公的サービスをフル活用、子供は時間や手間をかけずにマネジメントに徹する 距離を置くことで良好な親子関係を維持
2024.05.19 07:01
週刊ポスト
親の介護では、子が寄り添って、手間も時間もかけて責任を持つべき――そうした考え方が当たり前と思っているなら、立ち止まって考えたい。使える制度をフル活用して、できる限り“プロである他人”に任せる。そんな「親不孝」に見える介護こそが、実は親にとっても子にとっても、望ましい選択肢である可能性が高いからだ。
距離を置いて“いい関係”に
親が介護を必要とする時期に差し掛かり、「そろそろ同居や実家近くへの引っ越しを準備しないと」と真剣に考える人は少なくないだろう。
厚生労働省が発表した最新の推計によると、16年後には65歳以上の高齢者の3人に1人が「認知症」か、その前段階の「軽度認知障害」になる。2030年には、仕事をしながら家族の介護に従事する「ビジネスケアラー」が約318万人になるとの推計もある。高齢の親を抱えていれば、介護がいつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない。
そうしたなか、介護関係者の間で注目されているのが、「親不孝介護」という考え方だ。提唱者のひとりであるNPO法人となりのかいご代表理事の川内潤氏が語る。
「公的介護サービスなどをフルに活用して、子が時間や手間をかけずにマネジメントに徹する介護のやり方です。他人からは“親不孝”に見えるかもしれませんが、むしろ距離を置くことで良好な親子関係が維持され、お互い穏やかに生活できる可能性が高まるのです」
一般的に、子が親の近くにいて面倒を見ることが「親孝行」と考えられてきたが、川内氏は共著『親不孝介護 距離を取るからうまくいく』などを通じて、それが誤った認識であると訴えている。
「子が親の近くにいると、自力でなんとか親の心身を衰える前の状態に戻そうとして、外部の力に頼れなくなる。そうすると子にも親にも大変なストレスがかかり、家族が衝突したり共倒れになったりする危険性が高まります。親への思いが強まって一生懸命に介護するあまり、子の生活が壊れ、ついには親に憎しみまで抱いてしまう。そうした“親孝行の呪い”を解くのが、親不孝介護という考え方です」
親孝行のつもりで介護に励んで不幸になるケースも
早い段階で「地域包括支援センター(以下、包括)」などに相談することが重要だが、それをせずに親孝行のつもりで介護に励んでかえって不幸になるケースは少なくない。都内に住む50代男性が声を落として語る。
「父の死後、ひとり暮らしをしていた母が認知症を発症したんですが、症状が次第にひどくなって何度も警察の世話になったので、妻とまだ幼い子を自宅に残し、週末や祝日は実家に泊まり込んで介護をしていました。仕事を続けながらです。
ただ、ワンオペの育児となる妻の理解が得られず、『あなたは父親でしょ』と詰め寄られることがありました。私も介護のイライラから妻と衝突することが多くなり、ついには離婚届を叩きつけられました」
こうした事例は枚挙に暇がないという。数々の悲惨な現場を見てきた川内氏はこう言う。
「介護をひとりで担った娘が自分の貯金を使い果たしてしまうケースや、しつけが厳しかった親が認知症になりルールを守らなくなったことにショックを受け、子が親に暴言を吐くようになった例があります。
介護離職して実家近くに引っ越して転職したものの職場になじめず、『親のせいでキャリアを失った』と逆恨みして親に暴力を振るうようになった子もいます。これらはすべて、親との距離が近いがゆえに起こった悲劇だと思います」
親の介護では、子が寄り添って、手間も時間もかけて責任を持つべき――そうした考え方が当たり前と思っているなら、立ち止まって考えたい。使える制度をフル活用して、できる限り“プロである他人”に任せる。そんな「親不孝」に見える介護こそが、実は親にとっても子にとっても、望ましい選択肢である可能性が高いからだ。
距離を置いて“いい関係”に
親が介護を必要とする時期に差し掛かり、「そろそろ同居や実家近くへの引っ越しを準備しないと」と真剣に考える人は少なくないだろう。
厚生労働省が発表した最新の推計によると、16年後には65歳以上の高齢者の3人に1人が「認知症」か、その前段階の「軽度認知障害」になる。2030年には、仕事をしながら家族の介護に従事する「ビジネスケアラー」が約318万人になるとの推計もある。高齢の親を抱えていれば、介護がいつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない。
ーーーーーーーーーーーーー
「ビジネスケアラー」と「ヤングケアラー」の併存で日本は益々「後進国化」
こんな時こそ「れいわ新選組」と「日本共産党」を中心とした与党形成の時代である。