通称えどはく。

2004年から2005年まで、英語とフランス語の展示ガイドをしていました。

外国人観光客がたくさん。いろんな人に会いました。合計100人くらいはガイドをしましたね。

バスツアーのコースにもなっています。

江戸時代の博物館と思われがちですが、明治以降の展示も素敵なんですよ♪

結構頻繁に展示替えを行っているので、何度も楽しめます。


http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/



 


お気に入りだった7階のカフェと、カフェからの景色。

これは最初ガイドの研修を受けていた時に撮影したものですが、今も変わらないのでしょうか。

アフリカの映画祭。2007年、2008年と通翻訳などで協力しています。

2008年は5月に横浜でTICADのサイドイベントとして行われました。


http://www.cinemaafrica.com/




http://www.caramelbox.com/stage/arashi2008/index.html


4回目の上演らしい。

ちょっとネットで調べてみたら、他の方の記事に97年の公演の時も本当に嵐だったとありましたが、今回もゲリラ豪雨で嵐でした。

もともと成井豊さん(演出もしています)の原作小説「あたしの嫌いな私の声」がベースにあるのですが、ところどころハリウッド映画にもなったフレデリック・ノットの「暗くなるまで待って」を思い起こさせるシーンがあったり。

「暗くなるまで待って」のヒロインは目が見えませんが、「嵐になるまで待って」のヒロインは声が出せなくなります。

前回の公演から続けて手話を勉強していらした俳優さんもいらっしゃるそうで、手話を使った踊りがあるのが興味深かったです。

ところどころ時事ネタを盛り込んで笑いを誘う部分があって、一応シリアスみたいですがシリアスにはなりすぎません。オリンピックとか24時間テレビとか(笑)。

最後は予定調和的な大団円ではありますが、そういう方が安心して見られる部分もあったりしますね。

於:横浜そごう美術館


http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/archives/08/0725_ukiyoe/index.html


開港のころの横浜を舞台にした浮世絵。

面白いのは、浮世絵師が結構想像で作成していていること。

たとえばアメリカと題した浮世絵の背景の建物が、イギリスの新聞に載っていたデンマークの建物だったり。

イメージの中で作り出された「外国」が、まるでイギリスとアメリカの違いがわからないまま想像で絵を描いていた子供のころの自分みたいだと思う。

浮世絵ならではの色彩が鮮やか。


横浜開港に関しては昔の仕事で調べたことがあり、いろいろと懐かしいものです。

来年が150周年なので、いろいろイベントが用意されてますね。ボランティア等にもちょこちょこ出現しています。

於:国立新美術館


http://www.emily2008.jp/


オーストラリアの「アボリジニ」と言われる人の作品展。

英語でaborigineっていうとオーストラリアに必ずしも限定されず、

先住民っていう意味にすぎないのでちょっと変な感じもしますが。

こんな大規模なものはたぶん日本では初でしょう。


公式ホームページによれば、


「エミリー・カーメ・ウングワレーは、アボリジニを代表する画家であると同時に、20世紀が生んだもっとも偉大な抽象画家の一人であるというべきでしょう。オーストラリア中央部の砂漠で生涯を送った彼女の絵画が示す驚くべき近代性は、西洋美術との接点がまったくなかったことを考えるなら、奇跡的にさえ思われます。」


ということです。


この展示を見て面白いなと思ったのは、西洋における抽象画というのは、

あくまでも意味がある絵画に対抗するものとしての「意味がない」絵画であるのに対して、

彼女の絵は祈りであり、

まったくそういった西洋美術史の文脈の中に存在していないということです。

製作中に犬が歩いて足跡がついていても問題がなかったり、

上下が決まっていなくて、展示とカタログで向きが違ったり。


「本展覧会は、製作年代および作品の主題に基づいた章立てにより構成されています。これらの章は展覧会を構成する上で設けたものであり、さまざまな要素が相互に分かち難く結びついているエミリー自身の芸術観とは別の視点から彼女の芸術を紹介するものです」


と、HPにも展覧会にも注意書きがあります。


そういう、私たちの絵画に持つ基本的な考えを根本から打ち崩す、

それが日本で彼女の作品を見る一番の魅力に感じます。

ある意味、我々の支配下におけない芸術を、

我々の理解できる言語でむりやり分析を試みた展示ともいえますけれども。

そんなことは抜きにして、色彩がすごく素敵だ、そんな部分ももちろんあります。

於:国立新美術館


http://wien2008.jp/


ベラスケスの「薔薇色の衣裳のマルガリータ王女」が目玉のようです。

久しぶりに正統派な西洋美術を見たので、アトリビュートと呼ばれる象徴的な持物を見て隠された意味をいろいろ考えるのが面白かったです(詳しくは上記HPの「静物画の秘密を読み解く」をご参照ください)。それがこの展示のタイトルの「秘密」と呼ばれている部分なわけですね。

もともと美術史を専攻するきっかけは、そういったものを解釈するのが面白い!というところからだったのですが。

入口に作品に出てくるような花が飾ってあったりして、思わず本物か確認してしまいました。


ちなみにバッグ買っちゃいました。臨床美術の道具入れになってます。

於:Bunkamura ザ・ミュージアム


http://www.bunkamura.co.jp/


Bunkamuraは結構私が好きな人やテーマが多くて、面白い視点だな、と思うことも多いのですが、解説はちょっと足りないかな、と思うことがあったりします。

以前モロー展に行ったのですが、卒論で私が調べたレベルより表面的だったと感じたので。量的にも、金額に対してちょっと物足りない感じもしてしまったり。

でも、このような一般的にマイナーだと思われる展示をしてくれることには感謝。


グルジア人のニコ・ピロスマニの作品を見たとき、なんとなくルーマニアの画家たちを思い出しました。暗い雰囲気とか、民族衣装も似ているように思います。

もともとは芸術作品ではなくて、看板だったり段ボールに書いたりしたものだったそうで、非常に素朴。ルソーに似ているとも言われたそうで、言われてみればそうかもしれない。


展示の最後に、ロシア・アヴァンギャルドは衰えていったという形で終わっていたのでちょっとびっくりしました。美術史の中ですべてのものは始まり、衰えていくわけですが、こういう終わり方の展示って少ない気がします。

展示を見終わった後、以前mixiで見かけていたガラス作家の中田昌秀さんの作品をBunkamuraギャラリーへ見に行きました(http://masahide-nakada.net/index.html )。
ネックレスとか繊細なデザインのものは、ため息が出るほどきれいでした。

於:出光美術館


http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/schedule/200802.html


出光といったらルオー、らしい。

今日はラッキーにも金曜日だったので閉館が遅くて助かりました。
「パッション(受難)」は本当に素晴らしかったです。圧巻。
私が卒論を書いたモローの教え子ですが、最初の頃の絵がちょっとモローっぽい感じがしましたね。

もともとステンドグラスを作っていたらしく、絵も縁取りがしっかりしていてステンドグラスっぽい雰囲気で、昔最初見たときはあんまり好きじゃなかったんだけど、だんだんハマってきます。

その独特のタッチと哀しげな色調がすごくいい。
ふとギャラリートークの宣伝を見たら昔大学で東洋美術史を教えてくれた学芸員さんが今は主任学芸員とのことでした。出世したんだなぁ、と思いましたよ。

監督:ニュートン・I・アドゥアカ
フランス・ナイジェリア・オーストリア(2007)
音声:英語
字幕:日本語、フランス語
105分
ジャンル:フィクション
日本初上映


http://www.refugeefilm.org/film/2008/330.html


UNHCR駐日事務所と日本UNHCR協会は6月20日、「世界難民の日」を記念して難民映画祭を開催しています。

今回で第3回。映画は無料なので、その分気持ちがあるなら寄付をして欲しいとのことでした。

シネマ・アフリカの方の関係で、reservedシート初体験(笑)。


「EZRA」はシエラレオネの紛争を題材にした少年兵についての話。エズラが少年の名前。

少年は誘拐され、見たこともないダイヤモンドのために兵士として育てられ、生き残るために押しつけられた正義を受け入れ、人を殺していく。

彼はそれでも友情も愛情も持っている。

シエラレオネの話を知っている人なら、彼がどんな人生を歩むか想像の範囲かもしれない。

でもそれが映画になって、私よりずっと幼い少年の姿で現れることに意味があるのだと思います。


そして全く知らない人にも、タダだからって理由でいいから観てほしいなと思います。



ジプシー。
ルーマニアに住んでいる間にルーマニア人たちが外国人である私の前で、その名前を口にするのを憚り、あるいは露骨に悪感情を表す場面にも何度も出会った。政治的にはロマと呼ぶのが正しいそうだが、そう呼ぶルーマニア人には会ったことがない。
「ジプシー・キャラバン」はそんなルーマニア、マケドニア、インド、スペインの「ジプシー」の民族音楽の北米コンサートツアーを縦軸に、民族の不遇の歴史とそれでも音楽を力に悲しみも喜びも抱えて生きる音楽家たちの人生が描かれたドキュメンタリー映画だ。
正直なところ私はこの映画を観て素直に「差別はダメだ」とは言えないし、登場人物が言っていた「みんなロマを見習うべきだ。奴隷をもたないし戦争もしない追い出しもしない」という言葉に心の底から共感できるわけでもない。
私には靴を履いていない女の子の手を引いた貧しげなロマに追いかけられて唾を吐かれた思い出がある。その時は日本を離れる前に読んだルーマニア人にロマというだけで殴られ傷だらけだという子供の出てくるドキュメンタリーを読んだことを思い出して、そんな目に遭ってきている人がよりマイノリティに出会った時に攻撃的になるのは理解できる流れであると自分に言い聞かせたのだが、ショックではあった。
こんなことを繰り返して、ロマへの偏見や悪感情はどんどん蓄積されていく。でもそんな時に、どうして彼らがそういう行動に出ているのかという理由がわかれば少しは溝が埋まるだろうか。
そう思ってルーマニアの友人たちに、「ジプシー・キャラバン」を観るように勧めてみた。あの国でジプシー映画を放映するかどうかもわからないが、映画の中で必死に生きている登場人物たちの言葉と「祖国も権力も持たない彼らが、生きる為に与えられた」音楽を聞いたら、このコンサートを見に来た人たちのように少しは何かが変わるだろうか。そんな文化の力を信じてみたい、そう思う映画だった。



映画の公式サイト:http://www.uplink.co.jp/gypsycaravan/
写真は私がルーマニアで撮影したものです。