模型づくりとか趣味の日々リターンズ -10ページ目

【読書記】『ファラオの密室』

ファラオの密室でございます。

第22回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作です。

 

 

所は古代エジプト。先代王の墓(ピラミッド)建設中に起きた崩落事故で死んだ神官セティは、その心臓に欠損があったことから女神マアトの審判を受けられず、心臓の残り部分を探すため3日限定で現世に戻される。心臓の残りが見つからなければ成仏出来ず、現世と冥界の間を永遠にさまようこととなるのだ。

一方、先代王の葬送の儀の最中、王の遺体が消失するという大事件が起きる。先代王は従来の太陽神を捨て異端の神アテンを奉じる様国民に命じており、儀式を執り行った神官たちは異端と疑われ投獄される。密室であるはずの、ピラミッドの奥深い部屋から誰がどのように、何のために遺体を持ち出したのか…!

 

 

ワタシはミステリーというジャンルを特に選んで読んではおらず、読んでる数は知れたもんだと思いますが、タマーに上質のミステリーに出会うと大変うれしいものです。

奇想天外なトリックとか、複雑な謎がヒモがほどけるようにスッキリとする過程とか、思いもよらぬどんでん返しとか。最後の最後に「やられたー!」「そうかー!」と叫び膝を打つ、あの快感はたまらんものがあります。

 

んでー、本作。

 

正直そこまでではない。密室トリックの謎解きも「え?え?」という感じで…まあ確かにやろうと思えば出来なくはないんでしょうが…

 

二つの謎解きが同時進行していって、この二つには繋がりがあって、と分かっても、まあそうなるだろうな、という感じで。

 

それでも古代エジプトという特殊な舞台。死者が蘇ったり神様が出てきたり、というファンタジー世界が舞台で、こういう荒唐無稽な世界で言わば理詰めの世界であるミステリーが成立するのか、という懸念を見事に払拭し、この世界ならではのミステリーを構築して見せたのは、さすが。

 

そしてキャラクターが秀逸。特に奴隷少女のカリ。実に不幸な身の上で、周囲の人からも散々な目に合うんですが、最後はその利発さを発揮して謎の解明に一役買う。うーん、尊い!

 

読みやすさも相まって、休日のひと時を過ごすにはもってこいの一冊でありました。

 

【映画評】フェイブルマンズ 浮気なんて止めなさいってば

 

フェイブルマンズでございます。スピルバーグ監督です。

 

第二次大戦後間もないころの米国、ニュージャージー州で平和に暮らすフェイブルマンズ一家。優秀なエンジニアの父、ピアノもダンスも得意な芸術家肌の母、3女に1男。そして父の親友であるペニーとも家族同様の付き合いをしていた。

一人息子のサミーは母親に与えられた8mmカメラを使い映画を撮ることに夢中。しかし家族キャンプを撮影したフィルムの中に、サミーは驚くべき光景を見る…

 

やがて映画監督になっていくスピルバーグの幼少~青春期を描く映画かと思ったら、そうじゃないんですね。話の中心はなんと母親の浮気と崩壊する家庭なんす。

母親役のミシェル・ウィリアムズさんは、家庭と好きな男の間にあって心を引き裂かれ壊れていく様を実に良く演じていると思います。

 

でも正直、こういう話って好きになれないす。観てて楽しいわけでも無く、共感も出来ず、ただ父親と子供がかわいそうなだけで。「あーでも、分かるわー」って人もいるんでしょうかね。

 

この映画から何を得たら良いんでしょうか。

 

サミーはやがて映画監督になるであろう余韻を残してのエンドでありますが、まあいろいろあって大人になっていくってことでしょうか。

 

そうそう、サミー自身の高校でのツライ出来事や、いじめっ子の意外な姿とか、この辺は見どころです。映画作りのシーンも良かったなあ…好みの問題になっちゃうのかもしれませんが、コッチの青春ドラマの方に振ってほしかったっす。

 

直前に「ローグワン」再見して燃えまくったこともあってギャップ激しかったっす。以上。

 

 

 

 

【模型】ムーンバス製作その3

ムーンバス製作その3、最終回でございます。

 

さー荷物だ!

 

今回の見せ場であります荷物です。キット付属のパーツは全くイメージが違いますね…

 

まずは映画の画面を穴を開くほど見て…

 

このようなスケッチを作成しました。

上半分が左舷、下半分が右舷側。

 

 

あとは粛々と、可能な限り再現していきます。

 

【木箱】

さすがに1968年の映画だけあって、木箱なんすよねえ…金属とかプラスチックのものに替えようかとも思ったんですが、自作するのが厳しいのとオリジナリティを尊重してそのままに。

 

木箱探すのも大変でしたが。

タミヤ1/48 WWⅡドイツ戦車兵野戦整備セットから砲弾木箱を使用。それと某模型店で偶然見つけた、ミニアート社の"Wooden Box & Crates"。これを見つけた時はヤッター!と、箱をひっつかんでレジに向かいましたが…2700円…
(´;ω;`)
なるべく安価で製作するというコンセプトを逸脱してしまいますが、この際しょうがない…(今みたらAmazonで3548円+送料799円もする)

 

メッシュはガーゼを塗装して乾燥するという古典的かつ安価な方法で。グレーのなんか巻いたやつはティッシュに塗装、乾燥してから丸める。

謎道具はジャンクパーツやらプラ棒やらで適当に。カメラはエポパテ等。

 

謎機械。プラ板とジャンクパーツで。細かくて大変。

 

並べてみる。人も座らせる。

おお!情報量が増えると一気にテンション上がる!

 

さてロープをどうやって掛けるか…

いろいろ考えた結果、本物と同じようにロープをかける輪っかを設けて、それに通していくのが結局は本物らしいだろう…

というわけで

 

小っさ。

デスクマットの四角が一辺10㎜です(;^ω^)

真鍮線0.3mmで作成。

某サイト様で知った方法で、

 

太目の針金を曲げたものをピンバイスの先に取付け、そこに曲げた真鍮線をひっかけ、ピンバイスを回していくと輪っかが出来る、と。

ただ回すだけではうまく輪っかにならないので、ピンバイス側の捻り具合を調整しながらやる必要があり、コツをつかむまで少々かかります。

 

で、本体側にピンバイスで開口して植えていく。

 

ロープ掛けるとこんな感じ。

 

 

 

・ノズル周り

 

これに手すり様のパーツが付きます。真鍮線で。ノズル6個に手すり4つで計24個。

 

こうなるんだが、なにが大変って、等間隔にピンバイスで開口するのが大変。

 

こんな治具(ガイド)を作ってみました。プラ板の切れ端に真鍮線を植え、あらかじめ作成した手すりの幅に合わせて穴をあける。

先にノズルの方に一つだけ穴をあけて置き、そこに治具の真鍮線側を差し込み、のこりの穴にピンバイスを差し込み開口していきます。

 

 

あとは細かいところですが、

 

・外部スラスターユニットは、前方に向いているノズルが忘れられているので開口。

コトブキヤ M.S.G.メッシュプレートを裏から貼ってあります。本来ここには特にディティールが無いようですが(真ん中に小さな穴があるようにも見える)、雰囲気が良いので採用。

 

 

・アンテナはキットからは中心の柱のみ流用し、あとは真鍮線と鉛板でスクラッチ。

 

 

・サンドイッチケース キットのコレは何なんだ?! ラーメン屋じゃないんだから…というわけでプラバンの積層から削り出し&プラ角棒1mmより作成。

 

 

やっぱりこうでなきゃ。

 

 

タミヤのプラケースに収め、テプラでタイトルを貼って完成です。

 

タミヤディスプレイケース73004ですが、サイズがぎっちぎちなので、裏側からネジ穴2か所開口して着陸脚の裏でネジで固定してあるんですが、位置合わせが大変で…。最後の最後まで難儀なこと。

 

そんなわけで苦節1年半の作業でした。いやしんどい。なんでこんなことやってんだろうと幾度となく思い、嫁さんからも「なんで趣味で苦しむの?」と言われるザマで…でも途中で何度か目論見通りに行った瞬間とか、テンションの上がる場面があり、これがまたたまらんのですよ…モデラーの性というやつでしょうか。またこれからも「好きでした苦労」というやつをし続けるのでありましょう。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

…ところで余ったコレはどうしたらいいんだ?(;^ω^)