「ギネ」第6話を観て
<人はいずれは誰も死ぬのだ>と分かっていても、実際に助からない病気だと宣言された場合、自分なら果たしてどう対応出来るだろうか。きっと誰にも明快な解答は出せないだろう。現実にそうなった時にだけ、必然的に答えが目の前に出てくるのだろう。
今回のさやかの場合は余りにも若すぎるだけに、到底心の準備は出来ないだろう。母親も辛いが、告知をしなければならない担当医も辛いに違いない。
徳本が医療訴訟を行ったが、全国いたる所でいろいろな訴訟が行われているのだろう。医療訴訟は相当難しいと聞く。訴える側が勝訴するケースはほとんど無いと言われている。だが遺族にとっては、自分に対する何等かの納得が必要なのだろう。
訴えられる医師も辛い。一生懸命職務を全うしていても、全力で患者と向き合ってきていても、手術が成功して当たり前・失敗すれば訴訟を起されるのではたまったものではない。楽なセクションへ行きたくなる気持ちも分かる。だが医者という職業は、それらの現実を超越したところにあるはずだ。また、そう信じたい。医者と先生位は聖職であって欲しいものだ。
<患者と医者の信頼>昔は当たり前の事だったが、今は余り無い様な気がするのは私だけではないだろう。医術が算術になったという言葉も、言われてから久しい。<赤ひげ先生>など小説の中だけなのだろうか。小説やドラマの中では当たり前のように登場するのだが。
奈智は今回もまた患者の死と向き合う事になってしまった。医者であり続ける以上必然的な事なのだろうが、奈智の心には必要以上に痛みが残る。しかしこの痛みが、彼女を成長し続けさせるのだろう。人の死に慣れてしまっては、それはそれで医師の人格として問題だろう。
上地の使われ方が今ひとつシックリこない。存在価値が余りないし、ベットでのシーンも必要ないと思う。こういう使われ方は、上地も本意ではないだろう。人気者というだけではなく、本当の俳優として使って欲しいだろう。
やっと奈智が復活した。ここのところこのドラマが暗くて重たくなっていたが、次回から新たな展開を期待したい。
「深夜食堂」第5話<バターライス>を観て
今回のクールでは余り感想を書きたいドラマがない。観ていて感動出来るような内容がほとんどない。
そんな中深夜の30分ドラマではあるが、この「深夜食堂」はとてもいい。特別な盛り上がりがある訳ではないが、シットリとした・何とも言えない味わいがある。
特に今回の「バターライス」は、出だしは少し嫌味な展開だった。だが途中から中に引き込まれていき、最後には涙が止まらなかった。
<流しの五郎さんとバターライス>そして嫌味な料理評論家とのアンバランスな展開だが、それが絶妙な流れになっている。
本物の流しの歌も久しぶりに聴く事が出来た。普通の歌手には到底まねの出来ない歌い方で、聴いている者の心を揺さぶる。
そして最後に<バターライス>に関わる意外なエピソード、本当に心温まるいいドラマだった。
お金を掛けなくても、時間がたっぷりなくても、良いドラマは出来る。正にこのドラマは傑作だ。ほかのドラマの製作者にも是非参考にして欲しいものだ。話題の有名俳優を使い、大物ゲストを登場させ、制作費もふんだんに掛けて、それで駄作を排出する。今回のクールもそんなドラマのオンパレードだ。
でも一つでもこんなドラマがあると非常に嬉しい。このドラマは出来るだけ長く続けて欲しいと思う。
「ギネ」第5話を観て
奈智が<母体死亡>に敏感に反応するのは、自分の母親の死が原因していた。産婦人科での<母体死亡>は滅多に無い事のようだが、残された家族にとっても、生まれてきた子供にとっても悲惨な事だ。
奈智の言動を嫌っている者は沢山いるが、彼女を真剣に心配してくれる仲間もいる。心のバランスを崩している奈智を、何とか救おうとしている。奈智に一番足りないのは、心のゆとり・遊びだろう。真面目に・真剣に生き過ぎてきたから、周りの声を聴く<心の幅>がないのだろう。
事故が起きた場合、往々にして周りからの様々な意見が関与される。今回は弁護士が突然現れたが、現在の弁護士業界はお金儲けに必至になっている。つい先日のニュースには、サラ金で苦しんでいる人達を救う弁護を引き受け、荒稼ぎや不正請求をするケースが報じられていた。法を知っているが故に法を利用してお金儲けをする、最低の人種だ。
奈智は婦人科に移動させられても、患者への病状の告知で新たな悩みを抱えてしまった。若くしての末期がんほど、医者にとっても辛いものはないだろう。医者として何もしてあげられない、もどかしさだけが残る。
奈智は相当重症だ。徳本に対する喫茶店での会話は、余りにも常軌を逸している。もともとこのドラマは奈智を極端に描いているが、ここまで来ると観ていて不愉快になる。もう少し常識に即して描いていって欲しいものだ。