【映画評】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 この映画自体が謎だわい | 模型づくりとか趣味の日々リターンズ

【映画評】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 この映画自体が謎だわい

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 でございます。

 

帝国血液銀行の社員、水木。得意先「龍賀製薬」の社長である龍賀克典とは懇意であったが、その義父であり龍賀一族の当主である龍賀時貞が死去。水木は一族の本拠である哭倉村へ向かう。水木には社から与えられた別の目的…龍賀製薬が製造し秘密裡に流通させている血液製剤Mの謎を解くことがあった。

龍賀の屋敷、広間に多くの人が集まる中、時貞の遺言が伝えられるが、克典の思惑と異なり、次期当主には龍賀家長男の時麿が指名され、その場は大混乱となる。

 

龍賀家の一族。

当主 龍賀 時貞

長男 龍賀 時麿 

次男 龍賀 孝三

長女 龍賀 乙米 ー 夫(入り婿)龍賀克典 龍賀製薬社長

 乙米の娘 龍賀 沙代 

次女 龍賀 丙江

三女 長田(龍賀)庚子 ー 夫 長田 幻治(哭倉村村長 乙米と懇意)

 庚子の子 長田 時弥

 

時麿が惨殺され、謎の男が長田幻治に捉えられる。行方不明の妻を探しに来たと言う彼はその場で殺されそうになるが水木によって止められる。名を名乗らぬ彼を水木はゲゲ郎と呼ぶことにする。

 

時麿に続き、丙江、庚子が殺される。犯人とその目的は。血液製剤Mの正体は。

 

 

えーと、「八つ墓村」に着想得たとウィキペディアに書いてありましたが、「犬神家の一族」ではなくて?

 

それはともかく、なんかもうワヤクチャな映画で。肝心なところが全然わからない。

まず哭倉村に向かう水木にタクシーの運転手が「あんなところ誰も行かない」とか言うんだが、着いてみたら寒村どころか結構なデカい村で、その中心に龍賀家の巨大な屋敷がある。屋敷がデカければ食材やら日用品もそれなりに消費するわけで、出入りの業者やら御用聞きがたくさん来るはず。そして屋敷には当主の遺言聞きに、親戚だか関係者だかよくわからない人が、ざっと数えたんだが80人は来てる!こんな大量の人が押し寄せれば周辺で話題にならないわけも無く、タクシーの運転手が気づかない訳も無く、当然話題にするでしょ…

 

まあ予想通り、血液製剤の正体は幽霊族を拉致してそのエキスを搾り取って作ってるんだが、その場面のすぐ後で、実は時貞が生きていて、そこには幽霊族から血を吸い続けて大きくなる桜というのが出てくる。なんで同じようなものを2回出して観る側を混乱させる?紗代が血液製剤の工場を破壊している間、時貞は何をしてた?時貞は狂骨なる妖怪を操り、これにゲゲ郎と水木を襲わせるんだが、紗代も工場破壊するのに狂骨に襲わせてるんだよね。狂骨はどっちの味方なの?特に意思はもたず、操る人間の指示に従ってるだけと解釈できなくもないが、映画的には観る側を混乱させるだけでしょ。

 

血液製剤が、というより龍賀製薬が時貞のビジネスのごく一部でしかなく、血液製剤が作れなくなることなぞ些細なことでしかないということなんでしょう。水木にも会社を2つ3つ持たせてやる、と言ってるぐらいだから。

でもそのことは映画の中で語られてない。

 

映画の脚本を書く上で陥りがちなことで、特に有名どころの別の映画からモチーフを集めて切り張りするような作り方をしていると起きがちなんだが、元ネタの映画で説明されてたことが、自分の作ってる映画でも既に説明済みであると勘違いしてしまうことが、どうやら多いようなんだ。

 

このブログで何度も書いてるんだが、映画撮る前に脚本に矛盾がないか、客観的に見る人(ストーリーアナリストというんだそうだ)が必須だと思います!多分映画の製作決定に至るプロセスが日本とハリウッドでは違うからじゃないかと思うんだが(ハリウッドでは脚本書いて検討して、採用されて製作、てなるところを日本では企画ありきで「鬼太郎の映画作ろう」から脚本書き始めるからとか?詳しいことはわからんが)

 

ゲゲゲの鬼太郎といえば一番最初は漫画「墓場鬼太郎」第一話なわけで、今回はその前日譚を作ろうというのが企画の始まりだったそうです。この映画を鬼太郎前日譚としてどう評価するか、と言われれば、評価以前の問題ですね。作ってしまったものは無かったことには出来ないので、「最後のジェダイ」みたいに黒歴史にならなきゃいいんですが。