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本日はドクターヘリ運航2ヶ月目の日です.初療も歓迎ムード満載で,朝から救急車,ドクターヘリ搬入がひっきりなしでした.外傷症例の血管造影も行い,日勤担当の岡本先生,研修中の吉山先生,休日出勤の幸部先生,明けの番匠谷先生で何とか対応することが出来ました.ICU, HCUは岡先生,三浦先生がしっかり守ってくれました.本日も本当にお疲れ様でした.思い起こせば2ヶ月前の今日,9名の救急医でこのセンターを本格稼働させ始めました.足元を固めながら,少しずつ前進していきましょう!
本日のドクターヘリ
1件目 交通外傷(乗用車 VS 乗用車)
朝一番の要請です.乗用車同士の事故です.傷病者は何名?情報の少ないなか,約10分のフライトで現場上空に着きます.田園風景に不似合いな事故現場(写真),乗用車が2台田んぼに落ちています.重症外傷の情報もあり,現場直近の河原に着陸することとします.着陸直後,現場から数十秒で救急車がやってきます.患者さんは?意識は朦朧で「腰が痛い・・・足が動かない・・・」と呻かれます.呼吸促迫,橈骨動脈も微弱です.やばい!末梢ルートを2本確保し初期輸液を開始.加圧バックを用います.FASTは?脾腎境界が何だかあやしい・・・腹腔内あるいは後腹膜の出血が疑われます.約1000mLの輸液で循環が立ち上がってきました.重症外傷なのでTECCMCへ搬送です.救急覚知から30分以内に外傷初療を開始,受傷から1時間以内にセンター搬入です.救急車であれば1時間以上搬入にかかります.ヘリが有効に活用された事案です.TECCMC搬入後,腎破裂,胸椎脱臼骨折,外傷性大動脈解離などの損傷が判明し,血管造影などを施行し安定した状態でICUへ入室されました.ドクターヘリと救急医,外傷医の存在が重症外傷の患者さんの生命予後を改善し,後遺症を軽減します.
2件目 意識障害
仕事中に突然倒れたと救急覚知同時要請です.ランデブーポイントは小学校の校庭です.ドクターヘリが救急車より早く現場上空に到着します.ならばランデブーポイントで救急車にピックアップしてもらって現場に行きましょう!小学生達が見守る中ヘリは校庭に着陸,本日のペアの倉橋先生,濱看護師と速やかに救急車に乗り込みます.救急車には顔見知りの救命士さん.心強いです.ランデブーポイントから約3分で現場です.患者さんはまだ倒れたまま.しかし意識は回復しています.現場で初期治療を開始し,救急車でランデブーポイントまで搬送します.TECCMCへ搬送です.救急車では片道40分,ヘリでは5分.こんな形の活動で医療介入までの時間が大幅に短縮します.
3件目 胸痛
2件目を搬入した直後に要請です.持続する胸痛.1分1秒を争います.心臓カテーテル治療が速やかに出来る病院へ,予め搬送の打診をしながらランデブーポイントへ.ちょうど救急車も到着です.患者さんはまだ胸痛が残っているようです.心電図は?どうやら急性冠症候群が強く疑われます.病歴などを確認すると,当院受診歴と受診の予約もあり.初療の受入状況とICUのベッド状況も厳しいものがありますが,TECCMCへ搬送とします.予め受入を打診していた病院にお断りとお礼を伝えつつヘリ搬送です.
4件目 交通外傷(原付バイク VS 乗用車)
1件目と同じ消防本部からの要請です.ヘリ要請も迅速かつ適切です.我々の欲しい情報を的確に伝えてくれます.約10分のフライトでランデブーポイント到着.直後に救急車も到着です.救急覚知から外傷初療開始までが本当に早い地域となっています.患者さんは呼吸,循環は安定していますが,頭部外傷の疑いがありTECCMCへ搬送です.
2ヶ月で162件の出動をさせていただきました.要請はこの出動件数よりもっと多いです.重複要請,天候によるキャンセルなど応需できないこともありますが,今後もこの地域の救急医療発展,救命率向上を目指して努力いたします.どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます.