
3件目のドクターヘリ
飛び上がるとランデブーポイントはパーキング.患者情報を運航管理室に確認すると,「高速道路上の事故.傷病者3名」.日没を考えると現場活動時間は20分が限度です.ドクターヘリには医師2名,看護師1名が搭乗しています.傷病者の数を考えると十分に対応可能と判断します.飛行中,消防本部と無線を通じて情報共有を行います.すると「傷病者4名.重症2名をヘリ搬送してください」.傷病者が1名増えてます.また飛行時間を考えるとヘリで搬送可能な人数は1名です.「ランデブーポイントで傷病者をトリアージして搬送順位,手段を指示します」.TECCMCから約15分でランデブーポイントのパーキングエリアに到着です.と同時に救急車が3台順次到着します(写真).番匠谷先生,小生と手分けしてトリアージ.赤(重症)1人,黄(中等症)1人,緑2人と判断します.重症対応は番匠谷先生,中等症の継続対応は森田看護師に任せて,小生は消防の現場責任者と搬送手段,順位,搬送先について協議します.赤の傷病者は瞳孔不同が出ており,急ぎます.ヘリで直近の救命救急センターへ搬送とします.緑の2人は子供で,赤の傷病者の家族.分散搬送が原則ですが,子供,家族を考慮し救急車で同じ救命救急センターへ搬送です.ここまでは非常に速やかに決定です.ヘリは日没ぎりぎりで豊岡に帰ってこられる時間配分です.番匠谷先生,森田看護師をヘリに乗せ,フライトです.責任者は最後まで現場に残る必要もあり,小生は黄の傷病者の救急車搬送を担当します.初めてヘリを現場から見送りましたが,頼もしいもんですね.しかし,黄の傷病者の搬送先がなかなか決まりません.多数傷病者の旨伝えても,多忙,専門外などの返事です.病院が多くなると地方も都会も変わりませんね.病院交渉に時間を要することほど,無駄なことはありません.3件目で何とか受入可能の返事をもらって出発です.搬送中,継続観察,詳細観察を施行しつつ約20分の陸送で病院着.担当医師に引継を行って,外に出るともはや日は沈んでおりました・・・ちなみにヘリは無事日没までに豊岡に帰ってこられたようです.さて,豊岡から約80kmほど離れた地(小生の故郷なのですが)で,どうやってセンターに帰ろうか思案します.もはや電車(こちらでは汽車といいます)はありません.山陰はもう少し公共機関を便利にして欲しいものです.あらためて実感します.病院に連絡をとり,規定通りの手段で何とか豊岡にたどり着きました.22時・・・長い1日でしたが,振り返ると本事案も消防覚知同時要請で,事故発生から25分以内に医師によるトリアージ,治療が開始されていました.消防の的確な判断が,ドクターヘリの有用性を最大限に引き出します.優秀な消防に支えられ,それに応えられるよう我々も成長していきたいと思います.
本日のドクターヘリは盛り沢山な内容であったため,2編に分けて記載しました.
小生がセンターに帰ってくると,虫垂炎に手術はきっちりと終了していました.小生の判断で休みを返上し呼び出された岡先生と幸部先生ががんばってくれました(岡先生,毎回ありがとうございます).信頼出来るメンバーがいると各々の仕事に集中できます.
思い描く救命救急センターに一歩一歩ゆっくりですが近づいているのが実感できます(完成型はまだまだ先ですが).






