模型づくりとか趣味の日々リターンズ
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

【映画評】ゴールデンカムイ キャラクター再現度の高さに恐れ入る

ゴールデンカムイでございます。

 

原作は言わずと知れた野田サトル氏のコミックです。

 

時は明治。二〇三高地の生き残り、通称「不死身の杉本」は、一攫千金を狙って訪れた北海道で、奇妙な男から話を聞かされる。「アイヌの隠した金塊を、アイヌらを惨殺して強奪した男がいる。男は監獄で24名の囚人に、金塊の隠し場所を表わす地図を刺青し、彼らに脱獄を促した。脱獄囚らは途中で仲間割れし、何人かは殺され残りは散り散りとなった。」

男は直後に熊に殺され、遺体を見た杉本は、彼自身が刺青の持ち主と知る。杉本自身も熊に襲われるが、居合わせたアイヌの少女アシㇼパに命を救われた。惨殺されたアイヌの中に彼女の父親がいたと聞かされた杉本は、協力してアイヌの金塊を奪還しようと持ち掛ける。彼自身も事情があり大金を必要としていたのだ。しかし金塊を狙うのは杉本だけでは無かった。最強と言われる陸軍第七師団には、金塊を元手に軍事国家を築こうとする鶴見篤四郎中尉。脱獄囚の中には新選組の生き残り土方歳三がいた。各人の思惑が交錯し、熾烈な金塊争いが幕を開ける…!

 

おー、こうして書くとなかなかに燃えるストーリーでありますな。

 

北海道の原野を舞台にし、熊も出てくるわけですが、「レヴェナント」と比べるのは酷というもの。むしろこの素材を映画にしたのは、撮影の大半を北海道の原野で出来ることでセット少な目で済むから、という算段があったような気がします。低予算は日本映画の宿命みたいなものなので、その上でどう工夫して映画作るかが逆に見どころとも言えましょう(実際は暖冬で雪が足りなくて大変だったらしい)。

 

んで本作の工夫は、キャラクター作りに尽きる!いやキャスティングがお見事。演出側も俳優さんたちも原作のキャラクターを如何に再現するか腐心、いやむしろ楽しんでる風にすら見えます。なんか楽しそうなんだもん。頭にはんぺん入ってるおじさんとか脳漿流れてるおじさんとかイカれた元武士とか、もうおじさんたち変人ばっかしwww芝居も含めてよくこれ再現してるな~原作好きなキャストも多いんだろうな~

少女アシㇼパを20代の女優さんが演じることに当初は違和感もあったようですが、完成したものを見て異論を唱える人はいないでしょう。映画内の役柄的には16,17歳といったところでしょうか。そもそも原作のアシㇼパが子供にしては妙にしっかりしすぎており、何歳も年上の杉本と対等にやりあうといった、子供としては不自然なキャラクターなんですね。それを原作通りの年齢の子供にやらせようとすれば、映画内に幼少期のアシㇼパが出てきますが、要するにアレぐらいの齢だってことで、それは無理だったろうと一発で分かる。キャスティングされた方に敬意を表したい。

ま、唯一、杉本役の山崎賢人だけはイケメンすぎるか…死地を潜り抜けてきた凄みが少々足りないかも。

 

2時間でどうまとめるのかと思っていたら、当初からWOWOWで続編を配信シリーズでやること前提での企画だったようで、映画のラストで、この後のストーリーで出てくるキャラクターをチラ見せしてきます。はい楽しみ!

 

これレヴェナントの監督が撮ってさ、坂本龍一の音楽ついてたらどんな映画になったべな~なんて妄想するのも映画ファンの楽しみなんでないかい?(と、北海道弁で〆たりする)

【映画評】FALL/フォール ポテチ映画。

FALLでございます。

 

クライマーのベッキーは、クライミングの最中に夫ダンを滑落で亡くしてしまう。その場に居合わせた友人ハンターは一年経っても傷心癒えないベッキーが心配でならず、ある冒険をベッキーに提案する。それは地上600メートルの高さにそびえ立つ電波塔の登頂だった。サビかけた梯子を延々登り、遂に頂上に達する。喜びに浸る二人だが、直下の梯子が崩れ落ちてしまう。二人は生還することが出来るのか…

 

サバイバルモノとでも言うのでしょうか。一人とか二人で危険な場所に取り残されて生還めざす系の映画。大作もありますが(「キャスト・アウェイ」「オデッセイ」「ゼロ・グラビティ」等)、登場人物が少なく低予算のもの(「127時間」「オープン・ウォーター」「ロスト・バケーション」等)はアイディア勝負で、ハラハラドキドキする場面を如何に考え出して映像化していくか、お手並み拝見、楽しく見られます。

 

このFALLも十分に手に汗にぎり、ドキドキする内容で、及第点と言って良いでしょう。スマホやらネットでの動画中継やら今風なアイテムが盛り込まれてもいます。途中でハンターの秘密が明かされ…は、ストーリーを単調にしないための要素になっているとは思いますが

、まあ無くても良いかな。最終的に助かるのも、同じ作戦をやり方を変えて2回するだけだし、結局スマホで助けを呼ぶのとドローン使うのを2回ずつやるだけなのでアイディア不足かなーとも思うし、終盤の実は…は、いやあ何というか、おっとっと…なんですが、休日のひとときをビールとえびせんをお供に過ごすには十分です(いやまあ未見なら127時間かロスト・バケーションの方がオススメか…)。

【映画評】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 この映画自体が謎だわい

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 でございます。

 

帝国血液銀行の社員、水木。得意先「龍賀製薬」の社長である龍賀克典とは懇意であったが、その義父であり龍賀一族の当主である龍賀時貞が死去。水木は一族の本拠である哭倉村へ向かう。水木には社から与えられた別の目的…龍賀製薬が製造し秘密裡に流通させている血液製剤Mの謎を解くことがあった。

龍賀の屋敷、広間に多くの人が集まる中、時貞の遺言が伝えられるが、克典の思惑と異なり、次期当主には龍賀家長男の時麿が指名され、その場は大混乱となる。

 

龍賀家の一族。

当主 龍賀 時貞

長男 龍賀 時麿 

次男 龍賀 孝三

長女 龍賀 乙米 ー 夫(入り婿)龍賀克典 龍賀製薬社長

 乙米の娘 龍賀 沙代 

次女 龍賀 丙江

三女 長田(龍賀)庚子 ー 夫 長田 幻治(哭倉村村長 乙米と懇意)

 庚子の子 長田 時弥

 

時麿が惨殺され、謎の男が長田幻治に捉えられる。行方不明の妻を探しに来たと言う彼はその場で殺されそうになるが水木によって止められる。名を名乗らぬ彼を水木はゲゲ郎と呼ぶことにする。

 

時麿に続き、丙江、庚子が殺される。犯人とその目的は。血液製剤Mの正体は。

 

 

えーと、「八つ墓村」に着想得たとウィキペディアに書いてありましたが、「犬神家の一族」ではなくて?

 

それはともかく、なんかもうワヤクチャな映画で。肝心なところが全然わからない。

まず哭倉村に向かう水木にタクシーの運転手が「あんなところ誰も行かない」とか言うんだが、着いてみたら寒村どころか結構なデカい村で、その中心に龍賀家の巨大な屋敷がある。屋敷がデカければ食材やら日用品もそれなりに消費するわけで、出入りの業者やら御用聞きがたくさん来るはず。そして屋敷には当主の遺言聞きに、親戚だか関係者だかよくわからない人が、ざっと数えたんだが80人は来てる!こんな大量の人が押し寄せれば周辺で話題にならないわけも無く、タクシーの運転手が気づかない訳も無く、当然話題にするでしょ…

 

まあ予想通り、血液製剤の正体は幽霊族を拉致してそのエキスを搾り取って作ってるんだが、その場面のすぐ後で、実は時貞が生きていて、そこには幽霊族から血を吸い続けて大きくなる桜というのが出てくる。なんで同じようなものを2回出して観る側を混乱させる?紗代が血液製剤の工場を破壊している間、時貞は何をしてた?時貞は狂骨なる妖怪を操り、これにゲゲ郎と水木を襲わせるんだが、紗代も工場破壊するのに狂骨に襲わせてるんだよね。狂骨はどっちの味方なの?特に意思はもたず、操る人間の指示に従ってるだけと解釈できなくもないが、映画的には観る側を混乱させるだけでしょ。

 

血液製剤が、というより龍賀製薬が時貞のビジネスのごく一部でしかなく、血液製剤が作れなくなることなぞ些細なことでしかないということなんでしょう。水木にも会社を2つ3つ持たせてやる、と言ってるぐらいだから。

でもそのことは映画の中で語られてない。

 

映画の脚本を書く上で陥りがちなことで、特に有名どころの別の映画からモチーフを集めて切り張りするような作り方をしていると起きがちなんだが、元ネタの映画で説明されてたことが、自分の作ってる映画でも既に説明済みであると勘違いしてしまうことが、どうやら多いようなんだ。

 

このブログで何度も書いてるんだが、映画撮る前に脚本に矛盾がないか、客観的に見る人(ストーリーアナリストというんだそうだ)が必須だと思います!多分映画の製作決定に至るプロセスが日本とハリウッドでは違うからじゃないかと思うんだが(ハリウッドでは脚本書いて検討して、採用されて製作、てなるところを日本では企画ありきで「鬼太郎の映画作ろう」から脚本書き始めるからとか?詳しいことはわからんが)

 

ゲゲゲの鬼太郎といえば一番最初は漫画「墓場鬼太郎」第一話なわけで、今回はその前日譚を作ろうというのが企画の始まりだったそうです。この映画を鬼太郎前日譚としてどう評価するか、と言われれば、評価以前の問題ですね。作ってしまったものは無かったことには出来ないので、「最後のジェダイ」みたいに黒歴史にならなきゃいいんですが。

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>