が生涯にわたり撮り続けた都市です。子どもたちの躍動する姿や路上で出会った不思議なかたちまで、ID卒業の年までの作品を中心に紹介します。

3.東京 I
1953年の来日以降、石元は東京を撮り続けました。ここでは1950年代の作品を中心に、鋭い造形意識とヒューマンな眼差しの同居する躍動感あるイメージをご覧いただきます。

4.桂離宮
伝統建築をモダンな眼で解釈した代表作。1953、54年撮影の初期シリーズを紹介します。鋭くとらえられたディテールや空間の拡がりは私たちの五感を刺激し、豊かな体験の世界へと誘います。

5.シカゴ II
1958-61の3年にわたるシカゴ滞在時の作品を紹介します。50年に一度の大規模な再開発を迎えたシカゴの都市の変貌やそこに暮らす人々の息づかいが、より精度をたかめた視点から捉えられています。

6.東京 II
1960年代から80年代までの作品を中心に紹介します。高度成長期から大学紛争、そしてバブル経済まで、時代の変転と都市の躍動を捉える手法が冴えわたります。

7.日本の産業
1960年代の高度成長期に各地の工場や発電所を撮影した石元は、同時に公害やゴミ、自然破壊などへも目を向けています。紹介されることの少なかった作品もまじえ、近代化に対する石元の複眼的な視点を紹介します。

8.周縁から
地方の暮らしやそこに息づく民俗芸能などに取材した作品を紹介します。石川県輪島市の「御陣乗太鼓」や東北、北海道の暮らしと農業。それらは日本の周縁から近代化を捉える仕事といえるでしょう。
 

9.ポートレート
1960年代頃に手掛けたポートレートの仕事より、土方巽、唐十郎、三島由紀夫、石原慎太郎らを撮影した作品を紹介。大物たちの際立つ個性と時代の空気感に注目です。

10.近代建築
丹下健三、白井晟一、磯崎新、黒川紀章、内藤廣からミース・ファン・デル・ローエまで、石元の「建築写真」を紹介。石元は多くの建築家たちと信頼関係を結び、建築・デザインの世界と深く交流しています。

11.イスラム 空間と文様
中近東からインドまで、イスラム寺院の空間と文様をとらえたカラーの仕事を紹介します。石元のレンズは、色彩とフォルムが空間を生み出していく様を見事に捉えています。

12.両界曼荼羅
京都・東寺(教王護国寺)の国宝《伝真言院曼荼羅》を接写拡大したシリーズ。1977年の発表時には曼荼羅ブームが起きました。国立国際美術館所蔵の大型プリント110余点を一挙公開します。

13.歴史への溯行 
桂離宮や曼荼羅の仕事で歴史や伝統を今日的な視点から捉えることに関心を深めた石元は、さらに日本各地で歴史や伝統を溯行する仕事に取り組みました。ここでは大分県の国東半島の宗教文化や琵琶湖周辺に多くつたわる十一面観音に取材した作品を紹介します。

14.かたち
自然が生み出す造形や人工物などを捉えた作品を紹介します。バウハウス仕込みの構成感覚豊かな石元の特徴がよく現れた作品群です。

15.食物誌/包まれた食物
あらゆる食材がラップされスーパーに並び、我々の食卓に届けられるようになった1980年代。それらを即物的に捉えた本シリーズからは石元の消費社会批判が読み取れます。

16.伊勢神宮
石元の歴史や伝統へのまなざしは、東洋的な永遠の時間性へと向かい、1993年の式年遷宮にあわせた伊勢神宮の撮影に結実しました。

 

 

「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」、あまりにも盛沢山なので、とても一度には紹介しきれません。

 

今回は、前に載せた4.桂離宮と、10.近代建築以外を紹介したいと思います。だいぶはしょりましたが、それでもたくさんあります。なにしろ展示されたものは全部で473作品ですから…。

「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」SNSユーザー内覧会!

 

1.初期作品

 

左:「貝殻と葉脈」    右:「グラスとネット」


左:「静物」   右:「シカゴ 街」

 

2.シカゴ I


左:「シカゴビーチ」    右:「シカゴ ビーチ」

 

左:「シカゴ 街」    右:「シカゴ 街」


3.東京 I


左:「ヌード」         右:「ヌード」

 

左:「東京 街(メーデー)」
右:「東京 こども(メーデー)」


4.桂離宮―前掲

5.シカゴ II


左:「シカゴ こども」      右:「シカゴ 街」

 

左:「シカゴ 街」      右:「シカゴ 街」


6.東京 II


左:「東京 街」    右:「学生運動(東大正門)」

 

左:「学生運動(東大構内)」 
右:「学生運動(東大安田講堂)」

 

7.日本の産業


左:「日本の産業(東京電力)横須賀火力発電所」
右:「日本の産業(自動車生産ライン)」

 

左:「泥とゴミ」   右:「泥とゴミ」


8.周縁から
 

左:「御陣乗太鼓(輪島)」
右:「御陣乗太鼓(輪島)」

 

左:「ねぶた(青森)」     右:「ねぶた(青森)」

 

9.ポートレート


左:「ポートレート(石原慎太郎)」
右:「ポートレート(森進一)」

 

左:「ポートレート(唐十郎と李礼仙)」
右:「ポートレート(三島由紀夫)」


10.近代建築―前掲

11.イスラム 空間と文様:関連作品スライドショー


 


12.両界曼荼羅
   伝真言院曼荼羅写真パネル(全118点)


 


13.歴史への溯行 


左:「湖国の十一面観音 金剛輪寺」
右:「湖国の十一面観音 金剛輪寺」

 

左:「国東紀行 富貴寺 仁王像」
右:「国東紀行 有寺 庚申塔」


14.かたち


左:「かたち(能面)」   右:「かたち(和太鼓)」

 

左:「かたち(和楽器)」
右:「かたち(櫛[フォトグラム])」


15.食物誌/包まれた食物


「包まれた食物」


16.伊勢神宮
 

「伊勢神宮 内宮 宇治橋鳥居」

 

左:「伊勢神宮 外宮」
右:「伊勢神宮 内宮
内玉垣南御門 正面(東から)」

 

「左:「伊勢神宮 荒祭宮 白石」
右:「伊勢神宮 外宮 内玉垣南御門(手前)
瑞垣南御門(中) 正殿(奥)」

 

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

 

展覧会について

アメリカに生まれ、シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)に学んだ写真家石元泰博(1921-2012)は、対象の構造的、空間的特性を鋭く捉えた作品によって、写真界はもとより、広く建築、デザイン、美術にわたる戦後日本の芸術界に大きなインパクトを与えました。バウハウスの流れを汲む近代的な視点から日本の伝統建築を撮影した桂離宮シリーズ、丹下健三、磯崎新、内藤廣ら同時代の建築家の作品を撮った作品、そしてライフワークとなったシカゴと東京の人と街を捉えた作品など、その成果は内外で高く評価されています。対象の本質と写真の可能性へのあくなき探究心、そして緻密な暗室作業による厳格なプリントの美学は、デジタルが一般化した今日において一層の輝きを放っています。
2021年は石元泰博の生誕100年にあたります。この記念すべき年に向け、石元の足跡を過去最大規模で回顧する展覧会シリーズを当館と東京都写真美術館、高知県立美術館との共同で開催いたします。本展は「伝統と近代」を切り口として、作家活動の前半に軸足を置き、多様な被写体を貫く石元の眼差しに注目します。なお東京都写真美術館では、「生命体としての都市」をテーマに独自の都市観にフォーカスし、中盤から晩年に至る作品を選りすぐります。2つの展覧会を通して、より多角的な視点から石元の活動の全貌が明らかとなるでしょう。高知県立美術館では来年1-3月に集大成となる展示を行います。

 

生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代[展覧会について]

東京オペラシティアートギャラリー (operacity.jp)

 

石元泰博略歴:

1921 高知からの農業移民の長男としてサンフランシスコで誕生
1924 両親と高知に移住
1939 高知の農業高校を出て単身渡米、カリフォルニアに住む
1942 前年12月8日の真珠湾攻撃をうけ、日系人収容所に収監される
1944 収容所から解放されシカゴに行く
1947 シカゴの写真クラブに入会。モホイ=ナジらの著作に触れ、モダニズム/アヴァンギャルドの写真に開眼
1948 シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)入学(1952年卒)
1953 来日し、1958年まで滞在。桂離宮を初訪問し、敷石を撮影。丹下健三はじめ建築、デザイン、美術界の要人らと出会う
1954 京都・俵屋旅館に1ヶ月滞在し桂離宮を撮影
1956 川又滋子(滋)と結婚。滋は制作協力者として重要な役割を果たしていく
1958 初の写真集『ある日ある所』発刊。シカゴに戻り3年間滞在
1960 『KATSURA—日本建築における伝統と創造』発刊
1961 再来日
1969 日本国籍取得。『シカゴ、シカゴ』発刊
1973 東寺の両界曼荼羅を撮影
1977 『伝真言院両界曼荼羅:教王護国寺蔵』発刊
1978 『国東紀行』発刊
1983 カラーで再撮影した桂離宮をまとめ『桂離宮 空間と形』発刊
1984 20×24インチポラロイドカメラで「包まれた食べ物」シリーズ制作
1995 『伊勢神宮』発刊
2006 作品35,000点を高知県に寄贈
2007 『シブヤ、シブヤ』発刊
2010 桂離宮の新旧の撮影を全編モノクロでまとめた『桂離宮』発刊
2012 没
2013 高知県立美術館に「石元泰博フォトセンター」が開設される

 

共同開催展スケジュール
東京都写真美術館
「生誕100年 石元泰博写真展 生命体としての都市」
2020年9月29日[火]─ 11月23日[月・祝]
高知県立美術館
「生誕100年 石元泰博写真展」
2021年1月16日[土]─ 3月14日[日]

 

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