前回の続きです。



離婚訴訟で,控訴をする場合の印紙代です。



前回までの例題の続きで,例えば以下のような判決が出たとします。



例題2)

被告側で,以下のような判決が出て,敗訴した。控訴する場合の印紙代は?


1 離婚を認める。


2 子供3人の親権者は原告


3 被告は,原告に対し,子供3人の養育費として毎月5万円を支払え


4 被告は,原告に対し,慰謝料300万円を支払え


5 被告は,原告に対し,財産分与として1000万円を支払え


6 年金分割の割合を,0.5(50%)と定める。




ややこしいですが,1つずつ解説します。




① はじめに


控訴審の印紙代は,第1審の印紙代の1.5倍です。


たとえば,訴額160万円の印紙代は,第1審なら13,000円でしたが,

控訴審の場合は,その1.5倍なので,19,500円です。



そして,控訴審の印紙代は,控訴する範囲(不服のある範囲,1審判決を取り消して欲しい範囲)によって,決まります。



今回の例題2では,全部控訴するとしましょうか。

つまり,離婚したくないし,だから当然養育費も財産分与も慰謝料も発生しないし,年金も分割しないんだ! という場合です。



② 離婚本体&慰謝料の部分(判決の1項,2項)



離婚本体の訴額はいくらだったでしょうか?


非財産上の請求として,160万円でした。



一方,慰謝料についてですが,今回,300万円という判決があります。


このとき,300万円全額について不服があって控訴する場合には,控訴するのは300万円全体についてです。


ですから,その場合の訴額は,300万円 となります。


これが例えば,300万円の慰謝料のうち,仮に100万円は仕方ないから控訴しないけど,その余の200万円は不服だから,200万円分についてだけ控訴する,というような場合には,訴額は200万円になります。



今回は,300万円全体について控訴するので,訴額は300万円です。



そして,この場合にも,第1審と同じく,離婚本体と慰謝料の訴額を比較し,大きい金額の方の訴額に従います。


160万円と300万円なので,大きい300万円が訴額となります。



300万円の印紙代は,1審ならば,20,000円と決まっています。


控訴審は,この1.5倍です。


ですから,離婚本体及び慰謝料部分に対する印紙代は,30,000円 となります。




その他の部分はどうでしょうか。



続きます。