三井記念美術館で「三井家伝世の至宝」を観た! | とんとん・にっき

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三井記念美術館で「三井家伝世の至宝」を観てきました。年が明けてから、つまり第4期目に入っていたので、たとえば、国宝「古今和歌集(元永本)下帖」、「東照宮縁起絵巻巻第一」、重文「蓮池水禽図」、国宝「虚空蔵菩薩像」などは観ることができませんでした。まあ僕の場合、観ても詳しいことはわからないですけれど…。


年の初めはだいたい決まったものが展示されています。ということで、円山応挙の「雪松図屏風」(6曲1双)ですね。もう何度も観てはいますが、塗り残しが雪だなんて、なんとも言えず素晴らしい。最後に出てきました。まず始めは「茶道具」ですね。「青磁浮牡丹文不遊環耳付花入」が出てきました。


展示室2は1点だけ展示、大阪市立大学東洋陶磁美術館所蔵の国宝「油滴天目」です。つい最近も(失念)どこかの美術館で観ましたけど…。ということで、ここでは「茶道具」、それも「茶碗」を取り上げて、下に載せておきます。他に圧巻だったのは「能面」ですね。ほとんど「重文」です。そして「刀剣」です。この二つ、「能面」と「刀剣」は、その良さが未だによくわかりません。勉強y不足です。







展示室3:如庵ケース



以下、矢部良明著「すぐわかる名品茶碗の見かた」(2004年6月1日初版発行、発行所:株式会社東京美術)という本からの抜粋です。

「志野茶碗 銘卯花墻」
「卯花墻」は、絵志野を代表する名作である。親しみやすさ、わかりやすさを身上にした美濃焼は白い志野に絵付を加えて、そのわかりやすさを進めている。長次郎の手捏ね手法は採用せず、大量生産の基本である轆轤(ろくろ)成形を基本に、篦(へら)使いと手捏ねを加え、歪み、たわみをつけて、一つとあって二つとはない個性美を茶碗に植え付けた。この「卯花墻」はその結晶といってよく、作品を回転させていくと同じ茶碗かと思われる異調へ転じ、縦横の線による抽象画風の鉄絵の具のデザインも走馬灯のように変わっていく。計算され尽くした作為の妙が全体を支配している名椀である。
続けて、「茶人を感動させる作為と風格」として、以下のような点を挙げています。
形:轆轤成形のあと歪ませる
絵付:ほんのり浮かぶ抽象意匠
釉:ほのかな緋色と小さな孔が特色
見込:底に目跡が1つ
銘:石州が命銘
高台:釉掛けと露胎の景色が見どころ


展示室7:円山応挙筆、国宝「雪松図屏風」

一面の雪の中に、きらめく陽光を照り返して凛と屹立する松の姿を情感豊かに描き出しています。松は輪郭線を用いず、付立の技法で描かれています。右隻には直線的で力強い松が唯一本あるばかりで、一方左隻には曲線的で柔らかい二本の若木が配されています。雪の部分は、紙の地そのままを生かして効果的に表現されています。右隻は画面右側に重心を置き、下方から見上げるように唯一本の松のみを配しています。たくましい幹は上下をカットされ、幹が画面の外へとはずれるあたりより左下方へと直線上に枝が伸びます。大胆なフレーミングを用い、近接視点から描かれた松は、力強い生命力を見事に凝縮しています。対する左隻は、やや視点を後退させ二本の若木を捉えています。右隻徒は対照的に曲線的で柔らかな幹や枝は奥へ奥へと進み、清爽な空間の広がりを感じさせます。




三井記念美術館開館10周年記念特別展

「三井家伝世の至宝」

ことしは、公益財団法人三井文庫開設50周年、三井記念美術館開館10周年を迎えました。この記念すべき年度として、当美術館では春季と年末年始の二回にわけて記念特別展を開催する運びとなりました。春季の記念特別展Ⅰでは、「三井の文化と歴史」と題し、前期に「茶の湯の名品」、後期に「日本屈指の経営史料が語る三井の350年」を開催しました。これに引き続き記念特別展Ⅱでは、「三井家伝世の至宝」を開催します。この展覧会では、館蔵の国宝・重要文化財を中心に、現在は三井から離れ、他の美術館・博物館・個人等の所蔵となっている名品・優品もあわせて展示し、かつて三井家に伝世した至宝の数々を一同のもとに鑑賞していただきます。

「三井記念美術館」ホームページ


mitui1 別冊「三井家伝世の至宝」

第1刷:平成27年11月

編集発行:公益財団法人

 三井文庫三井記念美術館









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