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YAK&YETI

YAK&YETI ヤクアンドイエティ。御幸町錦を下がった場所に店を構えるネパール料理店。所謂エスニック料理に分類される香辛料たっぷりの料理であるが、この系統の料理店では群を抜いてお勧めしたい良店。コンパクトなサイズの店内は薄暗い照明で、靴を脱いで床に座ってご飯を食べる形式。この落ち着いた雰囲気がなんとも心地よい。御幸町に面する部分はガラス貼りとなっており、愛想の良い、陽気なネパール人料理人が笑顔でナンをこねている姿がとってもキュート。私の場合、ランチではなくディナーとして年に2回程度、ちょっと贅沢にご飯を食べたいときに利用している、ちょっぴりメモリアル且つ特別な存在なのである。定番は「コース料理2人前:¥7,350(@¥3,675)+チリワインボトル1本:¥2,500」で、計¥9,850、福沢諭吉一枚の、ちょっと奮発のディナーである。イタリアン、フレンチならまだしも、エスニック料理に¥10,000というのはなかなか想像し難いかもしれないが、注文してみて納得、腹一杯の大満足な内容なのである。特盛りサラダから始まるコースは、スパイシーで熱々のタンドリーチキン、ジューシーなネパール風小籠包、激辛香辛料で炒められたポークチリ、豆をひいた粉っぽい風味のダール、粒々の氷がサクサクと小気味良い食感のバニラアイス等々、どれも個性豊かな料理。メインディッシュとなるカレーは特大のナンと共に食すが、このナンはお替わり自由となっているので食いしん坊も大満足。料理はどれも刺激の強い味付けとなっているが、後味のキレが良いチリワインを緩衝材として食を進めると口の中が落ち着くし、ほろ酔い気分も心地よい。そんなこんなで本格的なエスニック料理を思う存分愉しみたい方には是非ともお勧めしたい店なのである。

ヤク&イエティ (Yak&Yeti)
★★★★★ 5.0

あいば

あいば ウッディな内装のおしゃれな美容室、モデルガンショップ、信長書店と、電器店一辺倒だった寺町に他業種の店が増え続けている昨今。高辻寄りの東側にできた「あいば」も、寺町電気街に似つかわしくない、少しおしゃれな雰囲気を醸し出す飲食店である。床、柱に古木を活かした古き良きアンティーク感が漂う内装で、梁が剥き出しになった天井が、開放感のある空間を演出している。昼飯時になれば、近くのオフィスワーカーたちで溢れかえる店内。料理はカレーをメインにしたアジアンチックな和風料理であるが、個人的にお勧めなのが日替わりの「あいばランチ」。唐揚げ・天麩羅等のメイン料理一品、小鉢二品、味噌汁、漬物という内容であるが、ご飯に白米か玄米かをチョイスできるのが大きなポイント。特別意識しない限り、日常の舞台にまず登場しないであろう玄米を食える機会は、実はなかなか貴重なのであり、しかもお替わり自由!これを見逃すわけにはいかない。スポーツ新聞、スポーツ雑誌「Number」、「ダヴィンチ」完備で、待ち時間も有効活用、お昼休みの実用度は結構高い。そんなこんなで寺町電気街の活用法は徐々に変わりつつある、今日この頃なのである。

あいば
★★★★ 4.0

ソワレ

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小宝

小宝 岡崎は平安神宮の東側に存在する老舗のグリル店。「子宝」ではなく、「小宝」なのがポイントで、特に安産祈願等の御利益はない。1961年創業と歴史は古く、創業当時は出前もやっていたようで驚き。その名も「ロケット出前」……なんじゃそりゃ。外観はビルも看板もベージュ系の没個性な佇まいで、周りの落ち着いた雰囲気に溶け込み過ぎて、予備知識が無ければ見逃すこと間違いなし。この店の白眉は自家製のデミグラスソース。ハンバーグに、オムライスに、と容赦なく降り注がれるデミグラスソースは、デミにありがちな甘さや脂っこさが控えめで、無駄が削ぎ落とされたシャキッとしたお味。まさに一子相伝の極上デミである。はち切れんばかりのボリューミーな内容も、食いしん坊にとっては嬉しい限りで、岡崎散策で腹が減った際は是非とも立ち寄ってみたい名店である。

グリル 小宝 (コダカラ)
★★★★ 4.0

龍園

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阿わ都

あわず 大阪・難波を本店にする「若狭家」が河原町三条に出店と、俄かに活気付きつつある「海鮮丼」。富小路仏光寺を上がった場所にある「阿わ都(あわづ)」も、個人で頑張っている「海鮮丼」店として負けてはいない。夜はすっぽん料理で有名な「阿わ都」であるが、お昼は各種定食・弁当を提供するご飯系で、特に海鮮系に強く、メインを張る一番人気が「海鮮丼」である。熱々ご飯の上に並べられた鯛・鮭・タコの上に、大量のイクラがふりかけられたボリューミーな内容。ご飯とイクラ群が口の中で渾然一体となり、えもいわれぬ食感を楽しむことができる。ちなみにこの店では「親子丼」を注文すると「鶏肉+卵」ではなく、「鮭・イクラ」の親子が出てくる。さらに「他人丼」は「牛肉・卵」ではなく、「鯛・イクラ」のコンビネーション。注文する際は要注意である。

三洋 京都府外ではあるが、もう一店「海鮮丼」でお勧めしたいのが、大阪・能勢町の「三洋」。173号線を車で走っていると突如登場するどデカい「海鮮魚市」の看板。海など程遠く、周りは緑いっぱいののどかな環境。「何故ここに!?」という疑問はさておき、恐る恐る中に入ると、そこには仕入れたての新鮮な魚介類が割安値で陳列されている。この店の端が簡易なイートインのスペースとなっており、店内で売られている魚介類をその場でさばいて調理した「海鮮丼」を注文することが可能。店内は魚介類をさばく場でもあるので、市場のような臓物系の生臭さが漂っているのが難点ではあるが、それを我慢しさえすれば、新鮮且つボリューミーな「海鮮丼」を楽しむことができる。僻地ではあるが、敢えてこの店目当てでドライブしてみるのも面白いかもしれない。

船はし屋

船はし屋 「船はし屋」は、寺町電気街の中程に店を構える老舗の駄菓子店。今でこそ、コンビニなどで手軽に手に入るようになった駄菓子であるが、「船はし屋」は1938年開業と歴史は長く、俗世のブームの浮き沈みの中で、頑なに駄菓子イズムを貫いてきた功績は大きく、頭が下がる思いである。さらに、あの五色豆で有名な「船はしや」 の分家であるというからまた驚き。敢えて伝統の道を逸脱して俗世に降り立ち、駄菓子販売業に転じた逞しい「船はし屋」の生き様を、私は断固指示したい!世は流れ、店の隣に「信長書店」という悪の化身が舞い降りて、端から見るとなんだか居づらそうな雰囲気も感じてしまうが、店の中は果たして駄菓子を買い求める子どもたち・大人たちの活気に満ちあふれている。ざるに盛られた駄菓子の山を、おばちゃんが脳内カンピューターフル回転で見事に暗算!ほんまにあっているのかどうかは知らんけど……。

高雄

丹波マンガン記念館

マンガン 「おもろいとこ」などというジャンルで括ることは、ある意味不謹慎である。何故なら、丹波マンガンの採掘・運搬には、強制連行された朝鮮人や被差別部落の人々が従事していたという暗い歴史があるからである。確かに、そういった歴史を学ぶ場としての真面目な施設という位置付けもある。しかし、それだけで片付けてしまっては勿体ないほどのエンターテイメント性が「丹波マンガン記念館」にはある。約300mも続く炭坑は、「順路」の案内板が無ければ間違いなく迷うであろう、まさにリアル・ダンジョン。坑内は、「ぴちょぴちょ」と地下水が滴り落ちる音だけがこだまする。中の温度は10~12℃。寒く、暗い坑路の途中、時折登場する青い瞳のマネキン人形にかなりビビらされる。これが、そこそこ人気のある施設ならまだしも、そこは「マンガン記念館」、休日敢えて訪れる観光客など皆無に等しく、炭坑内で「やった!人がいた!」と目を輝かせて近づけば正体はマネキンと、本当に恐い。そんなこんなで、めでたくゴールに辿り着くと、資料館のおばちゃんが、歴史について、マンガンについてと、色々とありがたいお話を聞かせてくれたりする。歴史的な勉強もできて、しかも面白い。こんなに意義深い施設をお堅いものとして括ってしまうの非常に勿体ない。162号線の道中、大きな看板が見えたなら、一度は訪れてみたい、隠れた名所である。

一 北大路新町を下がった北区役所の裏側にひっそりと存在するふぐ専門の割烹料理店「一(いち)」。おそらくふぐ料理で言えば京都でもトップクラスの味を提供してくれる、知る人ぞ知る隠れた名店である。突き出し→てっさ→焼きふぐ→唐揚げ→てっちり→雑炊の黄金コースにぶつ切り・白子・ひれ酒をミックスしたラインナップは一点の隙もない見事なお味。ぷりぷりとした旨味たっぷりのとらふぐを堪能することができる。特に、しっかりと味付けされた唐揚げが白眉で、黄金色に揚げられた熱々の衣の中にふぐの旨味が凝縮されており、その美味さはなんとも筆舌に尽くしがたい。ふぐのシーズンが終わる桜の季節になると店じまいで、長らくの冬眠に入る営業方針は誠に潔く、おっとこ前。その分お値段も本気モード全開であるが、できるなら一年に一度は、ふぐのシーズンに「一(いち)」で贅沢をしてみたいものである。

いち
★★★★★ 5.0