そうだ、鎌倉に行こう
ゼミで学生と話していたら、鎌倉でバイトをしているゼミ生が「人が減りました、来るなら今がチャンスですよ」という。
例の事件で国内の観光地が軒並みガラガラというが、実際のリアルな声をきいたので、近々行ってみるつもり。
皆さんも、これがチャンス、ということと、国内観光地応援という2つの意味で行くべきですね。
こういうエアポケットでもないと国内観光地に行けない、というのは明らかにインバウンド政策の反映で、そうでもしなければ食っていけない日本、というのも情けないの間違いないのだけれど。たまには国内で財布のひもを緩めようじゃないの。
首長選はなぜ必要以上に激しくなるのか
ある市長選に関連して「今回の市長選は汚い文書が飛び交い、血みどろなのが嫌だった。なんでこうなっちゃうんだろう」という趣旨の発信を見た。
これはもう、明々白々で、公共的な意思決定とか政治の世界は勝者総取りという面があるからこそ、調整力が必要だよ、とPIERSONは言っている(さらに、「再選を目指す政治家、クーデターを企てる者、ロビイストは、勝つか負けるかのどちらかであり、法案は可決されるか否決されるかのどちらかである」と重ねている)んだけど、これが首長選が血みどろになる要因なんだよね。勝つか負けるか、というゼロサムの世界。
だから血みどろのバトルをしている様子を嫌だな、とは思っても、彼らを嫌いにはならないで欲しい。制度がそうさせるのである。
そういう振る舞いになるように制度が仕向けているのだから。人ではなく、制度がそういう制度なのである。
大選挙区の議員選は、もちろん過半数を取る、という意味では資源配分を考えると勝者総取りなんだけど、いろいろ組み合わせもあるので、必ずしもそうではない。だから緩い。
衆議院議員選挙も、1人区の選挙区のみで比例復活がなくなれば血みどろの度合いは高まる。自民と維新の議員はそれを正確に理解しているだろうか。むしろ、ゾンビとかやめて、全部比例、という方法もあるのだけど。たまたま世襲で強い人がいたら、そこは仮に本人がクソでも味噌でも半永久的にその家の陣地になる、という制度はやはり、しんどさがある。ましてやその地域から企業と人が流出し、寂れ切っているとしたら、お笑いである。
逆に、議員選を比例代表にしたら、悪口とか誹謗中傷とかは減るだろう。ただ、議員個人の個性はというと、間違いなく没個性になり、つまらん政治家が増えるかもしれないのだけど。
ちなみに、別の文脈だが、PIERSONは現代アメリカをWinner-takes-all Societyと呼んでいる。これが深まっていくと、アメリカ社会の分断はさらに進むだろう。
アベノミクスとあらたな富裕層の誕生~格差を不動産目線で考える
公共政策系の科目で学生からアベノミクスについていろいろと質問があり、金融緩和で格差が広がったこと、株式市場と並んで不動産市場が活況になったことなどの話が盛り上がった。
ちょうど1年ぐら前にアベノミクスの総括として、野村総研とオラガ総研のグラフ、さらに平均給与(実質)のグラフを添えて下記のようなことを書いた。
「黒田バズーカ」皆さんは覚えているだろうか。2013年「量・質ともにこれまでと次元の違う金融緩和を行う必要がある」として3回にわたって実施、株高と円安が印象的だったが、そこで株と不動産への投資を実践した人々が富裕層、超富裕層に移行した。アベノミクスとはこの点で、格差ノミクスだったわけである。
特に、不動産投資では借り入れが規模拡大のカギとなるが、ゼロ金利との相性は抜群である。
平均給与の推移と比較すると、そちらはあまり変わらず、一部富裕層(と富裕層へ移行した準富裕層)がうまいことやったことがわかるだろう。
富裕層のグラフを見てみよう。
超富裕層(青線): 2005年=100 → 2021年=約170(+70%)
富裕層(オレンジ線): 2005年=100 → 2021年=約172(+72%)
準富裕層(灰色線): ほぼ横ばい(100→120程度)
アッパーマス層(黄色線): ほぼ横ばい(100前後)
マス層(水色線): ほぼ横ばい(100→110程度)
(これらは世帯数で見ている。)
また、アベノミクスが特に重要な転換点だということもわかる。2013年頃(アベノミクス開始)から超富裕層・富裕層が急激に上昇している。
実質賃金(2枚目)も見てみよう。
1997年: 465.3万円
2018年: 433.3万円
つまり、約32万円(約7%)の減少であり、アベノミクス期間中も回復しなかった。
これが格差でなくて何なのか。
この後に、実際に、この金利のない世界のひずみをうまく利用した人々のうち、成功した人は、準富裕層は富裕層に、富裕層は超富裕層になったわけだが、このアベノミクスの暗部というか格差拡大について学生たちに説明したところ、うまくやった人とそうではない人の分かれ目は、みたいな話になった。学生は投資の話が大好きなのである。
もっとも、私も投資家ではないので「知らんがな」ではある。ただ、たとえば不動産所得はマイナスなら確定申告で給与所得のプラスと相殺できるので、給与所得者がリスクに注意しつつ自宅を投資目的も併せて勝負するのはもともと悪い手ではなくて、そういう勝負をする人は多い、ただ、アベノミクスの時代はその勝率が異様に高かったんじゃないかな、ということはお話しした。
実際に、たとえば和光市で自宅が値下がりした、という人はこの10年で言うと多くはないだろう。
一方でここまで不動産が高くなると、そろそろ都心は日本人には住みたくても住めなくて、皆さんのように横須賀とか三浦とか、逗子にいる人はその点、家も買いやすいから、わざわざ都心に住もうとしないほうが幸せなんじゃないだろうか、という話もした。
ちなみに東京は空家率こそ日本一低いが、日本一空家の多い地域である。政策を含め、何かの風向きで突然値下がりすることは多分にある。お安くなったら住めばいいのである。
受講者がたまたま神奈川県民だったのでそういう話になったのだけど、私が心配するのは政権が日本人の住居費を下げることより不動産業界や不動産所有者の方ばかり向いて、今の方向性を黙認する可能性である。
仮に日本人が住みよい、日本人にも買える首都圏中心部の不動産、という目標を持つならば、空家を放置せず、さらには外国人がまだまだ買い上がるから値上がりする、という考え方の投資家はまだまだいるが、そこの可能性を制度と政策で潰す必要があるのではないか。
画像出所はそれぞれの画像にも記載。
我々は財政赤字と政府債務により経済の実力より貧乏になっている(加筆版)
表は今年8月の国別ビッグマック指数(OECD/Economist)。 ビッグマックの価格差から算出すると本来の円ドルレートは約93円/USD。意外にこれが日本経済の全体の実力とも整合性がある。
CEIC Dataでは、日本の購買力平価は米ドルとの関係で、2026年12月時点で94.927 USD/JPY。
日本人の購買力は、財政赤字と巨額の政府債務などにより、3分の2ぐらいになっている。
我々は(個人的には同意した記憶はないが)自分たちで選んできた政策によって日本経済の実力より貧乏になっている。物価高の要因もわかろうもの。トホホである。
もちろん「製造業のために1ドル120円までは我慢してくれ」みたいな話なら付き合えなくもない。しかし、150円を超えてくると貧乏の強制である。
そして、サナエノミクスは我々をもっと貧乏にするんじゃないかな。これは日本人全体ではなく、自民党員と自民党国会議員が選んだことだからイラっと来るのである。
しかもこの点を是正しようという政治勢力は国会にはない。
追記 10月24日、高市早苗総理の所信表明演説があり、「成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保」する、というのが責任ある積極財政だと発言。財政責任の認識を明確にした。予想より財政責任を意識したものであり、ホッとしたというのが実感。総務大臣時代の仕事ぶりからして、節度なき積極財政が日本人を貧乏にする、ということが理解できないレベルの総理ではないと信じていたが、本当によかったね。

国政はいきなりの自公政権終了のコールで驚きの展開。今後は不安定期に!?
自公政権が終了へ、ということで、高市さんの呆然と怒りの混じった表情から想定を超えた流れだったことが伝わってきました。
そして、創価学会との関係を中心として公明党の内部事情が思いのほか深刻だったことがうかがえます。この点は本当に想像以上です(私のセンスがない?)。トリガーが高市人事なのか、そうではないのか…非常に気になるところです。いずれにせよ、党是のクリーンな政治と平和主義に当面の課題として原点回帰していくのでしょう。
ちなみに、経済学部で初歩の段階で学ぶ選挙の経済学の分野で、中位投票者定理というものかあります。本当に一言で言うと、真ん中を取った方が勝ち、というものです。公明党は自公政権のシーアンカーである、というのが私の持論なんですが、シーアンカーがなくなった自民という船は、政界の大嵐を乗り切れるか、見ものだな、と思います。中選挙区時代の自民党はもともと保守から中道までが合同した何でもありの政党でしたか、高市さんの基盤である安倍派はいわゆるタカ派で、そのやり方では選挙に勝てません。だから公明党と組んでほどよいぬるさの保守になってちょうどいい、という時代が続いてきました。
公明党という重しのない自民は辛すぎるカレーみたいなもので、さほど人気がないのではないかと思います。
一方の野党はどうか。
今後ですが、民主党政権時代から秋波を送り続けてきた野田さんのしつこいラブコールも当面は功を奏することはないでしょうし、国民の期待もそこにはないように思います。これは公明党としてもわかっていることでしょう。
また、今の自民と組む野党があるとしたらおめでたい限り。さすがに維新も国民民主もそれは毒饅頭だと知っているし、万一組んだらその党は終わります。
となると、当面の課題は野党の合同があるかどうか。個人的には細川政権のようなことがあるかどうか興味を持っていますが、こればっかりは分かりません。
自民の少数政権もあるでしょうけど、とにかくしばらくは混乱期が続くことになるかな。
ちなみに石破氏が辞めない総理総裁分離案なんて観測記事もありますが、それこそウルトラC過ぎてwww。ないわ。
どの党も必死になるので、これからは街頭が賑やかになります。せっかくだから皆さん、街頭で政治家といろいろ意見交換してみてください。


