東京オペラシティアートギャラリーで「アントワープ王立美術館コレクション展」を観た! | とんとん・にっき

東京オペラシティアートギャラリーで「アントワープ王立美術館コレクション展」を観た!

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東京オペラシティアートギャラリーで「アントワープ王立美術館コレクション展 ベルギー近代美術の殿堂 アンソールからマグリットへ」を観てきました。実はこの展覧会、巡回展の最初、茨城県立近代美術館で開催されたものをいち早く観てきていました。「アンソールからマグリットへ」とあるように、いや、アンソールやマグリットだけでなく、それ以上に幅広い作品が集められているので、なにが目玉なのか、いまひとつ焦点が絞り切れていないように思われます。


茨城で観た時と、今回オペラシティで観た時、微妙に気に入った作品が異なっています。というか、前回ブログで上げた作品はほぼ定石通り、今回上げた作品はそれからちょっとずれています。どちらがいいと言っているわけではなく、観る者のその時の状況によって選択されたものが微妙に変化するということです。ま、早い話が前回はサラっと観て、今回はジックリ観たという感じです。従って、下に取り上げた作品は、当然前回取り上げた作品とは異なっています。


展覧会の構成は、以下の通りです。
第1章:アカデミスム、外光主義、印象主義

第2章:象徴主義とプリミティヴィスム

第3章:ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術

第4章:シュルレアリスム


以下、一言コメントを。ジェームズ・アンソールの「待ち合わせ」、向こうに見える農場、カフェのテーブルに外の光が反射しています。誰かを待っているようでもあり、独特の雰囲気です。アンリ・エヴェヌプールの「ボックス席」、座席側面の赤色が大部分を占め、女性は横顔で、緑色のドレスの胸元が大きくえぐれています。毛皮のストールが豪華な生活を表しているようです。ヤン・ストバーツの「バラのシャワー」、ぼやけた裸体の女性が奥の階段から下りてきて、群れ咲いているバラの上を歩いています。霞んだ大気と鮮やかな緑色がこの作品の印象を決定づけています。ヴァレリウス・サデレールの「フランドルの雪景色」、ブリューゲルの風景画のようです。地平線が低く、空の部分が広い。木々は暗く、オレンジ色の光が雪原を照らし、絵の中には人が一人もいません。静けさが漂います。


フィリベール・コックスの「横たわる裸婦」、デフォルメされた女性がソファーに奇妙に横たわっています。女性の肌はやや青ざめて見えます。背後に花や花瓶、獅子の置物や大皿が横一列に並べてあります。イポリット・ダーイの「平静」、若い女性がこちらを見つめています。タイトルが意味深ですが、意志の強そうな女性です。肖像画ではありません。日常のスナップといったところか。絵の具は薄塗りで、色彩は不鮮明です。ジョス・レオナールの「帆船」、今回よく見直してみると、なかなか面白い作品でした。抽象画のようでいて抽象画でない、そんな感じです。3本の木が画面を区切っていて、川に2艘のボートが浮かんでいます。


ラマーの「クリケット(ペタング?)」、グレートグリーンの地味な中間色で、画面全体が暗い。なぜかロシア構成主義の作品のよう。2人の男が後ろ手で仁王立ちし、クリケットの試合を見下ろしています。デ・ウーステイネの「青空」、成長した樹木と積み木のような教会が、2人の男女の背後にあります。男は空を見上げ、女はどこか焦点の定まらない目をしています。これがキュビスムか?デン・ベルヘの「距離」、これもロシア・アバンギャルドの作品のようです。茶色や深い緑で全体にくすんだ色づけがなされています。解説に「意識と潜在意識との間で起こる、人間の内面的な分裂を取り上げたもの」とありますが、なんか惹かれます。ポール・デルヴォーの「ウェステンデの海」、スケッチですが、ほとんど水墨画のような作品、打ち寄せる波や、防波堤、砂浜に立つ人たちのシルエット、さらりと描きながら、見事な作品です。「バラ色の蝶結び」と同じ作者とは思えません。


第1章:アカデミスム、外光主義、印象主義




第2章:象徴主義とプリミティヴィスム

第3章:ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術





第4章:シュルレアリスム

名作『フランダースの犬』の舞台として知られるベルギー北部の都市アントワープは、古くから商業・金融の地として、また、さまざまな文化・芸術の交流の場として発展してきました。近年、アントワープはファッションの中心地としても知られ、最先端のカルチャーシーンを牽引する都市のひとつです。本展は、アントワープ王立美術館の所蔵する14世紀から20世紀にわたる幅広く膨大なコレクションの中で、質量ともに充実した19世紀末から20世紀中頃までのベルギー絵画を紹介するものです。ベルギー近代絵画の3大巨匠とも呼ばれるルネ・マグリット、ポール・デルヴォー、ジェームズ・アンソールをはじめレオン・スピリアールト、フェルナン・クノップフなどの象徴派、フランドル表現主義、シュルレアリスムなどの39作家、計70作品によって、ベルギー近代美術の流れをたどります。そのうち63点が日本初公開です。マグリットの名品《9月16日》も特別出品されます。幻想と現実の交差するベルギー美術の魅力を存分にお楽しみください。


「東京オペラシティアートギャラリー」ホームページ


とんとん・にっき-an1 「アントワープ王立美術館コレクション展 ベルギー近代美術の殿堂 アンソールからマグリット」

図録

執筆:リーン・デ・ヨング

    ヘルウィッグ・トッズ(案のワープ王立美術館)

編集:茨城県立近代美術館

    財団法人ひろしま美術館

    島根県立美術館

    東京オペラシティアートギャラリー
    アプトインターナショナル

制作・デザイン:美術出版社

発行:アプトインターナショナル




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