緊急指令10-4・10-10 その2
前回に続いて「緊急指令10-4・10-10」(72年)である。内容に関して言えば、まあ「怪奇大作戦」を多少子供向けにしたという感じであろうか。
第1話は食虫植物の話で、円谷ドラマの常連である真理アンヌがゲスト。第2話は超耐熱ガラス液、わかりやすく言うと火中でも火傷を防げる液体を使って犯罪を働く男の話である。ゲストは穂積隆信、伊藤久哉などで、「トリプルファイター」の滝川浩も出演しているが、滝川は17話、24話にも顔を出している。第3話にはシリーズ唯一の巨大怪獣「地底怪獣アルフォン」が登場。第4話はサブタイ通り「人食いカビ」の話。増田順司、梅津栄、坊屋三郎、江見俊太郎といったベテラン勢がゲスト。第5話では女魔術師が登場。演じるのは東宝女優の中北千枝子。当時はCM「ニッセイのおばちゃん」役をやっていた人であり、大プロデューサー田中友幸の妻でもある。この5話と続く6話「アマゾンの吸血鬼」の監督は本多猪四郎が担当している(他に20、21話)。
第9話「青いインベーダー」だが、インベーダーと言っても宇宙人ではなく宇宙細菌とでも言うのだろうか、人間に憑依して吸血鬼のように人間を変えてしまい、憑依された人間は別の人間を襲う。ゲストは嘉手納清美。第10話「死のバイオリン」に登場する佐藤康子は後のジャズシンガー阿川泰子のこと。本作では二役で姉妹を演じているがいずれも殺されてしまう。佐藤康子は本名で、後の「ウルトラマンレオ」では麻里とも恵名義で出演している。
11話は「妖怪・どろ人間」、13話「海獣半魚人の反逆」、16話「原始人バラバ」というように特殊な人間体の怪物シリーズとでも言うのだろうか。かと思えば17話の大ネズミ、18話の大ナメクジと巨大生物が続いたりする。その第17話「妖怪ねずみ地獄」では牧れい(入江ナミ)の目の前で友人役の相原ふさ子が地中に引きずり込まれる。第18話「人食いナメクジ発生」ではマキという少女が行方不明になる。どちらも彼女の運命はという感じで引っ張るのだが、結局はどちらも死んでいたという結末になる。相原ふさ子は小学生の頃から活躍していた名子役で丁度この時期は「飛び出せ青春」に生徒役出演していたが前半で姿を消している。
19話「大空を飛ぶ少年」は特に物騒な事件が起きるわけではない。ゲストは円谷弘之、立花直樹、星光子。円谷弘之は名前のとおり円谷英二の親族だそうで、当時はジューク・ボックスというジャニーズ・グループのメンバーだった。ちなみに73年に解散。星光子は「ウルトラマンA」のヒロイン夕子役を降板した直後の出演。20話の「宇宙から来た暗殺者」は、宇宙人ロック星人が登場。演じたのはゴジラ映画でミニラの中の人でもあった小人のマーチャン。現代では芸名としてはNGになりそうである。21話のゲストは安部徹と川合伸旺という重鎮二人。どちらもこういう特撮物への出演は非常に珍しいと思われる。
最終話は「非行少女カオリ」という非行少女を更生させる話で、特に怪物も何も出てこない。終盤はこういった地味な話が多かった気がする。
複数回登場するゲストとしては北浦昭義(沢根刑事)、佐代雅美(三沢ユリ)がいる。ユリは13話から登場する深沢裕子(石田早苗)の友人で準隊員。もう一人和子という友人がいるがこちらは小野ひずる(13話)→関根世津子(18話)と役者が替わっている。小野は「仮面ライダーV3」の純子役で知られる。
こうやって書くと様々なパターンの話があったことに気づく。視聴率も悪くはなかったようだが、今では語られることは少ないマイナーな存在の番組に感じられる。一つ言えることは、電波特捜隊こと毛利チームは最強のボランティアチームだったということだろうか。
緊急指令10-4・10-10
もう一丁、円谷プロで「トリプルファイター」と同時期に放送されていたのが「緊急指令10-4・10-10」(72年)である。タイトルは10コードという無線交信に使用する省略語で「10-4」は了解、「10-10」は無線終了を意味する。主題歌に出てくる「10-34」はSOSを表している。当時はアマチュア無線が流行っており、携帯電話が当たり前となった現在では作られることはないであろう物話である。数は減ったと思われるが、現在でも無線愛好家は存在している。
ところで、本作に登場する電波特捜隊とは大学教授が組織したアマチュア無線愛好家の集まりなのである。もちろん逮捕権などもなく、そんな彼らが何故か生命の危険もある難事件に(恐らく無給で)立ち向かっていくのである。武器も殺傷力のない電波銃くらいだ。
電波特捜隊を組織した大学教授・毛利春彦に黒沢年男。ちなみに本編では電波特捜隊という呼称はあまり用いられず「毛利チーム」という通称が使われている。隊員のリーダーは水木襄(岩城哲夫)で、コードネームは「鉄仮面」。サブリーダー格は池田駿介(花形一平)。彼らの設定年齢だが、毛利30歳、岩城23歳、花形21歳となっている。しかし、実年齢は黒沢28歳、水木34歳、池田32歳である。確かに黒沢は既に貫禄があり、水木と池田は若々しく見えるが20代前半は無理な気もする。水木と池田は共に東映ニューフェイス出身だが、年齢差は2歳でも水木は4期、池田は10期と入社には差があったりする。当時は売れっ子だった黒沢の方が水木よりも格上の扱いのようである。黒沢は掛け持ちで忙しかったが座って「10-4・10-10」と言っているだけで良いと言われたので引き受けたと語っている。ゆえに、細かいことは全く覚えていないそうだ。
他の隊員たちだが、当初紅一点だった牧れい(入江ナミ)。当初は「トリプルファイター」への出演を打診されていたというが、実現せず本作への出演となったようだ。牧はこの翌年出演した「スーパーロボットレッドバロン」で人気を得ることになる。
大野志郎(立田正明)は次第に影が薄くなり12話を最後にフェードアウトしている。演じた大野は他の出演作も見当たらず、詳細不明な人物である。湯原一昭(松宮三郎)は設定では16歳の高校生。実際のおころは不明だが、約4年後に「特別機動捜査隊」にゲスト出演しているが水木も池田も出演していない回だった。松岡淳一(松宮吾郎)はその弟で中学生という設定。しかし13話で姿を消し、16話からは根本友行にチェンジ。細身だった松岡と違い根本はずんぐりむっくりで、設定も小学生に変更。別に新キャラでもいいのではと思ってしまう。
また12話で姿を消した大野に代わって深沢裕子(石田早苗)がレギュラー入りする。番組終了後も付き合いがあったという牧れいによれば、まだ20代のうちに病気で亡くなったという。「アテンションプリーズ」(70年)にゲスト出演した時には高校3年だったらしいので、本作の時は20歳だったと思われる。この後は「白い滑走路」(74年)「白い地平線」(75年)と田宮二郎の白いシリーズに出演していた。
番組主題歌を歌うのは哲夫役の水木襄。コーラスのブレッスン・フォー(本作ではブレッスイング・フォーとクレジット)は「怪奇大作戦」(68年)の主題歌を歌うサニー・トーンズのメンバー2名が替わった後のグループ名である。単独では近藤正臣主演の時代劇「斬り抜ける」の主題歌を担当している。
次回は内容について触れてみたい。
トリプルファイター
もう一つ円谷プロで、「トリプルファイター」 (72年)である。これの放送時間は10分で、月~金の帯放送で1話分が完結するという形式である。18時半からと記憶していたが17時半からだったようである。同じ形式では「ウルトラファイト」(70~71年)が同じ時間に放送されていたが、こちらは5分間番組である。
通常の30分枠ではOPやEDを除いた本編は22~24分くらいだと思うが、本作は合計すると31分くらい(1話約6分)となり長尺なので、アクションシーンは多めにとっていたような気がする。OPの唄は谷あきらとなっているが、子門真人の別名である。
内容は宇宙の侵略者であるデビル星人に対して地球では防衛チームSATを組織。そのメンバーはデビル星人によって滅亡した星の生き残りやその末裔などで、つまり宇宙人である。日本支部メンバーは早瀬哲夫(滝沢浩)、早瀬勇二(小野川公三郎)、早瀬ユリ(笛真弓)の三兄弟で、それぞれグリーンファイター、レッドファイター、オレンジファイターに変身し、三人が合体してトリプルファイターとなる。三人の変身ポーズはそれぞれ違っている。当時の自分はレッドとオレンジは同系統で、色のバランスがよくないななどと勝手に思っていた。
滝沢浩は詳しいプロフィールが不明だが、本作がデビュー作だったようだ。本作ではヒーローだが「怪傑ライオン丸」や「電人ザボーガー」では怪人役であった。割合短期間で引退したようである。笛真弓は当時19歳。数本のドラマ出演を経て、本作が初レギュラーであった。翌年には芸名を本名の新山真弓にして活動していた。
二人に比べると遥かにキャリアがあったのが小野川公三郎。漢字六文字だと長い名前に感じるが本名である。三島由紀夫が在籍していた劇団NLTの研究生となるがこの時の合格者は二人で(もう一人は森秋子)三島の強い推薦だったという。藤岡弘、佐々木剛、山口暁などもNLT研究生の出身である。69~71年にかけて大映で「ヤングパワーシリーズ」や「高校生番長シリーズ」等に主演級で出演しているが、これも三島の紹介があったからだという。円谷プロ作品では「ウルトラゼブン」の43話「第四惑星の悪夢」に出演している。
この三人と何故か基地への出入りが許されているあつし少年(石井秀人)がレギュラーで、他にゲストで誰か出ていた記憶が全くないのだが、長沢大や富川澈夫 、そして「レッドバロン」「マッハバロン」で活躍した加藤寿などがゲスト出演していたようだ。加藤はケリー岩崎という役で二度(二週)出演しており、最終話で戦死している。
敵のデビル星人は頭部以外はほぼ全身黒タイツ姿。つまり頭部のみ交換していたイメージ。死ぬときは、最後に「デーモン」と叫ぶおがお決まりだった。彼らの使用する車は真っ黒に塗装したスバル360であり、SATのバギーやバイクとカーアクションを繰り広げたりしていた。子供心にも低予算な番組という気がしたものである。
提供はソフビ人形などを手掛ける玩具メーカーのブルマァクで、業績不振から挽回のため単独スポンサーとなったが、前述のように1話が通常より長尺だったこともあり制作費がかさみ業績はさらに悪化。結局77年に倒産している。しかし、2008年に創業者の一人が新社を設立し、事業を再開している。
SFドラマ 猿の軍団
2021年最初の更新である。本年は丑年だが猿でスタートしたい。つまり「猿の軍団」(74~75年)である。正式なタイトルは「SFドラマ猿の軍団」というようだ。
当時、映画「猿の惑星」が大ヒットしており、「猿に支配された世界に迷い込んだ人間」という内容をそのまま踏襲したような内容となっている。まあドラマ版「猿の惑星」である。制作は円谷プロだが、原作には名うてのSF作家である小松左京を抜擢し、小松がさらに同業の豊田有恒と田中光二を率いれた。本作はTBS日曜19時半からの放送であったが、20時からはやはり小松左京原作の「日本沈没」が放送されていた。また豊田有恒は裏番組である「宇宙戦艦ヤマト」の原案も手掛けており、プロデューサーの西崎義展から「猿の軍団」は降板するように要請されたというが、それを拒否し「ヤマト」の方はSF考証という立場に落ち着いた。当時は彼らに加え筒井康隆などのSF作品のブームであったともいえる。「猿の惑星のパクリである」と訴えられる可能性もあったため、対策として如何にオリジナリティを出していくかという企画会議の模様を録音していたという。
低温生化学研究所に勤務する泉和子(徳永れい子)と見学に来ていた榊博士の甥である次郎(梶正昭)、その知り合いの中学生ユリカ(斉藤浩子)の三人は地震発生によりコールドスリープ装置に閉じ込められ、未来へと送られてしまう。そこは猿に支配された未来世界であった。そこで人間の青年であるゴート(潮哲也)と出会い、四人は猿の世界を彷徨うことになる。基本的に人間役のキャストはこの4人だけで、後は初回と最終回に次郎の両親役で天田俊明と小林千登勢、榊教授役の高橋昌也、高木博士役の仲谷昇が登場するくらいである。
潮哲也といえば「怪傑ライオン丸」「風雲ライオン丸」で主役の獅子丸を演じていたことで知られる。本作の直前に「ウルトラマンレオ」にゲスト出演しており、それがゴート抜擢のきっかけだろうと本人は語っている。斉藤浩子は前項などでも触れたが、当時の美少女子役。兄が東映演技研究所に通っており、そこで同期の潮と親しくなり、潮が斉藤家を訪れたこともあったことから二人は面識があったという。斉藤は意外にも円谷プロ作品は本作が初だったという。
徳永れい子は東宝ニュータレント8期生出身で、同期に成川哲夫、関口昭子、梅田智子などがいた。一連の青春ドラマで女生徒役を演じていた。円谷作品はもちろん特撮策品は初めてだったと思われる。当時、TBSのディレクターと交際していたといい、頼まれた潮が彼に電話をかけて出たら徳永に代わるということをやっていたらしい。翌76年にはその彼氏と結婚して引退したようである。
一方、猿のレギュラーはチンパンジーのゲバー署長(畠山麦)、ゴリラのピップ治安大臣(大前均)、同じくサボ副官(団巌/声・渡部猛)、テナガザルの子供ペペ(滝田一恵/声・菊地紘子)等がいる。チンパンジーは人類を抹殺しようと考えているが、ゴリラは共存を考える穏健派である。畠山は後にキレンジャーとしてしられるようになる。大前や団はゴリラということでその大柄な体格を見込まれての抜擢であろうか。猿役の声は基本は声優の人が吹き替えているが畠山や大前は声も演じている。
当時、俳優養成所入所の詐欺事件があり、その事件の被害者らが猿役で出演しているという。
2020年回顧録 その2
前回の続きである。
今年亡くなった著名人だが、音楽界に目を向けて見ると、まず作曲家・筒美京平(80)が挙げられる。作詞家や作曲家で表に出てくる人は結構多いが、筒美はあれだけヒットを飛ばしてもテレビなどに登場することはほとんどなかった。ちなみに、最大のヒット曲はジュディ・オングの「魅せられて」で、尾崎紀世彦「また逢う日まで」やいしだあゆみ「ブルーライト・ヨコハマ」などを手掛けた。近藤真彦や少年隊などジャニーズ系アイドルも多く手掛けていた。
つい先週、亡くなったのがなかにし礼(82)である。この人は作詞だけでなく、小説も書き「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞している。大ヒットした「時には娼婦のように」は黒沢年男の歌唱で知られるが、自らも歌っていた。
そのなかにしが作詞した「いとしのジザベル」「愛する君に」を歌ったのがGSのザ・ゴールデン・カップスである。そのドラムス兼ボーカルのマモル・マヌー(71)とベースのルイズルイス加部(71)がいずれも今年の9月に亡くなっている。後にゴダイゴのリーダーとなるミッキー吉野が在籍していたグループでもある。「愛する君に」のB面である「クールな恋」はアニメ「巨人の星」に登場するオーロラ三人娘の歌として使用されている。そのゴダイゴのギタリスト浅野孝己(68)も5月に亡くなっている。
歌手に目を向けると梓みちよ(76)。「こんにちは赤ちゃん」が大ヒットした後、低迷した時期があったが「二人でお酒を」で74年の歌謡大賞とレコード大賞を受賞している。私生活では和田浩治と結婚離婚の後は独身だったようで、マネージャーが打ち合わせで訪れた時には既に亡くなっていたという。弘田三枝子(73)は61年に14歳でデビュー。翌年にコニー・フランシスのカバー「ヴァケイション」がヒットした。彼女も一時期低迷したが、69年に「人形の家」が大ヒットし、オリコンチャート首位を獲得した。この頃、大幅なダイエットを慣行、70年には「ミコのカロリーBOOK」を出版しベストセラーとなり「芸能人のダイエット本」の先がけと言われている。個人的にはアニメ「ジャングル大帝」の「レオのうた」が印象に深い。
その「ジャングル大帝」に出演していたのが声優の勝田久(92)。「鉄腕アトム」のお茶の水博士役が有名。勝田声優学院の学院長としても知られ、15年まで指導にあたっていたという。「サザエさん」の二代目マスオさんで知られるのが増岡弘(83)。40年にわたってマスオさんを演じたが「それいけ!アンパンマン」のジャムおじさんも30年にわたって演じていた。「クレヨンしんちゃん」のひろし役を24年演じたのが藤原啓治(55)。16年に体調を崩して休業したが、1年程度で復帰。しかし本年4月55歳の若さで亡くなった。
漫画家もジョージ秋山(77)、桑田二郎(85)、矢口高雄(81)、一峰大二(84)といった大ベテラン勢の死が続いた。個人的にはジョージ秋山が70~72年に発表した「アシュラ」「銭ゲバ」「告白」「ばらの坂道」「ザ・ムーン」といった一連の問題作が印象に深い。長寿となる「浮浪雲」がスタートしたのは翌73年のことである。
全員に合掌。
大晦日なので、2020年の更新はこれで終わりである。2021年も週二回くらいのペースで更新したいとは思っている。過去に取り上げた作品を再度取り上げるケースも多いと思うが、その辺は大目で見ていただきたい。
2020年回顧録 その1
2020年も残り数日ということで、恒例の回顧録である。簡単に言えば、今年亡くなった俳優など著名人を振り返る企画である。
まずは、前回も話題に出ていた宍戸錠(86)。今年1月18日のことである。その6日前に亡くなったのが青山京子(84)で、彼女は小林旭の妻である。小林と宍戸と言えば、日活アクション映画における名コンビ。小林旭からすれば、身近な人間を相次いで失ったことになる。ちなみに青山京子は東宝の女優で、旭との映画での共演はなかった(雑誌か何かの対談で知り合ったようだ)。67年に旭と結婚して引退している。
日活繋がりでは、渡哲也(78)。デビュー作である「あばれ騎士道」(65年)は、宍戸錠とのW主演扱いであった。頑丈で強そうな男のイメージだが、72年、74年と病気を患いドラマを降板したこともある。72年に途中降板した「忍法がげろう斬り」の代役は実弟の渡瀬恒彦であった。その渡瀬も2017年に亡くなっている。その渡瀬を東映にスカウトしたのは岡田茂社長(当時)で、兄の渡も東映に引き込もうとしていたという。
その岡田茂の息子が岡田裕介(71)である。69年にスカウトされ俳優として活動していたが父のいる東映より東宝作品が多かった。後にプロデューサーに転向し、88年に東映に入社。そこからは父の後をように社長そして会長にまで就任した。 本年の11月、打ち合わせ中に突如倒れ帰らぬ人になったという。
東映繋がりでは、ピラニア軍団出身の志賀勝(78)が4月に亡くなった。その凶悪そうな顔で当初は悪役一辺倒であったが、「大激闘マッドポリス80」では刑事役を演じるまでになったが、そのリーダー役は渡瀬であった。この4月には、もう一人の志賀、志賀廣太郎(71)も亡くなっている。個人的には「三匹のおっさん」で名を聞くまでは知らない俳優だったが、役者デビューが40歳を過ぎてからだったようだ。
今年は何と言っても世界がコロナに揺れた年であったが、日本国内での死者は世界的に見れば少ない方であった。そんな中、志村けん(70)の訃報は衝撃的であった。約1カ月後には岡江久美子(63)も犠牲となっている。
コロナ以外では、三浦春馬(30)、芦名星(36)、藤木孝(80)、竹内結子(40)と自殺と思われる死が相次いだ。中でも三浦、芦名、藤木はいずれも「ブラッディ・マンディ」(08年)というドラマに出演していたことも話題になった。藤木は元々は「ツイスト男」と言われる歌手であったが突然、俳優に転身している。悪役が多かったが「夜明けの刑事」では刑事役に抜擢された。そのオリジナルメンバーも健在は石橋正次のみとなった。
脇役俳優では、田畑猛雄(81)、内田勝正(75)がいずれも1月に亡くなっている。両者とも時代劇ではお馴染みで、特に「必殺シリーズ」では、頻繁に殺されていた印象がある。青春ドラマの生徒役でお馴染みだったのが森川正太(67)。松竹、東宝どちらの方でも生徒役を演じ、それを脱した後も「俺たちの旅」など青春ドラマに出ていた印象が強い。「あさひが丘の大統領」で主演の先生役を演じたのが宮内淳(70)。この人は「太陽にほえろ」のボン刑事と言った方がわかりやすいだろう。83年頃からはテレビや映画出演などはほとんどなく、児童演劇を中心に影絵劇団の主宰、公益財団法人の理事といった活動に従事していたようだ。
スターウルフ(宇宙の勇者スターウルフ)
今回も円谷プロ作品なのだが、その中では結構マイナーだと思われる「スターウルフ」(78年)を取り上げたい。個人的なことを言えば、ほぼ見たことがない。特撮やアニメから離れ始めた時代だったからだと思う(後にまた見るようになる)。
当時は「スターウォーズ」「未知との遭遇」といったSFものがヒットしていたという背景もあり、ウルトラマンシリーズが休止中だった円谷プロもその波に乗るべく、同社初のスペースオペラ作品の制作に乗り出したというわけである。
原作はエドモンド・ハミルトンのシリーズ小説で、この前年にはNHKで「キャプテンフューチャー」がアニメ化されていた。
宇宙船バッカスⅢ世号に乗り込むスペース・コマンドの六人がレギュラーである。主演の新星拳ことケンに新人で当時22歳の東竜也。この後「明日の刑事」に大谷刑事役でレギュラー入りするので、そっちで覚えていた。80年より本名の村嶋修を芸名としている。
隊長のキャプテン・ジョウには宍戸錠。「電撃ストラダ5」にも指令役で出ていたが、円谷プロ作品は本作が初めてだったと思われる。副長のリュウには高橋長英。彼も宍戸同様で円谷作品というか特撮自体がほぼ初だったと思われる。
紅一点のヒメに当時17歳の谷川みゆき。デビュー作は山口百恵主演の映画「エデンの海」(76年)である。ダン役には湯川勉。宍戸錠の付き人をやっていた役者だという。ビリ役には立山博雄で、本作と「太陽にほえろ」のゲスト出演くらいしか活動記録は見当たらない。
敵役のヴァルナ星人のハルカン司令役には山本昌平。素顔でも十分怖いが本作では白っぽいマスクを着用している。ケンの元恋人であるリージャ役には島崎奈々。当時20歳のハーフで本作がデビューだったという。ちなみにケンはヴァルナに移住した地球人の息子(つまりヴァルナ育ち)という設定である。
日曜19時に「びっくり日本新記録」の後番組としてスタートしたが低視聴率に悩み、14話より「宇宙の勇者スターウルフ」に改題された。1クールごとに完結の連続ドラマ形式を予定していたが、14~17話の後は一話完結形式へと変更された。しかし、視聴率が10%を超えることはなく、4クール一年が予定されていたが、24話で終了することとなった。後番組として再び「びっくり日本新記録」が始まっている。
ゲスト出演者では平田昭彦、佐藤蛾次郎、池田駿介、大山のぶ代などが挙げられる。14~17話に出演した斉藤浩子は当時美少女子役として知られていたがヒメ役の谷川とは堀越の同級生だったという。学校ではあまり遭うことはなかったらしい。最終話の佐田豊二とは、東宝の名脇役である佐田豊のことである。黒澤映画「天国と地獄」で誤って子供を誘拐される運転手の役が有名である。誤植ではなく当時は豊二を名乗っていたようだ。しかし、80年を最後に出演記録は見当たらずその辺りで引退したようだ。17年に亡くなったらしいが、なんと106歳だったという。
ファイヤーマン
もう一つ萬年社が制作として関わった作品として「ファイヤーマン」(73年)がある。円谷プロの作品としては有名だと思うが、萬年社も関わっていたことはあまり認識されていないと思う。そういう自分も知らなかったのだが、改めて調べるとプロデューサーに衛藤公彦の名前もある。
両社のかかわりだが、実は「レインボーマン」というのは円谷プロが商標登録していたものだったという。「レインボーマン」の制作発表当日にその旨を知り、円谷側に商標権の移譲を打診したことをきっかけに交流が始まったという。
キャストについては、まず岸田森(水島三郎)が前提にあったという。「怪奇大作戦」や「帰ってきたウルトラマン」等で円谷作品との縁は深かった。
主役の岬大介には新人の誠直也が抜擢された。ちなみに岬は地底人という設定だ。誠は佐賀出身で九州訛りが抜けず、厳しい岸田のチェックが入り、よく撮影が止められたという。その後の「秘密戦隊ゴレンジャー」や「特捜最前線」での活躍は説明不要であろう。
本作で怪獣と闘う組織はSAFといい、前述の二人の他、睦五朗(海野軍八隊長)、平泉征(千葉太)、栗原啓子(葉山マリ子)がいる。睦五朗について自分は長い間ムツ・ゴロウと読んでいたのだが、正しくはムツミゴロウである。ただ、芸名は魚のムツゴロウから来ており、無論ムツゴロウ先生からではない。「逃亡者」のデビット・ジャンセンの吹替など声優・ナレーターとしても知られる。本作については、いつも基地で指令を出している楽な役だったため、演技が甘くなっていたと本人が後に語っている。
平泉征は今やすっかりベテランとなり、掠れたような声が特徴となっているが、当時は29歳で声も太い方であった。大映ニューフェイス4期生で、本名の平泉征七郎でデビュー。まもなく平泉征となり、現在の平泉成となっている。これは年号が平成に変わってからの改名ではなく、昭和59年のことである。つまり偶然にも「平成」を持つ男になってしまったのである。
栗原啓子は当時22歳。72年に「11PM」のアシスタントとして芸能界デビュー。ドラマは本作が初めてであり、誠と同様に岸田や睦から厳しい指導を受けていたという。活動期間は短く75~76年頃には引退してしまったようである。
本作は原点回帰を目指していたせいか、怪獣のデザインもオーソドックスで地味なものであった。放送時間帯が日曜の18時30分で裏には「サザエさん」があったため、低視聴率に苦しんだ。13話以降は放送時間が火曜19時に移動したようなのだが、自分の記憶の中ではずっと日曜18時30分にやっていたように思っていた。ちなみに、移動直前の12話「地球はロボットの墓場」の脚本は岸田森が担当している。
時間移動後は、オーソドックスな怪獣だけでなく宇宙人なども登場するようになったが視聴率は回復せず。30話をもって終了となっている。当初はこの後番組として、前項の「電撃‼ストラダ5」が予定されていたようだ。
電撃‼ストラダ5 その2
前回の続きである。「電撃‼ストラダ5」(74年)は、「ワイルド7」が念頭にあったらしいが、バイクではなく割り振りは忘れたが車4台が菱形のフォーメーションで走行するのが基本だった。2ドアクーペ二台、ジープ、バギーで、ホンダS600、日産スカイライン、スズキジムニーがベースとなっており(バギーは不明)、メーカーはバラバラである。他にジュピター(宍戸錠)が乗る指令車は大型バスで、馬運車を改造したものだという。
メンバーは普段は別の仕事をしているという設定で、これは「マイティジャック」(68年)辺りから見られるスタイルだ。もっと古い番組だとヒーロー=探偵がパターンであった。ちなみにペガサス(岡崎徹)はカーレーアー、オリオン(地井武男)は病院勤務、アポロ(剛達人)は僧侶、ルナ(小野進也)は自動車整備工、アンドロメダ(山科ゆり)はファッションモデルとなっていた。
ゲストに眼を向けると小川節子、梢ひとみ、二條朱美といった山科ゆり同様にロマンポルノで活躍していた女優が目立つ。男優では中平哲仟、浜口竜哉、庄司三郎、小見山玉樹、小泉郁之助といった面々である。
ロマンポルノ以前の日活で活躍していた役者では梅野泰靖、桂小かん、岡崎二朗など。桂小かんは名前から推測できると思うが桂小金治の弟子である。と言っても落語家としてではなく俳優としての弟子だったようだ。岡崎二朗は松竹、東映を経て67年から日活へ。日活ニューアクション路線で活躍した。特撮では「怪傑ズバット」の飛鳥五郎役が有名。第1話で死んでいるのだが、毎回のように回想シーンがあり名前も登場するのでレギュラーだったかのように勘違いしそうな役であった。
女優では、第2話で悪の女ボスを演じた高毬子。「プレイガール」が有名である。この74年に結婚した後は「プレイガールQ」へのゲスト出演くらいしか活動記録は見当たらない。2013年に発売の「円谷プロSFドラマ大図鑑」では特撮作品に関するインタビューに応じ本作にも少し触れている。第10話の北島マヤ。長編漫画「ガラスの仮面」のヒロインと同じ名前だが、そこから来ているわけではなく、元から存在していた女優である。漫画の方がその存在を知らずに偶然付けてしまった名前なのである。
主題歌のチャーリー・チェイはアニメ「ルパン三世」(第1シリーズ)で知られるチャーリー・コーセイのことである。時期によって微妙に名前が違っており、チャールズ・チェーだったりチェイ光星だったりもする。現在は一番知られた名義であるチャーリー・コーセイで統一しているという。ただ、実際はチャーリーもコーセイもファーストネームであり、担当者のミスでクレジットされてしまったものだという。
本作は元々、73年8月から放送の予定であったらしいが、制作の遅れなどで7カ月先に延びたという。その間に13話までの制作が終了していた状態で放送が開始となった。つまり全13話と言っても打ち切りだったわけではないのである。まあ視聴率自体はあまり芳しいものではなかったようだ。
電撃‼ストラダ5
話が前後するのだが、「ダイヤモンド・アイ」の後番組となるのが「電撃‼ストラダ5」(74年)である。
プロデューサーは前作同様に衛藤公彦で、制作は萬年社だが、相方は東宝ではなく日活となっている。この時期の日活と言えばロマンポルノ時代であり、本作のスタッフも役者もロマンポルノに携わっていた人が多くなっている。何故、日活になったのかは不明だが、本作は特撮風ではあるが変身するわけではなくアクションドラマだとも言える。日活と言えばアクションだったりするので、そういう背景があるのかも。まあこれ以降は日活が特撮(風)ドラマにかかわることはないのだけれども。
主演の堀田貫介(ペガサス)には岡崎徹。「仮面ライダーアマゾン」での主演はこの直後なので、この時点では無名の若手俳優だった。岡崎は71年に歌手・片岡義昌としてデビュー。その時師事したのが作曲家の北原じゅん。北原は本作の音楽担当であり、「レインボーマン」でも音楽と作詞を手掛けていた。ちなみに川内康範は北原の叔父にあたる。その縁での抜擢かもしれない。
宝木正(ルナ)には小野進也。「ストラダ5」のベースには、かつて萬年社が手掛けた「ワイルド7」(72年)があるといい、バイクを車に変えたのが本作である。その関係で「ワイルド7」の主役だった小野を引っ張てきたのだろう。ちなみに、OPのトップクレジットはこの二人が併記される形となっている。
竹中一念(アポロ)には剛達人。日テレ/東宝の青春ドラマシリーズの生徒役で知られ、日活にはあまり縁がなさそうだがロマンポルノ転向前の最終作「八月の濡れた砂」(71年)に出演している(中沢治夫名義)。岡崎、小野、剛の三人は同学年であり、三人とも26歳であった。
星カオリ(アンドロメダ)には山科ゆり。当時ロマンポルノで人気のあった女優である。テレビドラマ出演は本作が初だったようである。これをきっかけにロマンポルノとテレビドラマ出演を平行させるようになっている。
殿村幻次郎(オリオン)は地井武男。当時32歳で、そこまで茶の間に浸透した存在ではなかった気がする。俳優座花の15期生の一人だが、70~71年にかけては、多くの日活作品に出演していた。前述の「八月の濡れた砂」には地井も出演していた。
彼れらの司令官である髙村輝次郎(ジュピター)に宍戸錠。言わずと知れたニューフェイス1期生で日活の顔的存在である。大スターだが、仕事は選ばず、バラエティや子供番組にも精力的に出演していた。
ちなみに悪役は秘密組織ビッグノヴァの首領ミスターアスモディ。不気味なマスクをかぶっており、素顔は不明である。声は悪の首領と言えばこの人、というイメージの飯塚昭三。中身は早川五郎という人らしいが、その詳細はやはり不明である。同時期に放送していた「電人ザボーガー」にもゲスト出演していたようだ。次回に続く。