虎子友人帳　～雪女～　その4

※本作品はフィクションであり、

作中に登場する人物、団体名等は全て架空のものです。

そういうことにしておいてください。

※更新は気まぐれです。

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幸いやよいちゃんの命に別状はなかったものの、
意識が戻るまでには
まだまだ日を要するとの事だった。

『でも流石やよいさんよね、
氷に全身を覆われる前に
仮死化のヤツ使ったんだって。』

ん？なに？
どういうこと？？

電話での第ニ報を受けて
なみ子が若干の
安堵の表情を浮かべながら答える。

『やよいちゃん助かったとー？
ふぇぇぇ(´；Д；`)良かったぁぁぁぁ！』

さっきまで
ぐしゅぐしゅ泣いていたミサが
なみ子にしがみつきながら
今度は安堵の涙を流す。

うん。良かった。
本当に良かった。

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でだ。

先のなみ子の一言の中に
聞かなきゃならない事が
いくつか出てきた。

『ちょっとなみ子に聞きたい事があるんだけど。』

『なに？おっぱいはＦカップだけど？』

『いや、それは知ってる。
そうではなく！仮死化の…』

『えー！なんで虎ちゃんがなみ子ちゃんのカップ知っとぉとー！？』

『うん、俺もそれ気になる』

『いや待て待て待て、
今はそれじゃないし、

コイツはよく公言し、、、。』

『虎ちゃんとなみ子ちゃんてそーゆー関係だったとー！？』

『やっぱりな…』

『やっぱりじゃねぇし！
なんもやってねーし！』

なみ子が何か良くない事を閃いた様で、
一瞬ニヤリとしたが、

すぐに顔を作って
“わざと”消え入るような声で
ポツリと呟く

『はやちゃん…私とは
…遊びだったのね(´；Д；`)』

神木くんもノリノリで

いや。声と表情は
過ぎた火遊びの後輩を
諭すかのトーンで

『虎子。いいか？
“何をしてもいいー！”みたいな風潮あるけど。
そーゆーのは。
良くないぞ。』

困った。

何が困ったって、
この流れに乗っかりたい衝動に駆られている事に。

ただでさえ
現在進行形で話が脱線していると言うのに、
ここで俺がこの話に乗っかってしまっては、

肝心な事が分からないままになってしまう！

聞きたいことと言うのは

「仮死化のヤツ」という部分と

「全身を氷に覆われた」という部分。

推測するに、

やよいちゃんも俺の時と同様に

なんらかの理由によって

氷に襲われ

身動きが取れなくなったに違いない。

俺の場合は、

太ももあたりまで

氷が這い上がってきた時に

なみ子に滅してもらえたが、

もしあの時

誰の助けも来ず

あのままだったら

どうなっていたのだろう。

氷の進行具合からして

恐らく1，2分程度で

頭の部分まで到達するだろう。

もし、氷が顔まできた時に

呼吸は出来るのだろうか。

そもそも氷に意思があると仮定した場合に

氷の目的は何なのだろうか。

氷の通り道に

たまたま俺がいて

俺を障害物の一つとして認識しているのであれば

ただ通過して事なきを得ていたのかもしれない。

ただこの考え方はかなり楽観的なように思える。

一番考えやすいのは

パラサイト系の行為。

対象となる生き物の

口や鼻から体内へ侵入し

相手を自在に操るというもの。

と、するならば

この時それを察知したやよいちゃんが

苦肉の策として。。。

いや、

そもそも「仮死化」出来る術式があるなんて

聞いたことないんだけど。

って言うか「仮死化」って具体的にどんな状態なん？

一定時間は息しなくても大丈夫です。

体温もめっちゃさがりますけど

大丈夫です。みたいな？？

あるいは冬眠状態みたいなこと？？

なんだよ、「仮死化のヤツ」って！

「みなさんお馴染みのアレ」みたいな言い方しやがって！

ヤツってことは、

やっぱり術式のことよねぇ？

それとも、そういう魔道具みたいなやつがあるんかいね？

まさか、「ヤツ」＝「人名」でもあるまいし。。。

えっと～、、、。

俺が学習院で教わっていない術式って

結構あったりするのかな？？

なんか、自信なくすわぁ。。。

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『はやちゃん…私とは
…遊びだったのね(´；Д；`)』

って、今こうしてふざけて遊んでる場合か！

そもそも、やよいちゃんがあんなことになってしまった今、
こんな風にふざけていて良いわけがないのだ。

お前らもう少し自重しろよ。
自主的に自粛して。
不謹慎にも程がある。

まぁ、とは言え、
不謹慎勢に偏りすぎるのもどうなのだろう。

過去の震災時の
『不謹慎だから』と言う理由で
企業が軒並みCMを自粛したのが良い例だ。

そもそも不謹慎とはなにか？
謹慎ではない状態を指すらしいが、
では、謹慎とはなにか。

【言行をつつしむこと。

特に、悪い行いをした罰、また、つぐないとして、

行動に気をつけたりして、品行をつつしむこと。】

なるほど。

と、言うのであれば、

今回の件に当てはめてみるとどうだろう。

俺たち4人は何か悪い行いをしたのだろうか？

罰を受けなければならない程の
悪事を働いただろうか？

『否』

何もしてはいない。

逆にやよいちゃんの、
仲間のピンチの際に、
有事の際に
『何もしなかった』と言う悪行。
と言う理屈も無くはないが、

ここまで来ると
もはや自分責めの変態精神の何ものでもない。

と、なると