お宝映画・番組私的見聞録 -165ページ目

激闘の地平線/社長野郎ども

前項からの引き続きだが、新東宝の松原緑郎(光二)主演作品を取り上げてみたい。
まずは「激闘の地平線」(60年)。ビート族(要するに無軌道な若者のグループ)の非行青年だった松原が三ツ矢歌子扮する婦人自衛官に出会ったことから改心し、自衛隊に入隊し、レインジャー部隊になるまでを描く、あまり新東宝っぽくない青春映画である。この年の芸術祭参加作品だそうで、新東宝も参加してたのである。
沼田曜一がレインジャーの教官役で、若杉嘉都子は松原の継母役、扇町京子はビート族仲間で、彼女を巡って松原と津川豊が決闘する。前項にも名前の挙がった津川豊は、おそらく松原と同時期に新東宝入りした役者のようだが、翌年の新東宝倒産で姿を消してしまったようである。
もう一本が「社長野郎ども」(60年)。こちらで松原は、社長の息子でファンキー族だそうである。今までのシリアスアクション物と違い、本作は喜劇映画である。
出演者も森川信、並木一路、谷晃、トニー谷と喜劇畑の人が並んでいる。森川の新東宝出演は54年以来で、この前後に新東宝出演は一本もないようである。
松原は森川ではなく、並木一路の息子役。ヒロイン役は今までの三ツ矢歌子ではなくシークレットフェイスこと三条魔子で、他に浅見比呂志、松浦浪路など。
そういえば、松原は翌年、ここの名前の挙がった三条魔子や若杉嘉都子とともに「恐怖のミイラ」に出演している。

男が血を見た時/太陽と血と砂

日活ラストの作品を前項でやったので、今度は久々に新東宝に目を向けてみようと思ったりする。
前々項で「特別機動捜査隊」に触れたが、番組スタートは61年10月と新東宝が潰れた直後であった。それに加え番組プロデューサーの中井義が新東宝の出身ということもあり、東映以外では新東宝出身の俳優が多く出演することになる。
レギュラー刑事では中山昭二、伊達正三郎、松原光二、そしてセミレギュラーとなる村上記者役の村上不二夫、ゲストでは松本朝夫、沼田曜一、江見俊太郎、浅見比呂志、鮎川浩、林寛といった元・新東宝勢がたびたび顔を出している。
その中から新東宝末期のスター(候補)であった松原光二をピックアップしてみる。といっても、この人の詳細なデータは何故か見当たらず、正確な年齢とかは不明である。
デビューはおそらく60年、当時は松原緑郎と名乗っていた。何本か脇役で出演したのち、「男が血を見た時」で初主演。多分20歳くらいだったと思われる。ブラックジャガーというカミナリ族の一員の役で、ヒロインは三ツ矢歌子で、浅見比呂志がライバル役、高宮敬二、沼田曜一の他、悪役は鳴門洋二が演じている。
その三ヶ月後の「太陽と血と砂」でも三ツ矢歌子とのコンビで主演。池内淳子が松原の姉役だが、三人組の愚連隊に暴行されて自殺してしまう。松原は彼らに復讐するというストーリー。
三人組のリーダーが鳴門洋二で、前作に続いて松原対鳴門の戦いとなる。三ツ矢はその鳴門の妹という設定。他の二人は津川豊と黒丸良(マグマ大使の木田記者)で、寺島達夫が池内の恋人役で出演している。

八月の濡れた砂/不良少女魔子

話は日活末期に戻るのだが、ちょっと前に大映最後の公開作品というのを取り上げたが、じゃあ日活のロマンポルノ移行前の最後の作品は何か?
一本はかなり有名であろう「八月の濡れた砂」(71年)であった。まあ、これはここで詳しくやらなくても、取り上げているサイトも多いと思うので簡単に触れておく。
メインにはほとんど映画経験のなかった面々が並ぶ。村野武範、広瀬昌助、テレサ野田、藤田みどり、隅田和世、中沢治夫(剛たつひと)、それにプラスして原田芳雄、地井武男、渡辺文雄などであった。
広瀬やテレサ野田はこれが映画初出演。実際に主演は沖雅也の予定だったが、バイクで転倒し負傷したため、急遽決まったのが文学座にいた広瀬昌助だったという。
まあ周知のとおり、翌72年に村野は「飛び出せ青春」で人気者に。青春ドラマの生徒歴の長い中沢も剛達人と改名し、その生徒役で人気を得る。隅田和世は「キカイダー01」が印象深い。広瀬昌助(後に昌亮)は、代表作といえば本作になってしまうだろうか。90年代は特撮関係の出演が多かったが、99年に53歳の若さで亡くなっている。
併映作品は「不良少女魔子」(71年)であった(以前取り上げたっけ?)。主演は夏純子で「女子学園」シリーズなど70年代の日活で不良少女といえば彼女だったのである。共演は岡崎二朗、藤竜也、深江章喜、南条竜也(当時・清宮達夫)、小野寺昭、片桐夕子(当時・五月由美)、そして日活の最後を飾るに相応しいニューフェース1期生の宍戸錠といった面々。意外にも小野寺が悪役で夏純子に殺られるのである。
ご存知のとおり翌72年、小野寺は「太陽にほえろ」に、南条は「変身忍者嵐」に、夏純子は本作の3ヶ月後に「シルバー仮面」で落ち着いたお姉さん役を。個人的には「シルバー仮面」で夏純子を初めて見た(と思う)ので、まさかその直前まであばずれ姉ちゃんの役をやっていたとは当時は知る由もなかった。そういえば前述のテレサ野田も「シルバー仮面」にはゲストで出演していた。

特別機動捜査隊 「東京は恐い」

唐突だが、今回はちょっと趣向を変えて、過去に何度か取り上げている現在東映チャンネルで放送中の「特別機動捜査隊」の1エピソード「東京は怖い」から取り上げる。
別にこのエピソードがどうこうというわけではない。この番組は、毎回のように夜の盛り場や音楽喫茶などで歌手が歌っているシーンがあり、たいていは聞いたこともない演歌系の歌手であることが多いのだが(美川憲一や冠二郎だったこともある)、今回はザ・ライオンズが登場したのである。
もちろん、西武にも西鉄にも関係ないGSのライオンズである。そんなグループ知らんという人も多いと思う。私自身も名前を知っていただけで、今回初めてその姿を見たのである。しかし、GSに詳しい人にはカルトなグループとして有名である。
元々は大阪で非常に人気のあったライダースというグループで、タイガースと同様の線を狙って、ライオンズと改名し、結構大々的に宣伝されデビューした期待のグループだったのである。
しかし、デビュー曲「いとしのエルザ」はコケる。決してルックスは悪くない、むしろいいほうだと思うが、肝心の唄がアレだったのである。ボーカルの清原カツミ(ライオンズで清原だ)は、終止微妙に外れているし、曲自体も歌い出しで気が抜ける。これは聞けばわかる(ネット上で探せば聞くことができる)。「特捜隊」の番組内でも問題の「好き!」「エルザ!」の部分は流れていた。
ところで、このグループデビュー時は6人組だったのだが、番組内では5人になっている。番組放映は68年の9月でデビューから半年ほど経過している。ネット上でデビュー時の映像が見れるのだが、そこから見比べるとツインギターの片方(背の低い方)が抜け、オルガンを担当していた三枝孝がギターに回っていた(テレビ用の特別編成かもしれんが)。ラストシングル(といっても3枚目)のジャケットは5人になっているので、この時点で既に一人(島直樹か橘健一)が脱退していたようだ。で、そのラストシングル「絵の中の恋人」の作詞作曲の椿もとみとは子門真人のことらしい。
結局、活動期間一年足らずで消えていったようなので、今回の映像は貴重なものといえるだろう。

夜の牝シリーズ

野川由美子といえば、個人的には初期の「必殺シリーズ」や「桃太郎侍」など、テレビ時代劇女優のイメージなのだが、60年代は多くの現代劇映画にも出演していた。
その中から、69年に日活で彼女が主役を演じた「夜の牝」シリーズを取り上げてみたい。野川は65年にも、やはり日活で「賭場の牝猫」というシリーズで主役を演じていおり、野川の「牝」シリーズの復活といったところであろうか。
タイトルどおり当時多かった夜の盛り場を舞台にした作品である。シリーズは全3作あり、すべてに登場するのが野川の他、森進一となべおさみである。
第1作が「夜の牝 花と蝶」。上記三人の他、杉良太郎、宍戸錠、梶芽衣子(当時・太田雅子)、川地民夫という日活スターが顔を揃えている。杉はカメラマン役で、宍戸は謎の男だそうだ。「モコ・ビーバー・オリーブ」のオリーブことシリア・ポールや青島幸男、ロス・インディオスなども出演している。
第2作が「夜の牝 年上の女」。こちらには高橋英樹、和泉雅子、連投の梶芽衣子、深江章喜といったところがゲスト。数年後、野川、高橋、深江は「桃太郎侍」で長く共演することになる。ちなみに本作では高橋や和泉は死んでしまう役のようだ。他に内山田洋とクールファイブなども出演している。
第3作が「夜の牝 花のいのち」。前二作のサブタイトルは森進一の新曲シングルのタイトルでもあったのが、「花のいのち」は違うようである。ゲストは南原宏治、川地民夫、岡崎二朗、嘉手納清美、(東宝)付きの沢井桂子などである。スマイリー小原や前作に引き続きのクールファイブ、そしてレコードデビュー前だった平山三紀などの顔も見える。ラストは野川がママの座を沢井に奪われるといったもののようである。

盛り場仁義

前項の続きだが、里見浩太朗の日活作品のもう一つが「盛り場仁義」(70年)である。
前の二作品と違い、本作は監督も長谷部安春で日活俳優も数名、顔を揃えており、普通に日活の映画という感じである。
本作でも北島三郎が共演、それに三波伸介という珍しい組み合わせ。ちなみに北島と里見は同い年である。彼らに加え岡崎二朗、川地民夫らがヤクザを演じる。日活勢では二谷英明や沖雅也、杉山俊夫、梶芽衣子、丘みつ子、白木マリなど。
悪役に扮するのは、睦五郎、今井健二、そして里見同様に東映時代劇で活躍していた戸上城太郎といったところである。後は「ダイヤモンド・アイ」の大浜詩郎など。
北島三郎も基本映画は東映だし、岡崎二朗や今井健二は東映出身で、川地民夫や梶芽衣子は日活倒産後は、東映で活躍するしと、まあ全体的に東映色の強い作品だったりする。
ちなみに、里見浩太朗が東映を退社したのは69年のこと。しかし、「水戸黄門」や「長七郎天下御免!」など、東映制作のテレビ時代劇にずっと出ているせいか、ずっと東映の俳優であったようなイメージがある。
映画も本作の後はしばらくないが、78年に「水戸黄門」が映画化されテレビと同じ助さん役で出演している。

“人妻”より夜の掟/関東義兄弟

里見浩太朗といえば、若い頃は東映時代劇一筋のエースといったイメージがあり、東映以外の出演イメージがないが、実は日活作品にも顔を出している。
里見が映画で活躍していたのは60年代終盤までで、70年代以降は完全にテレビに活躍の場を移している。その映画出演最後の時期に日活作品に顔を出しているのである。
「“人妻”より夜の掟」(69年)は、日活で公開されてはいるが、出演者に全く日活の役者がいない外注作品(ニューセンチュリー名義)のようである。共演が北島三郎とか新井茂子とかやはり東映っぽい。辰巳柳太郎、加藤嘉、睦五郎なども顔を出している。ヒロイン役の藤田佳子は、後の作詞家悠木圭子で、他に山田太郎や「シルバー仮面」の途中で姿を消した松尾ジーナも出演しているようだ。里見の夜の盛り場映画というのは珍しいのではないだろうか。
「関東義兄弟」(70年)も、同じニューセンチュリー名義の作品で、里見、北島、辰巳に加え村田英雄と、やはり東映っぽい。日活からは唯一梶芽衣子が顔を出している。主演は村田英雄のようである。
もう一本あるが、それは次回に回そうと思う。

女の手配師 池袋の夜/私が棄てた女

前項の二作の他、この69年和田浩治の主演作がもう一つあった。「女の手配師 池袋の夜」である。まあ、「夜の最前線」シリーズとなんとなく似たようなタイトル・内容といった感じに思われる。
和田の他、郷瑛治、鈴木やすし、集三枝子らに加え、青江三奈や新人と明記されている高樹蓉子、そして若貴兄弟の母となる藤田憲子などが出演している。
「夜の最前線」シリーズと同時にスタートしたのが、小林旭の「女の警察」シリーズで、この時期の日活は、東映で梅宮辰夫がやっていたような役を和田浩治や小林旭がやっていたという感じである。後は、高橋英樹や渡哲也によるやくざ物路線ものが目立つ。
その中で目を引いたのが「私が棄てた女」(69年)という作品。主演が河原崎長一郎なのである。日活でなくても長一郎の主演作は珍しい。
原作は遠藤周作の小説で、近年でも舞台化されたり、97年に再映画化されている作品だったりする。
長一郎の結婚を控えた恋人が浅丘ルリ子で、他に加藤治子、加藤武、江守徹、佐野浅夫、大滝秀治、小沢昭一、辰巳柳太郎といったシブい面々が辺りを固め、露口茂が刑事役、そして長一郎がかつて「棄てた女」をこれが映画初出演となる小林トシエが演じる。原作の遠藤周作もノンクレジットで顔を出している。
監督は全部で九本しか撮らなかったことで知られる浦山桐郎で、浦山のイメージしていたキャストは長一郎と小林トシエではなく、小林旭と都はるみだったという。旭から長一郎って、180度変わったようなイメージである。
浦山は小林トシエを自宅で特訓したという。小林トシエは今も現役で活躍中のようだ。

夜の最前線シリーズ

新東宝に大蔵貢、大映に永田雅一と破綻した映画会社にはワンマン経営者と言われる人物がいた。じゃあ日活はといえば、社長の堀久作はやはりワンマンな人物だったという。
大蔵や永田のような俳優とのトラブルに関しては、日活からは表立って聞こえてこなかったこともあり、個人的には堀社長という人物については知らなかったが、日活が大映と同じ71年に一般映画の制作を停止したのも、この人の放漫経営による責任が大きかったようだ。
というわけで、日活末期あたりの作品について調べてみた。
そこで、和田浩治主演の作品が69年にもあったのを見つけた。15歳でデビューし当初は主演スターとして華々しかったが、数年で準主役的なポジションにおちつき、20歳を過ぎてから日活での主演作はなかったと勝手に思っていたが、久々の主演となったのが「夜の最前線」シリーズである。
シリーズといっても全3作で、和田の主演はこの年公開された2作。久々といっても和田は当時まだ25歳と全然若かった。
1作目が「女(スケ)狩り」で、和田の相棒に岡崎二朗と藤竜也、他に葉山良二、高品格、深江章喜、そして歌手の矢吹健、女優陣は佐藤サト子、久本有紀、橘和子というあまり馴染みのない名前が並ぶ。いずれも67~70年あたりに限って活躍していた人のようだ。他に70年代にテレビでよく見かけた高樹蓉子も顔を出している。
2作目が「東京女地図」で、和田、岡崎、藤、佐藤といった出演者は同じ。他にカルーセル麻紀、集三枝子、由利徹、大泉滉など。
3作目は71年に飛んで「東京(秘)地帯」。ここには岡崎二朗のみ引き続いて出演している。

悪名尼/蜘蛛の湯女

山本富士子や田宮二郎の大映解雇事件は、確実に観客数の減少につながっていた。
そして、大映にとって致命的ともいえる出来事が69年の市川雷蔵の死であろう。生まれつき腸が弱かったという雷蔵だったが、直腸ガンにより37歳の若さで逝ってしまう。これで、スターといえる存在が勝新太郎くらいになってしまい、倒産一直線を突き進むことになった。
大映末期に目立ったのは、男性では再デビューの峰岸隆之介(峰岸徹)や篠田三郎、女優陣では関根恵子、八並映子といったところ。
永田時代の大映最後の作品となったのは71年、大映東京が「悪名尼」、大映京都が「蜘蛛の湯女」という作品。
「悪名尼」はタイトルどおり尼寺が舞台だが、現代劇である。主演は八並映子で、桜井浩子が尼さんの役で登場。仲村隆、早川雄三、見明凡太郎、夏木章といった大映おなじみのメンバーも顔を見せている。
「蜘蛛の湯女」もタイトルどおり江戸の湯女が主人公。主演は川崎あかねで、他に笠原玲子、横山リエ、田中真理、常田冨士男らに加え、大映時代劇おなじみの伊達三郎、伊吹新吾(現・伊吹剛)、そして川崎の復讐相手に地井武男という顔ぶれだった。川崎あかねは本作が初の主演であった。70年代はテレビで活躍し、時代劇やアクションドラマによく顔を出していた。現在も現役で活躍中である。
ここ一月くらい大映関連を追ってきたが、それにしても、大映に所属・関係していた俳優たちは、悲劇的な死(自殺、早逝など)を迎えた人が多かったように思う。