東京都庭園美術館で「フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展」を観た! | とんとん・にっき

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東京都庭園美術館の南側、芝生の庭を横切る通路の中ほどに、黒い服を着た美術館の人が4、5人、立っていました。何だろうと行ってみると、落ちた排水溝の枡蓋に挟まって動きが取れなくなっている蛇(たぶん青大将?)を、長い棒で押さえつけていました。誰がどうして発見したのかは不明ですが、しばらくして棒で挟んで今は入園禁止になっている庭の茂みの方に運んでいきました。たぶん、そのまま逃がしてやったようですが…。


なんと、なんと、この展覧会、「ドレスコード割引」がありました。「本展のテーマに因み、マスク(仮面)及び顔のモチーフや模様を身に着けてご来館のお客様は100円引きでご覧いただけます」とありました。要は「マスク(仮面)」をつけての入場、ということでしょうが、仮面のような僕の顔、というだけではだめでした。会場ではマスクをつけた人は一人も見ませんでしたが…。

2006年にパリ、セーヌ河岸にオープンしたフランス国立ケ・ブランリ美術館。建築家ジャン・ヌーヴェルによる設計、ということは聞いてはいましたが、どんな建築かは今回初めて知ることができました。



ジャン・ヌーヴェルの建築が世界的に知られるようになった最も初期の作品、「アラブ世界研究所」(1987年)は、1988年に観に行きました。

アラブ世界研究所:パリ4

東京汐留「電通本社ビル」(2002年)、マドリードの、ピカソの「ゲルニカ」のある「ソフィア王妃芸術センター新館」(2005年)は観ました。バルセロナにある 「トーレ・アグバール(アグバール・タワー)」(2005年)は遠くから観ました。だいぶ話がそれましたが…。

「ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感」を読む!

スペイン・バルセロナの「アグバル・タワー」


さてさて、「フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展」です。アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカから集められたマスク(仮面)をテーマに開催されています。展示構成は、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカという地域別で、出品点数は約100点です。いやはや、たくさんの仮面が、次々に展示されています。丹念に一つ一つ見ていくと、やや食傷気味になってきます。


一つ一つの仮面がどのように使われるのか興味のあるところです。、実は「新館」の方で、実際の儀式などを撮影した映像が公開されています。これが仮面がどのように使われ、仮面の役割がよくわかります。しかも人々が真面目にやればやるほど面白い、笑っちゃいます。これは絶対に観るべきです。


ピカソやマティス、そしてモディリアーニやジャコメッティなど現代の芸術家は、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカの絵画や彫刻などから大きな影響を受けています。


宮下規久朗の「美術の誘惑」(2015年6月20日第1刷発行)には、以下のようにあります。

ピカソやマチスが、アフリカ彫刻の発見を契機にキュビスムやフォーヴィスムといった新たな様式を切り開いたのはよく知られている。ここにおいて、プリミティヴィスムは、単なる復古主義から前衛美術の新たな起爆剤に変貌したといえよう。


話は少し変わりますが、同じく宮下規久朗の「美術の誘惑」には、以下のようにあります。

パリに近年オープンした新名所、ケ・ブランリー美術館で、2014年から15年にかけて大規模な刺青(タトゥー)の展覧会が開催されていた。・・・欧米、オセアニア、南米、アジアなど世界各地の刺青文化が紹介され、先史時代からの長い歴史をたどり、最近刺青が流行するようになった中国の事例なども紹介し、現代美術と結びついた刺青の未来までも展望する。


「フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展」関連映像上映
エンサイクロペディア・シネマトグラフィカと国立民族学博物館ビデオテーク

ギャラリー1では、「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」から、アフリカ、アメリカ、オセアニア、ヨーロッパの仮面に関する9つのタイトルを上映。ギャラリー2では、国立民族学博物館ビデオテークから、アジアの仮面芸能について5つのタイトルを上映します。開館時間中、3つのスクリーンで常時上映しておりますので、お好きなエリアからご覧ください。


branly1

「マスク展」作品の一部




「フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵マスク展」

2006年にパリ、セーヌ河岸にオープンしたフランス国立ケ・ブランリ美術館。建築家ジャン・ヌーヴェルによる設計でも世界の注目を集め、パリの新たな名所として親しまれています。本展覧会は、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカから集められたマスク(仮面)をテーマに開催される、日本国内における同館初の大規模なコレクション展です。仮面を身に着けることによって、人々は自然と向き合い、神や精霊といった目には見えない存在と通じ、物語を演じる表現者となりました。仮面は、肉体と意思をもつ人間と、それを取り巻く世界の境界に位置します。人は動物や精霊や神々、そして物語の登場人物を模(かたど)った仮面を纏い、時に音楽やリズムとともに踊り、舞い、それと一体化することによって、我と仮面(=他者)という両者の力を併せ持つ存在(‘ハイブリッド’)となって、未知なる時空の扉を開こうとしたのです。それぞれの土地の特質や文化を背景に、人々の様々な願いが反映された仮面たちは、溢れる想像力に満ちたユニークなかたちや素材、スケール感によって生み出されています。本展は、<今>に伝えられるマスクの生き生きとした魅力を展覧し、その表現の本質に迫ろうとするものです。(出品点数:約100点)


「東京都庭園美術館」ホームページ


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