2017年(第90回)アカデミー賞作品賞ノミネート作品 | FLICKS FREAK

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いやぁ、映画って本当にいいもんですね~

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』 ★★★★★★★★ (8/10)  -受賞作-
『スリー・ビルボード』 ★★★★★★★ (7/10)
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』 ★★★★★★★ (7/10) 
『君の名前で僕を呼んで』 ★★★★★★ (6/10)
『ゲット・アウト』 ★★★★★★ (6/10)
『ファントム・スレッド』 ★★★★★★ (6/10) 
『レディ・バード』 ★★★★★ (5/10)
『ダンケルク』 ★★★★★ (5/10)
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』 ★★★★★ (5/10)

 

アカデミー賞作品賞の受賞作がノミネート作品の中で自分の選ぶベストと一致する方がむしろ少ないが、近年のアカデミー賞作品賞では『シェイプ・オブ・ウォーター』と2011年の『アーティスト』がその例外。

 

『シェイプ・オブ・ウォーター』は、ギレルモ・デル・トロ監督のベストである『パンズ・ラビリンス』に匹敵する秀作。この作品のよさは、怪物が最後まで怪物でいること。怪物が人間の王子様に変身するとすれば、ルッキズムの批判は免れないだろう。そして、怪物の造形は『大アマゾンの半魚人』(1954年)から取られていることは明らかだが、アメリカ探検隊が半魚人を殺してしまうオリジナルに対して、半魚人の恋愛を成就させるところにアメリカの侵略主義への批判精神を感じる。

 

またヒロインがミュージカル映画の登場人物に自分を重ね合わせて幻想するシーンでは、自分がフレッド・アステアの作品で一番好きな『艦隊を追って』(1936年)のダンスシーン「レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス」のセットが使われていて、デル・トロ監督の映画愛を感じ、映画好きとしてはそれだけで感動してしまった。

 

次点の『スリー・ビルボード』も例年であれば十分に受賞のレベル(個人的好みを排除した賞獲り予想では、むしろこちらの受賞を予想した)。それまでの『ヒットマンズ・レクイエム』(2008年)、『セブン・サイコパス』(2012年)といったブリティッシュ・アイロニーを昇華させ、メインストリームで評価されるべきマーティン・マクドナー監督の傑作と言える。