前回書いたように、聴く音楽でなかなか前向き系のものを選べずにぐずぐずだらだらしてる時、ふとこのアルバムを聴きました。

The Strokes のデビューアルバム、 "Is This It ?"
$ノスタルジックなノイズたち

はっきりとギター2本とベースとドラムス、そしてボーカルだということがわかる、シンプルな構成なんだけど、不思議なバランスのよさ。

カラっと乾いた、陽性のロック。
これ聴いて暗い気持ちになるのは難しいです。

ジュリアン・カサブランカスのボーカルが良い。
ボーカルはこのファーストがダントツでよい。

サードアルバムあたりになると、自分達にフィットしきれない印象の曲もあり、無理に曲調の幅を広げようとしているのが若干気になります。
これも、いいアルバムではあるんですけどね。


というわけで、今のところ、彼らのベストはこのファーストだと思います。




今、自分に必要なのは、弱気な閉塞感を潔く、軽やかに打ち破ってくれる何か。
このアルバム聴くと、前向きに一歩前進した気になります。

前にも書きましたが、東北が復興に向けて動き出すための、日本がもとの活力を取り戻すための重要なエンジンになるのは、被災しなかった、被災度が軽かった人たちの前向きな気持ちと、消費行動です。

そのふたつが、日本の血流になるのです。
ボランティアも大切だけど、ボランティアだけが僕らにできるすべてじゃない。

時間はかかるかもしれないけれど、 Ready To Start でいたいものです。
そのためにも、閉塞感は打ち破っておきたいな。


どうも最近聴く音楽の傾向に偏りが出てきてます。

まず聴こうと思わないのが、ダーク感が強い音楽、ローファイで音が粗い音楽、脳天気な音楽、無機質な音楽。

優しさや弱さをどこかに抱えた音楽を求めてる気がします。
それも昔よく聴いた音楽への回帰が目立ちます。

厳しい現実からの逃避現象なのかもしれない。
音楽という揺り籠で休みたいのかもしれない。

震災に伴い起きたさまざまな事に打ちのめされ、疲労が蓄積する中、より厳しい現実と向き合わないければならない仕事と生活。

若い時は感じなかったけど、守らなければならないものが増え、責任を負わなければならないことが多くなると、この2週間で起きた状況はやはりしんどかった。

心がリハビリのために求めているような気がします。

例えば、 Genesis の元ギタリスト、 Steve Hackett のソロ一作目 "Voyage Of Acolyte"
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Peter Gabriel が脱退し、存続の危機に陥ったGenesisを支えた職人気質の男。
おそらくキーボードのTony Banks との折り合いが悪く、この人もそれから2枚のアルバムをリリースした後、脱退したのでした。

そしてリリースしたソロ1作目がこのアルバム。
自分がやりたかった音楽でしょう。しかし、Genesisの世界観に相当近いですね。
いかに彼がGenesisサウンドの要の一人だったかがわかります。
彼が抜けてから、Genesisのサウンドはかなりシンプルでポップな方向に振れました。

そして、ゲストミュージシャンとして、Genesisからフィル・コリンズとマイク・ラザフォードが参加してます。つまり、トニー・バンクスを除く全員ということ。
その他にも、マイク・オールドフィールドの妹のサリー・オールドフィールドがボーカルで参加してたり、内容は英国プログレそのものという感じです。

強い日の光とか抜けるような青空などとは縁のない、屈折した光の曇天といったイメージの、まさしくイギリスの天気のような彼の音楽。

でも今の自分には、安心して聴ける音楽。

美しいインストゥルメンタル。まるで初期Genesisのよう。


サリー・オールドフィールドが参加する、明と暗のコントラストが素晴らしい曲。


いやあ、懐かしいなあ。
完全な個人的趣味ですけどね。

やっぱり、昔好きだったアルバムを聴き直すってのも、音楽の醍醐味だし、心の財産。
前向きな行動かどうかは別にして、そこに戻ると確実に心が癒されます。

たぶん、今の自分には必要な行為なんだと理解してます。

音楽を聴く気持ちは出てきても、新しいものを追求していくエネルギーはまだ十分に出てきているとは言えませんね。

ところで、どうにも馴染めなかったのが、この人のジャケットセンス。
奥さんのキム・プーアのイラストを使ってるんですが、このアルバムだけではなくどのアルバムも、ちょっとキモいものが多くて。



旅の記憶。

20年ちょっと前の初夏、僕は気仙沼から宮古、釜石を旅していた。
リアス式の緑豊かな海岸線は山が直接海に没しているかのようだった。

去年の秋の日、僕は仙台南部有料道路を東に向けて走っていた。
彼方には光る海が見え、その手前には荒浜地区の平野が拡がっていた。

景色が、脳裏に焼き付いている。
人々が暮らしていた景色が。

なぜか、このアルバムを聴くたびに、あの景色たちが思い出される。
アルバムが発売されたのは最近だというのに。

R.E.M.Collapse Into Now
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Collapse Into Now というタイトル。
常に困難を乗り越えることをテーマとして音楽を創ってきたグループ。
何かを慈しむように歌う、マイケル・スタイプ。
そしてこのメロディ。

心の奥底にある、何かを強烈に揺さぶる。
なぜか途方もなく悲しい気持ちが湧きあがる。

鎮魂歌なのだろうか。
鎮魂する波動がこのアルバムから出ている気がしてならない。





この前の記事で、震災後の心にこの曲が沁みると書いた。
ニューオーリンズの被災者に対して歌ったものらしい。


このアルバムを聴くたびに、2011年3月11日の記憶、津波がもたらした想像を絶する惨状を思いだし続けるのだろう。

やり残したこと、心残りなこと、たくさんの想いや記憶とともに、大津波の中に消えて行ったたくさんの命。

どうか安らかに眠ってください。


日本に活力を、とか言っておきながら、自分は委縮してるような状態ではいけないし、少しでも、少しずつでも気持ちに元気が出たり、前向きにになれるお手伝いができるのであれば、と思い、ブログを音楽中心の元の状態に戻します。

この記事は震災前にほとんど書き終えていたものなので、言葉づかいや心持ちが妙に軽々しかったりしますが、あえてその時の気分を残しました。
そのあたりはご容赦を。

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不思議とリピート率が高い音楽があります。
去年のベストアルバムに選出したのがリピート率高いのは当たり前として、そこには入らなかったけど、けっこう気に入ってるアルバムの中でベスト10にも増して聴き続けてるのが、
Belle & Sebastian "Write About Love" 。

やはり季節的なものもありますね。
穏やかな春の日差しや、暖かさが感じられるようになった空気感。
その中では、穏やかな気持ちになれるものが聴きたい。

最近ご紹介した Papercuts もその方向性だし、もうひとつお勧めがこれ。

Math And Physics Club のセカンドアルバム、 "I Shouldn't Look As Good As I Do"
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USはシアトルのインディです。
レーベルはMATINEEで、これは彼らのセカンドアルバム。
ジャケット写真からは、3人ともメガネをかけて若干ヤボったい雰囲気。
グループ名だけではなく、いかにも理系の大学生という雰囲気ですけどね。

実はかくいう僕も理科系の出身です。
今やってる仕事は理科系とはまったく関係ないですが。
妻からは、あなたは明らかに理科系だとよく言われます。
理屈っぽいところや、発想が理科系なんですと。。

昔、大学の研究室にいるいかにもな理科系オタク達に違和感を感じて、進む先を変えた身としては釈然としませんけどね。

このアルバムが、実にいい雰囲気。
曲によってはThe Smithに似てたりするものもあって、素朴な中にキラリとしたノスタルジーを感じます。

クリアな響きのギターを中心に、音を詰め込み過ぎない空気感がよいです。

ギラギラしたところがなく体温が低めで、いかにも草食系のインディという感じ。







一曲がとっても短くて、そんなに曲数が入っていないので、本当に春風のようにさらっと吹き抜けて行くようなアルバムです。

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本当なら心地よく感じるはずの春の風ですが、自分たちですら心地よさを感じにくい。
まして、被災地の方々は春の訪れなど感じている余裕はないでしょう。

来年の春は、1年経ったのだという思いとともに、また春を迎えられたという喜びを少しでも感じることができるようになったら、と思います。


できるだけテレビを見ないで暮らしてます。

節電ということもあるけれど、一時期のテレビ映像は自分のエネルギーを吸い取っているかのようだったので。


今リアルタイムで見続けることがはたして必要なのか。

緊急地震速報は役に立つ場合もあるけど、携帯でもわかるじゃないか。


自分の生活ペースを取り戻すには、脅迫されているかのようなテレビ番組からは離れていることが必要だと思いました。


気持ちもカラダも委縮してしまっています。

消費意欲も後退してしまっています。

極端にいうと、生き延びるために必要なもの以外は、買う気持ちがなかなか起きません。


おそらく、関東以北の人たちは、そう感じる人が多いのではないでしょうか。


もちろんこの現状においては仕方がないことですが、日本のためには決して良いことではありません。


経済が回り、景気を維持するためには、企業と個人の活力が絶対に必要です。

個人では、消費支出ですね。GDPでも大きな要素を占めます。


アメリカなんて、個人消費が国を回していると言って過言ではないほど、大きなポジションを持っています。


単純化して言うと、個人の消費支出を落とす大きな要因は、収入減と貯金です。

みながお金を貯めようとすると、支出を抑えようとしすぎると、個人支出が低下し、経済の活力を奪い、日本の活力を奪うことになります。

今後、東北の復興に政府が大きな予算を使うことが、経済の活力源のひとつにはなるでしょう。

企業も生産体制を整え直し、特に新興国相手の輸出を中心に活動が戻ってくるでしょう。

しかし、政府と企業と個人の3輪のひとつである、個人消費が落ち込んだままだと、日本のGDPは落ち込んでいく危険性があります。


東北で震災に見舞われた方たちはもちろん、関東以北に住む人たちには、気持ちの余裕がまだありません。

計画停電がもたらす、心理的な物理的な障壁も大きい。

スーパーには人が詰めかけるけれど、デパートなんてガラガラです。

夜の銀座も、あり得ないくらいの閑古鳥。


徐々に回復してくるとは思うけれど、やはり時間がかかりそうです。


だからこそ、関東以西の、関西や中部、中国地方、九州、四国にお住まいの皆さん、この個人消費という、経済の活力を維持するために、ぜひとも、日本の活力を担うと思って、消費行動を落とさないでいただきたい。


関東以北の活力が戻るまでの、日本経済を回す重要なエンジンだと思って、燃料を入れ続けて欲しい。


よろしくお願いします。