お宝映画・番組私的見聞録 -209ページ目

新三等重役

突然だが、映画「三等重役」といえば、森繁久弥の社長シリーズの原形となった作品として有名のようだが、そのテレビ版については、あまり知られていないようである。それが「新三等重役」(59年)である。この59年には映画の「新・三等重役」が公開されており、社長シリーズと同じ森繁久弥、小林桂樹、加東大介というおなじみの布陣が見られる。
テレビ版の方はもちろん違う配役だが、誰がどの役か詳しいことはわからない。キャストから勝手に判断すると藤原釜足が社長で、藤村有弘、市村俊幸あたりが小林桂樹、加東大介にあたる役なのではないだろうか。他の出演者に木村功、南道郎、杉葉子、清川虹子、水谷八重子、関千恵子、越路吹雪、そしてあっという間に引退した東宝の若手スター瀬木俊一や、映画の社長シリーズにも出演する三木のり平、エノケンこと榎本健一の名前も見える。
「新三等重役」ということは新のつかない「三等重役」もあるのか、と思う人もいるだろうが、源氏鶏太の原作、映画版には存在するがテレビ版ではその存在は確認できなかった。しかし本作は原作自体が「新・三等重役」なのである。そんなわけで、66年に再びドラマ化されたときは「新・新三等重役」というタイトルがついている。新三等重役の新作ということだろう。ややこしい話である。

空中都市008

藤村有弘を知ったのは、おそらくNHKの人形劇(つまり顔より声)が最初だった気がする。自分が見た記憶があるのは「ひょっこりひょうたん島」(64~69年)や「ネコジャラ市の11人」(70~73年)とかだが、この長く続いた二作の間には一年で終了した「空中都市008」(69~70年)が存在し、それにも藤村は出演していた。「ネコジャラ市」は以前取り上げたので、「空中都市008」について触れてみたい。
自分は本作について、見たことはある気がするという程度で、内容その他はほぼ覚えていない。毎回見ていたらもっと記憶に残っているはずなので、おそらくごくたまに見た程度なのではないか。「ネコジャラ市」もそうなのだが、本作もVTR映像については一話も現存していないという。フィルム撮影の海外版のみ見ることが可能である。原作は知らなかったのだが、小松左京の「アオゾラ市のものがたり」という作品。008とは国際ダイヤル通話における日本の識別番号(実際は0081)から来ているそうで、007とかは関係ないようだ。主題歌は中山千夏が歌っており、収録されているCDも存在する。非常にキーが高く歌いづらそうに聞こえる。
声の出演は主役となる大原兄妹に太田淑子(オバQの正ちゃん)、平井道子(魔法使いサリー)。そういえば正ちゃんの苗字も大原である。その両親に若山弦蔵、横山道代。その隣人であるワイズマンが藤村有弘で、その娘が松島トモ子(ミネラル麦茶)である。他には熊倉一雄(ヒッチコック)、松島みのり(キャンディキャンディ)、山崎唯(トッポジージョ)などが出演していた。
今日、たまたま藤村有弘をウィキペディアで見ると項目の削除が提案されていた。昨日も見たので覚えているのだが、藤村の死後大橋巨泉が明かした、彼は同性愛者であったという項目のようである。まあ確かに知らなくてもいい知識ではある。

ダイハツコメディ・セールスマン水滸伝

今回は「いじわるばあさん」「エプロンおばさん」で活躍した藤村有弘から辿ってみた。そこで目に留まったのが「ダイハツコメディ・セールスマン水滸伝」(59年~61年)である。「ダイハツコメディ」といえば、やはり「やりくりアパート」(58年~60年)が有名であろうか。自分が生まれる前の話ではあるが、大村崑、佐々十郎によるミゼットのCMは「懐かしの名場面」などで見たことはある。こちらはOTV(大阪テレビ)の制作だが、「セールスマン水滸伝」はフジテレビの制作、つまりほぼ同時代に関東、関西それぞれでダイハツコメディが作られていたことになる。
セールスマン水滸伝は運送屋夫婦の経営する下宿に住むセールスマン朝丘雪路、藤村有弘が主演である。その運送屋夫婦を演じるのが森川信と三崎千恵子。このコンビはあの「男はつらいよ」シリーズで寅さんの叔父夫婦を演じることになるのだが、その10年も前に夫婦役を演じていたのである。しかも、藤村有弘が26話で降板し、その後を継いだのは渥美清であった。まあ、これは寅さんファンなら知っている話なのかもしれないけれども。他の出演者は、運送屋の店員に谷村昌彦、平凡太郎。60年にはこの谷村、平そして渥美による「ぼけなすトリオ」という番組が放送されている。そして関千恵子。三崎千恵子と混同してしまうが、関のほうが若い。元々は大映の美人女優であったが、後に喜劇への出演が多くなっていった。特に表明はしていないが73年頃から引退状態にあるようだ。
セールスマン水滸伝の方でも、当然ミゼットのCMはあったようである。朝丘、渥美、森川らによる生CMだったようだが、渥美が台本にないアドリブをいれ、後で森川に怒られたというエピソードが残っている。

轟先生

朝日新聞が「サザエさん」なら、読売新聞は「轟先生」であった。どちらも終戦直後から始まり、70年代まで続くという似たような期間、長期連載し、同じような形で終了した(一時休載という形であったが再開されることはなかった)新聞漫画であるが、今やその知名度の差は大きいのではないだろうか。かくいう私も「轟先生」を見た記憶は無い。それもそのはず、73年まで連載されていたらしいが、自分は東京に出てくるまで読売新聞を読んだことがなかったのである。
ドラマ化されたのは「サザエさん」よりも「轟先生」の方が先であった。55年にスタートした、日本初の帯ドラマ(月~土)で、初の漫画を原作としたドラマでもある。60年まで続き、全1405回にも及んでいる。「テレビドラマ全史」という本には二つの時間帯が書いてあり、5分ドラマなのか15分ドラマなのかよくわからなかった(途中で変更された可能性もあるが)。主演は往年の喜劇俳優、古川録波で毛が3本ピンとたったハゲカツラと付け髭をして主人公の轟先生を演じた。まあ、オバケのQ太郎を思い出してくれればよい。他の出演者は筒野典子、久保春二、桧有子らに加えて、平凡太郎、藤村有弘、関敬六、渥美清なども出演したという。渥美はこれが初のテレビドラマ出演であった。
映画の方も「サザエさん」より早く、47年にやはり録波の主演で映画化されている。古川録波はこのドラマが終了した翌年である61年の正月に57歳で亡くなっている。このドラマは好評だったようだが、長年糖尿病を患っており、映画などではかつての精彩はなかったという。

いじわるばあさん(アニメ版)

前項で書いたとおり、アニメ「サザエさん」は来年で放送開始から40年になるという超ロングランだが、「いじわるばあさん」もアニメ化されたことがある。こちらはロングランとはいかず、70年~71年にかけて放送され、約9ヶ月で終了している。この辺りの時代のアニメって、自分は大体記憶にあるのだが、本作については記憶があいまいである。見たような見ないような、はっきりしない。まあ好きなジャンルではないので、見なかった可能性は高いけれども。声の出演は高松しげお。晴乃チック・タックのタックのほうである。60年代の売れっ子漫才コンビだったが、69年に解散し、チックのほうは芸能界を引退したが、タックは本名である高松しげお(茂雄)と改名している。つまり高松しげおとなった翌年の作品なのだが、この頃はかなり勢いのあるタレントであった。以前ドラマの「意地悪ばあさん」の項で書いたが、青島幸男、古今亭志ん馬に続く3代目の意地悪ばあさんを演じており、アニメ・ドラマの両方でばあさん演じたのである。他の声の出演者はスネ夫でおなじみ肝付兼太、説明不要の野沢雅子、タイガーマスクの富山敬、左門豊作の兼本新吾、目玉おやじで40年の田の中勇といった面々である。もう一つ、「エプロンおばさん」の項でふれた藤村有弘の「いじわるばあさん」(71年)だが、これは芸術座からの公開中継方式で制作された作品とのこと。他には野添ひとみ、児島美ゆき、小山ルミといった美女が出演していた模様。あと出演者にクライマックスの名があるが、これは「花嫁」をヒットさせた「はしだのりひことクライマックス」のことであろうか。
とにかく、この辺の時代は長谷川町子作品、花盛りといった感じであったのである。

サザエさん(テレビ版)

映画版「サザエさん」とくれば、テレビ版の「サザエさん」である。若い人には80年代の星野知子、90年代の浅野温子のイメージが強いかもしれないが、上の世代にはやはり江利チエミなのである。映画版の方はシリーズ10作目「福の神サザエさん一家」(61年)で終了していたが、65年にテレビシリーズがスタートした。主演は映画同様、江利チエミが務め、主題歌も自ら歌っている。フネ役も清川虹子が映画から引き続いて演じたが、他は変わっている。マスオには川崎敬三、波平には森川信、ワカメは上原ゆかり、カツオは吉原誠利という布陣である。森川信は映画版にも数本出演しているし、「エプロンおばさん」にもレギュラー出演しており、長谷川町子ものの常連という感じである。上原ゆかりも「エプロンおばさん」に出演していた。吉原誠利はこれ以外の出演作は見つからなかった。
キャストのイメージはこちらの方が映画版より合っている気がするが如何せん見た記憶がないので、比べることができない。2年に渡って放送されていた割には、「懐かしの名場面」などで見かけることはほとんどないし、語られることは少ない番組であろう。再放送はされたのかどうかは不明だが、やはり著作権の壁が立ちはだかっているのだろうか。
アニメ「サザエさん」が始まるのは、本作が終了した2年後の69年からである。つまり来年には40周年を迎えることになる。今やサザエさんといえば、アニメの印象しかない人も多いだろう。ちなみに初のテレビ化は55年に原作の絵をそのまま写し、声をあてるという形式の番組が放送されている。映画「忍者武芸帳」のさきがけのようなものだろうか。これも2年間続いていたようで、人気はあったのかもしれない。
前項で書き忘れたが、初の映画化は48年のことで、東屋トン子という女優が主演で、50年にも「サザエさん のど自慢合戦」という作品が制作されている。これらの映画についても、東屋トン子という女優に関しても詳細は不明である。いずれにしろ「サザエさん」映画は現状ではすべて幻の作品だといえよう。

江利チエミのサザエさん

前項で映画版「サザエさん」の話題が出たので、その第一作「サザエさん」(56年)について触れてみたいと思う。キャストはほぼ不動 と前項に書いたとおり、全10作固定されているのが、江利チエミ(サザエさん)は当然として、小泉博(マスオ)、藤原釜足(波平)、清川虹子(フネ)などだが、子役陣は変更されている。カツオは2作目まで小畑やすし、ワカメは4作目までは松島トモ子が演じていたのである。この第一作ではサザエさんはまだ苗字は磯野であり、つまり結婚していない。タイトルを見れば一目瞭然なのだが、5作目の「サザエさんの結婚」(59年)でマスオと結婚し、8作目の「サザエさんの赤ちゃん誕生」(60年)でタラちゃんが生まれている。
この第1作にはノリスケが登場するが、演じているのは若き日の仲代達矢で、第3作にも登場する。もちろん黒澤映画などでスポットを浴びる前である。その奥さん(原作やアニメではタイ子だが、本作ではミチ子)に青山京子。ちなみにノリスケは波平の妹の三男だそうである。柳家金語楼の山中老人は何作か登場する。他の出演者は花菱アチャコ、若山セツ子、塩沢登代路こと塩沢とき、そしてダークダックスがそれぞれ洗濯屋、酒屋、炭屋、魚屋で登場する。
ただこれらの「サザエさん」シリーズを見ることは、現在非常に困難である。何故ならソフト化されていないからである。長谷川町子関連の作品は著作権に厳しいことで有名で、中でも「サザエさん」は異様とも思えるほどで、これほど有名なタイトル・出演者でありながら、意外に存在が知られていないのはこういった事情による。このまま埋もれさせるつもりなのだろうか。
ネット上で唯一、見つけたのが江利チエミが「テ・キエロ・ディヒステ」という曲を歌い、小泉博と踊るシーン。藤原釜足と清川虹子も一緒に踊っている。ちなみに藤原釜足はハゲかつらにちょび髭、メガネとどうしても加藤茶を思い出してしまうのである。

サザエさんとエプロンおばさん

テレビ版の「エプロンおばさん」を取り上げたところで、映画の方に目を向けてみるとサザエさんと共演している作品が存在する。タイトルはズバリ「サザエさんとエプロンおばさん」(60年)である。
これは江利チエミの演じるサザエさんシリーズ全10作のの9作目にあたる。サザエさん一家は、マスオが小泉博、波平が藤原釜足、フネが清川虹子で、これは10作とも変わらない。藤原釜足と清川虹子って、原作のイメージとは全然違うし、とても怪しく感じてしまう。子役陣はカツオが白田肇、ワカメが猿若久美恵、タラ夫が小串丈夫である。いずれも詳細不明だが、猿若久美恵はテレビ版の「月光仮面」に出演していた子役である。
エプロンおばさんこと<敷金なし>を演じるのは三益愛子、川口4兄弟の実母である。50年代の母物と言われる映画の主演はたいていこの三益愛子であった。そういえばエプロンおばさんの本名って調べても出てこなかったのだが、本作での役名を見ると<敷金なし>となっている。その亭主(敷金勇)役が森川信、つまり藤村有弘版のテレビシリーズと同じである。息子(一郎)は太刀川寛が演じている。
メインゲスト的存在なのは高島忠夫で、他にも柳家金語楼、花菱アチャコ、といったベテランや、藤田まこと、白川由美、子役では頭師4兄弟の長兄(実際は次男)である正明、末弟(実際は5男)である佳孝(当時5歳)の兄弟も出演している。ちなみに頭師4兄弟とは上から正明、孝雄、満、佳孝で、孝雄と佳孝は知っている人も多いかと思うが、正明は本作の翌年である61年に、満は64年にそれぞれ引退しているので、川口家のように4兄弟のイメージを持っている人はあまりいないと思う。専ら悪役が多かった孝雄は05年に58歳で死去、天才子役といわれた佳孝は黒澤映画「どですかでん」では15歳で主役の少年を演じたが、個人的には「飛び出せ青春」の柴田役が印象に深い。というかそこがピークだったように思う。
話がそれたが、三益のエプロンおばさんは次作である「福の神サザエさん一家」にも登場している。

エプロンおばさん

また上原ゆかりから辿っていくと「エプロンおばさん」が目にとまった。「エプロンおばさん」といえば、言うまでもなく長谷川町子の有名な漫画の一つだが、そのドラマとなると「いじわるばあさん」や「サザエさん」に比べると、あまり知られてないのではないだろうか。私自身も原作の方も多分見たことはないし、ドラマのほうも見た記憶はない。しかし、この作品実は4回(正確には5回)もテレビ化されているのである。
最初は59年、主演は望月優子で後に国会議員となっている。3項前に取り上げた「アイウエオ」に出演していた中村雅子の姉である。他に杉浦宏、逗子とんぼ、そして住田知仁、現在の風間杜夫である。
二度目が63年、主演は藤村有弘で当時はまだ29歳であった。「いじわるばあさん」の青島幸男同様、藤村が女装して演じている。ちなみに藤村は71年に「いじわるばあさん」も演じている。他の出演者は森川信、谷村昌彦、若水ヤエ子、そして上原ゆかりなどである。
三度目が67年で、こちらも主演は藤村有弘だが、他のキャストは替わったようで、柳家小せん、天地総子、当時は「マグマ大使」にも出演していた江木俊夫などである。この藤村版のエプロンおばさんは合わせて二年半、約140回に渡って放送されているのだが、あまり語られることがないような気がする。藤村が亡くなって久しいこともあろうが(82年没)、藤村有弘=エプロンおばさんのイメージを持っている人はあまりいないのではないだろうか。
そして一番新しいのが83年、主演は冨士真奈美である。実はその昔「サザエさん」を演じていた江利チエミが「エプロンおばさん」を演じる予定だったらしいが、急逝したため冨士に変更されたという。他の出演者は林家こぶ平(現・正蔵)、生田悦子、B&B(島田洋七・洋八)、イッセー尾形などである。冨士真奈美版の「エプロンおばさん」は翌84年にも単発ドラマとして放映されている。

おれの番だ!

前項の岩上正宏と上原ゆかりが共演したらしいドラマがもう一つ見つかった。「おれの番だ!」というシリーズの「男性№1」(66年)という作品である。この「おれの番だ!」というのはクレージーキャッツのメンバーの誰かが主役を演じていくシリーズで64年~67年まで続いたようだ。
ようだ、というのは例によって詳しい資料がないし、ネット上でも発見できなかった。判明しているのが、64年の「馬鹿まるだし」「元禄あだうち男」、65年の「鍵にご用心」「大穴」「夜明けだよおっかさん」、66年がこの「男性№1」と「大べらぼう」、67年「その一言が多かった」の8編なのだが、だいたいが6話完結になっているようだ。放送期間を考えると20編くらいないとおかしいのだが、これしか発見できなかった。ひょっとしたら、不定期放送のシリーズでこれで全てかもしれないが、これ以外にも存在すると考えるのが自然だろう。
この中では「夜明けだよおっかさん」などは藤田まことが主演でクレージーのメンバーは登場しないようだし、クレージーキャッツが絡んでいるにしては謎の多いシリーズである。
「馬鹿まるだし」は映画化もされているハナ肇主演の有名なドラマ。「元禄あだうち男」はクレージー全員と藤田まことが出演しているようである。「鍵にご用心」は谷啓が主演で、共演は芳村真理、待田京介。「大穴」「男性№1」「大べらぼう」はいずれも植木等が主演、安田伸も全てに登場するようだ。共演はそれぞれ、清水まゆみ(大穴)、芳村真理、黒柳徹子(男性№1)、横山道代(大べらぼう)などである。
しかし、この頃のクレージーキャッツは映画の本数も凄いがテレビの方も凄かったようである。ジャニーズ顔負けの中年アイドルスターである。