「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」

 

再発が分っても変わりなく無料公開続けます(^-^)

(本篇)

第1章「旅の始まり」

第2章「三つの存在」

第3章「恐れ」

第4章「エゴ」

第5章レグードゥの森

第6章女神シャーレーン

第7章最後のたたかい

 

本で読みたい方は。

 

もう読んだ方も、そうでない方も、お楽しみいただければ嬉しいです。

 

最初からお読みになりたい方は、こちらからお読みくださいね。

 

 

前回は…

 

前回はシーザーが仲間たちとの別れをしているところにジョンが現れた場面でしたね。

 

さて、どうなるのでしょう?

 

(55)シャーレーン

 

「しっ、静かに! シーザー!」

 

 

僕は声を落として、シーザーに言った。

 

 

シーザーは、僕を睨んだ。

 

 

「ジョン、なぜお前がここにいる? 私を笑いに来たのか?」

 

「シーザー、僕だって、ここがとっても危険な場所だということは分かる」

 

「じゃあ、なぜここに来たのだ?」

 

「シャーレーンさまがここに来ると言って、聞かないんだよ」

 

「なんだと…?」

 

「彼女はね…とっても頑固なんだ」

 

 

 

僕は少し笑みを浮かべ、後ろを振り向いた。

 

 

 

シーザーが僕の視線の先を追うと、白銀に輝く見事な馬と白い狼が、静かに茂みから姿を現した。

 

 

「お…お前は! …何の用だ!」

 

 

 

シーザーは表情をいっそう険しくして、シャーレーンに問いかけた。

 

 

 

シャーレーンはそれに答えずに、その場にいる全ての者のこころに語りかけた。

 

 

 

(私はこれから、あなたたち全てを癒します。よろしいですね?)

 

 

 

シーザーが、驚愕の表情で聞き返した。

 

「なぜだ? 私たちはお前たちを殺そうとしたんだぞ。現に片眼の狼は我々が殺した。なぜ、そんなことをするのだ?」

 

(それが、私の役目だからです)

 

 

「役目だと? 役目ってなんだ? 何でこんなことをするのだ? 我々は敵だぞ!」

 

 

シーザーは、攻撃的な視線をシャーレーンに投げつけながら聞き返した。

 

 

シャーレーンは静かにゆっくりと、しかし確信に満ちた表情で答えた。

 

 

(私たちには敵も味方もありません。

 

わたしはあなたであり、あなたはわたしなのです。

 

あなたたちの傷は、わたしの傷なのです。

 

あなたたちの苦しみは、わたしの苦しみなのです)

 

 

「何を言っているのだ? 理解不能だ。

 

そんなことをしたら我々はまたお前たちを狙うぞ、そして追い詰め、殺すぞ」

 

 

 

(かまいません!)

 

 

 

シャーレーンは毅然と答え、目をつぶった。

 

すると、シャーレーンの身体の輝きがどんどん強くなっていった。

 

不思議な光が、傷を負って横たわっている犬たち全てを包み込みはじめた。

 

シーザーは目を大きく見開いて、成り行きをじっと見つめている。

 

 

 

シャーレーンの光は治療する犬の数が多いせいだろうか、僕が今まで見た光よりも何倍も大きく、とてつもない輝きを放っていた。

 

光がどんどん、さらに大きく強くなってくる。

 

 

 

シーザーはシャーレーンの光を、吸い込まれるように見ていた。

 

 

よし、うまくいきそうだ…

 

 

そう思った時、少しはなれた場所から人間の叫び声がした。

 

「な…何だ、あの光は!」

 

 

 

まずい! 

 

 

 

人間に見つかった!

 

 

 

僕が声の方をさっと振り向くと、寝巻き姿の人間が驚いた表情でこちらを見ていた。 

 

 

しばらく寝ぼけた表情で光を見ていた人間は、はっと気づいたように叫んだ。

 

 

「あっ! あの馬だ!」

 

 

 

そして、転がるようにあわててテントの中に駆け込んでいった。

 

 

 

 まずい!

 

 

「ジョン! シャーレーンさまをたのむ!」

 

 

ヴェルキンはすれ違いざまに僕にそう言うと、人間が入っていったテントの中に突っ込んだ。

 

「ぎゃあ! 狼だ! 助けてくれ!」

 

 

 

大きな悲鳴が静かな森に響いた。

 

別のテントからあわてた人間たちが、寝巻き姿のまま銃を片手に続々と現れ、ヴェルキンが突入したテントを囲んだ。

 

 

ヴェルキンが起こしたこの騒ぎで、シャーレーンはまだ見つかっていないようだ。

 

早く…早く…!

 

 

僕はシャーレーンのそばに立ち、人間たちの動きを注意深く監視した。

 

シーザーは立ち上がり、首をまっすぐに立てて人間たちの方を見ている。

 

しかし、人間を呼ぼうとはしなかった。

 

人間のひとりが、ついにこちらに気づいた。

 

 

 

「何だ、あれは! 馬、例の馬がいるぞ!!」

 

 

 

人間たちが、いっせいにこちらを振り向いた。

 

 

 まずいっ! 

 

 見つかった!

 

 

シャーレーンの治療はもう少し時間がかかりそうだ。

 

 

人間たちは口々に汚い言葉を吐きながら、ヴェルキンのいるテントから続々とこちらに近づいて来る。

 

その人数は全員で五人。

 

皆、銃を持っている。シャーレーンは治療中で動けない。

 

 

どうする?

 

 

どうする?

 

 

このままでは、シャーレーンが撃ち殺されてしまう!

 

 

 

(56)へつづく

 

 

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【動画・英語版/翻訳動画(各回約10分)】

(最新動画)

 

(予告編/1分半)

 

(エピソード1)

 

(エピソード2)

 

(エピソード3)

 

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