今日は、抗がん剤治療の影響で清潔隔離されたときのことを
書いていきます。
terubo86の、なかなか情けないジタバタぶりをお楽しみください。
第1回目の抗がん剤治療は、比較的順調に進んでいました。
吐き気も少しずつ落ち着き、食事もようやく口にできるようになってきた、治療開始から3週目のことです。
その日の血液検査の結果を見た主治医が、
淡々とこう言いました。
「teruboさん、白血球が基準値を下回っています。
感染しやすい状態なので、今からクリーンルームに
移動してもらいます」
元気になってきた実感があっただけに、
頭の中は「え?」でいっぱいでした。
数分後、「部屋の準備ができました」と、
看護師さんが数人やってきました。
入院道具一式が台に乗せられ、私もろとも移動です。
案内されたのは、クリーンルームと呼ばれる個室。
トイレ、バス、空調完備。
ベッドは頭元から清浄な風が吹き出す、ちょっと大きめサイズ。
……寝相が悪くても、さすがに落ちそうにありません。
荷物を適材適所に配置すると、看護師さんたちは一斉に
部屋を出ていきました。
広い病室に、私ひとり。
さっきまで感じていた病室の温かさは、どこにもありません。
ポツンと取り残された感覚でした。
「体は回復してるし、元気なんだけどな……」
そんな、いかにも素人なことを考えていると、
担当の看護師さんがやってきました。
マスク、帽子、手袋、エプロン。完全装備です。
「あ……本当に隔離されたんだ」
そう思った瞬間、じわっと寂しさが押し寄せました。
入室したのは10時過ぎ。
検温が終わると、看護師さんは必要な時以外入ってきません。
病棟の端にある部屋なので、人の気配もなく、とにかく静か。
「誰か来ないかな……」
少し期待してみましたが、誰も来ません。
じゃあ昼寝でも、と思うのですが、静かすぎて眠れない。
落ち着かない時間だけが過ぎていきます。
昼食の時間になり、配膳されました。
ごはんに煮物、そして――
「あっ! フルーツ付きだ!!」
リンゴです。
どれから食べようかと考え、「リンゴは最後のお楽しみ」
と決めて箸を進めていると、
ガラッ。
「teruboさん! よかった~! まだ食べていませんでしたね」
看護師さんがそう言うなり、リンゴの皿をスッと持ち上げました。
「あ……やっぱりね」
「先に食べときゃよかった……」
そう。
白血球が下がり、感染しやすい状態の私は、生もの禁止。
運び出されていくリンゴを見送りながら、心の中でつぶやきました。
「せめて、コンポートとか……ないのか?」
楽しみを一つ奪われ、ひとりで食べる昼食は、いつも以上に味気なく感じました。
そこから夕食までの時間が、とにかく長い。
いつもなら、あーだこうだと他愛もない話をして笑っていた
先輩方がいません。
昼寝しようとしても、やっぱり眠れない。
静かすぎるのです。
「誰かが一緒にいる」
それが、どれだけありがたいことかを、しみじみ感じました。
ところでこのクリーンベッド、頭元から足元に向かって
清浄な空気が流れる仕組みなのですが、これがまた冷たい。
最初は「気持ちいいな」と思ったのですが、横になると体温を奪われる感じがします。
頭が冷える。肩も冷える。寒い~!
午後の検温時に看護師さんに相談しましたが、
特にこれといった解決策はありませんでした。
こうして迎えた、隔離初日の午後。
人とほとんど会うこともなく、心細さだけが募っていきます。
「これが1週間続くのか……」
正直、気が萎えました。
やがて夕食の時間。
ガラガラと配膳車の音が近づきます。
トントントン。
「お食事です」
……あれ?
どこかで聞いたことのある声。
くすくすと笑い声も聞こえます。
ドアが開くと、そこにはお膳を持った看護師さん。
その後ろに――複数の人影。
先輩方が、看護師さんの後ろで手を振っていました。
「うれしい」
そう思った瞬間、視界がにじみました。
看護師さんが言いました。
「直接お話ししない、という約束で、皆さんをお連れしました。
しっかり食べて、血液データ改善しましょうね」
看護師さんが退室し、ドアが閉まるまで、
先輩方は無言で手を振ってくれていました。
そして、ドアが閉まった瞬間、
「頑張って!」
「早く戻ってきて!」
口々にエールが飛んできます。
それまで「一人で耐えられるかな……」と
弱気になっていた気持ちが、一気に吹き飛びました。
元気と勇気が、胸の奥から湧いてくるのを感じました。
「早く戻ろう」
そう、心に決めました。
そして三日後。
血液データは改善し、無事に元の部屋へ戻ることができました。
先輩方が「おかえり~!」「はやく帰れたね。」と声をかけてくれました。
私の心と体は、一瞬にして温かさに包まれました。
隔離生活は短いものでしたが、
「一人になることのつらさ」と「人の存在のありがたさ」が、
強く心に残る出来事でした。
___とはいえ、これはまだ始まりにすぎません。
抗がん剤治療は、この後第2回戦、第3回戦と続きます。
そして、心も体も想像していなかった展開を見せていくことになります。
第8章では「第2回戦から第3回戦」のできごとについて、書いていきます。
🕊️ teruboのひとこと
今、不安や迷いの中にいるあなたへ。
どうか自分を責めずに、
「ジタバタしている自分も悪くない」
そう思ってください。
そのジタバタこそ、あなたが“生きようとしている”証です🌈
生命力を改善する方法
太陽の光を浴びる。
朝起きたら3分間窓際で、朝日を浴び深呼吸しましょう。
曇っていてもカーテンを開け、朝の光を感じましょう!
1日3回以上笑いましょう。
できれば、声を上げて笑いましょう。
笑えない時は、鏡を見ながら笑顔を作ってみてください!
📖これまでの記事
🩺 第1章:告知の日、心が止まったあの日
💧 第2章:手術に向けて、涙と覚悟のあいだで
🌸 第3章:退院の日、思わぬ“自由”の重さ
🔥 第4章:抗がん剤治療に向かうジタバタな日々
🌈 第5章:抗がん剤治療開始の日。心の中で起きた小さな変
化
第6章:抗がん剤治療が始まる カーテンの向こうから聞
こえたエール
第7章:抗がん剤治療中、隔離される(←今ここ)
次回は
👉「2回戦から第3回戦までの、ジタバタteruboのお話」
をお届けします。どうぞお楽しみに💖