自分がタイムマシーンで過去に行き、若いころの祖父を殺すと自分が生まれなかったことになるのに、何故かそこに自分がいるという矛盾が生じる。これをタイムパラドックスというが、タイムパラドックスは起きないことが数学的に証明された。
難関なので内容は省略する。もしタイムパラドックスが起きればアインシュタインの相対性理論は破綻してしまうので、これは重要な研究成果だ。
この式によると、過去に祖父殺しに行っても、警察に逮捕されたり、祖父がたまたま不在だったりして、果たすことができなくなるため、パラドックスは起きない。
では2回目にタイムトラベルするとどうだろうか?人には自由意思があるので、何度でも挑戦することができる。でもナイフを持って行くことを忘れたり、途中で落としてしまったりするかもしれない。
自分が現在存在するということは、祖父は殺されなかったということになる訳で、それは過去に戻って何度祖父殺しを試みても全て失敗した、つまり、人間の自由意思による行動は既に織り込まれてしまっているため、何度やっても歴史は変わらないという結論になる。
もう一つ例を挙げよう。若き日のヒトラーに会いに行き、戦争を起こさないように説得したとしよう。
これで戦争を回避できるかというと、逆にヒトラーの猜疑心を起こして戦争に向かっていくかもしれない。ひょっとすると未来の自分がヒトラーの行動を変えたかもしれない。こうして第2次世界大戦が始まり、同じ結果が起きてしまうというわけだ。
過去が変わると理論だけでなく、現実に都合の悪いことが起こるかもしれない。何年か前のタイムトラベル映画に面白いシーンが出てきた。
彼女と付き合う前にタイムトラベルし、知人のイベントの手伝いをして(現実に失敗したため、失敗の要因を分析してそれをアドバイスした)戻ってきた所、ラインから彼女のアドレスが消えていた。
過去を変えたことで人間関係が変化し、彼女と出会わなくなってしまったのだ。つまり過去に遡りリセットされてしまった。
もう一つ。彼女と結婚し、女の子が生まれた後、過去にタイムトラベルをした。戻って来ると女の子は男の子になっていた。これも微妙なタイミングにより精子と卵子の組み合わせバターンが変わったためである。
このように過去を変えると自分の身の回りが大きく変わる可能性があり、タイムトラベルが非常に危険になってしまう。恐らく実用化されると、政敵の失脚を狙ったり、暗殺などに使われることになるだろう。
従って実生活的にもタイムパラドックスが起きない方が安心である。