数年前、ADHDの生徒が来た時は、
お母さんはそのことを隠していた。
隠すから凄く苦労した。
「集中力がなくて言葉遣いが悪くて…」
しか言わないから、
彼の攻撃的な言葉遣いで、
生徒同士のトラブルに発展するの防ぐしかなかった。
とにかく周りの生徒にちょっかい出して
「テメェ、そんな問題も出来ないのかよ」
「頭悪いな、受験する意味あんのかよ！」
って中学受験の生徒に熾烈な言葉を投げて笑っていた。
そのうち、
机にカバンを置くとき
とんでもない大きな音を立てるし、
注意すると食ってかかってくる。
そのくせ、人の大きな音には敏感だ。
先生方にも
「テメェ、大学どこだよ。教え方最悪だな」
って言い出すので、
お母さんを呼んで話を聞いた。
「自閉症スペクトラムです」
って言われたから納得した。
お母さんの口から、
「障害です」言って貰えれば
こちらが対応出来るか出来ないかの問題だけ。
問題はないので、その後も彼は塾に来て、
小6の中学受験の生徒に悪態をついていた。
小6の受験生は、まだ、小5だった彼に、
「君の事は嫌いじゃないけど言葉遣いが酷すぎるよ。僕は馬鹿なのはわかるよ。だから塾に来てるんじゃないか」って言うと、
「お前、俺のこと嫌いじゃないのかよ」
って言い出した。
彼は、
どうやって人と接したらいいのか
どうやって友達と付き合うのか
距離感がわからないでいた。
「馬鹿とか言わなきゃいい奴だよ」
って言うと、
「もう、馬鹿とか言わないよ」
って約束していた。
しばらくしたらまた、
小6の中学受験生に対し、
「テメェ、頭の中空っぽかよ」
って言い出した。
「なんでテメェっていうのかな？
人に向かってテメェは良くないよ。
直した方がいいって言ったじゃないか！
僕は受験をしなきゃいけないんだよ。
君に構っていられないんだよ。ごめんね」
って謝った。
冷静に話せばわかってくれる。
彼はしばらく考えて
「俺の方こそごめん」って謝っていた。
全てのADHDの子どもに
当てはまるとは言えないけど、
ゆっくり丁寧に話すとわかってくれる。
ADHDの生徒は
理解力はあるし語彙力もある。
彼が中学の時、
この生徒と社会の授業をしていたら
「最高裁判所があって
最低裁判所はないんですか？」
と聞かれて大爆笑した。
そして、最低裁判所がなぜないのかを2人で議論した(^^)
私は、彼から
「テメェ」とも言われないし、
「クソ」とも言われない。
私は彼を尊敬していて、
彼を信頼している。
私は彼にいろんなことを相談する。
「こんな生徒がいるけど
どうしたら成績が上がるかな？」
って彼に相談する。
彼は最初は、
「そんな奴、ほっとけばいいよ」
って面倒くさそうに言っていた。
でも、私が何度も
「こんな場合はどうすればいい？」
「こんな時は何て言えばいい？」
って彼に聞くから彼も真剣に考えてくれる。
彼は、頼られると喜んだ。
ADHDの生徒は、
・具体的に言えばわかってくれる。
・主語を必ず言う。
・文章を短く区切る。
・突然の変化が苦手。
・一緒に笑う。
・自分が困った時、私にトントンと人差し指で私にサインをするように約束している。
そして、一番大事なことは、
必ず「認めてあげる」こと。
「よくできたね」「上手になったね」
「偉いね」と褒めるより、
「書き順も正しく書けるようになったね」
「こんな難しい計算出来るようになったんだね」
「持ってきてくれてありがとう」
「◯◯を◯◯してくれて助かったよ」
ありがとうと助かったよと
声をかけて認めること。
中学生になった時、
彼はTwitterを始めた。
140文字の投稿を楽しんでいた。
そして、
全日制の高校に合格した。
国語と社会は出来るけど、
数学と英語が出来なくて悪戦苦闘したいた。それでも彼は高校を卒業して就職している。
社会と大人が理解すればいいだけ。
ただそれだけ。
ナリ心理学 ブログ
では、また。
＊12月7日募集のセッションは、
おかげさまで満席になりました。
ありがとうございました。
また、次回お会いしましょう。
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