喜劇 いじわる大障害
で「喜劇いじわる大障害」だが、主演は喜劇的なイメージの薄い岡崎二朗で、その相手役が夏純子である。岡崎は「女子学園」シリーズには三作とも出演していた。簡単にいえば、二人が出会って結ばれるお話だ。これが初監督の藤浦敦は三遊亭宗家の後継者ということもあってか、落語界からも大勢出演している。その三遊亭一門からは「笑点」でお馴染みの円楽と小円遊、笑遊、円歌、他にも三笑亭夢八、林家三平も顔を出す。岡崎の友人役には「笑点」の初代司会者だった立川談志、その談志時代の座布団運びだった毒蝮三太夫も出演している。ちなみに談志と毒蝮が「笑点」に出演していたのは69年までで、毒蝮の後を継いだ座布団運びが笑遊(現・円遊)であった。
女優陣では、八代万智子、応蘭芳の「プレイガール」コンビというか、「マグマ大使」のお母さんコンビが揃って出演。二人は東映ニューフェースの同期生でもあり、日活作品に顔を出すのは珍しいが(応蘭芳は「女子学園・ヤバイ卒業」に出ているが)、二人揃っての日活作品はは本作だけかもしれない。渋いところでは小沢昭一、北村和夫、加藤武などが出ており、主演の二人以外は日活色の薄いメンバーの作品である。
女子学園 悪い遊び
「悪い遊び」での他の出演者だが、若き教師役に江守徹、松原智恵子、校長役に小松方正、岡崎二朗や最後に藤竜也も登場するようだ 。江守徹も当時は二枚目の範疇に入る役者であった。ラストで学園を去るのだが、その代わりに赴任するのが藤竜也ということらしい。「ヤバイ卒業」では藤圭子、吉田拓郎が恐らく本人役で、「おとなの遊び」では近年江守とコンビのようになっている中尾彬、宮尾すすむなどが出演している。
ちなみに、このシリーズは70年11月、12月、71年1月と三ヶ月連続で公開されている。
三匹の牝蜂
さてタイトルの三匹とは大原麗子、夏純子、市地洋子のことである。大原麗子や夏純子は有名だと思うが、市地洋子は地味な存在かもしれない。「ミラーマン」の野村隊員といえばわかる人もいるだろうか。舞台は70年らしく大阪の万博会場(周辺)である。この時代は結構、万博が出てくる作品があるような気がする。簡単にいえば、この三人が金儲けをたくらむ話である。日活や大映のズベ公もののようなお色気シーンは本作にはほとんどない。まあ大原麗子はまず脱がないし、夏純子は日活に行ってからである。しかし、東映のズベ公ものもこの後はお色気度が増していく。
他の出演者は前述のとおり渡瀬恒彦や当時は「プレイガール」で活躍していた片山由美子、元々は時代劇の主演俳優だったのが、いつの間にか変態映画路線を歩んでいた林真一郎、そして小池朝雄、金子信雄、藤村有弘、なぜか林家こん平も登場する。
そしてこの手の映画につきものの、劇中で歌う歌手としてピーター、そして本作の主題歌を歌う和田アキ子も登場する。この「女王蜂のフーガ」という歌、ごく一部(つまり本作を見た人)の間で話題となっている。CD化されていないらしく、聞きたい人は本作を見なければならないのだ。現在なら、番組の主題歌といえば、CDの売り込み手段のような感じだが、当時は何故かレコード化もされないケースも結構あったりしたみたいだ。
ところで、本作は特撮ファンには「シルバー仮面」の夏純子、「ミラーマン」の市地洋子、「ジャイアントロボ」の片山由美子、そして「まぼろし城」の林真一郎が出ている作品ということななるだろう。
不良少女魔子
夏の兄役に藤竜也、他に岡崎二朗、深江章喜、そして宍戸錠といった日活映画お馴染みの役者も出演している。特に宍戸錠などは50年代半ばからずっと出演していたことになる。夏の恋人役には清宮達夫、知らない名だなと思ったら南城竜也のことで、清宮は彼の本名であった。そして小野寺だが、清宮の仲間だったが裏切ってしまうという、簡単にいえば悪役である。ラストは夏に刺されてしまったりするのである。「太陽にほえろ」でも交通事故という形で死顔を見せなかった小野寺が、本作では無残な最後を迎える。
この映画の直後、夏純子は「シルバー仮面」に出演し、セクシー路線より脱皮していく。清宮達夫は翌年、前述のとおり南城竜也と改名し(南条ではない)、「変身忍者嵐」の主役となる。そして小野寺は「太陽にほえろ」に出演とそれぞれ転機を向かえている。そういえば、夏純子を見かけなくなって久しい気がするが、結婚して一線を退いたようである。
ちなみに本作の脚本・藤井鷹史とは、野良猫ロックシリーズなどの監督である長谷部安春のことである。
泣きべそ・ほほえみ・六本木
実は三年ほど前にも、この話題は取り上げており、「みかん・きんかん・夏みかん」とともに「未婚・結婚・未再婚」はちょっと触れていた。正直忘れていたけれども。
「泣きべそ・ほほえみ・六本木」はタイトルどおり六本木を舞台にしたドラマだが、トレンディなドラマだったかどうかは不明である。出演は酒井和歌子、長門裕之、沢村貞子、現在は東映の社長である岡田裕介、そして沖に小野寺などで、あまりトレンディな感じはしないメンバーだ。
「未婚・結婚・未再婚」は対照的に下町を舞台としたコメディで、星由里子、丘みつ子、杉浦直樹、馬渕晴子、ジュディ・オング、森川信、ミヤコ蝶々、そして沖と小野寺といったメンバーで、どちらも東宝のスター女優が主演のようである。
沖のスコッチ刑事が「太陽にほえろ」に登場 するのは76年のことだが、その登場2回目のサブタイトルは「殿下とスコッチ」というもので、小野寺と沖が主役の話となっている。沖は「太陽」の初期である第10話、つまりこの72年にゲスト出演しているが、これは山さん(露口茂)とゴリさん(竜雷太)が主役の話で、小野寺は出演しなかったと記憶している。番組当初は、殿下と長さん(下川辰平)はその他の刑事という雰囲気があったのである。
冬の雲
引き続き小野寺昭から辿っていくと木下恵介の「冬の雲」(71年)が目に付いた。「太陽にほえろ」以前の小野寺は、木下恵介の作品やポーラテレビ小説などへの出演が多かったのである。
さて「冬の雲」だが、これは以前、仲雅美について取り上げていたときに、少し触れてはいるのだが、このドラマ自体についてはスルーしていた。小学生だった自分が見るようなドラマではないが、その挿入歌で出演者でもある仲雅美の歌った「ポーリシュカ・ポーレ」はよく覚えている。確か高校生になってから中古でレコードを購入したと思う。
改めて出演者を見ると中々豪華である。主演は二谷英明で、その妻が久我美子、他に市原悦子、田村正和、大谷直子、近藤正臣、大原麗子、早川保、小倉一郎、仲雅美、高野浩幸(バロム1)、そして小野寺昭といったメンバーである。木下恵介自身が脚本を書き、当初は13回の予定だったそうだが、高視聴率を獲得し、全35回のドラマとなった。ドラマの見どころはその人間関係の複雑さにあるようだ。詳細なものは不明だが、ネット上の情報が正しいとすれば、二谷英明と久我美子は夫婦で、市原悦子は二谷の前妻である。二谷と市原の子供が田村正和で、その妹が大谷直子。しかし大谷の父は二谷ではない。その大谷の恋人が近藤正臣で、彼は田村の友人でもある。とまあ、一度読んだだけで把握できるだろうか。他の登場人物がどう配置されているのか気になってしまう。当然暗い雰囲気のドラマだったようだ。
ところでこの作品、「木下恵介アワー」ではなく、「人間の歌」というシリーズの第4作である。前3作は視聴率的には低迷しており、起死回生の意味で木下が脚本を書いたようだ。このシリーズは77年まで続くが、タイトルに「冬」の入った作品が多くなるのであった。ちなみに次回作は倉本聰脚本の「冬の華」である。
チロリン村とくるみの木
リアルタイムでは見ていないが、これを扱っているサイトは結構存在している。チロリン村には野菜、果物、そして動物たちが生活しており、主役となるのはピーナツのピー子(声・黒柳徹子)、クルミのクル子(声・里見京子)、タマネギのトン子(声・横山道代)の三人。ピーナツとかクルミって野菜に属するのかよくわからんが、可愛いとは言い辛いキャラだ。特にピーナツは頭部に無数の太い血管が走っているようにもみえる。タマネギの擬人化キャラといえば、自分は赤塚不二夫の「たまねぎたまちゃん」を思い出す。確か「小学一年生」とかに掲載されていたマンガだが、何年か前に初単行本化されている。
他の声の出演者だが、当時はまだ声優と言われる吹き替えメインの人はあまりいなかったこともあるだろうが、ベテランの役者が多い。曽我町子、一龍斎貞鳳、八波むと志、楠トシエ、左卜全、益田喜頓、桑山正一、由利徹、太宰久雄、梅津栄、藤村有弘と声を聞いたら、その人の顔が浮かんでしまうといった類の人が多い。よく語られる事件としては、放映中にスカンクのガスパ役だった脱線トリオの一人、八波むと志が交通事故死してしまったことが挙げられる。ガスパはすぐには代役をたてず、マスクをして声がでないということにして数回放送されたという。しかし、八波の死は番組終了も近かった64年1月のことであり、二代目(八木光生)が担当した期間は短かったと思われる。
今回なぜ「チロリン村とくるみの木」を取り上げたかというと、小野寺昭が人形の操演を担当していたことがあるらしいからである。人形の制作と操作を担当していた「劇団やまいも」に小野寺も在席していたということだろうか(詳細は不明)。そういえば「太陽にほえろ」でも小野寺扮する島刑事が劇団に潜入し、人形を操作してみせるエピソードがあったはずである。あれは、昔とった杵柄ということになるのである。
パンとあこがれ
さて「パンとあこがれ」だが、脚本が山田太一、音楽は山下毅雄という布陣で、タイトルどおりパン屋を舞台とした話である。新宿の中村屋がモデルとなっているようだ。主演は宇津宮雅代で、彼女も本作が本格的なデビュー作らしい。小野寺の役は宇津宮の息子ということらしいが、宇津宮は当時20歳である。まあポーラテレビ小説だし、年を取ってからのヒロインも老けメイクで演じたということだろう。他の出演者だが、大出俊、東野孝彦(英心)、津島恵子、西尾三枝子、寺尾聰、岸田森、イーデス・ハンソン、市原悦子、河原崎長一郎、加藤武、松尾嘉代、吉沢京子、新藤恵美とこの後も長く活躍し続ける役者が揃っている。
しかし宇津 宮が有名になるのは、どちらかといえば「大岡越前」での、加藤剛の妻・雪絵役(初代)であろう。良妻を演じたが私生活では西岡徳馬、故・三浦洋一と二度の結婚、離婚を経験している。ちなみに宇都宮ではなく宇津宮である。間違いやすいので注意しよう。
山ほととぎす ほしいまま
1本目が近鉄金曜劇場「山ほととぎす ほしいまま」という作品。女流俳人である杉田久女をモデルとしたドラマで主演は渡辺美佐子、森幹太、武内亨、そして栗原小巻など。竜の初出演ドラマと思われるが、栗原小巻(当時19歳)も本作が初出演ドラマだったらしい。
二本目がお馴染みの東芝日曜劇場で「海のおへそ」という作品。芸術祭参加作品だったようで、教育熱心な両親に育てられている少女とジプシー漁師青年との交流を描いたお話ということなので、この漁師青年が竜だと思われる。他に田中千鶴子(おそらく少女役)、本山可久子、そして「七人の侍」の宮口精二などである。この後、前項の「新・ 新三等重役」まで出演がないようだが、おそらくこの間に芝居の勉強ため、単身アメリカに渡っていたのだと思われる。
ちなみに、竜が演じることになる「これが青春」だの主人公・大岩雷太はアメリカではなくロンドンに留学していという設定であった。
新・新三等重役
注目すべきは長谷川龍男という名前である。誰?と思われるかもしれないが、竜雷太の本名である。彼が主役となる「これが青春だ」はこの66年の作品なので、本作は竜が「長谷川龍男」名義で出演した最後のドラマということになると思われる。ちなみに、このドラマのプロデューサーは後に青春シリーズや「太陽にほえろ」などのヒットを飛ばす岡田晋吉であった。このドラマで出会ったのか、「これが青春だ」で主役起用する上でのテスト出演だったのかは不明だが、岡田は「太陽にほえろ」でも、松田優作や勝野洋など後にレギュラーとなる役者を事前にテスト的に出演させていたので、後者説が有力ではないだろうか。まあこれを最後にこれが青春だの主人公の名(大岩雷太)にちなみ「竜雷太」と改名させられたわけだが、本人はこの名を嫌がっていたというのは有名なエピソードである。
ところで、岡田晋吉って(おかだ・ひろきち)と読むのだそうだ。私が今日初めて知った事実である。大抵の人は「しんきち」だと思っているはずである(知らなかったのは私だけだったりして)。