特命諜報207
今回は、前々回に名前がちょっと出たのだが川内康範原作で東映制作の「特命諜報207」(64年)である。15年程前に一度取り上げたが、OPのみ見たことがあるという状態は今も変わっていない。
舞台は太平洋戦争中の43年で、敵地に潜入して諜報要するにスパイ活動、破壊工作などに動く特命諜報工作員の活躍を描いている。川内康範は陸軍中野学校や陸軍憲兵学校で使用された指導要領などを入手したり、その出身者から談話を聞くなどの取材を行なったという。
出演は田口計(原田中尉)、梅若正二(大村少尉)、竹田公彦(赤木少尉)、生井健夫(安永大尉)であり、四人がどこかの原野を馬に乗って走る映像となっている。OPは前述の順番になっているが、リーダーは階級が上の生井であり、田口計は主役タイプとは思えないので、生井が主役扱いかもしれない。同じ川内の原作で63年放送の「戦友」でも主演は生井である。田口計は当時31歳で、東大文学部出身である。時代劇・現代劇問わず悪役としてお馴染みで、本作のような役柄は珍しいといる。
梅若正二は大映の「赤胴鈴之助シリーズ」(57~58年)の主演で大人気俳優となる。しかし、その事で増長してしまい干されるようになり59年には大映を退社。その後は新東宝や大蔵映画などに出演するも、交通事故等で一時期映画界を離れ63年に復帰したところだった。竹田公彦は60年に歌手としてデビューし、並行して俳優活動も行っていた。
この四人以外にも工作員は登場したようで、大村文武(加山中尉)、鶴見丈二(山岡中尉)、青木義朗(権藤大尉)、そして上官である龍崎一郎(志賀村大佐)等が途中からレギュラー参加したようである。
これは推測だが、テレビドラマデータベースでは役者の後ろに出演話数が示されていたりするが、それをそのまま受け取るとすれば田口、梅若、生井が前半で降板して大村、鶴見、青木が参加した形となっている。つまり竹田のみ通しての出演ということになる。
大村文武は東映映画版の月光仮面であり、青木義朗はこの数年後には「特別機動捜査隊」の三船主任として活躍することになる。鶴見丈二は大映の出身。川口浩、品川隆二、川崎敬三と共に京浜東北線の駅名を芸名(川口は本名)として与えられるくらい期待されていたようだが、ブレイクせず61年には大映退社となったようだ。
ウィキペディアなどでは全21話となっており、実際に21話までしか放送されていないが、実は22話が存在するという。東京オリンピックの中継のためとんでしまったらしいが、その後再放送などで放送されたかどうかは不明だ。サブタイは「救出」であり、21話「裏切り」よりは最終話っぽい。
梅若正二は結局、本作を最後に引退したようである。竹田公彦も翌65年の「特別機動捜査隊」へのゲスト出演以降の活動記録は見当たらない。歌手活動についても不明である。
正義のシンボル コンドールマン その2
前回に続き「正義のシンボル コンドールマン」(75年)である。前回も書いたが本作は敵方のモンスター一族が印象に強く残る。
その帝王がキングモンスター(声・飯塚昭三)である。劇中あまり動かないので、その実力の程は不明だが、絶大な力を持っているのだろう。一族の科学者がマッドサイエンダー(花巻五郎)。頭の左側に巨大なゼンマイのねじが付いている。演じた花巻は「ワイルド7」で両国を演じていた。
モンスターにも作戦指揮を行う幹部モンスターとその配下が存在するが、最初に登場する幹部がサタンガメツク。OPやEDで紹介されていないので、印象に残りにくいが、金満商事社長(天草四郎)に化身して食糧の買い占め作戦を遂行する。演じた天草は「流星人間ゾーン」ではゾーンファミリーの家長であった。その配下で、第1話で一心(佐藤仁哉)を殺害したのがサドラーだが、その人間態を西沢利明が演じた。西沢のこういった役柄は珍しく思えるが、宇宙刑事シリーズではコム長官役で全三作に出演していた。
5話から登場するのがレッドバットンで幹部候補生という位置づけらしい。人間態ルイザ高倉を演じたのは一の瀬玲奈で、双子の姉レオナ高倉(=ゲムスラー)も彼女が演じる。一の瀬は後に「特別機動捜査隊」で戸川刑事を演じることになる。その後に指揮を執るのがサラマンダーで、EDにも姿は見えるが他のモンスターのような特徴がない。人間態を演じるのは大月ウルフでレインボーマンでも怪人を演じた。
OPでもEDでも目立つゼニクレージーは実はサラマンダーの配下に過ぎない。人間態は食糧大臣で高桐真が演じるが、顔面を金色に塗ったゼニクレージーは井上誠吾が演じている。JAC所属の若手であり、千葉真一主演の「大非常線」(76年)では伊丹刑事を演じた。後に誠吾大志と改め「影の軍団Ⅲ」では軍団の一人を演じた。
以上の1~13話までが「日本ハンガー作戦」で、14話はなんと総集編。15~17話が「日本炎上作戦」で、オイルスネークが登場する。人間態は山本昌平が演じ、中近東ルックで登場。その副官は関山耕司(=ギラーメン)が演じたが、何故かノンクレジットであった。
残る18~24話が「日本全滅作戦」で、OPにも出ているゴミゴン、スモッグトン、ヘドロンガーの公害系三大モンスターの出番となる。ゴミゴンの人間態は時代劇の悪役が多い長谷川弘で、スモッグトンは岡部正純。岡部は東映のベテラン大部屋俳優で、出っ歯が特徴といえようか。最後のモンスターとなったヘドロンガーは何故かオリジナル人間態は有しておらず、公害研究所の博士(伊豆肇)に憑依したりした。
最終話で全ての配下を失ったキングモンスターは、再戦を宣言してコンドールマンの前から姿を消すという「レインボーマン」と同様のラストを迎えている。
川内康範のオリジナル特撮ヒーローは本作が最後となったようである。
正義のシンボル コンドールマン
「レインボーマン」「ダイヤモンド・アイ」とくれば「正義のシンボル コンドールマン」(75年)である。この三作が川内康範原作の70年代ヒーローなのである。
「正義のシンボル コンドールマン」は前二作の東宝ではなく東映の制作である。川内康範が直接NET(減・テレビ朝日)に企画を持ち込み、そこから話が東映に行ったらしいが、川内ではなく局側の判断だったのかもしれない。NETも、まあまあ好評だったという「おじさま!愛です」というドラマを終了させて枠(月曜19時半)を用意したという。
ちなみにOPには製作TTPと表示されているが、これは東映テレビプロのこと。個人的にはこのTTP表記を他番組で見たことがない。プロデューサーは「仮面ライダー」等を手掛けたヒットメーカーの平山亨であった。ちなみに、川内がテレビで東映と組むのは「特命諜報207」(64年)以来のようで、ヒーローものとなると千葉真一主演の「アラーの使者」(60年)以来ということになるようだ。
主役の三矢一心には当時22歳の佐藤仁哉が選ばれた。川内が「眼がいい」と直接決めている。コンドールマンは直接目が出るタイプのマスクなので目は重要だったのである。愛車であるマッハコンドルのカースタントは佐藤自身でこなしていたといい、映画「サーキットの狼」に出演したり、26歳の時にはプロレーサーデビューをするまでになっている。
この三矢一心の設定が複雑で彼は第1話で死んでしまい火葬もされていたのだが、その遺骨をダバ老人がゴールデンコンドルと融合させてコンドールマンを誕生させたのである。本編に登場する一心に過去の記憶はなく、コンドールマンが一心に化身しているという形なのだそうだ。墓も既にあり、彼の家族からは「一心に似ている別人」と認識はされているが家族のように扱われてもいるという設定だ。
前述のダバ老人役は井上昭文で、「レインボーマン」のダイバダッタのような役をここでも演じている。父・源太郎に多々良純で母・たみ子は星美智子という両ベテラン。義兄・堅介は「キカイダー01」でお馴染みの池田駿介、その妻・陽子に木島幸、その娘・まことに香山リカ、恋人だったさゆりに岡本茉利といったところがレギュラーである。
堅介の名字は三矢となっているので入り婿ということになろうか。香山リカは当時の子役だが、この名前は現状精神科医の人かリカちゃん人形の設定上の本名として知られる。他にも名乗っている人がいたようで、子役の彼女も芸名として名乗っていたのではないだろうか。岡本茉利は当時女優と声優活動をほぼ平行に行なっており、タツノコプロノアニメへの出演が多かった。
本作に関してはこうしたレギュラー陣より敵方であるモンスター一族の印象の方が強いのではないだろうか。なにしろOPでも、ゼニクレージー、ゴミゴン、スモッグトン、ヘドロンガーと紹介されており、EDもモンスター一族が輪になって踊る、その名も「ザ・モンスター」という歌だったりする。フルだと先の4怪人が順に歌われるのだが、1番だけなのでゼニクレージーの歌になっている。こうやって一番目だっているのだが、実は他の3怪人のような幹部モンスターではなかったりするのだ。次回に続く。
ダイヤモンド・アイ その2
前回に続き「ダイヤモンド・アイ」(73~74年)である。後半となる14話からは、減海龍=キングコブラ(南原宏治)の娘である蘭花=ヒメコブラ(隅田和世)が登場する。蘭花は悪になり切れず、雷甲太郎(大浜詩郎)にも愛情のようなものを抱いてしまうというキャラ。演じた隅田和世は「キカイダー01」(73年)のリエコ役が有名。元は大浜と同じく日活の所属で、ロマンポルノ転向前の最終作品となった「八月の濡れた砂」(71年)のヒロインとしても知られる。
その蘭花の右腕としてキルト=オニカブトン(片岡五郎)と魔倫=ケロキャット(吉田未来)も同時に登場する。片岡五郎は近年では品川庄司の品川祐の母(マダム路子)と再婚したことで話題になった。
ところで前世魔人だが、キングコブラ、ヒメコブラ、オニカブトンは一体しか登場しないが、他のケロキャット、ワレアタマ、ケラリン、ゲララチン、モージンガー、ヒトデツボ、サタンバットは複数体登場する。まあ予算削減の意味もあるのだろう。たとえば、前述の魔倫以外にも、珠玉(真山知子)、猫マスク(塩沢とき)の正体もケロキャットである。ついでに塩沢の他、前世魔人の人間体を演じた役者は黒部進、内田勝正、中庸介、上野山功一、石山雄大、大堀早苗などが演じている。萬年社は「ワイルド7」(72年)も手掛けていたこともあり、メンバーだったマイケル中山、笹本顕が前世魔人、永井政春が刑事役で出演していた。、
ダイヤモンド・アイの声は7話まではアニメ版「月光仮面」(72年)で主演だった池水通洋が演じていたが、8話からは野田圭一に変更となっている。
本作では東宝のプロデューサーが山本悦夫になったが、山本はこういった特撮番組は初めてであり、監督として連れてきた高瀬昌弘も特撮物は初めてであった。高瀬といえば、日テレの青春ドラマシリーズがお馴染みで、当時は「太陽にほえろ」も担当していた。前回も書いたが「飛び出せ青春」(72~73年)に出演していた谷岡行二、青木英美、降旗文子らを本作に引っ張ってきたのも高瀬であった。山本は高瀬なら何とかしてくれるだろうとお願いしたのだと述べており、高瀬も山本じゃなければ引き受けなかったと答えている。実際、本作以降は特撮ドラマには参加していない。
特技監督の真野田陽一は円谷特技研究所の門下生として円谷英二に師事していた人物。長年東宝特撮映画で撮影助手を務め、66年に撮影監督に昇進した。高瀬は真野田が「そんなシーンは撮れない」と言うと「じゃあお前は円谷さんに劣っているんだな」などと煽って、撮らせたりしていたという。
EDはライコウがバイクで延々と走っているだけのシーンだが、高瀬は当初これをOPとして考えていたという。やはりヒーローと怪物を出してくれと上から言われ、仕方なくEDにしたと語っている。大浜詩郎は本作のためにバイクの免許を取得したという。その大浜は10年に62歳の若さで亡くなっている。
両目がダイヤモンドのヒーローとか当時の子供たちにはカッコ良いとは思われなかったのではないだろうか。おもちゃになるような要素も少なく「レインボーマン」に比べるとずっとマイナーな存在になってしまった感はある。見直すと面白い作品ではあるけれども。
ダイヤモンド・アイ
「レインボーマン」とくれば、その後番組「ダイヤモンド・アイ」(73~74年)である。同じ川内康範原作で、企画が衛藤公彦(萬年社)で東宝の制作であることなど「レインボーマン」を踏襲した形となっている。
ダイヤモンド・アイは変身ヒーローではない。ダイヤの神であり、主人公の雷甲太郎(大浜詩郎)が召喚する形となっている。主人公が呼びよせるというスタイルは「マグマ大使」等であったが、大抵の場合子供がピンチで呼び寄せるスタイルであり、大人が呼ぶヒーローは少ないかもしれない。本作は「変身ヒーロー」ではなく「献身ヒーロー」と銘打たれていた。
敵は前世魔人と呼ばれる悪霊世界に巣食う魔人の一族。ほぼ全員が人間に化ける能力を持っており、普通の人間の悪人と手を組んで悪事を働いていたりする。この番組に関して、その内容はほぼ覚えていなかったのだが、アイが「外道照身霊破光線」を浴びせ「汝の正体みたり、前世魔人〇〇〇〇〇」と叫ぶと、人間体から正体を現した前世魔人が「ば~れたか~」と叫ぶやり取りだけは覚えていた。
主演の大浜詩郎は当時26歳で、本名同じ。大学在学中の67年に日活にスカウトされて「非行少年陽の出の叫び」で映画デビューし、日活がロマンポルノに転ずる直前まで在籍していた。カボ子役は黒沢のり子。劇団ひまわり出身で、20歳のとき(67年)に日活の前野霜一郎と結婚したが70年に離婚。その後は東宝のテレビ部に在籍していた。前野は76年にロッキード事件の児玉誉志夫邸にセスナで突入して死亡しいる。カボ子はもちろんあだ名であり、本名は高柳ミユキというらしい。
雷甲太郎という役名は川内原作の「七色仮面」の主人公・蘭光太郎と一音違い。カボ子は、やはり川内原作の「月光仮面」や「黄色い手袋X」でも使われていた名前である。よほど気に入っていたのだろうか。
ライコウの後輩五郎役に福田悟。五郎という役名も「月光仮面」の五郎八からとったかもしれない。元上司の早川編集長役は久野四郎。久野はその五郎八(初代)を演じていた役者である。顔見知りの海藤警部役に玉川良一で、登場回数はは5回のみでセミレギュラー的存在。実は玉川良一は特撮作品への出演は非常に少ない。声優としてアニメへの出演も多かったせいか、もっと出演しているイメージがあった。他にもライコウの母親役で菅井きんが2回ほど登場している。
敵方に目を向けると、前世魔人のボスである源海龍ことキングコブラに南原宏治。若い頃は映画で怪人二十年相などを演じていたが、テレビでのこういった特撮作品への出演は少なく、しかもレギュラーは本作くらいと思われる。前半に源の傍らにいる美女・珠玉に真山知子。南原もだが東映ニューフェイスの出身。65年に蜷川幸雄と結婚している。
源海龍と手を組んでいた人間の悪人・大沢山剛造に神田隆。初回から南原と神田のツーショットとか大物間が漂っており。東映のアクションドラマかと思ってしまう。大沢山の娘が青木英美で、大沢山に心酔していた北見青年に谷岡行二。共に「飛び出せ青春」での生徒役が印象に深い。次回に続く。
愛の戦士レインボーマン その5
今回で完結の「愛の戦士レインボーマン」(72~73年)である。最後の第4クールは「サイボーグ軍団編」となっている。死ね死ね団の科学者としてドクターボーグ(長沢大)が登場。ダイアナ(山吹まゆみ)、キャシー(高樹蓉子)、ロリータ(皆川妙子)をサイボーグに改造した。三人は肉弾戦をレンボーマンに挑んでいく。
また、イグアナ(塩沢とき)の母であるゴッドイグアナ(曽我町子)も登場し、娘の復讐のためレインボーマンに挑み、当初は死ね死ね団とも敵対する。引き続き塩沢が演じる予定であったがスケジュールの都合で出演できなかったため曽我が抜擢された。曽我の方が塩沢より10歳下なのだが、初代オバQなど声優としても活躍していた独特の声もあってか、あまり違和感を感じさせなかった。これ以降、曽我は特撮番組で魔女役を演じることが多くなる。
45話でキャシー、46話でダイアナ、そしてドクターボーグがレンボーマンによって倒される。47話でロリータはゴッドイグアナの化身であるバッドシスターの攻撃を受け、これを倒すがその直後ゴッドイグアナの攻撃により絶命する。その後ゴッドイグアナはレインボーマンを倒すという目的は同じなので、ミスターK(平田昭彦)に忠誠を誓ったふりをして利用しようとする。
48話で女性幹部で一人残ったオルガ(藤山律子)は、ボーグの残したボーグαというサイボーグ変身薬を自ら注入し、鬼のような顔面になって(サブタイは「鬼面の血斗」)三人の復讐のためレインボーマンに挑んでいく。ロリータ以外の二人とはいい関係には見えなかったが、そこは気にしてはいけないのだろう。オルガは敗れた後、レインボーマンに抱きかかえられる等、多少優遇されていた。台本上でオルガはは自分の顔が基に戻ったのを確認して、微笑みながら息絶えるとなっていたようだ(本編では顔は見えない)。
監督の六鹿英雄によれば、女性幹部役の女優たちには、特定の誰かを贔屓して不満が出たりしないよう、それぞれ見せ場を作ってやるなど気を遣っていたという。「彼女たちにはやっぱり色々あってね」と分け合い合いとやっていたわけではないことを示唆していた。
最終話ではゴッドイグアナは倒すのだが、ミスターKは姿を消していた。つまり、どこかで生きているという形で終了している。マーチャンダイジング的には好調であったため、放送を続けることは可能だったらしいが、川内康範の1年という区切りのいい状態で終わらせたいという意向もあって終了させたという。
タケシを演じた水谷邦久は79年に俳優を引退し、実家のカメラ屋を継いでいる。元々役者は30歳までと決めていたらしい(嫌なことがあったので辞めたという説もある)。引退後はイベントなど公の場に姿を見せてはいないようだ。
終了から9年後の82年にレインボーマンはアニメという形で復活することになる。監督の岡迫亘弘は実写版でもダッシュ1から7をデザインした人物。主役のタケシを演じる声優の水島裕は実写版の主題歌を歌っていた安永憲自のことである。岡迫はそれを知らずにオーディションで水島を選んだという。聴き馴染みのあった声を選んだというところであろうか。
愛の戦士レインボーマン その4
前回に続いて「愛の戦士レインボーマン」(72~73年)である。
前回、書き忘れたが「M作戦編」で印象深いゲストとして、ヤマト一郎(小泉博)の同僚だった平(松尾文人)がいる。
タケシ(水谷邦久)に協力するが、イグアナ(塩沢とき)によって人間爆弾にされる。しかし、強靭な意志によってタケシを巻き込まないように一人爆死する。演じた松尾文人は1916年生まれで、冴えないオジサンにしか見えないが、実は戦前の子役スター。「鞍馬天狗」で初代杉作を演じたのは松尾だったのである。マキノプロや河合映画時代には子役ながら10本以上の主演作があった。 16歳になってからは脇役にまわり、戦後はチョイ役がほとんどだっただけに、久々の大役だったかもしれない。文人は「ふみんど」と読む。
第3クールの「モグラート編」は個人的にはあまり印象に残らないエピソードだが、オルガ(藤山律子)とロリータ(皆川妙子)が新たな女性幹部として登場する。ロリータは当初、パゴラ(チコ・ローランド)とアフリカ支部から派遣された女殺し屋という位置づけだったが、パゴラが倒された後はオルガとのコンビでレインボーマンを狙う。ちなみにロリータという名前ではあるが、近年イメージされるロリータ的な要素は一切ない。
当時、黒人俳優といえば、チコ・ローランドかウイリー・ドーシーかという感じだったが、ドーシーも第4話にゲスト出演している。
また、この第3クールからは死ね死ね団にDAC(悪魔武装戦隊)という暗殺部隊が登場。生身の人間だが戦闘のプロフェッショナル集団である。その隊長ダック・ワンを演じたのが山内明である。山内明と言えば、当時50歳であり、この頃は既に黒幕とかフィクサーとか大物感あふれる役をやっていた印象だ。この隊長は戦闘服でベレー帽をかぶり、マシンガンをぶっ放していた。2話だけだがそんな役を山内がやるはずがない。同姓同名の別人かとも思ったのだが、やはりあの山内明だったようである。映像はどこかにあると思うのだが探すのが困難なため、「レインボーマン大全」の全エピソードガイドに載っている29話の写真がその隊長のアップ。それを見る限りあの山内明だと思える。眼鏡をかけていないので印象が違って見えるのである。
山内明は、ほぼ特撮作品には出演していないのだが、「ゴジラ対ヘドラ」(71年)では矢野博士役で主演扱いである(トップクレジット)。ただこの作品は監督が本作デビューの坂野義光で、水中撮影も坂野が担当しており、山内明は坂野と体形が似ていたので採用されたらしい。
話がそれたが第3部では、恋人淑江(伊藤めぐみ)が勤める保育園の園児で数回登場していたマー坊(梶浩昭)という子供が犠牲になる。これは狙われたわけではなく偶然、爆発に巻き込まれたものだった。ただ、脚本では他の園児も全員巻き込まれて死亡するというものだったらしい。「レインボーマン」は容赦ない番組だったのである。
愛の戦士レインボーマン その3
続けて「愛の戦士レインボーマン」(72~73年)である。
第2クールは「M作戦編」で、個人的にも印象に強かったクールである。「死ぬ死ね団」は対レインボーマンとして7人の殺人プロフェッショナルを呼び寄せる。また日本壊滅作戦としては新興宗教団体「御多福会」を設立し、信者に御守りと称して偽札を配り、日本にハイパーインフレを引き起こそうとする(M作戦)。
御多福会は全員が女性で巫女の衣装を纏い、お多福の面をかぶっている。崇めるのはそのお多福の面である。こうしたカルト宗教を(一応)子供向け番組に登場させるのも斬新と思う。レインボーマンが政府に働きかけ警察が動き出すと、ミスターK(平田昭彦)は証拠隠滅のため御多福会の破棄を決定しその全支部を爆破してしまう。
七人の殺人プロフェッショナルを率いるのは魔女イグアナ(塩沢とき)。演じる塩沢は当時44歳。第2期東宝ニューフェイスで、若い頃は清楚な美人女優であった。塩沢はイグアナ役は非常に気に入っており、メイクも衣装も自分で考えたと語っていた。平田昭彦は東宝では後輩(第5期ニューフェイス)となるが、年齢は一緒であり、塩沢が平田の情婦役を演じたこともあった。
他の殺人プロフェッショナルで名のある俳優が演じたのはヘロデニア三世(江見俊太郎)とエルバンダ(大月ウルフ)のみで、フドラ、ガルマ、ジェノバードなどは市販の怪物マスクに多少手を加えたものをそのまま使用して、衣装は適当なものを着せていた。予算の都合だったらしい。エルバンダはイグアナの息子という設定。演じた大月ウルフはスウェーデン人とのハーフで、特撮番組での外国人役が多い。日本育ちなので英語は喋れないという。21話までにイグアナを除く6人が倒された。
22話からは、行方不明だったタケシの父・一郎(小泉博)が登場。実は新聞社の海外特派員だった一郎は死ね死ね団の存在を知り、彼らに囚われの身となっていたのであった。一郎を日本に護送してきたのがマリンダ(水野マリア)とノーマ(メイ・ジュン)。彼女らもレインボーマンと闘うが、「怪物」である殺人プロフェッショナルと違い、少し腕の立つ生身の人間でしかないので敵ではなかった。25話でイグアナも倒し、26話でレインボーマンは一郎の救出に彼らの海堡基地に向かう。基地を壊滅させることはできたが、一郎はミスターKの凶弾に倒れた。小泉博は第3期ニューフェイスで、当時は「クイズ・グランプリ」(70~80年)の司会者としても知られていた。実は東宝入社前はNHKのアナウンサーという経歴の持ち主であり、流暢な司会ぶりも当然であった。映画版「サザエさん」のマスオ役としても知られている。
女性幹部は共にヒステリックなダイアナ(山吹まゆみ)とキャシー(高樹蓉子)が目立っていたが、もう一人主に通信担当のミッチー(三枝美恵子)というのもいた。しかし、この26話を最後に登場しないので基地の爆発に巻き込まれたのだろうと解釈されている。
愛の戦士レインボーマン その2
前回に続いて「愛の戦士レインボーマン」(72~73年)である。
物語は1話完結ではなく、1クール13話ごとに1つの連続した話となっており、「キャッツアイ作戦編」「M作戦編」「モグラート編」「サイボーグ軍団編」といった感じに分かれている。
第1クールは「キャッツアイ作戦編」。主人公のタケシ(水谷邦久)がダイバ・ダッタ(井上昭文)の元で修業をしたのは、悪と戦う為ではない。自身が強くなるためであり、足の不自由な妹(石川えり子)の手術費用を特技のレスリングで稼ぎたいと思ったからである。つまり個人的な目的のためだったが、修業でダイバの偉大な力に触れるうちに、取得したレインボーマンの力を人々の為に役立てようと考えるようになる。
タケシは3話で日本に帰国するが通っていたレスリングジムの経営者である正造(村田正雄)が借金を抱えていることを知り、やむなく賭博レスリングに参加するためマカオに向かうことになる。やむなくとはいえ、賭博に参加するヒーローは中々いない。そして4話、そのマカオにて「死ね死ね団」と遭遇し、彼らとの長い闘いが始まるのである。
この時点でレインボーマンは本体のダッシュ7(太陽の化身)以外に、ダッシュ2(火の化身)、ダッシュ3(水の化身)が登場している。名前どおりダッシュ2は火炎の術、3は水冷砲の術を使い、消火活動も行う。7は色々あるが空気砲のような遠当ての術や不動金縛りの術等の使用が多い。1話につきダッシュ7ともう一つの化身という2つの化身が登場するといったパターンが多かったように思う。当時の自分を含めた視聴者は毎回、どの化身が登場するのかが楽しみだったと思う。
他の化身はダッシュ5(黄金の化身)が第5話、ダッシュ4(草木の化身)が第6話、ダッシュ6(土の化身)が第8話、ダッシュ1(月の化身)が第9話で初登場となっている。5はエルドラドの黄金のコンドルのイメージから飛行能力が主で、4は草木を使った術で「木の葉嵐」などは「伊賀の影丸」の木の葉隠れのようなものだ。6は土の中を高速回転で移動、1は軟体化して狭い所をすり抜けたりする。ダッシュ6のみ異色のデザインで全身が茶色と黒の迷彩服のようなまだら模様で、一見ヒーローには見えない。同時期放送の「超人バロム1」に出てくる敵の戦闘員(アントマン)がグレードアップしたような感じに当時は見えた。
敵の秘密結社「死ね死ね団」はそのネーミングこそふざけた感じだが、数ある特撮番組の中でも最高レベルに凶悪な集団といえる。「キャッツアイ作戦」のキャッツアイとは人間を狂い死にさせる劇薬のことである。当時は特撮番組でも、よく人が発狂するシーンがあった。「サンダーマスク」(72年)でもそうだったが、本作でもタケシが発狂状態に陥ったりするのである。
タケシに関わった登場ゲストも容赦なく殺されたりする。5話ではマカオで知り合ったさくら(鷲尾真知子)が犠牲となったりする。ちなみに鷲尾はアニメ「うる星やつら」(82~87年)では声優としてサクラ役を演じており、さくらという名に縁があるようだ。
愛の戦士レインボーマン
書き忘れていたのだが「流星人間ゾーン」の制作には萬年社という広告代理店が関わっており、プロデューサーを務めたのが衛藤公彦であった。その衛藤が企画、萬年社が製作協力として名を連ねているのが、その前年(72年)の「愛の戦士レインボーマン」である。
原作は「月光仮面」でお馴染みの川内康範で、制作は東宝である。レインボーマンは一人だが、ダッシュ1~7(月火水木金土太陽)の七つの化身に変身することができる。基本はダッシュ7(太陽の化身)で、そこから用途に合わせて他の化身にチェンジするのである。
主演は水谷邦久(ヤマトタケシ)。当時24歳だが、第1話の時点でタケシは17歳の高校生という設定だった。個人的にはずっと大学生かと思っていた。当時の水谷は青春ドラマでは、ちょっとエリートで頭の良さそうな生徒を演じることが多かったように思う。母・たみは本山可久子、妹・みゆきは石川えり子。後に父・一郎役で小泉博、祖父・久蔵役で増田順司も登場する。
タケシの恋人・淑江には伊藤めぐみ。当時23歳で東宝テレビ部の所属であった。後に夏夕介と結婚する。「特捜最前線」のゲスト出演がきっかけだったそうだ。その父が人呼んで「レスキの正造」に村田正雄。ちなみに、レスキとは「レスリングキチガイ」の略だそうな。「ヤッパの鉄」に山崎純資。正造のところに借金の取り立てに来たヤクザだったが、タケシの男気に惚れて足を洗う。10代(設定上)のタケシを「兄貴」と慕う。ヤッパとは刃物のこと。タケシの先輩・堀田に黒木進=小野武彦。74年頃までは黒木進という芸名だったが、黒部進とよく間違われる為、本名を芸名としたらしい。
そして、タケシの師匠であるダイバ・ダッダに井上昭文。主題歌にある「インドの山奥」に住む150歳の聖者。タケシにレインボーマンの術を伝授する。演じた井上は当時45歳だったが、素顔でも老けて見えるタイプだと思う。余談だが、「必殺秘中仕事屋稼業」(75年)の19話に井上と水谷が揃ってゲスト出演。井上が悪役で水谷が被害者役である。
そして悪役サイド。秘密結社「死ね死ね団」の首領ミスターKに平田昭彦。レギュラー陣では一番の大物であろう。このミスターKの設定が川内康範っぽいというのだろうか。第二次大戦中に家族を日本軍に殺され、自身も虐待されたため、日本と日本人を恨んでおり、地上から消し去ろうと企んでいる。つまり「死ね死ね団」の目的はただ一つ、日本の抹殺なのである。某国の人が聞いたらとても喜びそうな設定なのだ。ミスターKは国籍不明の人物で、K国のKではない。メインライターの伊東恒久がKawauchiのKを冗談半分にプロットに書いたところ、採用されてしまったのだという。
Kの周囲には女性幹部たちがいる。演じるのは山吹まゆみ(ダイアナ)、高樹蓉子(キャシー)、藤山律子(オルガ)、皆川妙子(ロリータ)等である。山吹は当時32歳。宝塚歌劇団の出身である。他の三人いずれもは22~23歳で高樹は日活の出身で映画「あしたのジョー(実写版)」でヒロイン白木葉子を演じた。。藤山はここで長々とやった「特別機動捜査隊」の初女性レギュラー木塚刑事を演じた。皆川は東宝テレビ部所属の女優で「アテンションプリーズ」(70年)ではヒロイン(紀比呂子)のライバル役を演じていた。
長くなったので次回に続く。