加山雄三に学ぶ「終の棲家」の選び方 大スターもケアハウスに住む時代 | みんなの事は知らないが、俺はこう思う。

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連日の熱帯夜が続いていた8月末の夜、加山雄三(83才)が「誤嚥」で救急搬送された。救急車が駆け付けた東京・中央区のマンションは「自立型ケアハウス」と呼ばれる施設だった。介護施設よりも自立した生活ができ、主な家事は生活支援スタッフがサポートしてくれるため安心感があると人気だ。


 昨年11月に脳梗塞を発症した加山は、それを機に東京・世田谷の豪邸からケアハウスへ転居。最近になって再び同居し始めた妻と「ここが自分たちの“終の棲家”だね」と話していたという。


 ケアハウスとは軽費老人ホームC型とも呼ばれる施設で、低額で高齢者が入居でき、介護サービスを受けながら個室で生活できる。今や大スターであってもこうした施設を選ぶ時代なのだ。


 生き方の多様化、高齢者の数の増加から、近年の「終の棲家」に対する価値観はじつにさまざまだ。高齢者住宅アドバイザーで「シニアの暮らし研究所」代表の岡本弘子さんが言う。


「『終の棲家』という言葉が広く使われ始めたのは、ひとり暮らしの高齢者の増加が顕著になってきた10年前くらい。ここ数年の『終活ブーム』が起こってからは、誰でも知っている言葉になりました。人生100年時代が当たり前になり、長い老後を自分らしく生きたいと思う人が増えたことで終の棲家も人それぞれのものに変化しています」


昔は、よほどの事情がない限り、住み慣れたわが家で晩年を過ごし息を引き取ることが理想であり、スタンダードだった。しかし最近は、子供が独立したり、定年退職したタイミングなど、ライフスタイルに合わせて住む場所を変えるという考え方が主流になりつつある。

 
「いまでも、自分の家を終の棲家にしたいという意見は多いですが、仮に全面バリアフリー化したとしても、元の家の構造によっては介護がやりにくいことがあります。『施設』と聞くと窮屈で暗いイメージを抱く人もいますが、高齢者住宅はどんどん進化していて、自由度の高い施設も多い。年齢と段階に合わせて終の棲家を移していくという考え方は、これからの時代の常識になるでしょう」(岡本さん)

 立地や子供との距離感など、終の棲家選びには検討すべきポイントがいくつかあるが、まず考えてほしいのは「これからをどう生きたいか」だと岡本さんは指摘する。

「具体的に毎日何をしたいのか、自分の楽しみはなんなのかを考えてください。そして、考える気力があるうちに準備してほしい。いざというときになって、家族や他人に言われるまま終の棲家を決められると、後悔が残るかもしれません」

※女性セブン2020年9月24日・10月1日号