tmpブログ -80ページ目

人が去るを知る

12/11 ヨコハマ 晴れ

冷え込みますね。 
12月になって久しぶりに知人にあったりすると誰々が亡くなったの知ってる?って会話になったりします。
「えっ、◯◯さんが!そうだったんだ・・」
今年に入って既に数名の知り合いが亡くなっています。さすがに気分的に落ち込んだりします。

今日の作業は355 のヘッドの塗装作業。とは言っても気温が低くて塗装が出来ないので刷毛塗りです。高がヘッドの塗装仕上げと言っても手間隙は掛かるものです。

後は、例のネックが順ぞってしまって使えなくなってしまった個体の手術。
先日、ネック本体にインサートブロックを仕込んでネックの強度自体は高めましたが、そのままでは済まないのです。指板を貼る前の段階が重要なんです。
この指板接合の前の段階で理想的な設計上のネック状態に持ち込む為に、現状のネックの平面精度とボディトップ面に対するネックの設定関係を正しておかなくてはいけません。

指板を剥がせばきっちり平面精度出ていたり、捻れや波打ちが無かったりすればいいですけど、まあ
そんな都合のいい個体はまーずありません。
この個体も元の指板接合面を一旦平面出し加工を施してから上面に新たに材を厚めに接いでいます。今回はソノケリン材を接いでいます。
一旦そうしておいてから写真の t.m.p に於ける設計に基づいた状態に持ち込む為の加工を専用治具を使って作業します。写真2
写真3はその治具加工が終って指板を貼れる状態に成った時点でのショット。
この状態で指板がまだ貼られてはいないにも拘らず、既に通常のガット系のギターの指板が貼られたネックよりも強度は高いです。この意味お分かりです?

更に指板を接合する際には写真4の指板プレス専用の治具で上から指板を圧着させます。
この治具は指板に接する面が内径8000R(半径8mの円弧)程の円弧状にえぐれておりまして、このプレス治具を使ってネック面と指板を密着させます。それによって指板は逆ゾリ状態でネックに接合出来るわけです。

この作業はネック本体の個体強度をその都度確かめながら逆ゾリさせるR値を変更して行い、結果的に弦を張って張力負荷が加わった時に指板面がほぼ真っすぐになるように行います。
従来のトラスロッドの無いネックの製造方法では平らなネック面に平らな指板を貼り付けただけなので、当然ながら弦の張力でネックは順ゾリしてしまうのです。

ワタシのこの手法ですとノントラスロッドのネックであっても問題無く弦の張力に木部自体が耐えてくれますので木の響きが豊かでレスポンスに優れた楽器に持ち込む事が可能です。

お手持ちのガット系のギターでネックの反りで弾き辛かったり鳴らない個体もこの手法を用いれば元より遥かに素晴らしい楽器に生まれ変わらせる事が可能です。
世界中の製作家さんにもどんどん真似して欲しいテクニックですね。

だって、何十万も出して買った手工ギターでさえ、年を経るとともに弾きにくくデッドな響きでしか鳴らなくなるなんて悲しいでしょ?もうそんな事が300 年以上も繰り返されているんです。
それを解消出来る貴重なオリジナル手法です。
既にこの世を去った手工製作家さんも「こうして作れば良かったんだあ!」って今頃あの世で悔しがってるかもしれませんね。

ワタシは今のところまだ生きておりますので、世界で唯一この作業を行えます。(^ε^)
ちなみに、およそ15万~で作り替え出来ます。(木部加工~ネック塗装/仕上げまで内容次第)





 経過報告 ギターの Uさん CS製355

12/09 ヨコハマ 薄晴れ

冷え込みますねえ~ もし雪が降ってたら作業はアウトです。
今日は塗装が行えるけっこうギリギリの気温です。

U さんの355 の交換用クルーソンタイプ・ペグが到着するまでの間に、ヘッド面の作業を進めています。
元のグローバーペグのリングワッシャーの閉め込み加圧で塗膜が凹み、白濁もありましたので、まずはそのリングが食い込んでいた部分をクリアーパテで段差を埋め、硬化してからヘッド面全体をを均一面に研磨し、新たなペグ穴を2段加工で穴開けしています。

グローバーのリングワッシャー径よりもクルーソンタイプのブッシング径の方が小さいので、上記の作業をしないと塗装面にめり込んでいたリングワッシャー下の塗装が剥がれていたり白濁した部分が見えてしまうのでやらざるを得ないんですね。中には見た目は気にしない方もいらっしゃいますが。

その後、バインディングやロゴなどをマスキングしてトップ面にブラックを吹き付けて、マスキングを剥がしてからトップ・コーティングすると言うのが今回の作業内容です。
パーツの到着を待ちながら、引き続きこの作業を進めて行きます。以上 経過報告でした。

もう一枚のショットは先日ネックが順ゾリのガットを特殊な手法で改善したサンプル個体をギタリストに譲ってしまったので、替わりに同じ手法で修正した個体を再度用意する為に40年程以前に製作されたYAMAHAのダイナミックギターと呼ばれている個体をチューンしている最中のショット。
詳しくは、順ゾリで弦高が高過ぎて弾けない状態の個体から、まず指板を剥がしてネックを逆ゾリさせた状態でインサート材のスロット加工を行って、その後ストレートボトムのブロック材を接着しています。
以前にも説明しましたのでこれ以上の説明は省きますが、要するにネック本体を弦の張力で順ゾリになってしまう分だけ、最初にネックを逆ゾリさせて、そこにストレートなブロック材を仕込む事で弦を張った時に丁度フラットになるようなネックに作り替えていると言う作業です。

この接着が済んだら、指板上面からはみ出したインサート材の上面を削り落としてから指板接合へと移行します。折角なので指板も新たに手作りするつもりです。

完成したら、これがあのギターですか?!って言うくらい、鳴りまくりの個体に作り替えてみせますよ。 いい音で鳴る様に作り替えれば高級品でなくたって充分なサウンドで鳴ってくれます。
まあ、本体価格よりも遥かにこのチューン代金の方が高いですけどね。
$tmpブログ
$tmpブログ

終了報告 Sさん

12/08  ヨコハマ 曇り

今日は冷え込んでます。揺れが来る筈の雲が出てたのにまだ来てないです。
またエネルギーを溜め込んで欲しくないですね。

冷え込みに耐えながら仕上げたSさんのチューンが無事に終了しております。
最初よりは遥かに楽器的な響きが出ています。新たな楽器を手にしたと思って下さい。

今回のチューン内容は ブリッジ台座の段差加工/ボールエンド位置修正/G・アース処理込み
WBH ナット&オクターブサドル加工  以上の作業で ¥46.000+TAX で終了しております。

受け取りの日程をお知らせ下さいませ。

$tmpブログ

経過報告 Uさんの355

12/07  ヨコハマ 晴れ

今日はネックの塗装とSさんのアコギの台座裏面にボールエンド位置修正とグランドアースを兼ねたブロック材を接合する作業を行っております。

また U さんのギブソンCS製355 のペグ変更に伴うペグの元穴の埋木も進めました。
今回もグローバー・ペグからクルーソンタイプへの変更とWBH ナット交換作業です。

ヘッド面の写真は少しブライト加工を加えて元のペグのワッシャーリングの締め込みで塗装面が陥没したり白濁した部分を視認し易い様にしてあります。
U さん、こんな感じですのでペグ穴の再加工後にトップ面の再塗装も行いますね。

まあ、勿論好みってのもありますしルックス重視の方はペグはあえてグローバーで、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうけど、重量が重すぎるだけじゃなくて精度も良いとは言えないので、ワタシは交換をお薦めしますね。音的にもネックをカーブさせない為にもその方が良いです。

$tmpブログ
$tmpブログ
$tmpブログ

 確認事項 Sさんのヒストリー・アコギ

12/06  ヨコハマ 快晴

最近気になるのが緊急地震通報って、どうなっちゃったのかな?
前回ミスった関係で発令止めちゃったのかなあ?

ワタシは地震警報システムが出来て以来、周囲の人には地震雲出ててもあえて触れない様にしてるのですが、4~5程度の地震が関東圏に来てる時も地震警報が出なくなっちゃったので、警報どうしたのかな?と思ってる次第です。
ちなみに「空見人」のワタシの今日の雲観察では明後日までにまた中程度の揺れが関東に来そうだと見てます。


写真のギターはSさん依頼のアコギのチューンですが、トップ隆起が進んでますので燻煙をお薦めしたのですが、今回は台座の段差加工とボールエンド位置修正、そしてグランドアース処理、WBH ホーンナット&サドル(オクターブ対応加工)だけに留めています。

写真1:トップ隆起現状 弦を張っていない状態で両サイドはトップの高低差は5㍉程
写真2:現状のブリッジ台座 
写真3:段差加工/WBHサドル作業後のショット

勿論今回の設定変更のチューンでトップ浮きはこれ以上は進まなくは出来ますが、既にここまで隆起している事はご本人にも承知して頂きたいので写真を掲載しています。
この楽器はたぶんトップ浮きを想定してでしょうがネックに通常よりも仕込み角設定が与えられている様です。まあトップは浮いて来るもんだから、と言う判断でしょうね。

ブリッジの台座も小振りのデザインですが、この手のトップとの接面積が小さなタイプには注意が必要なんです。
弦穴から弦がサドルトップにかけて延びてるわけですが、弦穴の位置が台座の中央部に近い位置に設定されている為に、より台座が前のめりでめくれ上がり易い構造に結果的になってしまっています。このモデルのトップを大きく浮き上がらせている要因のひとつです。
このままのピン位置/サドル位置であれば台座のネック側にもっと面積を与えて手前で踏ん張れる様にしてあげなくてはいけません。
以前に、別の方のこれと同じモデルに施したチューンでは燻煙処理だけでなく、このブリッジ台座に木を接いで面積拡張を行いましたが、それもその為です。

デザイン優先で設計しますとその特有のクセが張力負荷を架け続けられた時に出て来るのです。

取り敢えず、ご指定の作業だけに留めますが前もってこの個体の状態を依頼者の方には知っておいて頂かないといけませんのでご報告させて頂きますね。12/08 中に完成させる予定でおります。


$tmpブログ
$tmpブログ
$tmpブログ

終了報告 ギタリストの U さん

12/05  ヨコハマ 晴れ 空気はけっこう冷たいです。

昨晩は地元でハイボールをいい気分で飲んでましたが、少々飲み過ぎた様で今朝は寝坊してしまいました。一段と酒に弱くなってる気がします。

本日のメニューは U さんのギブソンCS製レスポールの作業。
この個体は珍しくペグのロケーション変更の必要の無い個体でした。今時ラッキーでしたね。

ペグ穴はヘッドトップから裏まで同径で貫通穴加工されていますので2段加工に変更します。
写真は上面のブッシング径と裏面からはシャフト径の2段加工を済ませたショット。これが正しいペグ穴加工です。
こうすればペグシャフトも木部に接しますし上面はブッシングにホールドされてますので安定しますしサウンドもナチュラルで腰のある響きが出せます。
グローバーのペグは質量が大きいので同じ金属である弦の振動を吸収してしまう為に音の線が細くなってしまうのですが、クルーソンタイプであれば本来の木の響きが得られます。

本来ですと、この個体も燻煙処理や深く加工され過ぎているピックアップキャビティの埋木加工、その他で更にサウンドのグレードは高められますが、ご本人が日常 t.m.p 製のギターをメインにされていて、他の所有ギターは何かの時用のサブなので、あまりお金を掛けたく無いとの事で、今回はペグ変更とWBH ナットへの交換作業だけに留めています。

いつでもお渡し出来ます。

$tmpブログ
$tmpブログ
$tmpブログ

経過報告 UさんのLP

12/04  ヨコハマ 晴れ

写真は U さんの依頼でペグを元のグローバーからクルーソンタイプに変更する為の作業途中のショット。まずは元穴の埋木から。後はナットをWBHナットに変更作業です。

素材がマホネックにペグが重いグローバー・ペグの場合、製造から10年程経過しますと、前にも触れましたがペグの重さでネックがカーブして来てどんどんピッチが合わなくなって来ますので、それを避けたい方は燻煙処理とペグ変更をお薦めします。一度カーブしたら二度と戻りませんからね。

楽器屋さんに言ったら、そんな事はありません、大丈夫です!って言われるかも知れませんが、製造年が2000 年以前の個体で、マホガニーネックにグローバーペグ仕様の楽器のネックの両側面に60センチの金定規を宛ててみて下さい。1弦側に2㍉程曲がっているものなどザラですから。
当然ピッチが合う筈が無いのです。ワタシの場合は気持ち悪くてそんな個体は弾く気になれません。

ガットの方はギタリストの Y さんのメンテナンス。いつでもお渡し可能です。
ちなみにこの個体はぐんにゃり順ゾリしてしまっていたハイクラスの手工ガットのネックにインサート材を仕込んで反り修正した、以前ブログで紹介した個体です。
Y さんがガット系の仕事で使いたいとおっしゃるのでお譲りしました。
今では Y のお気に入りの1本だそうです。 良かったですね。

$tmpブログ
$tmpブログ


コレ知ってる? って言われて ↓ 見たんだけど もービックリするわっ! ったく
http://www.youtube.com/watch?v=jGFWEoCGhi8

経過報告 その他

12/03  ヨコハマ 快晴

気持ちの良い晴れ日。

Kさんのスロープヘッド加工に昨日から掛かりっきりで、本日も早朝から作業して生地加工を終了しました。後は塗装作業ですから2週間程は完成まで掛かる予定です。
実はこの作業、ネック1本作るのとほぼ変わらない手間隙が掛かります。技術的には最初から作るよりも更に難しいです。たぶん皆さんからはそー見えて無いと思いますが。

更に難しいのが t.m.p 独自のヴァイオリン系の仕様で裏表両面がR指板の加工とネックへの接合。ネックの上面Rと指板裏面のRはほんの少しだけR値を変えて密着する様に加工しなくてはいけませんから、目指せ接着面真空状態!となるわけです。

まあ、こうした困難な作業を普通にこなして行く先に技術力が得られるわけです。がんばろ。

$tmpブログ
$tmpブログ

ストレス

12/01  ヨコハマ 晴れ

いよいよ師走。師匠ではないワタシは走らん!(^・^)

今日は K さんの旧型CCR のヘッド作り替えの為にヘッド加工をし接ぎ木まで終了。
接着剤が硬化したらダウンスロープ加工へと移行します。
今回は依頼者のKさんが非常に強いピッキングで弾かれると言うのでヘッドダウン値を深めての作り替え作業です。
弾かれてるところを拝見しましたが三味線並みのピッキングで、早いパッセージプレイや連譜はたぶんタイミングが遅れて弾けないだろうと言うくらい一回一回を強く弾くのがご自分のスタイルだとのこと。

まあ、驚きながらも依頼者のスタイルに出来る限り合わせなくてはいけませんから、いつもより深い設定で対応します。

ちなみに、過去相当数のコンサートのリハから現場に入って著名プレイヤーの演奏を目にしていますが、ベテランプレイヤー程ピッキングに力は入れてません。
外タレ・ロックバンドでもステージ上で激しいアクションを付けてプレイしてますが、実際にはぜんぜん力(りき)んでないんですね。
楽屋でも指慣らしでアンプを通さず生音だけで弾いてる姿をよく目にしますが、その音も決して潰れてないんです。彼らは必要以上に力んで弾いたら音が歪んで抜けなくなる事をよく知っているので、見た目は激しく弾いている様に見せているだけで実際には力まず非常に冷静に的確にプレイしてます。

しかし、彼らに共通してるのはグリップ力は強いですね。
日本人は握力が弱く指の力も無い方が多いのでハードロッカーでありながら09~ゲージのプレイヤーが結構多いんです。当然、音の線は細いので音抜けしにくいのは当たり前です。

実は弦は細くなるほど弾くのは難しくなります。ピッチも不安定になりますし、より右手と左手のタイミングが優れていないと音が抜けないからです。
更にエレキギターそのものが設計上、最低でも010ゲージ以上を張らないと09 ゲージの力では木部に鳴らない部分が出て来てしまうので音抜けしにくくなるのです。

奏法的に良くあるパターンが、右手と左手のタイミングがズレていて音が抜けない、だから力んで弾く、力んで弾くから音が余計に歪んで音像がボケる、その上にエフェクターで歪ませるから余計に音像が潰れて更に音が抜けなくなる・・ と、まあ アマチュアプレイヤーの典型的なグシャグシャ・サウンド症状ですね。少なくとも練習はノンエフェクトの生音ですべきでしょう。

楽器はいい音が出る様に 弾くの基本なのです。以上、皆さん気をつけましょうね。


$tmpブログ

終了報告 ギタリストの SY さん

11/30  ヨコハマ 晴れ

もう11月が終りますね。早いもんです。

写真は作業が終った Y さんの旧型CCR です。
リヤーP-90 を取り外し、オープンハムをマウント。ナットを WBH ナットに変更、サーキットをLCV 回路に変更済みです。

ちなみに元の P-90 位置の関係でリヤーハムも最もリヤーエンド位置にマウントされています。
ピックアップもカバードでは無い上に取り付けが最も高い位置で倍音を拾わせてますので、高域寄りの切り込みが鋭いサウンドになっています。

ちなみに、
もし通常のリヤーハム位置にマウントする場合には、元のPU キャビティを埋木加工/部分塗装修正を加えた上でのキャビティ加工となりますので工賃が上乗せで掛かることになります。

Yさん、お待たせを致しました。ご希望の受け取り予定日時にてお待ちしております。

$tmpブログ