1979年のアルバム(その6 Minute By Minute/Doobie Brothers)
1979年のアルバム・シリーズ
今回も全米No.1アルバムからスタートしていますが・・・
この当時、絶対的存在だった Bee Gees
その新作 Spirits Having Flownと、No.1を争ったアルバムが・・・
Minute By Minute / The Doobie Brothers
ちょうど1978年、日本でも、Michael McDonald加入後、Tom Johnstonも復帰した7人編成のDoobie Brothersのライヴが、NHKのYoung Music Showで放映され・・・
「これでやっていってくれるんだ」
そう喜んだのも束の間・・・
Tom Johnstonは、正式にバンドを去ってしまいました。・・・
・・・ということで、彼の脱退後、レコーディングされたこの Minute By Minute
1978年年末にリリースされました。
そして、1979年2月には3年ぶりの来日公演も決定して、まさにグッド・タイミングなアルバム・リリースとなったのでした。
アルバム・レコーディングは、1978年
カリフォルニア州、ノース・ハリウッドの Waner Bros. Recording Studiosにて・・・
ミキシングは、ロスアンゼルスの Sunset Soundにて・・・
メンバーは・・・
Patrick Simmonsリード・アンド・リズム・ギター、リード・アンド・バッキング・ヴォーカル
Michael McDonaldピアノ、エレクトリック・ピアノ、オルガン、シンセサイザー、リード・アンド・バッキング・ヴォーカル
Jeff "Skunk" Baxterリード・アンド・リズム・ギター
Tiran Porterベース、バッキング・ヴォーカル
John Hartmanドラムス
Keith Knudsenドラムス、バッキング・ヴォーカル
そしてもう1人、準メンバーといった感じで・・・
Bobby LaKind
このメンバーに、あと曲ごとに多彩なミュージシャンが参加しています。・・・
プロダクション・コーディネイターは、Beth Naranjo
マネージメントは、Bruce Cohn
エンジニアリングは、Don Landee
それ以外のエンジニアリングは、Loyd Clifft、Steve Malcolm
そして、プロデュースは、勿論、お馴染み
Ted Templemanです。
アルバム・ジャケット
デザインとコーディネイターは、Bruce Steinberg
写真撮影は、David Alexander
このジャケット写真からも、このアルバムは、Michael McDonald中心であることを示唆しているようです。・・・
A面1曲目、Doobieのトレード・マークと言うべき、左右のツイン・ドラムスのビートに軽快なピアノが絡んできて・・・
Here To Love You、Michael McDonaldの作品
そしてもうお馴染みとなった Michael McDonaldの歌が心地よく響きます。
Andrew Loveサックス、Ben Cauleyトランペットによるホーンが効果的に挿入され、そしてサックス・ソロも
バッキング・ヴォーカルでは、Rosemary Butlerが参加、Michaelをバックアップ、そして後半では少しソロでの熱唱も聴かれます。
2曲目・・・ドラムス、ピアノ、そしてシンセサイザーで作られたあのイントロ
What A Fool Believes、Michael McDonald、Kenny Logginsの作品
歌は、勿論、Michae McDonaldl、唯一無二の歌声
そして、Little FeatのBill Payne
彼とシンセサイザーでこのサウンドを生み出しています。
あと特筆すべきところとして、Jeff Baxterが、ギター・シンセサイザーをプレイしているのですよね。
アルバムアルバムから第1弾シングル、Doobieとして2曲目の全米No.1
全米アダルト・コンテンポラリー・チャートでは、No.22
全米R&Bチャート No.72、全米クラブ・プレイ・シングル No.40
カナダでもNo.1、全英No.31ほか世界中で大ヒット
1979年の全米年間チャートでは、No.19
そして、翌年の第22回グラミー賞では・・・
Record Of The Year、Song Of The Year、主要2部門受賞
今さら説明不要、永遠のスタンダード・ナンバーです。
尚、当時、楽曲といい、リズムといい、アレンジといい、この曲程多くパクられた曲はなかったのではと思っています。(爆笑)
日本でのアルバムリリース時は・・・
「ある愚か者の場合」と邦題が付いていましたが、シングル盤では・・・
「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」と原題のままリリースされました。
因みに共作者のKenny Logginsは、ひと足前に アルバムNightwatchでこの曲をリリース
ライヴでも歌っていますが・・・全くイメージが異なります。
これがこの楽曲の優れている所以であるとも思っています。
3曲目、流れるようなオルガンの音から、力強いリズムへ・・・
Minute By Minute、アルバム・タイトル曲
Michael McDonald、Lester Abramsの作品
歌は、勿論、Michael McDonald、そしてここでも Bill Payneが参加
Michalとあのシンセサイザー・サウンドを作り出しています。
Michaelの歌を中心に、メンバーの輪唱となるコーラス部分も印象的
ミディアム・テンポの心地よいナンバーです。
アルバムから第2弾シングルで、全米No.14
全米アダルト・コンテンポラリー・チャートでは、No.13
全米R&Bチャートでは、No.74カナダでは、No.17
Helen Reddy、Peabo Bryson等にもカバーされました。・・・
以上、ここまで3曲、たて続けてMichael McDonaldの作品で彼の歌
最初、「Tom JohnstonのいないDoobieなんて・・・」と思っていた自分でしたが、この怒涛の3曲で「Michael McDonaldは凄い・・・」
すっかり彼の世界に引きずり込まれてしまったのでした。・・・
アルバムはA面4曲目、パワフルなリズムにピアノ音が刻まれ・・・
Dependin' On You、Michael McDonald、Patrick Simmonsの作品
そしてここで初めて、Patrick Simmonsのリード・ヴォーカル登場
Michaelたちは勿論、Nicolette Larson、Rosemary Butlerがバッキング・ヴォーカルで参加、割とポップな曲調
そして、ギター・ソロがフィーチャー
後半は、Michaelの歌がフィーチャー
そう、PatとMichaelが見事にコラボしたナンバー
Andrew Loveサックス、Ben Cauleyトランペットによるホーンも効果的
最後はギターでフェイドアウトしていきます。・・・
アルバムから第3弾シングルで、全米No.25
1989年にTom Johnston、Patrick Simmons中心に再結成されてからの Doobie Brothersでもプレイされています。
5曲目、ハードなギターのイントロから、パワフルなロック・サウンド
Don't Stop To Watch The Wheel、邦題は「轍を見つめて」
Patrick Simmons、Jeff Baxter、Michael Ebertの作品
リード・ヴォーカルは、Patrick Simmons
そして、アルバムで唯一、Tom Johnstonがバッキング・ヴォーカルで参加
それだけに、本作中1番かつてのDoobie Brothersを思わせるナンバー
Norton Buffaloもゲスト参加
ハーモニカとギターのかけ合いも聴かれ、パワフルな中フェイドアウトで、この面は終了です。・・・
B面1曲目、ピアノ中心の軽快なリズムで、AOR的なムードに・・・
Open Your Eyes
Michael McDonald、Lester Abrams、Patrick Hendrrsonの作品
リード・ヴォーカルは、勿論、Michael McDonald
ややアップ・テンポの中、Novi Novoqによるシンセサイザー音も響きます。・・・
尚、この少し後に、Maria Muldaurがカバー
アルバム・タイトル曲となっていました。
2曲目、パーカッションのリズミカルなフォーク・ソング調で・・・
Sweet Feelin' 、Patrick Simmons、Ted Templemanの作品
リード・ヴォーカルはPatrick Simmons
Nicolette Larsonが参加、ワン・コーラス、ソロで歌いますが・・・
Fleetwood MacでのStevie Nicksを思わせます。
やや短いながら、リラックスしたムードのナンバーです。
3曲目、カントリーのギター・ピッキングから・・・
Steamer Lane Breakdown
Patrick Simmonsの作品でインストゥルメンタル・ナンバー
最初は、ツイン・ギターによる楽曲ですが、途中からブルーグラス風に・・・
Norton Buffaloハーモニカ、Herb Pedersonバンジョー、Byron Berlineフィドルといったメンバーが参加
基本的なコード進行で、軽快に盛り上がるナンバーです。
4曲目、一転してキーボード中心のこれもAOR風のサウンドに・・・
You Never Change、Patrick Simmonsの作品
Patrick Simmons、Michael McDonald、2人で歌っています。
メローなサウンドの中で響く硬質のギター音が印象的です。
5曲目、軽快なピアノから、ややアップ・テンポに・・・
How Do The Fools Survive?
Michael McDonald、Carole Bayer Sagerの作品
リード・ヴォーカルは勿論、Michael McDonald
メンバーのコーラス、Andrew Loveサックス、Ben Cauleyのトランペット等にバックアップされ、Michaelの歌を中心に進行・・・
そして後半は、硬質のギターがフィーチャー
最後はホーンのバックアップによるギター・ソロでフェイドアウトしていきます。・・・
このMinute By Minute、前述の通り、Bee GeesのSpirits Having Flownとデッド・ヒートをくり広げ、全米No.1
意外なことですが、The Doobie Brothersにとって初の全米No.1
そして唯一の全米No.1アルバムとなっています。・・・
全米では、トリプル・プラチナ・ディスク獲得
1979年の全米年間アルバム・チャートでは堂々 No.3
The Doobie Brothers名義のオリジナル・アルバムでは最大の売り上げとなっています。
1979年2月の来日公演は、「Tom JohnstonがいないDoobie・・・」と思っていたこともありますが・・・
Rod Stewartの来日公演に行くことも決めていたため、当時、高校生の自分としては、そこまでお金が回らなかった・・・
それで行けなかった・・・ということでもあります。(苦笑)
ちょうど日本公演が終わった頃に、輸入盤LPレコードでこのMinute By Minuteを購入
前述の通り、Michael McDonaldにハマって(笑)当時聴きまくるようになります。
そして、その日本公演を最後くらいに、Jeff "Skunk" BaxterとJohn Hartmanが脱退
(お金は苦しくとも)行ける機会はなくもなかった日本公演に行かなかったことを後悔するのでした。・・・
アルバム Minute By Minuteの方に話を戻しますと・・・
最初の続けて3曲も勿論、全収録曲10曲のうち、7曲は明らかにMichael McDonald主導で作られています。
そしてそれまでアルバムで1曲は、リード・ヴォーカルをとっていたTiran Porterの歌う曲が今回はありません。・・・
What A Fool BelievesやMinute By Minuteのビデオを見る限りも、心なしかTiran Porterは楽しそうではないように思えました。・・・
(結局、次のアルバム One Step Closerのレコーディングのみで彼はバンドを去ります。・・・)
一方で、Michael McDonaldの評価はうなぎ上り
アメリカ音楽界を代表するミュージシャンの1人に挙げられるほどに
それが、前述のグラミー賞受賞にもつながってくるのでした。
そのグラミー賞授賞式には、Michael McDonaldは勿論ですが、John McFeeら新メンバーとともに登場しました。
もっともこの受賞というのも、The Doobie Brothersというよりは、Michael McDonaldによるものと言って過言ではなかったでしょう。・・・
Takin' It To The Streetsでは、The Doobie Brothersに参加した Michael McDonaldといった感じでしたが・・・
この Minute By Minuteでは、Michael McDonaldとそのバック・バンド The Doobie Brothers・・・
悪い言い方をすれば、そう言えなくもない状況だったと思います。・・・
兎に角、レコード・セールスの点においては、Doobie Brothersの長い歴史の中で、この時期がピークであった
それは確かでしょう。