■概要
イギリス人アーティストによって他国の音楽市場を独占される現象を「ブリティッシュ・インヴェイジョン」と呼ぶ。60年代はビートルズの時代、80年代はニュー・ウェーヴ。が、アメリカも黙っちゃいない。既に商業主義とは別で活躍するバンドも。彼らの音楽オルタナティブもまた然り。©中島工業/ネタ制作委員会
さあ、今度はアメリカヴァージョンだ!!!
【別動部隊】と書いて「オルタナティブ」。世の中は広いもので、「俺は決して金儲け主義に走らないぜ」って宣言しているようなアングラなバンドが結構いる訳で。そういうミュージシャンたちは、純粋に音楽に向き合ったりとか、実験的に音楽の既成概念を破壊することによって得られる未知の音を求めたりとか、まあ早い話が「アイツらと一緒にすんな」って言いたい奴らなのだ。
だけど、真剣に作ったものが大衆の目に留まらない訳がない。やっぱりオルタナティブといえども、生真面目に作った音楽は売れたんだよなあ。だから「イギリスのニュー・ウェーヴと何処が違うんだ?」という疑問も出てくるんだけど、スタイル自体はそんなに変わらないのよ。そうだねえ、オルタナティブのほうが、もう少し、ジャンルの幅が広いように思うね。
さて、今回はアメリカのそんなオルタナティブなバンドを5組。
うち1組は「本日の特選」。皆が知っているあのバンドが登場!!!
全てライブ映像を取り上げた。
■アメリカ×4
◆Sonic Youth - Kool Thing
ギターのサーストン・ムーアとヴォーカルのキム・ゴードンは、鴛鴦夫婦で有名だった。サーストンには「エレキギターを弾く事とはノイズを聴くもの」という哲学がある。まあ、オイラに言わせれば「ハードロックと一体どこが違うんだ?」と思っているんだけど、グランジというジャンルはハードロックのパンク版みたいなものだ。ソニック・ユース…この薄汚れたような感じがいい。
(1990年)
◆Devo - Jocko Homo
洋楽を真剣に聴きだした若かりし頃は「芸術肌というか文学肌のバンドってどうしてこうも訳が解らん奴が多いのか?」と腹が立っていたのだが、理由が解れば別にどうって事はない。DEVOの場合、バンド名自体が「退化」を現しているのだ。んで、ライブパフォーマンスで時折見せるロボットみたいな動きは、管理社会に向かっているアメリカを皮肉っているんだろう、多分。
Are we not men?
We are DEVO.
(1977年)
◆The Bangles - Walk Like an Egyptian
皆が大好きがどうかは解らんが、オルタナ系のバンドが売れた典型的な例がこの曲。ジョジョ3部のエンディングでも使用されているのだが、リリースはずっと昔だった訳だ。当時、ガールズバンドなんてものは珍しかったが、今は日本でも普通に存在する。まあ、今となってはバングルスというよりも、バンド名の頭に「お」を付けてしまいそうだがね。
(1986年)
◆The B-52's - Give Me Back My Man
オイラが世界中でが最も好きなバンドがThe B-52's。バンド名の由来は、シンディ・ウィルソンとケイト・ピアソンの爆発したような髪型がロケットやミサイル、航空機の機首に似ていたことから名づけられた模様。ベースレスで展開する初期のB級っぽいニュー・ウェーヴが滅茶苦茶カッコいい。故リッキー・ウィルソンの3弦と4弦を外した変態的チューニング・ギターが超面白い。今思えば、このリオでのライブステージ中のリッキーは、相当に容体が悪かったのだろう。
(1980年)
■本日の特選(アメリカ×1)
◆Nirvana - Smells Like Teen Spirit
バンドを結成した当初は「純粋にやりたいことだけをやる」つもりだったのだろう。で、順当にデビューアルバムをリリースしてきたし、所属するSUB-POPのオムニバスに参加したり特に問題は無かった様子。しかし、次にリリースした「NEVER MIND」が売れに売れた。更に、ここからシングルとなる「Smells Like Teen Spirit」の歌詞が、当時に生きるやりきれない若者の心情をヴォーカルのカート・コバーンが代弁しているように聴こえたのか、絶大な支持を受けてしまう。
ニルヴァーナの成功は、冒頭のソニック・ユースが火付けしたグランジ・ムーヴメントを決定的なものにしたのだ。同時に、インディーズ界からは「カート・コバーンは商業路線に成り下がった」等と皮肉られる事もあったとか。この現実は、彼をますます苦しめた。90年代が生んだ悲劇のスーパースター。
洋楽では、オイラが最後に興味を持ったバンド。
(1991年)
★関連文書