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宇宙(80) 原子の正体(14)

宇宙にはどんな元素がどれだけ存在するのか。


宇宙に存在する元素は、 「宇宙の元素存在度」で表すことができる。 地球に存在する元素をはじめ、 地球に落ちた隕石に含まれる元素、 太陽やその他の恒星にに存在する元素の種類と量を示している。 太陽や恒星での元素の存在度は、 主にドイツの物理学者グスタフ・キルヒホフ(1824~1887)やドイツの化学者ローベルト・ブンゼン(1811~1899)によって確立された手法(分光学)によって19世紀以降明らかにされてきた。 最近では、 日本のすばる望遠鏡等によって、 様々な天体での元素の存在度が観測されている。 


元素存在度の割合
水素とヘリウムがずば抜けて多く、 原子番号が増すにつれて、 存在度が小さくなる。 水素とヘリウムが全体に占める割合は、 実に98%にも及んでいる。


存在度大 → 存在度小



1H(水素):存在度最大 → 2He(ヘリウム) → 8O(酸素) → 6C(炭素) → 10Ne(ネオン)→ 7N(窒素) → 26Fe(鉄) → 14Si(ケイ素) → 12Mg(マグネシウム) → ― - - - 92U(ウラン):存在度最小
※原子番号43のTc(テクネチウム)は崩壊しやすいため、 ほとんど存在しない。 
※原子番号61のPm(プロメチウム)は崩壊しやすいため、 ほとんど存在しない。 
※原子番号84~89、 そして91の元素は崩壊しやすいため、 ほとんど存在しない。 


●原子核のマジックナンバー
陽子もしくは中性子の数2, 8, 20, 28, 50, 82, 126, 184になるものは、 周囲の原子より存在度が高くなる傾向にある。 この数字を「マジックナンバー(魔法数)」という。 実はこれは、 電子の数が2, 10, 18, 36, 54の希ガス元素が安定的であるのと似た性質である。 このことから、 単なる粒子の集まりと考えられていた原子核にも、 電子殻のようなグループ構造があると考えられている。 この「原子核の殻構造」を解明したマリア・ゲッパート・メイヤー(1906~1972)とハンス・イエンゼン(1907~1973)は1963年にノーベル賞を受賞した。


●陽子の数が奇数の原子核は、 他の元素の原子核に変化しやすい。
陽子が偶数の場合、 核子は安定していて変化はない。 一方、 2個ずつのペアになっていない半端な陽子がいる場合、 安定な状態になろうとするため、 陽子は陽電子とニュートリノを出して中性子に変りやすい。 その結果、 陽子の数が偶数、 つまり原子番号が偶数の別の元素に変化する。


― - - つづく

宇宙(79) 原子の正体(13)

太陽は何故輝いているのか。
 - 核融合でヘリウムを作り出す


重い原子核が分裂すると巨大なエネルギーが生まれるが、 軽い原子核同士が融合しても巨大なエネルギーが生まれる。 融合を起こすのは簡単ではないが、 例えば、 超高温・高圧の状態になれば起きやすくなる。 これが本当に起きているのが太陽である。 太陽はなぜ輝いているのか。 この疑問は古いギリシアに始まり、 20世紀になっても科学者達を悩ませた。 結論が出たのは、 1950年代初頭のことである。 謎を明かすきっかけは、 1868年のヘリウムの発見だった。(この年の8月、 インドで皆既日食が起きた。 この際、 普段は見ることのできない太陽のコロナを調べることで、 未知の元素(ヘリウム)の存在が確認された。) ヘリウムは、 地球で見つかるより先に太陽で見つかった元素であり、 名はギリシア語の太陽「ヘリオス」に因む。 そしてこのヘリウムを作り出す過程こそが、 太陽の輝きの源ではないかと考えられた。 その候補として理論的に考えられたのが、 陽子(水素の原子核)4個が融合してヘリウム原子核1個を合成する反応であった。 1グラムの水素の核融合からは、 15トンの石油を燃焼させるのに等しいエネルギーが生じる。 1950年代になって、 実際に太陽の中で核融合が起きていることを確かめたのは、 アメリカの天体物理学者ウィリアム・ファウラー(1911~1995。 1983年にノーベル物理学賞を受賞)らのグループだった。 ファウラーらが核融合に必要な温度を調べたところ、 太陽の中心部(コア)であれば陽子の核融合が起きると結論できた。


太陽は核融合で輝いている
核融合は、 太陽の中心部(コア)で起きている。 現在では、 毎秒6200億トンの水素からヘリウムが作られていることが明らかになっている。 これは実に9300トンの1000兆倍の石油を燃やすエネルギー量に相当する。 尚、 太陽のコアは約1500万度Cであり、 本来この温度では核融合は起こらない。 同じ核融合を地上で起こすとしたら、 1億度C以上の温度が必要である。 太陽で核融合が起きるのは、 超高圧条件になっているためと考えられている。


●太陽で起きている核融合の流れ。


1)原子核が単独で存在(太陽の内部は超高温・高圧状態なので、 水素原子から電子が分離して、 原子核[陽子]が単独で存在する。) → 2)2個の陽子が融合(陽子が2個融合する。 このとき1個の陽子は、 陽電子とニュートリノを出して中性子に変る。 陽電子は、 電子と質量が同じで電荷が反対の素粒子のことである。) →  3)更に陽子が融合(そこへ陽子がもう1個ぶつかり、 融合する。 融合してできるのは、 陽子2個、 中性子1個のヘリウム3の原子核である。) → 4)ガンマ線を出す(ヘリウム3の原子核からは、 強力な放射線であるガンマ線が飛び出す。) → 5)ヘリウム4ができる(ヘリウム3の原子核が二つ融合して、 ヘリウム4ができる。 このとき二つの陽子が勢いよく飛び出す。 核融合の際に生じるガンマ線や、 飛び出す粒子の勢いそのものが太陽のエネルギー源となっている。)


― - - つづく

宇宙(78) 原子の正体(12)

原子力発電は、 核分裂エネルギーを利用する。
 - 中性子をぶつけてウラン235を分裂させる。


重い原子核が分裂すると、 大きなエネルギーが発生する。 これを利用しているのが原子力発電所である。 原子力発電所で使われているのは、 「ウラン235」である。 質量数の大きいウランの原子核は電気的な反発力が無視できないため、 分裂しやすい。 天然に存在するウランの同位体は三つであり、 そのうち質量数が235のものをウラン235という。 ウラン235は、 中性子1個が核に入り込むと、 二つに分裂する性質を持つ。 このとき莫大なエネルギーが生じる。 このことは、 1938年にドイツの化学者オットー・ハーン(1879~1968)らによって発見された。 原子力発電所の燃料に含まれるウラン235の割合は、 全体の2~4%である。 残りは同位体の一つであるウラン238。 ウラン238は中性子が入り込んでも分裂はせず、 原子番号が二つ大きいプルトニウムに変化する。 中性子が入り込んで分裂したウラン235からは、 新たな中性子が放出される。 この中性子がまた別のウラン235を分裂させる。 こうして分裂が連鎖的につづいていく。 発電所ではこの連鎖反応が少しずつ進むように制御している。 連鎖反応を一気に進ませているのが原子爆弾である。 ウラン235が分裂すると、 ガンマ線や中性子線といった放射線が発生する。 分裂してできた原子も激しく飛び散り、 その結果、 燃料そのものも高温になる。 こうして生じた熱を使って発電することになる。 得られるエネルギーは莫大で、 ウラン1グラムがもたらすエネルギーは、 石油2.15トンを燃やしたエネルギーに相当する。 


●原子力発電の基本的な仕組み
沸騰水型と呼ばれる原子力発電の仕組み。 これは、 燃料のウランが分裂する際生じるエネルギーを使って、 炉内で水を沸騰させ、 その蒸気でタービンを回し、 発電するもの。 水蒸気を使った発電の基本的な仕組みは火力発電所と同じである。 タービンを回し終わった後の蒸気は、 海水等よって冷やされて水に戻される。


●鉄より重い原子核は、 分裂した方が軽くなる。
ウラン235が分裂すると、 もともとの質量の0.1%が失われる。 つまり、 1グラムのウラン235を分裂させると1ミリグラムの質量が減る。 1ミリグラムの質量は、 2.15トンの石油を燃やしたときのエネルギーに等しいことになる。


●ウラン235が分裂するとき、 莫大なエネルギーが発生する。
中性子がウラン235の原子核に入り込むと、 原子核は分裂し、 ほぼ半分に分かれて二つの原子核を生成する。 どのような原子核が生成されるかは、 くびれのできる位置によって微妙に変化する。 分裂の際には、 平均して2.5個の中性子が発生し、 その一部は別のウラン235の原子核を分裂させる。


中性子 → 減速剤(炭素や水を使って中性子を吸収・減速させる。 減速剤に水を使っているタイプの発電所を「軽水炉」という。) → ゆっくり動く中性子(熱中性子) → ウラン235の原子核に、 中性子が入り込む → 変形する → 分裂が始まる → くびれができる → 核分裂のエネルギー発生!!(原子核が分裂すると大きなエネルギーが発生する。 ウラン235が分裂したときに発生するエネルギーは、 ガンマ線や中性子線といった放射線、 そして分裂してできた原子核が勢いよく飛び散る運動となって現れる。


― - - つづく