お宝映画・番組私的見聞録 -189ページ目

こんにちは赤ちゃん

三人娘の次は梓みちよである。そのヒット曲といえば63年の日本レコード大賞「こんにちは赤ちゃん」である。翌64年映画化されているが、同タイトルの映画が二本存在することをご存知だろうか。
3月に公開されたのが東宝版。こちらは梓みちよ本人が主役。他の出演者は小林桂樹、田辺靖雄、八千草薫、岸田今日子、小泉博、若林映子、ハナ肇など。当然、主題歌は本人のが使用されている。
それに先駆けて2月に公開されたのが日活版。こちらは和泉雅子を主演に、山内賢、川地民夫、芦川いづみ、桂小金治、E.H.エリック、何故かミスター珍、そして吉永小百合が特別主演扱いで登場している。こちらは梓本人が登場しないこともあり、歌は男女混声コーラスが使用されている。出演者全員で「こんにちは赤ちゃん」を歌うシーンでは吉永小百合は歌わず、芦川や川地も口パクらしい。
経緯は不明だが、同企画で同じタイトルの映画がほぼ同時に公開されていたわけである。梓は渡辺プロなので、東宝で映画化されるのは自然のながれだが、日活でも公開されたのは、レコード共作のような流れなのか、偶然バッティングして強引に制作したのだろうか。
さて、日活版には和田悦子、つまり和田浩治の実姉が出演しているのだが、和田浩治は梓みちよと結婚していたことがある。しかし1年程度で離婚している。噂では梓がバイセクシャルであったことが原因と言われている。
個人的には梓みちよに興味がなかったので、全然知らなかったのだが、「さんまのまんま」でさんまの発言に激怒してさんまにシャンパンをぶかっけたとか、和田アキ子が共演を拒否しているとか、評判はよろしくない人のようである。

レッツ・ゴー三人娘/素敵なデイト

テレビの方で、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりの三人娘人気を上げていたのは「スパークショー」と「レッツ・ゴー三人娘」(62年)というドラマである。
このドラマの詳細はほとんど不明だが、解説を見ると「創業300年を誇るレコード店で働く、明るい三人の看板娘を描く」という内容だそうだ。もちろんレコードがこの世に誕生して300年も経っているわけはない。当時で80年くらいといったところだ。この解説が間違っているのか、わざとそういう設定なのか未来のレコード屋なのかは知らない。他の出演者はレギュラーかゲストかは不明だが市川寿美礼、高橋元太郎、長岡輝子など。長岡輝子は100歳を越えてなお健在のようである。なお脚本は青島幸男が担当している。
この番組が終わった翌週からスタート(局は違う)したのが「素敵なデイト」(63年)である。こちらはドラマではなくバラエティでなので、さらに詳細がわからない。出演者は三人娘以外には、田辺靖雄、谷啓、青島幸男など。青島はこっちでは出演者である。なお途中で番組タイトルが「てんで素敵なショー」に変更されたという。谷啓の「ガチョーン」はこの番組で使われたのが最初だと言われているようだ。あの「シャボン玉ホリデー」は既にスタートしている(61年)ので、本当だとすれば意外に感じるが、研究家でもないと正確なところはわからないと思う。

夢で逢いましょ

話の流れは戻るのだが、園まり、伊東ゆかりとくれば中尾ミエである。三人娘の中で一番存在感があり、主役も多そうな感じがするが、この人は脇での出演が多く、主演映画はデビュー当時にしかない。それが「夢で逢いましょ」(62年)である。「夢であいましょう」ではない。それは61年スタートのNHKのバラエティで、こちらは東宝映画だが、「逢いましょ」で区別したつもりかも知らんが、不自然なタイトルである。もちろん「夢であいましょう」とは何の関係もない(と思う)。
簡単に言えば、中尾ミエが歌手を目指す話である。その姉役に池内淳子、作曲家に宝田明、他にも加藤武、船戸順、西村晃、市原悦子、当時は峰健二の峰岸徹、桜井浩子や中尾の友人役で大原麗子なんかも出演している。
渡辺プロも制作に絡んでいるので、当然のようにザ・ピーナツやクレージーキャッツも出ているし、中尾と同じレッスン生の役で梓みちよ、木の実ナナ(池田まり子名義)、山路ゆり(未確認だが=深山ゆり、つまり園まりの姉)なども出ている。
もちろん、中尾やピーナッツも歌うのだが、特別出演として水原弘や中島潤(全く知らないが、ウエスタンカーニバルなんかに出ていた歌手)、鹿内孝が「鹿内タカシとブルーコメッツ」として、登場する。ちなみに鹿内孝は、最近ちょっと話題になったバーニングの総帥と高校時代の同級生だそうだ。

青い乳房の埋葬

話の流れは変わるのだが、前項で梓英子のデビュー作が「青い乳房の埋葬」(64年)という映画であることに触れたが、これは新東宝映画の作品なのである。
今まで、このブログでも紹介してきた新東宝ではない。その新東宝は61年に倒産しているからである。倒産後に関西支社の有志が設立した新会社が「新東宝興業」である。その後「新東宝映画」という名に改称し、余計ややこしいことになっている。旧・新東宝(変な表現だな)はタイトルはあれでも、中身は一般映画であったが、この新東宝映画はタイトルどおりピンク映画を制作・配給する会社だったのである。
梓英子(当時は森美佐)は、当時16歳の高校生にしてピンク映画の主演デビューを飾ったのだった。ちなみに、この前年にカルピスのCMに出演していたらしい。64年は続けて「乾いた唇」「日本拷問刑罰史」(この時は森美沙)などピンク方面の作品に出ていたようだ。これらの作品を制作・監督した小森白は旧・新東宝で監督をしていた人物なのが、またややこしい。
65年に高校を中退した後、経緯は不明だが一般映画へ進出している。その最初の作品が藤岡弘主演・松竹の「若いしぶき」であった。ここで「梓英子」という役をもらい、そのまま芸名にしている。大映の専属になった頃から注目されるようになり、70年代からはテレビ出演が多くなっている。
「S・Hは恋のイニシャル」もそうだが、一番有名なのは「どてらい男」で、主役西郷輝彦の女房役ではないだろうか。個人的にはほとんど見ていないので、知らないのだけれども。約四年出演した後、77年頃に引退したようである。

S・Hは恋のイニシャル

伊東ゆかりで、テレビドラマといえば「S・Hは恋のイニシャル」(69年)を思い浮かべる人も結構いるかもしれない。個人的には、直接見たことはないけれども。
主演はドラマ初主演の布施明。といってもこれが最初で最後の主演っぽいのだが。
ストーリーだが、布施と友人の石立鉄男がバスの中で、絡まれている人を助けて多少出血。そこにハンカチを差し出すのが伊東ゆかりである。彼女は名も告げずいってしまうが、そのハンカチにS・Hのイニシャルが。で、彼女を探すが中々めぐり逢えない。まあ逢ってしまったらドラマにならないのだが。
で布施に絡んでくる女性、梓英子、ジュディ・オング、小山ルミのイニシャルがみんなS・Hだったりする。それぞれの親の役に大坂志郎、中村竹弥、そして森繁久弥といった重鎮が並ぶ。ちなみに、梓英子は60年代半ばから70年代半ばに活躍していた女優で、デビュー作は「青い乳房の埋葬」という妖しいタイトルの映画である。
布施は新聞社のテレビ欄担当という設定なので、いろいろな芸能人・有名人が登場したらしい。大原麗子、森進一、戸川昌子あたりはその枠であろうか。他にも毒蝮三太夫、西崎みどり、園まりの実姉・深山ゆりなども出ている。
ラストはどうなるかといえば、布施の友人役で竹脇無我が登場。その婚約者として紹介されるのが伊東ゆかりだったというオチ。で他のS・Hさんとうまく行くのかといえば「俺はまだ縛られたくない」と唐突に走り出して終わるらしい。
脚本は松木ひろしだが、二本ほど向田邦子が書いているようだ。ところでこの番組、今はパナソニックな「ナショナル劇場」の枠で放映されており、この翌週からスタートするのが「水戸黄門(第一部)」なのである。

愛するあした

園まりと来たら、次は伊東ゆかりである。三人娘では一番地味なイメージで大人びて見えるが、実は一番若いのが伊東ゆかりだ。レコードデビューは11歳の時という若さである。
そんな彼女が主演となるのが「愛するあした」(69年)である。同名の曲を歌っているが、個人的には知らないし、ヒット曲というわけではなさそう。映画に合わせて歌ったのかもしれない。
本作では松原智恵子とダブルヒロインという感じになっている。日活作品だが、松原とヤングアンドフレッシュ(和田浩治、杉山元、木下雅弘)の面々以外は、あまり日活役者が出ていない。
(東宝)付きの有島一郎や、やはり東宝で活躍していた伊藤久哉、そしてこの年「サインはV」で活躍した中山仁など日活作品ではほとんど見ない顔ぶれである。他にも左とん平、内田裕也、曽我町子、「マイティジャック」で隊員の一人を演じた大屋満、そしてザ・ワイルドワンズといったところが出演している。
ワイルドワンズはデビュー時が四人組で今も四人で活動しているので、当然四人というイメージがあるが、この当時は五人組である。加瀬邦彦、鳥塚繁樹、島英二、植田芳暁というお馴染みの面々に加えて、68年に若干16歳で加入したキーボードやフルート担当の渡辺茂樹が当時は在席していた。71年に解散し、10年後に再結成されたが、渡辺は忙しく参加できなかったらしい。
渡辺茂樹は個人的にはキャンディーズのバックをつとめていたMMPのリーダーという印象が強い。
伊東ゆかりの主演作はこれが最後となっており、映画への出演自体もないようである。

愛は惜しみなく

また、園まりの話題に戻るのだが、彼女が主演の歌謡映画はまだあり「愛は惜しみなく」(67年)もその一編である。原作は川内康範だが、監督は森永健次郎ということで、これはもうメロドラマだと想像できる。
園の今回の相手役は杉良太郎。日活時代の杉は準主役という立ち位置の役が多い。他の出演者だが、園井啓介、佐野周二(関口宏の父)、鳳八千代と松竹映画のようなキャストが並ぶ。当時はみなフリーだったようだが、実際に日活への出演は少ない面々である。自分が知っている日活の俳優といえば、弘松三郎とか浜口竜哉、本作では悪役となる中台祥浩くらいであろうか。しかし中台はこの前後に日活から抜けているようだ。
他にも歌謡映画らしく、黛ジュン、ザ・ワイルドワンズ、作曲家の宮川泰なども顔をだしている。そしてフォー・メイツ。といってもわかる人は少ないと思うがGSではなく、スクールメイツから選抜されたコーラス・グループのこと。まあ、キャンディーズと同じようなパターンである。彼らの曲で有名なものといえばアニメ「赤き血のイレブン」の主題歌くらいのようである。ちなみに「赤き血のイレブン」は梶原一騎原作のサッカー漫画だ。
さて本作は、あまり救いのない形でラストを迎える。園まりはこの後も何作か映画に出演しているが、主演作は本作がラストとなっているようである(多分)。

喜劇 大風呂敷

前項で、日活作品にドリフが出たのは2本だけではないかと書いたが、実はもう1本あった。とはいっても5人全員ではないのだが。
それが、藤田まこと主演の「喜劇 大風呂敷」(67年)である。加えて田中邦衛、木の実ナナ、小松政夫、左とん平と何となく東宝っぽいキャストが並んでおり、他にもミヤコ蝶々とか花沢徳衛とかで、日活っぽいのは芦川いづみくらいである。
そして、ドリフからは何故か荒井注、高木ブー、加藤茶の三人だけが出演している。よくわからん組合せである。
あと、歌謡界からは森進一、落語界からは三遊亭円楽、桂歌丸の笑点コンビ、そして野球界からは元阪急のロベルト・バルボンなども登場する。バルボンは55年から10年間活躍したキューバ人だが、あのキューバ革命で帰国できなくなり、そのまま日本に残っている。現在はオリックスの野球教室顧問だそうである。
そしてGS界からはアウト・キャスト。当時のメンバーは水谷公生、轟健二、大野良次、穂口雄右、中沢啓光の5人。現在では水谷は浜田省吾、村下孝蔵、レイジー、西城秀樹などの作曲家、穂口は特にキャンディーズの作曲・編曲家として有名だ。ちなみに先日なくなった忌野清志郎率いるRCサクセションの初期のヒット曲「僕の好きな先生」の編曲を担当していたのは穂口である。ところで、こちらのボーカルは轟健二、「特別機動捜査隊」などに出演していた東映の俳優は轟謙二であり、おそらく何の関係もない。前者の轟は後に松崎澄夫となりサザンオールスターズなどで有名なアミューズの社長となっている(現在は副会長)。とまあ、出世した人の多いグループである。本作では「レッツゴー・オン・ザ・ビーチ」を歌っていた模様だ。
当時の「喜劇」とタイトルにつく映画は、今見ても面白くないものが多いが、色んな人が出ているという点では面白いと思うのである。

夢は夜ひらく

「夢は夜ひらく」といえば、自分は藤圭子を思い出してしまうのだが、園まりにも同名のヒット曲があり同タイトルの映画も67年に公開されている。だから、藤圭子版にはタイトルに「圭子の」がついているのだが、調べてみるとこの曲は3、40人は歌っていることがわかった。
曲は全部一緒だが、歌詞は20通り以上あるようだ。元々この歌が世に出た66年は園まり以外にも、バーブ佐竹、緑川アコなどの共作として発売されている。以後、ちあきなおみ、八代亜紀、青江三奈、水原弘といった有名歌手はもとより、梶芽衣子、梅宮辰夫、藤竜也など俳優陣に加え、何故かてんぷくトリオなんかも歌っているようだ。
さて、映画の方だが主演はもちろん園まりで、相手役となるのは「逢いたくて逢いたくて」同様の渡哲也に加え高橋英樹という二本柱だが、メインは英樹の方である。山本陽子が渡の妹役で、英樹を付け狙う悪党に名古屋章と平田大三郎。個人的には平田大三郎を初めて認識できた。前項の「逢いたくて逢いたくて」はコメディタッチな作品だが、本作はメロドラマである。渡と英樹の役柄をチェンジしても成り立ちそうな気はする。布施明や奥村チヨが歌っているシーンもある。
メロドラマといいながら、本作にもドリフターズが登場し、笑いの部分を担当している。どうやらお馴染みの5人になってからの、初の映画出演が前項の「逢いたくて逢いたくて」のようである。ドリフの日活出演は(多分)この2本だけで、この67年に松竹の「全員集合」シリーズ、東宝の「ドリフターズですよ」シリーズがスタートしている。本作でのクレジットはリーダーのいかりやを差し置き、加藤がトップにきている(加藤、いかりや、高木、荒井、仲本の順)。ちなみに「逢いたくて…」では(加藤、荒井、高木、仲本、いかりや)の順となっていた。
荒井、高木、仲本の加入で新生ドリフとなったのは64年だが、それから二年ほどは綱木文夫を含めた六人組だったことはあまり知られていない(と思う)。

逢いたくて逢いたくて

園まりのヒット曲に「逢いたくて逢いたくて」というのがあるが、それと同タイトルの映画が66年に公開されており、主演も園まり自身である。
この映画には、中尾ミエや伊東ゆかり、そしてドリフターズも登場するので、一瞬、東宝の作品かなと思ってしまうのだが違う。
渡哲也に松原智恵子、太田雅子(梶芽衣子)らが登場する日活の作品である。他にも和田浩治、杉山元、木下雅弘という日活バンド「ヤングアンドフレッシュ」の面々や小沢昭一も万年学生という役で出演している。
ストーリーは園まり演じるヒロインが「園まりそっくりさんコンテスト」で優勝するが(そりゃそうだ)、本物が声が出なくなり一週間だけヒロインが園まりの代役を演じ、その間にカメラマンの渡哲也に恋心を抱くという、とてもよく聞いたことのある筋立てのお話だ。つまり園まりは二役である。中尾ミエと伊東ゆかりは本人の役だ。
ちなみに雑誌記者役の深山ゆりという人は園まりの実姉だそうである。
あと、「淡村悠紀夫とジ・アウトロウズ」というバンドが出ているが、彼らは後のザ・ビーバーズである。しかしOPのクレジットでは「沢村悠紀夫とガイ・アウトロウズ」になっていたりする。ボーカルの早瀬雅男は、前項でも話題の出たスリーファンキーズの第三期メンバーであった。高倉一志の脱退後加入している。もう一人のボーカルである成田賢は「サイボーグ009(新)」の主題歌「誰がために」を歌った人である。とまあ、話題性のあるメンバーが揃っていたわりには、大きなヒット曲もなく解散している。「逢いたくて逢いたくて」ではなく「泣かないで泣かないで」という曲がある。