お宝映画・番組私的見聞録 -177ページ目

ヤングアクション プロフェッショナル

前項でもちょこっと名前を出したのだが、個人的に謎のアクションドラマの1つに「プロフェッショナル」(69年)というのがある。その存在を知ったのは三年ほど前だが、あまりに情報がないので、取り上げようがなかったのである。今回、その少ない情報をつなぎ合わせてみた。
このドラマには1と2があり、1が全18話、2が全8話、つまり合わせてちょうど1クール26話という構成になっている。番組の途中からタイトルに「ヤングアクション」というフレーズがついたらしく、「ヤングアクション プロフェッショナル」というのが正式なタイトルとなっているようだ。当時は「フラワーアクション 009ノ1」なんてのもあったし、こういうタイトルが流行っていたのだろう。
さて、内容だが「死を無視した危険屋」を名乗る四人の男と一人の娘が難事件を解決する話だそうだが、彼らがどういう身分なのかは不明だ。その四人の男を演じるのが、天田俊明、松原光二、山下洵一郎、地井武男である。天田俊明はご存知「七人の刑事」の最若手刑事。その約八年に渡った「七刑」が終了して半年ほどしての出演である。松原光二はそのライバル番組「特別機動捜査隊」立石班での最若手刑事。当時はまだ放送中で掛け持ちでの出演である。山下洵一郎は前項「東京コンバット」終了直後の連続アクションドラマ出演である。そして、地井武男だがおそらく当時はまだまだ無名の頃だったと思われる。末期の日活アクション映画などで顔が売れるのは、本作の直後あたりからである。
そして「一人の娘」とは、おそらく岸本教子ではないかと思われる。この人は大川橋蔵の映画によく出ていた人(つまり時代劇が多い)で、60年代中期から70年代の初めくらいまで活動していたようだ。
で18話まで終えたところで、突然「2」となる。要するにテコ入れがあったのだろうが、出演者が変わったのかどうかがよくわからない。「テレビドラマデータベース」では、今までの四人に加えて、佐藤英夫、森次晃嗣、河原崎建三、片岡五郎、高林由紀子らの名があがっている。プロフェッショナルは五人ということらしいのだが、まあこの「2」については全くわからんというのが実情である。
さてこの番組日曜の夜8時、TBS系での放送ということで見ていても不思議はないのだが、全く記憶にない。よい子は寝る時間だったのかもしれない。この時間帯に見ていた番組で、一番古い記憶は「プロフェッショナル」終了半年後に始まった「日曜8時、笑っていただきます」(70年)あたりである。

東京コンバット(その2)

ここ二回ほど話題に出ている「東京コンバット」(68年)。かなり前に等ブログでも、取り上げているのだが、ついでなので改めてピックアップしてみたい。特に新しい情報があるわけではないけれども。
警視庁の特殊犯罪捜査班の五人が主役。そのリーダーを演じるのが三橋達也(三村警部)で、以下、佐藤允(江藤警部補)、山口崇(宅警部補)、前田吟(桜井警部補)、山下洵一郎(木津川警部補)という警部一人に警部補四人という構成。「特捜最前線」もほとんどが警部補以上だったが、まあエリート集団ということなのだろう。
足で捜査するというよりは、コンバットカーと呼ばれる特別科学鑑識車を駆使して事件捜査にあたっていくらしい。役柄は全く不明だが、他のレギュラーに船戸順、藤あきみ、古今亭志ん朝、菱見百合子、藤田進などがいたようである。
レギュラーのうち、三橋、佐藤は東宝のスターで、制作も東宝(とフジテレビ)であるが、他の三人は主に松竹で活躍していた面々である。山口崇(当時32歳)が本当に絶頂だったのは70年代に入ってからで「柳生十兵衛」「天下堂々」の辺りだろうか。山下洵一郎(当時29歳)は本作以外にも同時代のアクションドラマである「秘密指令883」や「プロフェッショナル」にもレギュラー出演している<正義の人>だったのだが、自分がその存在を知った70年代初期にはすでに悪役に転じていた。そして、メンバー最年少だったのが前田吟(当時24歳)。この人は20代の頃と還暦を過ぎた現在とあまり印象が変わらない。昔から妙に落ち着いた雰囲気があり、最年少といっても、あまり初々しさはなかったのではないだろうか。
個人的には一度たりとも見たことのないドラマである。フジテレビだし、わが故郷では系列局がまだなかった時代でもあり、白黒ということもあり放送されていない可能性も高い。ネット上を徘徊しても、ほとんど話題に上っていないし、おそらく再放送もほとんどされていないのだろう。
同じ東宝制作の「東京バイパス指令」は、ほぼ同時期にスタートしていながら、カラーだし、70年代には再放送もよくあり、記憶に残っている人も多いと思う。こちらの夏木陽介、竜雷太のコンビより三橋、佐藤の方が東宝的には格上のはずだが、バイパスの方がカラーというだけでも優遇されていたように思う。

遊撃戦

三橋達也と佐藤允の共演ドラマといえば「東京コンバット」以外にも「遊撃戦」(66年)というのがある。簡単に言えば「独立愚連隊」のテレビ版のようなもので、岡本喜八も監修及び脚本として参加している。脚本の中みね子とは岡本みね子つまり喜八夫人のことである。
舞台は中国大陸で飛行場爆破に向かう遊撃隊を描いている。撮影自体は中国ではなく鳥取砂丘で行なわれたという。
遊撃隊のメンバーは主役の佐藤允に加え、堺左千夫、大木正司、小川安三という岡本作品の常連組、そして小坂一也、寺田誠という面々。隊長は三橋達也だったのだが、序盤戦で退場してしまうのである。
ゲストはやはり岡本作品常連の中谷一郎、中丸忠雄、草川直也、伊藤雄之助、そして西村晃、左卜全、藤原釜足、池部良なども顔を見せている。
堺左千夫は存在感のある脇役といったポジションが多いが、記念すべき東宝ニューフェースの1期生で、あの三船敏郎の同期生である。小川安三も東宝の脇役俳優だが、割合目立つのは喜八作品のみといった感じ。70年代半ばに姿を消したが、事業家に転身したようである(未確認)。大木正司は俳優座の7期生で、ちなみに同期が田中邦衛、露口茂、山本学、藤巻潤、井川比佐志といった蒼々たるメンバー。声優としての活動もあり「聖戦士ダンバイン」などに出演、昨年11月に亡くなっている。
最年少の寺田誠(当時22歳)だが、父は歌舞伎役者嵐芳三郎、兄は嵐圭史。専ら声優としての活動が多く、現在も「麦人」の名で洋画、アニメに関わらず渋い声を響かせている。小坂一也は53年にワゴンマスターズの一員として歌手デビューしたが、後に松竹と契約し俳優として活動するようになる。岡本作品は恐らく本作が初である。
最終回を前に寺田が戦死し、残ったメンバーも最終回で全員…。数年前CSでも放送され、DVDも発売されているようなので、興味のある方はどうぞ。

ちなみに、当時の裏番組は「東京コンバット」ならぬ、本家「コンバット」であった。

暗黒街撃滅命令/暗黒街の牙/暗黒街全滅作戦

暗黒街シリーズのラスト3作品「暗黒街撃滅命令」(61年)、「暗黒街の牙」(62年)、「暗黒街全滅作戦」(65年)を監督したのが福田純であった。この人は以前にも取り上げたことがあるが、こういったアクション映画だけでなく、若大将シリーズやゴジラシリーズ、コント55号まで撮っちゃう人である。脚本はその福田と小川英らの共同であることが多い。小川英は後に「太陽にほえろ」のメインライターとなる人物である。福田と小川は必ずといっていいほどケンカになったという。
主演は三作とも三橋達也で、準主役は佐藤允である。ヒロイン役は「撃滅命令」では星由里子、水野久美、「牙」では水野久美、若林映子、浜美枝、「全滅作戦」では浜美枝、北あけみとなっている。
他の出演者の顔ぶれを見ても中丸忠雄、中谷一郎、堺左千夫など岡本喜八作品と似たようなメンバーである。まあ同じ東宝のアクション系作品だし、かぶっていても不思議はないのだけれども。堺や桐野洋雄、草川直也などは三作とも顔を見せている。
「撃滅命令」と「牙」は暗黒街に刑事(三橋達也)が潜入する話なのだが、「全滅作戦」は違う。三橋もヤクザの名代で、ヒロイン役の北あけみや浜美枝も殺害するような男で、ラストに佐藤允と対決することになるらしい(未見なので)。あらすじだけ見ると東映のヤクザものみたいである。
まあ、暴力団の二大勢力の争いがベースになっている話というのは、割と多いと思う。岡本喜八の「暗黒街の対決」もそういった話だし、同時代でいえば黒澤明の「用心棒」だって、時代劇とはいえ二つの組が争っている宿場の話だ。
「全滅作戦」では、平田昭彦もインテリなヤクザの役。刑事役で登場するのは中山昭二で、この人は新東宝を去ってからは「警視庁物語」や「特別機動捜査隊」のせいか、だいたい刑事役のようなイメージ(キリヤマ隊長以前)がある。ちなみに東宝映画には本作が初出演だったようだ。また、ミッキー安川が安川実名義でチョイ役出演している。
そういえば、三橋達也、佐藤允のコンビといえば「東京コンバット」(68年)という刑事ドラマがある。この二人の他、山口崇、前田吟、山下洵一郎が刑事役のようだが、一度も見たことがない(はずである)。おそらくほとんど再放送もされていない幻のドラマの一つであろう。

暗黒街

「暗黒街」とタイトルにつく60年前後の東宝作品は全部で7本あるのだが、岡本喜八の「暗黒街の顔役」「暗黒街の対決」「暗黒街の弾痕」の前にそのものズバリ「暗黒街」(56年)という作品がある。
暗黒街というとギャングというイメージだが、どう見ても「ヤクザ」という映画だ。その組長に志村喬、古参幹部に杉山昌三九、宮口精二、そして新参幹部が唯一ギャングな雰囲気を持つ鶴田浩二である。
杉山昌三九は戦前は大都映画のスターだった人だが、戦後は完全に脇役にまわっていた。ほぼ同年代の志村喬は戦前は主に日活京都などでの助演が多かった人だが、戦後になって主役スターになっている。ストーリーは要するに、組の中で勢力を伸ばしてきた鶴田を、邪魔に思った杉山、宮口らが排除しようとするという話。しかし、いわれなき嫉妬というわけではない。こういった映画では義理と人情の人といったイメージの鶴田だが、本作では実にKYでドライなヤツなので、他の組員の反感を買って当然だったのである。で、志村組長の情婦である根岸明美と、やはり組長お気に入りのインターン青山京子に鶴田が手を出した(といってもデートしたという程度)ことで、組長も激怒。杉山が鶴田を拳銃で二発食らわせ、抹殺かと思いきや殺しはしなかった。瀕死の鶴田を「死なせるんじゃねえぞ」と青山京子と共に監禁してしまうのである。
何故かと言えば、警察が怖かったから。新任の捜査主任・三船敏郎の監視の目が厳しく、ヘタに殺人などできなかったのである。
青山の前ではいい爺さんだった志村が徐々に組長としての本領を発揮して彼女を襲おうとし、直後に発作で卒倒する。宮口もそれを見て「何とかしろ!」と青山を殴りつける。あの「七人の侍」から、この時点ではわずか二年。あの正義感あふれる勘兵衛や久蔵が、こんな悪人に。対照的に暴れん坊だった菊千代が冷静で落ち着き払った警察幹部に、と当時の観客が思ったかどうかは知らん。三船と志村のツーショットシーンもあり、そこだけ見ると黒澤作品?と一瞬カン違いするかも(監督は山本嘉次郎)。
岡本喜八による「暗黒街の顔役」(59年)、「暗黒街の対決」(60年)も三船と鶴田の主演による作品となっている。「暗黒街の弾痕」の後、「暗黒街の牙」「暗黒街撃滅命令」「暗黒街全滅作戦」がありこの3作の監督は福田純であった。福田は「暗黒街」では監督助手を務めていた。

暗黒街の弾痕

岡本喜八はタイトルに「暗黒街」とつくものを三本撮っているが、その中から61年の正月映画だった「暗黒街の弾痕」をピックアップしてみたい。まあ初めに言っておくと、詳しいことは本日もCSで放送されるので、見てみらえればわかると思う。
「暗黒街の弾痕」というタイトルの映画は「メトロポリス」のフリッツ・ラングが37年に撮っているらしい。本タイトルがそこからきたかどうかは知らない。
主演は暗黒街には似合わない加山雄三で、これがデビュー三本目の作品。この時点での加山の人気はよくわからないが、前作「独立愚連隊西へ」で既に主演の抜擢されている黄金ルーキーであった。ちなみに若大将シリーズがスタートするのはこの半年後である。
他の出演者は佐藤允、三橋達也、中丸忠雄、中谷一郎、ミッキー・カーチスといった岡本映画お馴染みのメンバー。女優陣では浜美枝、水野久美、そして島崎雪子。島崎は何故か歌手の役で、「誰も知らない」という頭に残る歌(タイトルは不明だが)を聞かせてくれる。実はこの頃、島崎はシャンソン歌手としての活動も行なっていたのである(紅白にも出場している)。コーラスも「大学の山賊たち」で強盗役だった若松明などが担当している。個人的には「七人の侍」で、<利吉の女房>という本名不明で出番も少ない(5分くらい?)のに扱いがでかかったのが印象深い(三船、志村の次に津島恵子と並んでクレジットされている)。
加山の死んだ兄を演じるのが三島耕。一度しかなかった太泉映画のニューフェース出身(同期に波島進など)で、東映に併合された後、10年たらずで松竹、日活、東宝と渡り歩いた役者だ。前項でクローズアップした桐野洋雄は殺し屋Aという役で、殺し屋Bを演じるのがこれが映画デビューとなるイデ隊員こと二瓶正也(本名の正典名義)であった。
ところで役名だが、ミッキー・カーチスはそのまま三木、佐藤允は須藤健という。須藤健だと「警視庁物語」で渡辺刑事を演じた中年でチョイはげの役者と全く同じである。
そして、加山は草鹿次郎という役だが、この翌年「草加次郎事件」という事件があったのをご存知だろうか。草加次郎を名乗る犯人が島倉千代子の後援会事務所や東宝の劇場などに爆発物を仕掛けたり、吉永小百合の自宅に脅迫状を送りつけた事件で、結局犯人は捕まらなかったのである。草加は「クサカ」なのか「ソウカ」なのかはっきりしなかったらしいが、最初の事件で「K」とも書かれていたらしいので「クサカ」という説が有力とも言われる。

まあ東宝の劇場も被害にあっているので、犯人が本作を見てクサカジロウを名乗ろうと思ったのでは、という可能性もあったと勝手に思うのである。

若い娘たち(58年版)

岡本喜八の監督第二作が「若い娘たち」(58年)である。当初は取り上げる予定ではなかったが、ちょうど昨日放送され、他にネタもないし一番記憶に残っているということで。
その第一印象は、さして岡本作品に詳しいわけではない自分がいうのもなんだが、割合普通の青春映画かなあといった感じ。60年代の日活映画など石坂洋次郎を原作とする作品は何故か多いが、どれも正直いってそう面白いわけではないと思うのだが、そこは岡本喜八で決してつまらないということはない。
主演は前作「結婚のすべて」に続き雪村いづみだ。当時の大スターに対して何だが、顔だけでいえば、水野久美、笹るみ子、野口ふみえなど他の女優陣の方が奇麗だと思う。前作でもそうだったが、性格は今でいうツンデレである。その相手役は前作で結ばれなかった山田真二で、今回は順当に結ばれる。
岡本常連組では、ミッキー・カーチスは学生役で登場し、今回も歌う場面があるが、佐藤允や中丸忠雄などは登場しない。前作であったノンクレジット出演だが、今回はラストで登場する学生役の宝田明である。
若手以外では、上原謙、三宅邦子、加東大介、沢村貞子といったベテラン勢が顔を見せている。ちなみに実の姉弟である沢村、加東は夫婦の役である。
その加東、沢村の家に下宿する学生役が桐野洋雄。おそらく余程の東宝通でなければ知らない名前ではないだろうか。洋雄はナダオと読み、東宝の脇役俳優なのだが、本作ではヒゲづらで登場するが、剃り落とすと美男子という役柄。実際日本人離れした顔立ちは、俳優座の同期生である佐藤允にも負けていない気がするが、あまり大役を得ることはなかったようで、特撮物やクレージーキャッツ作品への出演が多かったが70年頃に引退している。
桐野もそうだが、山田真二も知らない人は多いかもしれない。甘いマスクの二枚目だが、ピークだったのは60年前後で主演級の役も多かったのだが、62年頃からはテレビでの活動が多くなり、70年頃にはその姿を見かけなくなる。というわけで、個人的には山田も桐野も最近までよく知らない存在だったのである。
山田は、歌手として紅白歌合戦(59年)にも一度出場しているが、レコード会社を紹介したのは雪村いづみだったという。07年に亡くなり、偲ぶ会が開かれたがその発起人となったのも雪村(など)だった。

結婚のすべて

岡本喜八の監督第一作となるのが「結婚のすべて」(58年)である。岡本作品といえば「独立愚連隊」や「暗黒街」シリーズとか、男っぽい作品というイメージがあるが、本作の主演は雪村いづみと新珠三千代である。
全然似ていないが、姉妹の役で、性格も対照的。姉(新珠)は昔ながらの控えめで貞淑な女性。妹(雪村)は積極的で、理屈っぽく議論好き。本作では最初から最後まで喋りまくっている。新珠の夫の大学教授に上原謙、新珠に興味を持つ雑誌編集長に三橋達也、雪村が好きになる学生に山田真二とここまでがメーンキャスト。後は団令子、藤木悠、若水ヤエ子、加藤春哉、塩沢登代路(塩沢とき)、姉妹の兄に堺左千夫、雪村と最後に結ばれる?見合い相手に仲代達矢など。佐藤允、中丸忠雄といった岡本作品の常連となっていく面々もワンカットのチョイ役だがしっかり顔をだしており、ミッキー・カーチスも役者ではなく歌手としてクラブで歌っている。
事前知識なしに見たので、クレジットのなかった三船敏郎が演出家の役で登場したのに驚いた。三船は岡本が助監督の時代から親しくおり、監督就任祝としての出演だったようだ。他にも田崎潤、平田昭彦、司葉子などもノンクレジットで顔を出している。ナレーションを担当するのは小林桂樹である。
とまあ中々豪華キャストによる作品になっており、当時のポスターには「日本初のロカビリー映画」というようなキャッチコピーがついていたりするが、ミッキー・カーチスが1シーン歌っているだけで、ロカビリー映画ではない。雪村いづみも歌わないし。
題材やタイトルからは面白そうとは思えなかったが、意外と最後まで見ることができる。岡本の次回作「若い娘たち」でも主演は雪村いづみで、「暗黒街」シリーズや「独立愚連隊」は翌年からの作品である。

大学の山賊たち

年が明けてしまった。個人的にはあまり正月気分ではないので、特に新年とは関係のない作品で幕を開けるとしよう。
今、CSでは岡本喜八の特集をやっている。「独立愚連隊」とか「殺人狂時代」とか「ブルークリスマス」とかは知っているが、知らない作品の方がはるかに多い。その中から「大学の山賊たち」(60年)をピックアップしてみよう。
猛吹雪で山荘に転がり込んだ大学の山岳部員(山崎努、久保明、佐藤允、江原達怡、ミッキー・カーチス)と休暇のデパガグループ(白川由美、横山道代、柳川慶子、笹るみ子、上原美佐)、そして別用で訪れていたそのデパートの社長(上原謙)。その山荘には未亡人(越路吹雪)がいたが、社長は彼女の死んだ亭主に瓜二つであった。そこにまた、二人の若い男(中丸忠雄、若松明)が現われる、実は彼らは逃走中の強盗であった。外に出るに出られず、食料危機にも瀕することになる。
というような話がコメディタッチで描かれている。上原謙は社長と亡夫つまり幽霊の二役を演じている。大学生5人組は今見ると豪華な顔ぶれだが、そのリーダー役・山崎努はこれが映画デビュー作である。年齢的(当時24歳)には他のメンバーと同じくらいだが、一番無名の存在だったことは確かである。佐藤允、ミッキー・カーチス、中丸忠雄は岡本作品の常連となっていくが、山崎はこれ一作のようだ。やはり、その名が知れわたるのは黒澤明の「天国と地獄」(63年)ということになる。
女性陣はこの時点で、既に岡本作品に出演経験のあるメンバーが揃っている。リーダー役の白川由美はご存知二谷秀明夫人で、横山道代は中山昭二夫人で、笹るみ子はなべおさみ夫人である。柳川慶子は岡本作品「結婚のすべて」でデビュー、山崎努と同じ俳優座の8期生である。
そして上原美佐。デビュー作である黒澤明の「隠し砦の三悪人」(58年)の雪姫役が印象に深いが、彼女は山崎とは逆にこれが最後の出演作となる。「才能がないから」とささっと引退。出演作はわずか九本、二年あまりの活動であった。03年に亡くなったとのこと。合掌。

孤独の賭け

人気ドラマの映画化は、最近はテレビのキャストがそのまま映画でも起用されるケースが多い気がするが、昔は変更されるのが普通だったと思う。そんな中、天知茂がテレビ、映画を通じて同じ役を演じたのが「孤独の賭け」である。
ドラマは63年。「虎の子作戦」や「悪銭」と並行して放送されていた時期である。そこで、天知は主人公の千種悌二郎という男を演じる。ドラマが好評だったのか、65年には映画化されており、他のキャストが入れ替わる中、天知は同じ千種の役で出演している。他のキャストは前者がドラマ版、後者が映画版である。
乾百子        小川真由美 → 佐久間良子
乾美香(百子の従妹) 野川由美子 → 大原麗子
千種寿都子(千種の妻)星美智子  → 野中マリ子
中川京子(千種の秘書)宮園純子  → 小林千登勢 *宮園は勝手に推定
森信子(百子の友人) 八木昌子  → 岩崎加根子
大垣田鶴子      三條美紀  → 木暮実千代
氷室         渡辺文雄  → 春日章良
他にもテレビ版では高城丈二、高倉みゆき、内田朝雄など。映画版では菅原謙二、梅宮辰夫、岡崎二朗など、宮園純子は映画版にも出演(東野隆子役)している。宮園はテレビ版では何役か不明なのだが、演者不明の京子役があてはまりそうである。
実はこの作品、78年にもドラマ化されており、天知が三たび千種役を演じている。そして、ヒロインの百子役には五十嵐めぐみ。天知と五十嵐のコンビだとどうしても「江戸川乱歩の美女シリーズ」、明智小五郎と助手の文代コンビを思い出してしまう。
浅野温子(美香役)、園まり(京子役)、白石奈緒美(寿都子役)、京春上(信子役)、そして三條美紀は63年と同じ田鶴子の役を演じている。他に伊藤雄之助、田中真理、堀之紀、天知ブレーンの北町嘉朗、宮口二郎といった面々。
おまけに、つい最近07年にも「孤独の賭け~愛しき人よ~」のタイトル、伊藤英明主演でドラマ化されたらしいが、全く知らなかった。

とりあえず、本年度の更新はこれで終了。来年はどこまで続けられるだろうか。