東京オペラシティアートギャラリーで「ジュリアン・オピー」を観た! | とんとん・にっき

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ジュリアン・オピーの作品は、過去に、ある企業のオフィス内で展開する、「ジュリアン・オピーの世界展」を観ました。

「熊谷コレクション|オフィスとアートの新しい世界|ジュリアン・オピーの世界」展!

 

今回はこれ。東京オペラシティアートギャラリーで「ジュリアン・オピー」を観てきました。

 

ジュリアン・オピー

2019年7月10日(水)~9月23日(月)

東京オペラシティアートギャラリー

 

「Running 1」

 
日本の美術館での個展は11年ぶり
日本の美術館では11年ぶりに開催されるジュリアン・オピーの大型個展です。前回は2008年、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催され、日本でのオピーの人気を決定的なものにしました。
ジュリアン・オピーといえば、輪郭線のはっきりした、目を黒い点で表現しただけの実にシンプルな、それでいてモデルの個性や性格が的確に伝わってくる、1990年代後半から2000年代半ばのポートレイトを思い浮かべるかも知れません。近年のオピーは、都市の通りを行き交う人々を表現した絵画や映像、都市のビル群やカラスの立体、田園風景や羊の彫刻、ジョギングする人々など、幅広い作品を制作しています。
本展は、作家自選による絵画、彫刻、映像など、本展で初めて公開される新作を中心に構成し、ジュリアン・オピーの現在を紹介します。

極限まで簡略化された人物像
オピーの近作では、以前のような人物の顔だけを描くポートレイトに代わって、人物の全身を側面から表現した作品が多くなっています。はっきりした輪郭線と透明感のある平明な色彩による表現は変わりませんが、顔はただ丸く描かれ、単純化、簡略化の傾向が強くなっています。タイトルも同様に、刺青のある男性は《Tattoo》、ヘッドホンをして歩く女性は《Headphone》、携帯電話を手に持って歩く女性は《Phone》と簡素化されています。表現もタイトルも徹底的に抽象化されることで、世界中どこの都市にもみられる普遍的な人物が表現されているといえるでしょう。

画面に見られる“動き”とオリジナルのBGM
LEDによって動きを表した《Running 1》《Running 2》では、表現はさらに単純化されています。画面の中を忙しくなく走る人物たちはどこか滑稽に見えてきますが、それは慌ただしい現代社会に生きる私たちの姿なのかも知れません。
また、会場内にBGMのように聴こえてくる音楽もオピーの作品の一部です。平面作品と立体作品に大胆に分けられた会場構成とともに、ジュリアン・オピーの作品世界を存分にお楽しみください。

 

(仮に)第一展示室

 

「Walking in New York 1」

 

「Walking in Boston 3」

 

 

 

 

(仮に)第二展示室

 

 

「Towers 1」

 

「3 stone sheep」

 

「Crows」

コンピュータ・アニメーション、5台の両面LEDスクリーン

 

「青銅、石の台座」

 

 

 

「River 3」

 

「Wheatfields」

 

「Valley」

 

「Cardigan 青銅、石の台座」

 

 

(仮に)第三展示室

コンピュータ・アニメーション、20台のLEDスクリーン

 

「ジュリアン・オピー」

イギリスを代表するアーティストの一人、ジュリアン・オピー(1958-)。点と線という最小限の視覚言語で構成された人物像やポートレート、風景などが、絵画、彫刻、映像そしてインスタレーションとして展開されます。オピーは1980年代よりヨーロッパのアートシーンで頭角を表し、その作品が世界の主要な美術館に所蔵されるなど、現代アートの歴史を語るうえでも欠かせない重要な存在となっています。グラフィックデザインやアニメーションともシンクロするオピーの平面作品は、絵画という枠にとどまらないハイブリッドな魅力に満ち溢れています。また、オピーは日本の浮世絵コレクターでもあり、輪郭線の強調した彼の特徴的な作風も浮世絵から着想を得ています。ジュリアン・オピーの作品は、さまざまなジャンルが融合し、グローバル化がますます進行する現代において、重要な示唆を与えてくれることでしょう。

 

「東京オペラシティアートギャラリー」ホームページ

https://www.operacity.jp/ag/

 

朝日新聞:2019年7月23日