1976年のアルバム(その60 Takin It To The Streets/Doobie~)
1976年のアルバム・シリーズ
60枚目はThe Doobie Brothers
まさに過渡期と思われる時期の・・・
Takin' It To The Streets
自分が洋楽を断っている1976年1月、The Doobie Brothersは初来日公演を果たしました。
来日公演が発表された少し前には、キーボードとヴォーカルでSreely Danのサポート・メンバーだったMichael McDonaldが加入
専属のキーボード奏者がいなかったDoobie~にとってはまさに「鬼に金棒」といった布陣になったと思われたのですが・・・
この日本公演
なんとバンドの顔と言えるTom Johnstonの姿がなかったのでした。・・・
それでももう一つのバンドの顔、Patrick Simmonsを中心に、Jeff "Skunk" Baxterは卓越したプレイを、新加入のMichael McDonaldはTomのヴォーカル・パートも補って、コンサートは大盛況のようでした。
それでも古くからのファンは半信半疑だったのでは・・・そう思います。
そしてそんな来日公演の2ヶ月くらい後にリリースされたのが、このアルバム
邦題はなんと「ドゥービー・ストリート」に
そしてちょうど同じ頃に、病気療養中()だったTom Johnstonも今後もメンバーとしてやっていくことが発表されたのでした。・・・
このアルバム、レコーディングはNorth HollywoodのWarnr Bros. Studios、ミキシングはL.A.のSunset Soundにて・・・
1975年ということで、日本公演の前に行われています。
プロデュースはお馴染み、Ted Templemanです。
メンバーは・・・
恐らく全曲には参加していないTom Johnstonがギター、ヴォーカル
Patrick Simmons(以降、Pat)がギター、ヴォーカル
Jeff "Skunk" Baxter(以降、Skunk)がギター、スティール・ギター
Michael McDonaldがキーボード、ヴォーカル
Tiran Porterがベース、ヴォーカル
John Hartmanがドラムス
Keith Knudsenがドラムス、ヴォーカル
この7人がメンバーとしてのクレジットで、その他参加ミュージシャンは・・・
多くのミュージシャンのレコーディング、ツアーにも同行している
The Memphis Horns
(Wayne Jacksonトランペット、Andrew Loveテナーサックス、James Mitchellバリトンサックス、Lewis Collinsテナーサックス、Jack Haleトロンボーン)
サポート・メンバーとしてお馴染みのBobby Lakindがコンガ
その他ゲスト・ミュージシャンとしてLittle FeatのRichie Heyward
Novi Novag、Jesse Butler、Maria Muldaur
そしてTed Templemanのクレジットもあります。・・・
エンジニアはDon Landee
ジャケット写真はDan Fongとのこと・・・
表ジャケットはPatでしょうが、裏ジャケット・・・
ここにTom Johnstonが写っていないのは、やはり気になっていました。・・・
A面、Long Train Runnin'を思わせるもろDoobieといった感じのギターのカッティング、Wheels Of Fortuneでスタート
Patrick Simmons、Jeff Baxter、John Hartmanの共作で邦題は「運命の轍」
ドラムスにはLittle FeatのRichie Haywardも参加してのトリプル・ドラムス
ドライブするTiran Porterのベースと鉄壁のリズム・セクション
そんな中、リード・ヴォーカルはPat、途中でTom Johnstonも歌います。
キーボード・ソロ、そしてリズムが変わってのJeff "Skunk" Baxterと思われるギター・ソロ
サックスもフィーチャーされ、アルバム中最もDoobie Brothersらしい曲といえるでしょう。・・・
但しアルバムからセカンド・シングルになったものの、ヒットしませんでした。・・・
2曲目、軽快なリズムでそこにピアノの音、そして今までのDoobie~としては聴き馴染みのない歌声
タイトル曲Takin' It To The Streets
邦題も同じく「ドゥービー・ストリート」に・・・
Michael McDonaldの作品で、勿論歌も彼自身
但しドライブするリズム・セクション
Takin' It To The Streets~というコーラス
紛れもなくDoobie Brothersサウンド
そしてここで活躍しているのが、Jeff ”Skunk" Baxter
ギターで色々な音を作り出しています。・・・
ソロの部分のサックスの音も彼のギターでは・・・
事実、Steely Dan時代はギターで、ホーンの音を作っていました。・・・
いずれにしろ、従来のDoobie Brothersサウンドと、新しいMichael McDonaldサウンドが見事にコラボレーションしたナンバーと思います。
ファースト・シングルで全米13位を記録しました。
続いてファンキーなギターのカッティングからドラムス、パーカッション、ホーン
そしてPatのソウルフルな歌
8th Avenue Shuffle
勿論、Patの作品で邦題はそのまま「8番街のシャッフル」
途中、曲のテンポが代わり、Skunkと思われるギター・ソロも
Patの声はTom Johnstonと似たところもあり、この曲もDoobieらしいと言えるでしょう。・・・
この面最後は、シンセサイザー・サウンドで同じフレーズが繰り返される・・・
Losin' End
Michael McDonaldの作品、歌も彼自身
どことなくSteely Danも思わせるナンバー、間奏部ではNovi Novogによるヴィオラもフィーチャーされます。
B面・・・左右からドラムス
コンガが加わってギターのカッティング
Rio
PatとSkunkの共作、タイトル通り、ラテン系のリズム
リード・ヴォーカルはPat
ゲストとしてMaria Muldaur
彼女の声も一瞬フィーチャーされ、後半はMichaelも熱唱です。
都会的なムードに一転、ベース音をフィーチャーして、For Someone Special
Tiran Porterの作品で、珍しく彼自身がリード・ヴォーカルをとっているよう・・・
味のある歌声
心地よいキーボードも、タイトなギターも、AORの奔りと言えそうなナンバーでしょう。
また一転、シンセサイザーにリズムボックスの音
It Keeps You Runnin'
Michaelの作品で、歌もMichael
当時としては異質なナンバーですが、Carly Simonが同年、アルバムAnother Passengerで取り上げ、シングルカットも
プロデューサーもTed Templemanということでか、バックにはDoobie Brothersのメンバーが参加
その影響でか、Doobie~の方も3枚目のシングルとしてアルバムからカット
TOP40入りを果たしました。
でもこの曲が後のDoobie Brothersの運命を決定づける曲になるとは
誰も思っていなかったでしょう。・・・
そしてハードでパワフルなロック・ナンバー、Turn It Loose
アルバム唯一、Tom Johnstonの作品、勿論、パワフルな歌もTom
アルバムThe Captain And Meの時代を思わせるナンバーだけに、この曲で歓喜したファンも多いことでしょう。
アルバム最後はホーンのイントロから、Carry Me Away
Pat、Skunk、そしてMichaelの共作ですが、歌はMichael
コーラスも少し前のソウル・ミュージックを思わせるナンバー
硬質のギター・ソロも軽快に・・・
最後はホーンがフィーチャーされ、このアルバムは幕を閉じます。・・・
このアルバム
Jeff "Skunk" Baxterが随所で卓越したプレイも聴かせていて、後で聴いてみれば、優れた作品が揃っている傑作なのですが・・・
やはり従来の中心人物であるTom Johnstonがあまりフィーチャーされていないし、さらにはTom Johnstonも復帰が発表されて・・・
多くの人は既に7人編成によるDoobie Brothersの次のステップ・アップを期待したのでした。・・・
そしてMichael McDonald
この時点では、曲は書いて歌っていたものの、まだ新入りで(笑)バンドの中心人物として引っ張っていっているといった感じではなかったように思います。・・・
Takin' It To The Streets
’80年代後半にTom JohnstonとPatrick Simmonsを中心に再結成されたThe Doobie BrothersにMichael McDonaldは加わっていないのですが、この曲は必ずプレイされています。
そう、これはMichaelの作品でありながら、完全にDoobie Brothersのナンバー
従来のDoobie~とMichael McDonaldサウンドのコラボレーションとして最高傑作です。
そんなこともあって(一時的には一緒にやっていることもありますが・・・)Doobie BrothersにMichaelがまた入ってくれないかなといつも思っているのです。・・・
でも改めて思うと、7人編成のオールスター・キャストで活動したThe Doobie Brothersは長いバンドの歴史の中で、’76~’78年くらいだけ・・・
即ちたった2年くらいだけなのでした。・・・
(1975年のアルバム その37 Stampedeに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12336369348.html