お宝映画・番組私的見聞録 -259ページ目

殺人狂時代

ほとんど見ていないのだが岡本喜八というと、個人的イメージでは「独立愚連隊」で「北支戦線」で「佐藤允」であるという感じなのだが、無論そんな映画ばかりではない。主役も三橋達也であったり、加山雄三であったり、宝田明であったりと東宝のスターを起用することも多い。でこの「殺人狂時代」(67年)では黒沢組のイメージの強い仲代達矢である。丸メガネで水虫でくたびれた感じの男だが、実は…という設定だ。この内容が凄い。まず地上波では放送できないだろうし、公開当時も2週間で打ち切られたとか、中々いわくのある作品だ。精神病院の院長溝呂木(天本英世)は、その患者たちを殺し屋に仕立てあげていた。その実力を示すために電話帳で適当に選んだ人間を殺させようとしていた。その一人が仲代演じる主人公で、彼らと戦うことになるというわけだ。殺し屋たちは狂人なので、画面は狂人であふれかえっているという、このご時勢ではとてもアブナイ映画なのである。出演は他に砂塚秀夫、団令子、江原達怡、それに岡本映画の常連(というか他であまり見ない)小川安三といったところだ。しかしこれを放映してしまうCSは凄いと改めて思った。

カックン超特急

由利徹といえば、映画でもテレビでもちょっとコメディっぽいものなら必ずや顔を出しているというイメージがある。ワンシーンだけの出演というような場合も多い。そんな由利徹が主役の映画が「カックン超特急」(59年)ある。当時は南利明、八波むと志との脱線トリオが人気絶頂で、「カックン」という由利のギャグがこの映画になってしまったくらいである。出演は由利、南の他、大空真弓、池内淳子、藤村有弘、谷村昌彦、子役時代の江木俊夫などで、撮影所の場面では、高島忠夫、久保菜穂子、小畠絹子といった新東宝のスターの顔も見える。顔ぶれだけ見れば中々豪華なものである。監督は歌手として有名な近江俊郎である。この当時は映画監督としても結構活躍していたのだ。まあ、近江が新東宝社長の大蔵貢の弟であるということも大きかったと思われる。だからといって映画の出来が悪いということではない。それなりの娯楽映画である。

大怪獣バラン

ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラと東宝の怪獣たちは、それなりのスターぞろいだが、その中でもタイトルにもなっているのに、あまり話題にならないのが「大怪獣バラン」(58年)である。モノクロ映画だし、他の怪獣のようにゴジラと戦うことがなかったことも一因であろうか。平田昭彦、土屋嘉男、伊藤久哉、田島義文といったお馴染みの面々も出ているが、メイン出演者は野村浩三、園田あゆみ、松尾文人らで、かなり役者に詳しい人でないと「誰?」という感じではないだろうか。野村で有名なのは、やはり「ウルトラQ」の巨大化した男であろう(22話「変身」)。園田あゆみに関しては、正直ほとんど知らない。60年代前半までの活動期間だったようである。二人ともこの作品が一番の大役だったようである。松尾文人(フミンドと読む)は子役として20、30年代に活躍していた人で「鞍馬天狗」の杉作少年だったこともある。大人になってからは、どんどんワキ役、チョイ役になっていたようだ。特撮ファンには「レインボーマン」で死ね死ね団に人間爆弾にされて爆死した新聞社の人といったらわかるかも知れない。この映画でバランを倒す爆弾を発明する博士は平田昭彦だが、「ゴジラ」でもゴジラを倒す博士役である。怪獣より強い男、それが平田昭彦だった。ちなみに死ね死ね団のボス・ミスターKでもある。

マタンゴ

東宝の特撮映画といえば、「ゴジラ」を始めとして結構メジャーな作品が多いが、この「マタンゴ」(63年)もかなり有名な部類に入るだろう。昔はよく日曜の昼間あたりに放送されていた記憶があるが、今は地上波では無理だろうなあ。冒頭、一人生還した久保明が「ここは精神病院の病室でしょう。みんな僕を気違いだと思っているんでしょう」などというセリフから始まる。内容を簡単に言うとヨットでクルージングしていたブルジョアな男女7人が、嵐で無人島に流れつく。そこにはキノコぐらいしか食物がないが、そのキノコを食べたものはキノコ人間(マタンゴ)になってしまうという恐ろしい話だ。出演は久保明(村井)のほか、東宝特撮の常連、「ウルトラQ」でお馴染みの佐原健二(小山)、特撮+黒沢映画の常連である土屋嘉男(笠井)、「クイズグランプリ」の司会イメージが強い小泉博(作田)、名前は見かけるが印象は薄い太刀川寛(吉田)、こちらも特撮の常連女優・水野久美(麻美)、八代亜紀じゃないよ八代美紀(明子)の7人である。出演者に天本英世の名もあるが顔は出てこない。つまりマタンゴの中の人である。この中では八代美紀はよく知らんなあと思って調べるとこの前後5年くらいのみ活動していた人のようだ。ちなみに「ウルトラQ」のトドラの回(206便消滅す)ではスチュワーデス役で出ている。この回は小泉もゲストで、レギュラーの佐原と三人が顔をそろえている。しかし、この映画でキノコを食えなくなったという話をよく聞く。私は生来キノコ嫌いなので、この映画のせいではない。ゆえに私はマタンゴにならずにすむかも。どうでもよいことだが、久保明と山内賢が兄弟だと最近知った。その辺の話は詳しいつもりだったが、まだまだだな。

黄金バット

「黄金バット」といえば昭和初期に紙芝居でスタートし、67年にはアニメ化もされたているが、これはその前年に東映によって映画化された実写版である。映画の主題歌はアニメの主題歌と一緒で、黄金バットの声もアニメと同じ小林修である。まあ順番からいくと映画の主題歌をアニメでも使わせてもらったということになるのだが、東映動画ではなく第一動画の制作なのである。人気アニメを実写化したという話ならわかりやすいのだが(アニメにほうが先に作られていたのかも)。主演はヒゲをはやした千葉真一で、アニメにも出てくるヤマトネ博士の役である。他の出演者はキャプテンウルトラこと中田博久、肉体派女優の筑波久子、少年ケニヤこと山川ワタル、そしてエミリー・ベアードといってもわからんと思うが高見エミリーのことだ。有名な話だが、今や鳩山邦夫婦人である。「マグマ大使」で宇宙人の美少女チクルという役などで、出ていたのがエミリーの姉・理沙で今やブリジストン会長の息子の嫁である。話がそれたが、悪役では宿敵ナゾーに関山耕司、その部下に新東宝出身の沼田曜一(ケロイド)、北川恵一(ジャッカル)、国景子(ピラニア)などである。ナゾーよりも黄金バットの方が怖いという当時の評判であった。まあ骸骨だし。

スーパージャイアンツ

日本初のスーパーヒーロー、それが宇津井健演じる「スーパージャイアンツ」(57年)である。テレビで「月光仮面」が登場するのは、この翌年である。この「スーパージャイアンツ」シリーズは57~59年にかけて全9作られ、第4作までは「鋼鉄の巨人」と表記されている。それならアイアンジャイアントだろうと思うのだが、巨人だからジャイアンツなのか?1人なのに。ちなみに長島の入団も、この翌年だ。新東宝といえば、エログロ映画が代名詞みたいなものだが、何故こういう作品を作り始めたのか不思議である。宇津井のがっしりした体形に全身白タイツは、とても不恰好である。しかし、そこは宇津井健、生真面目に堂々とヒーローを演じている。ちなみに1・2作、3・4作、5・6作は前後編という形になっている。他の出演者だが、1・2作目の池内淳子やキリヤマ隊長こと中山昭二、5・6作目の三ツ矢歌子、9作目の御木本伸介、西朱美といったところである(というか知らない名前ばかりなのだ)。御木本は1作目ではチョイ役だったが、9作目では刑事役に出世している。8作目からは「続・スーパージャイアンツ」になっており、大賀一平という地球人名がついていたりする。映画自体は今見るととても陳腐なつくりで、思わず失笑してしまうのだが、続けて見るととても疲れるのである。

HOUSE ハウス

個人的には70年代後半以降の邦画には、あまり興味がないのだが、ちょうど中学・高校そして浪人といった時期なので見に行った映画もある。映画館に行ったかどうかは忘れたのだが、当時の作品で気にいっているのが「HOUSE ハウス」(77年)である。簡単に言うと大林宣彦の映画監督デビュー作で、7人の美少女たちが「家」に食べられてしまうというファンタジックホラーである。登場人物は「太陽にほえろ」のようにみんなアダ名だ。池上季美子(オシャレ)、大場久美子(ファンタ)、神保美喜(クンフー)、神崎愛(ガリ)、宮子昌代(スウィート)、田中エリ子(メロディ)、佐藤恵美子(マック)という面々で、宮子、田中、佐藤の三人はほぼこの作品だけで芸能界を去っているようだ。ちなみに先に犠牲になるのもこの三人である。この家の主(オシャレの伯母)である南田洋子は犠牲者がでるごとに元気になっていく。その血筋であるオシャレも、彼女らを襲う側になっていき、訪れた父の再婚相手(鰐淵晴子)を殺し、「家」の後継者となるのであった。音楽はゴダイゴだが、前編を通じてほぼとぎれずうるさいぐらいに流れ続ける。画面もホラー色は薄く、文字通りファンタジーといった感じである。他の主演者は笹沢佐保(作家)、尾崎紀世彦(歌手)、小林亜星(作曲家)という具合に男優陣は本業役者がいなかったりする。まあ小林亜星は「寺内貫太郎一家」で主役を張っていたりするのだが。さて、ほかの大林作品はどうかといえば、あまり興味がないのである。私の場合、監督が誰であるかはあまり問題にしていない。まあ黒沢明くらいは気にするけれども。

遊星王子

梅宮辰夫つながりで、「遊星王子」(59年)を取り上げる。「白馬童子」の山城新伍、「七色仮面」の千葉真一など後の東映スターは、デビュー当時はヒ-ローを演じていることが多い。「不良番長」であり「夜の帝王」である梅宮も当時は、ほっそりとした二枚目であった。元々は人気のあったテレビシリーズの映画化である。こちらは後のワイドショーレポーター村上不二夫(当時は三村俊夫)が演じていた。素顔丸出しで、すでに三十を迎えていた村上の珍妙で怪しげな動きに思わず苦笑してしまう。映画版のほうはデザインも変わり、まあ随分ましになっており、顔もちゃんと隠れている。若干ナショナルキッドに似ているような気もするが。まだ子供の靴磨きなんかも見受けられる時代で、両版ともワクさん(地球人の姿のときの名前)の職業は靴磨きであり、二人の子供をやしなったりしている。当時は役1時間の映画の前後編というスタイルが多く、この作品も後編は「遊星王子・恐怖の宇宙船」となっており、まぼろし大使との決戦を描く。出演者は他に岡譲司、神田隆、有馬昌彦、明石潮などである。

不良番長 やらずぶったくり

引き続いて「不良番長」の話題である。まずは訂正。前項で第1作「不良番長」のビデオは出ていないと書いたが、ちゃんと出ているとのご指摘を頂いた。やはりちゃんと確認しないとダメだなあ。さて、タイトルの「やらずぶったくり」はシリーズ第11作目だが、一番わけわからないので挙げてみた。何だ?「やらずぶったくり」って。そもそも「不良番長」って単語からしておかしいし。一般的に番長は不良ではないのか(清原とか三浦とかそう呼ばれている奴もいるけれども)。それと梅宮自ら唄う主題歌「番長シャロック」も意味不明である。シャロックって何だ?まあ妙に耳に残る歌ではあるけれども。話は変わるがこのシリーズのパターンとして、神坂の鑑別所時代の友人というのが登場するが、たいていの場合は菅原文太である(6作登場している)。待田京介、渡瀬恒彦の時もある。悪役の筆頭は安部徹で6作登場している。渡辺文雄や内田朝雄、諸角啓二郎であることも多い。悪の幹部は、まあこのシリーズじゃなくてもお馴染みの室田日出男、八名信夫、中田博久あたりである。カポネ団のメンバーも終盤になると藤竜也、地井武男など日活で活躍していた面々や、当時の流行歌手である久保浩なども登場する(久保明と勘違いしやすい)。他にも「仮面ライダーアマゾン」の岡崎徹や「アカレンジャー」であり「ファイヤーマン」である誠直也もいたりする。こうした面々がバカなことをやっているのが「不良番長」シリーズである。初心者が見るとしたら、この「やらずぶったくり」か第10作の「口から出まかせ」あたりが、わかりやすくていいのではと思う。まあどれも、内容は変わりないのだけれども。

不良番長

「不良番長」シリーズは、68年から72年にかけて全16作が作られた人気シリーズだが、何本見たのか、どれを見たのかわからなくなっていたので、ちょっと調べてみた。毎回ほぼ同じようなストーリー展開なので、区別がつけにくいのだが、どうやら半分ほど、それもほとんど後期の作品を見ていたことが判明した。梅宮辰夫扮する神坂弘をリーダーとするカポネ団が悪どい金儲けをしようとして、だいたい暴力団といざこざを起こし仲間が何人か殺され、最後は富士の裾野あたりで壮絶な決闘を繰り広げる。カポネ団という名前は3作目の「練鑑ブルース」からで、メンバーでは山城新伍、安岡力也の印象が強いが、山城は4作目「送り狼」より登場し、最終作まで出演、力也は8作目「出たとこ勝負」からと割合遅い登場であった。1作目から9作目まで、ずっと登場していたのが谷隼人で、あだ名ではなく谷川武という名前がついており、初期の梅宮の相棒は谷であったといえる。自分がほとんど見ていない初期のほうに出演していたので、こんなに出ていたとは意外であった。鈴木ヤスシにいたっては11作も登場しており、役名もほとんど「シャブ」であった(違うときもある)。ヤスシもそんなに出ていた印象がない。山城の役名はだいたい五郎だが、スタミナ五郎だったり、バクダン五郎だったり、ゴロツキ五郎だったりと微妙に違ってたりする。力也も「アパッチ」の時が多いが作品によっては違う。何よりラストで神坂以外は死んだりすることが多いので、次作でまた登場していると非常にややこしいのである。あまり陽の目を見ていない感じの1作目「不良番長」と2作目「猪の鹿お蝶」には、殺人事件を起こした克美しげるが神坂の仲間として登場しているのである。だからテレビで放映されることがほとんどないのであろう(「猪の鹿お蝶」は東映チャンネルでやった気もするのだが、どうであったか)。ちなみに1作目のヒロインは大原麗子で、団員は谷、克美の他「レッドファイター」の小野川公三郎などであった。ゲストでは沢たまき、応蘭芳、桑原幸子という「プレイガール」の面々も出ていたようだ。確か第1作はビデオも出ていないと思うが、一度見てみたいものである。