2008年03月14日 22時05分46秒

「建築の記憶―写真と建築の近現代―」展を観た!

テーマ:ゲ~ジュツ見てある記

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東京都庭園美術館で開催されている「建築の記憶―写真と建築の近現代―」展を観てきました。もともと行く気がなかった、というのが正直なところ。でも、建築関係者としては観ておく必要があるのかなと思い直して、雨上がりの旧朝香宮邸へ行ってきました。考えてみれば、会場の東京都庭園美術館も、それなりに由緒のある旧朝香宮邸なので、「建築の記憶」展を開催するのに、ちょうどいい会場であったと言えます。チラシの後ろに、今回の展覧会の趣旨があったので、下に載せておきます。





建てられた地から動かすことのできない建築は、実際にそこを訪れない限り見ることはできません。また様々な理由により形を変えられてしまったり、時代の変化とともに失われてしまうこともあります。したがってわたしたちの建築体験の多くは写真によるものなのです。建築家の意図を的確に反映し、表現してくれる写真により、建築は多くの人々に共有され、歴史の中で普遍化されていきます。そして写真は、時として建築家自身も気づかなかった建築の新たな魅力を引き出してくれることもあります。


展覧会には、記録として撮影された明治期の建築写真から、建築の魅力を独自の表現で切り取った現代の写真まで、約400点を7章構成によって展示します。竣工写真のみならず、構想段階である建築の模型を撮影した写真なども展示し、建築家の構想から現実化へのプロセスも紹介します。本展は、近現代の日本の建築を、同時代の写真家がどのようにとらえたかを辿りながら、建築史と写真史の変遷と接点を概観する試みです。これまで語られることのなかった建築と写真の関係を見据える視点を提示し、写真をとおして、それぞれの時代の建築に対する人々のイメージを検証します。


[展示構成] 1章:建築と写真との出会い/2章:近代建築へのまなざし/3章:建築史学構築のための写真/4章:写真がとらえたモダンの相貌/5章:写真家の目、建築家の仕事/6章:日本建築の美/7章:現代写真の建築




「建築の記憶」展は、島津斉彬が江戸城を撮影したダゲレオタイプ(銀板写真)から、畠山直哉の仙台メディアテーク建設の写真まで、写真の誕生から現在に至るまでの日本の建築写真を、観ることができます。建築写真は、熊本城や江戸城の写真から始まる、としているんですね。江戸城の写真はうっすらと彩色されていました。岸田日出刀が自ら撮影した写真を使った建築誌「現代の構成」「過去の構成」や、木村伊兵衛が撮影した堀口捨巳の建築誌「住宅と其庭園」など。また、小川一真の撮影による「乾清宮」、東宮御所を100年前に撮影したのも小川一眞でした。北京の紫禁城の写真などもありました。伊東忠太の活躍した時代の調査取材、伊東忠太の「フィールドノート」にはあまりの見事さに驚きました。北京城を写真におさめた伊東忠太は後、その詳細な意匠を木版に表して図版とした「北京宮城建築装飾」を作成しました。


神田ニコライ堂の工事中の足場、密集していてきれいでした。工事中の「東京駅」の鉄骨が立ち上がった姿も素晴らしい。どうして工事中の建築はいいのでしょうか?東京カトデラルマリア大聖堂のコンペでの前川国男と丹下健三の対決。写真家で言えば渡辺義雄と村井修の対決になるわけです。丹下の東京カトデラルと代々木体育館、赤く変色した木製模型は美しい。前川の京都会館や国会図書館の模型写真と実際に建った写真の比較もありました。石元泰博の「桂」と時代を挟んだ「桂離宮」の比較もありました。まず50年代に写された「桂」ではモノクロ、約30年の時を経て、修復後に撮影された「桂離宮」はカラーでした。写真で改めて観ると、伊勢神宮の張り出し廊下の柱が多いのには驚きました。 畠山直哉の撮影による「せんだいメディアテーク」の写真、被写体が素晴らしいと写された映像も素晴らしい。


「建築と記憶」展、しかし観終わって考えてみれば、選ばれて展示されている作品群は、総花的で羅列的、果たしてひとつひとつの写真の選ばれた基準は何なんでしょう?やはり数に限度があります。こうした展覧会では、選ばれた基準が分かり易く示されていることは重要です。写真の珍しさだけではなく、ただ時代を追うというだけではなく、テーマを決めて纏まりをつくる必要があると思いました。








「建築と写真」ということで言えば、つまらないことですが、模型写真や、工事写真、竣工写真があります。建設会社が撮る竣工写真にも、出来不出来があります。雑誌に載せるときの写真、雑誌社が撮りに来てくれますが、普通のカメラではとても入らないアングルでも、見事に撮るのでさすがは専門家だなと驚くことが多々ありました。と同時に、これ違うんじゃないのと感じたことも、しばしばあります。ここで思い出したのが、写真家増田彰久、もともと大成建設のPR誌の写真を撮るセクションにいた人、いわばサラリーマン写真家ですが、定年まで勤め上げ、今は自分の写真事務所を主宰しています。特徴は「明治の西洋館」や「日本の近代化遺産」を撮り続けてきたこと、特に藤森照信とのコンビで、「建築探偵」シリーズを出し続けてきました。藤森の建築探偵も増田の写真がなければ、これほどの影響力は持たなかったでしょう。


しかし、やはり写真家二川幸夫の「現代建築家シリーズ」です。それまで海外の作品の紹介がなかった時代に、鮮明な写真で、しかも一人一冊で15巻シリーズで刊行され、なけなしのお金をはたいて買ったものです。1967年10月10日初版、定価1700円とあります。その後「GA」が出て驚きました。海外に取材した大判の写真誌は新鮮でした。全巻セットで買ったのですが、お金がなくなり、南洋堂へ売り払っちゃいました。ああ、もったいないことしたと、いまでも悔やんでいますが。でも、好きな建築家の巻は、ばら売り一冊2400円で買ったものを今でも10数冊、持っています。二川幸夫のA.D.A.EDITAは、時代に則して出版事業を拡大し、大成功したと言えるでしょう。それにしても海外の書籍の写真はひどく、汚い。ついつい日本の書籍の写真と比べてしまいます。そんなこともあってか、例えば、ヴェネツィア大学の書籍売場や、フィレンツェの書店をのぞいてみると、GAなど日本の建築雑誌や写真誌が大量に前面に平積みされているのをみました。


前にもどこかに書いたことがありますが、建築の写真、日本も海外もですが、スライドに撮って保存してありますが、フジスライドファイル200景の箱、50数ケースあります。話半分、使えるのはその半分としても、大量にあり、使っていないのでもったいない。今はスライドもスキャンできるスキャナーを買ったので、時々使ってこのブログに載せていますが。かつてはニコンのF4を主に、一眼レフで撮していました。望遠や広角、接写までレンズを揃えましたが、結局はデジタルの時代に入り、それも売っぱらっちゃって、今はもっぱら簡便なデジカメです。で、今はデジカメの保存法で頭を悩ましています。


下に載せた本、建築家丹下健三と写真家石元泰博が一緒になってつくった「桂 日本建築における伝統と創造」というタイトルの本です。中央公論社から刊行されたもので、1971年2月25日発行、定価が5800円です。当時、大枚はたいて買ったもので、僕の中ではお宝本の一冊です。左はハードケース、本の箱です。右がその本、布地製本です。この「桂離宮」は昭和の大改修前の写真です。その下にあるのは、僕が1992年に「桂離宮」へ行ったときに写した写真が100枚以上ありますが、そのうちの4枚です。もちろん改修後の「桂離宮」です。こうしてみると、大写真家と較べても、遜色ないものに仕上がっています。なんて、自画自賛ですが。








東京都庭園美術館


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コメント

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1 ■どうも

TBありがとうございました。
こちらもたまに覗かせてもらってました。
やはり真面目に手抜き無しで取り組んだ
もの、それが建築でも写真でもフィールド
ノートでも、は素晴らしいなと思いました。

2 ■KINさん、コメントありがとう!

「建築の記憶」展、真面目に手抜きなしで取り組んだもの、なるほど納得ですね。宇多田ヒカルの「With or Without You」、YouTube、見ました、聞きましたよ、いい曲ですね。これからも、よろしく!

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