愛の戦士レインボーマン その4
前回に続いて「愛の戦士レインボーマン」(72~73年)である。
前回、書き忘れたが「M作戦編」で印象深いゲストとして、ヤマト一郎(小泉博)の同僚だった平(松尾文人)がいる。
タケシ(水谷邦久)に協力するが、イグアナ(塩沢とき)によって人間爆弾にされる。しかし、強靭な意志によってタケシを巻き込まないように一人爆死する。演じた松尾文人は1916年生まれで、冴えないオジサンにしか見えないが、実は戦前の子役スター。「鞍馬天狗」で初代杉作を演じたのは松尾だったのである。マキノプロや河合映画時代には子役ながら10本以上の主演作があった。 16歳になってからは脇役にまわり、戦後はチョイ役がほとんどだっただけに、久々の大役だったかもしれない。文人は「ふみんど」と読む。
第3クールの「モグラート編」は個人的にはあまり印象に残らないエピソードだが、オルガ(藤山律子)とロリータ(皆川妙子)が新たな女性幹部として登場する。ロリータは当初、パゴラ(チコ・ローランド)とアフリカ支部から派遣された女殺し屋という位置づけだったが、パゴラが倒された後はオルガとのコンビでレインボーマンを狙う。ちなみにロリータという名前ではあるが、近年イメージされるロリータ的な要素は一切ない。
当時、黒人俳優といえば、チコ・ローランドかウイリー・ドーシーかという感じだったが、ドーシーも第4話にゲスト出演している。
また、この第3クールからは死ね死ね団にDAC(悪魔武装戦隊)という暗殺部隊が登場。生身の人間だが戦闘のプロフェッショナル集団である。その隊長ダック・ワンを演じたのが山内明である。山内明と言えば、当時50歳であり、この頃は既に黒幕とかフィクサーとか大物感あふれる役をやっていた印象だ。この隊長は戦闘服でベレー帽をかぶり、マシンガンをぶっ放していた。2話だけだがそんな役を山内がやるはずがない。同姓同名の別人かとも思ったのだが、やはりあの山内明だったようである。映像はどこかにあると思うのだが探すのが困難なため、「レインボーマン大全」の全エピソードガイドに載っている29話の写真がその隊長のアップ。それを見る限りあの山内明だと思える。眼鏡をかけていないので印象が違って見えるのである。
山内明は、ほぼ特撮作品には出演していないのだが、「ゴジラ対ヘドラ」(71年)では矢野博士役で主演扱いである(トップクレジット)。ただこの作品は監督が本作デビューの坂野義光で、水中撮影も坂野が担当しており、山内明は坂野と体形が似ていたので採用されたらしい。
話がそれたが第3部では、恋人淑江(伊藤めぐみ)が勤める保育園の園児で数回登場していたマー坊(梶浩昭)という子供が犠牲になる。これは狙われたわけではなく偶然、爆発に巻き込まれたものだった。ただ、脚本では他の園児も全員巻き込まれて死亡するというものだったらしい。「レインボーマン」は容赦ない番組だったのである。