2021年2月9日に発売された「週刊朝日」(2月19日号)に「色あせぬ山口百恵に若者共感、伝説のラストコンサート放送」との記事が掲載されていた(以下)。1月30日にNHK総合で放送されたコンサート、その反響の大きさが伝わってくる。
週刊朝日 2月19日号
色あせぬ山口百恵に若者共感、伝説のラストコンサート放送
1月30日、NHK総合で山口百恵の特集番組「伝説のコンサート“山口百恵 1980・10・5 日本武道館”」が放送された。同番組は、1980年のラストコンサートの模様を完全リマスターしてオンエアしたもの。昨年10月にNHKがBSプレミアムで放送して反響を呼び、今回の放送が実現した。
百恵は日本テレビ系のオーディション番組「スター誕生!」出演を経てデビュー。同学年の森昌子、桜田淳子らと70年代のアイドルシーンを席巻した。人気絶頂のさなか、三浦友和との結婚を機に21歳の若さで引退した。その潔さと、メディアに姿をほとんど見せないことでの神秘性で、40年の時を経た今もなお、色あせない魅力を放つ“伝説の歌姫”だ。
彼女の人気は10~20代にも広がる。フジテレビ系人気アニメ「ちびまる子ちゃん」には、主人公が憧れるアイドルとしてたびたび登場。さらにYouTubeで出演番組が手軽に視聴できるようになり、若者からの認知度が高まった。
ファンだという百井拓未さん(23)は語る。「物語の主人公になりきって歌う独特のスタイルに惹かれていましたが、大学時代に自伝『蒼い時』を読み、百恵さんの情念やたくましさ、一人の女性として抱える葛藤や苦悶に気づき、さらに感動しました」
当時の楽曲は、「ニューミュージック」の旗手として注目された谷村新司やさだまさし、宇崎竜童らによる提供が多く、J-POPの原点とも言える。持ち前の歌唱力や表現力も相まって、いまでも古臭く感じない。
今回放送されたラストコンサートは、そんな魅力を持つ百恵の集大成。「『曼珠沙華』の『白い花さえ真紅に染める』のフレーズ後、両手で握ったマイクを高く上げた瞬間に暗転し、赤いライトが百恵さんを照らす演出が好きです。コンサート前半は暖色を基調とした舞台で百恵さんの力強さを感じ、後半は寒色を基調に荘厳さを感じられる。何回見ても色あせない歴史的なコンサート。今後も語り継がれるでしょうね」(百井さん)
NHK総合での放送は「一度限り」だというが、令和でも「これっきり」と言わず、再放送を検討していただきたい。
(本誌・秦正理、上田耕司、池田正史、浅井秀樹/中将タカノリ)