「藤田菜七子」騎手(27歳、美浦・根本康広厩舎)が11日(金)を以て騎手を引退する事を「JRA」が発表した。
本人からの申請で同日付で騎手免許を取り消した。
9日(水)に一部メディアが「藤田」が調整ルーム居室内に通信機器(スマートフォン、以下、スマホ)を持ち込み、外部の人間と連絡を取っていた形跡があった事が報道され、「JRA」が同日17:00頃に本人と連絡を取り、事情聴取を行ったところ、その事実を認め、2023年4月頃までに複数回にわたって「LINE」(ライン)のやり取りをしたと証言した。
「JRA」は「騎手」として重大な非行があったものと認め、日本中央競馬会競馬施行規程第148条第2項により、本事案について「裁定委員会」に送付すると共に同条第4項により11日(金)から「裁定委員会」の議定があるまで騎乗停止としていた。
2023年5月には「藤田」を除く女性5人を含む若手騎手6人が騎手控室に「スマホ」を持ち込んだとして30日(開催10日)間の騎乗停止となった。
「JRA」は当時、休養中等を除くほぼ全ての騎手に通信機器の使用について聞き取り調査を実施。
その中で「藤田」は「調整ルーム」に「スマホ」を持ち込んだが、当時の規則では通信機器の持ち込み自体は禁止しておらず、ダウンロード済みのレース映像の閲覧等、通信を伴わない使用は認められていた為、口頭での厳重注意で済んだ。
しかし、今回の報道の件で「藤田」が外部と通信をした事を認めた事で以前の申告が虚偽であった事を重く見、騎乗停止処分と「裁定委員会」に当事案の送付を決定した。
本人に11日(金)からの騎乗停止処分を伝えた際に引退の意思を伝えられた。
その後、騎手免許取消願いが提出され、11日(金)付で受理され、引退となった。
引退により、処分を決める「裁定委員会」は行われない。
「藤田」騎手は2016年3月5日に「美浦」の「根本康広」厩舎でデビュー、2000年3月の「西原玲奈」元騎手以来、16年ぶり史上7人目の女性騎手誕生に注目が集まり、「競馬場」には多くのファンが詰めかけ、所謂「菜七子フィーバー」が起きた。
同年4月10日の福島9Rを「サニーデイズ」で中央競馬初勝利、2017年には年間14勝を挙げ、JRA女性騎手の年間最多勝記録を20年ぶりに更新した。
2019年の「フェブラリーS」では「コパノキッキング」
でJRA女性騎手として史上初のG1に騎乗して5着と健闘。
3回新潟開催では9勝を挙げ、女性騎手として初めて開催リーディングを獲得。
同年の「カペラS」(G3)では「コパノキッキング」でJRA女性騎手史上初の重賞制覇を果たした。
同年6月にスウェーデンで行われた女性ジョッキーワールドカップで総合優勝を果たすとイギリスの騎手招待競走「シャーガーC」に初招待、今年は2度目の出場を果たした。
2020年4月26日の福島1Rで女性騎手初のJRA通算100勝を達成した。
「藤田」騎手の活躍で2019年3月には女性騎手の騎乗機会拡大を目的とした新たな減量制度が導入。
「藤田」騎手の後を追う様に2021年からは毎年新人女性騎手が誕生した。
今年7月10日にはかねて交際していた「JRA」の職員との結婚を発表。結婚後も登録名「藤田」のまま騎手生活を続けるとしていた。
JRA通算成績3897戦166勝(内、重賞1勝)。
以上。
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