国政報告会での質問へのお返事 5月30日
2013年5月27日
橋下徹
○私の拠(よ)って立つ理念と価値観について
まず、私の政治家としての基本的な理念、そして一人の人間とし
ての価値観について、お話ししたいと思います。
いわゆる「慰安婦」問題に関する私の発言をめぐってなされた一
連の報道において、発言の一部が文脈から切り離され、断片のみが
伝えられることによって、本来の私の理念や価値観とは正反対の人
物像・政治家像が流布してしまっていることが、この上なく残念で
す。
... 私は、21世紀の人類が到達した普遍的価値、すなわち、基本的
人権、自由と平等、民主主義の理念を最も重視しています。また、
憲法の本質は、恣意(しい)に流れがちな国家権力を拘束する法の
支配によって、国民の自由と権利を保障することに眼目があると考
えており、極めてオーソドックスな立憲主義の立場を採(と)る者
です。
大阪府知事及び大阪市長としての行政の実績は、こうした理念と
価値観に支えられています。また、私の政治活動に伴って憲法をは
じめとする様々(さまざま)なイシューについて公にしてきた私の
見解を確認いただければ、今私の申し上げていることを裏付けるも
のであることをご理解いただけると信じております。今後も、政治
家としての行動と発言を通じて、以上のような理念と価値観を体現
し続けていくつもりです。
こうした私の思想信条において、女性の尊厳は、基本的人権にお
いて欠くべからざる要素であり、これについて私の本意とは正反対
の受け止め方、すなわち女性蔑視である等の報道が続いたことは、
痛恨の極みであります。私は、疑問の余地なく、女性の尊厳を大切
にしています。
○いわゆる「慰安婦」問題に関する発言について
以上の私の理念に照らせば、第二次世界大戦前から大戦中にかけ
て、日本兵が「慰安婦」を利用したことは、女性の尊厳と人権を蹂
躙(じゅうりん)する、決して許されないものであることはいうま
でもありません。かつての日本兵が利用した慰安婦には、韓国・朝
鮮の方々のみならず、多くの日本人も含まれていました。慰安婦の
方々が被った苦痛、そして深く傷つけられた慰安婦の方々のお気持
ちは、筆舌につくしがたいものであることを私は認識しております
。
日本は過去の過ちを真摯(しんし)に反省し、慰安婦の方々には
誠実な謝罪とお詫(わ)びを行うとともに、未来においてこのよう
な悲劇を二度と繰り返さない決意をしなければなりません。
私は、女性の尊厳と人権を今日の世界の普遍的価値の一つとして
重視しており、慰安婦の利用を容認したことはこれまで一度もあり
ません。私の発言の一部が切り取られ、私の真意と正反対の意味を
持った発言とする報道が世界中を駆け巡ったことは、極めて遺憾で
す。以下に、私の真意を改めて説明いたします。
かつて日本兵が女性の人権を蹂躙したことについては痛切に反省
し、慰安婦の方々には謝罪しなければなりません。同様に、日本以
外の少なからぬ国々の兵士も女性の人権を蹂躙した事実について、
各国もまた真摯に向き合わなければならないと訴えたかったのです
。あたかも日本だけに特有の問題であったかのように日本だけを非
難し、日本以外の国々の兵士による女性の尊厳の蹂躙について口を
閉ざすのはフェアな態度ではありませんし、女性の人権を尊重する
世界をめざすために世界が直視しなければならない過去の過ちを葬
り去ることになります。戦場の性の問題は、旧日本軍だけが抱えた
問題ではありません。第二次世界大戦中のアメリカ軍、イギリス軍
、フランス軍、ドイツ軍、旧ソ連軍その他の軍においても、そして
朝鮮戦争やベトナム戦争における韓国軍においても、この問題は存
在しました。
このような歴史的文脈において、「戦時においては」「世界各国
の軍が」女性を必要としていたのではないかと発言したところ、「
私自身が」必要と考える、「私が」容認していると誤報されてしま
いました。
戦場において、世界各国の兵士が女性を性の対象として利用して
きたことは厳然たる歴史的事実です。女性の人権を尊重する視点で
は公娼(こうしょう)、私娼(ししょう)、軍の関与の有無は関係
ありません。性の対象として女性を利用する行為そのものが女性の
尊厳を蹂躙する行為です。また、占領地や紛争地域における兵士に
よる市民に対する強姦(ごうかん)が許されざる蛮行であることは
言うまでもありません。
誤解しないで頂きたいのは、旧日本兵の慰安婦問題を相対化しよ
うとか、ましてや正当化しようという意図は毛頭ありません。他国
の兵士がどうであろうとも、旧日本兵による女性の尊厳の蹂躙が決
して許されるものではないことに変わりありません。
私の発言の真意は、兵士による女性の尊厳の蹂躙の問題が旧日本
軍のみに特有の問題であったかのように世界で報じられ、それが世
界の常識と化すことによって、過去の歴史のみならず今日において
も根絶されていない兵士による女性の尊厳の蹂躙の問題の真実に光
が当たらないことは、日本のみならず世界にとってプラスにならな
い、という一点であります。私が言いたかったことは、日本は自ら
の過去の過ちを直視し、決して正当化してはならないことを大前提
としつつ、世界各国もsex slaves、sex slave
ryというレッテルを貼って日本だけを非難することで終わっては
ならないということです。
もし、日本だけが非難される理由が、戦時中、国家の意思として
女性を拉致した、国家の意思として女性を売買したということにあ
るのであれば、それは事実と異なります。
過去、そして現在の兵士による女性の尊厳の蹂躙について、良識
ある諸国民の中から声が挙がることを期待するものでありますが、
日本人が声を挙げてはいけない理由はないと思います。日本人は、
旧日本兵が慰安婦を利用したことを直視し、真摯に反省、謝罪すべ
き立場にあるがゆえに、今日も根絶されていない兵士による女性の
尊厳の蹂躙の問題に立ち向かう責務があり、同じ問題を抱える諸国
民と共により良い未来に向かわなければなりません。
21世紀の今日、女性の尊厳と人権は、世界各国が共有する普遍
的価値の一つとして、確固たる位置を得るに至っています。これは
、人類が達成した大きな進歩であります。しかし、現実の世界にお
いて、兵士による女性の尊厳の蹂躙が根絶されたわけではありませ
ん。私は、未来に向けて、女性の人権を尊重する世界をめざしてい
きたい。しかし、未来を語るには、過去そして現在を直視しなけれ
ばなりません。日本を含む世界各国は、過去の戦地において自国兵
士が行った女性に対する人権蹂躙行為を直視し、世界の諸国と諸国
民が共に手を携え、二度と同じ過ちを繰り返さぬよう決意するとと
もに、今日の世界各地の紛争地域において危機に瀕(ひん)する女
性の尊厳を守るために取り組み、未来に向けて女性の人権が尊重さ
れる世界を作っていくべきだと考えます。
日本は過去の過ちを直視し、徹底して反省しなければなりません
。正当化は許されません。それを大前提とした上で、世界各国も、
戦場の性の問題について、自らの問題として過去を直視してもらい
たいのです。本年4月にはロンドンにおいてG8外相会合が「紛争
下の性的暴力防止に関する閣僚宣言」に合意しました。この成果を
基盤として、6月に英国北アイルランドのロック・アーンで開催予
定のG8サミットが、旧日本兵を含む世界各国の兵士が性の対象と
して女性をどのように利用していたのかを検証し、過去の過ちを直
視し反省するとともに、理想の未来をめざして、今日の問題解決に
協働して取り組む場となることを期待します。
○在日アメリカ軍司令官に対する発言について
また、沖縄にある在日アメリカ軍基地を訪問した際、司令官に対
し、在日アメリカ軍兵士の性犯罪を抑止するために風俗営業の利用
を進言したという報道もありました。これは私の真意ではありませ
ん。私の真意は、一部の在日アメリカ軍兵士による犯罪を抑止し、
より強固な日米同盟と日米の信頼関係を築くことです。一部の在日
アメリカ軍兵士による犯罪被害に苦しむ沖縄の問題を解決したいと
の思いが強すぎて、誤解を招く不適切な発言をしてしまいましたが
、私の真意を、以下に説明いたします。
日本の安全保障にとって、米国との同盟関係は最も重要な基盤で
あり、在日アメリカ軍の多大な貢献には、本当に感謝しています。
しかしながら、多くの在日アメリカ軍基地がある沖縄では、一部
の心無いアメリカ軍兵士によって、日本人の女性や子どもに対する
性犯罪など重大な犯罪が繰り返されています。こうした事件が起き
る度に、在日アメリカ軍では、規律の保持と綱紀粛正が叫ばれ、再
発防止策をとることを日本国民に誓いますが、在日アメリカ軍兵士
による犯罪は絶えることがありません。同じことの繰り返しです。
私は、日本の外交において日米同盟を重視し、在日アメリカ軍の
日本への貢献を大いに評価しています。しかし、人権を蹂躙され続
ける沖縄県民の怒りは沸点に達しているのです。在日アメリカ軍兵
士による犯罪被害に苦しむ沖縄の現状をアメリカに訴え、何として
でも改善してもらいたい、という強い思いを持っております。
アメリカ軍内部において性暴力が多発し、その統制がとれていな
いことが最近、アメリカで話題となっています。オバマ大統領もア
メリカ軍の自己統制の弱さに相当な危機感を抱き、すぐに効果の出
る策はないとしつつ、アメリカ軍に綱紀粛正を徹底するよう指示し
たとの報道がありました。
このような状況において、私は強い危機感から、在日アメリカ軍
司令官に対して、あらゆる対応策の一つとして、「日本で法律上認
められている風俗営業」を利用するということも考えるべきではな
いかと発言しました。すぐに効果の出る策はないとしても、それで
も沖縄の現状を放置するわけにはいきません。私の強い危機感から
、ありとあらゆる手段を使ってでも、一部の心無い在日アメリカ軍
兵士をしっかりとコントロールして欲しい、そのような強い思いを
述べる際、「日本で法律上認められている風俗営業」という言葉を
使ってしまいました。この表現が翻訳されて、日本の法律で認めら
れていない売春・買春を勧めたとの誤報につながりました。さらに
合法であれば道徳的には問題がないというようにも誤解をされまし
た。合法であっても、女性の尊厳を貶(おとし)める可能性もあり
、その点については予防しなければならないことはもちろんのこと
です。
今回の私の発言は、アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱す
ることにも繋(つな)がる不適切な表現でしたので、この表現は撤
回するとともにお詫び申し上げます。この謝罪をアメリカ軍とアメ
リカ国民の皆様が受け入れて下さいます事、そして日本とアメリカ
が今後とも強い信頼関係を築いていけることを願います。
私の真意は、多くの在日アメリカ軍兵士は一生懸命誠実に職務を
遂行してくれていますが、一部の心無い兵士の犯罪によって、日米
の信頼関係が崩れることのないよう、在日アメリカ軍の綱紀粛正を
徹底してもらいたい、という点にあります。その思いが強すぎて、
不適切な表現を使ってしまいました。
アメリカは、世界で最も人権意識の高い国の一つです。そして、
人権は世界普遍の価値です。アメリカ国民の人権と同じように、沖
縄県民の基本的人権が尊重されるよう、アメリカ軍が本気になって
沖縄での犯罪抑止のための実効性ある取組みを開始することを切に
望みます。
○日韓関係について
日本と韓国の関係は現在厳しい状況にあると言われています。そ
の根底には、慰安婦問題と竹島をめぐる領土問題があります。
日本と韓国は、自由、民主主義、人権、法の支配などの価値観を
共有する隣国として、重要なパートナー関係にあります。日韓の緊
密な関係は、東アジアの安定と繁栄のためだけでなく、世界の安定
と繁栄のためにも寄与するものと信じています。
現在、元慰安婦の一部の方は、日本政府に対して、国家補償を求
めています。
しかし、1965年の日韓基本条約と「日韓請求権並びに経済協
力協定」において、日本と韓国の間の法的な請求権(個人的請求権
も含めて)の問題は完全かつ最終的に解決されました。
日本は、韓国との間の法的請求権問題が最終解決した後において
も、元慰安婦の方々へ責任を果たすために、国民からの寄付を募り
1995年に「女性のためのアジア平和国民基金(略称アジア女性
基金)」を設立し、元慰安婦の方々に償い金をお渡ししました。
このアジア女性基金を通じた日本の責任を果たす行為は、国際社
会でも評価を受けております。国連人権委員会へ提出されたレポー
トもアジア女性基金を通じての日本の道義的責任を歓迎しています
。また国連人権高等弁務官であったメアリーロビンソンさんも基金
を評価しています。
しかし、残念ながら、元慰安婦の一部の方は、このアジア女性基
金による償い金の受領を拒んでおります。
日本は過去の過ちを直視し、反省とお詫びをしつつも、1965
年に請求権問題を最終解決した日韓基本条約と日韓請求権並びに経
済協力協定も重視しております。
日韓基本条約と日韓請求権並びに経済協力協定を前提としつつ、
元慰安婦の方々の心に響く償いをするにはどのようにすればいいの
かは大変難しい問題です。韓国政府は最近、日韓基本条約とともに
締結された「日韓請求権並びに経済協力協定」における元慰安婦の
日本政府への請求権の存否の解釈が未解決だと主張しております。
韓国も法の支配を重んじる国でしょうから、日韓基本条約と日韓請
求権並びに経済協力協定という国際ルールの重さを十分に認識して
頂いて、それでも納得できないというのであれば、韓国政府自身が
日韓請求権並びに経済協力協定の解釈について国際司法裁判所等に
訴え出るしかないのではないでしょうか? その際には、竹島をめ
ぐる領土問題も含めて、法の支配に基づき、国際司法裁判所等での
解決を望みます。
私は、憎しみと怒りをぶつけ合うだけでは何も解決することはで
きないと思います。元慰安婦の方の苦しみを理解しつつ、日韓お互
いに尊敬と敬意の念を持ちながら、法に基づいた冷静な議論を踏ま
え、国際司法裁判所等の法に基づいた解決に委ねるしかないと考え
ております。
法の支配によって、真に日韓関係が改善されるよう、私も微力を
尽くしていきたいと思います。
第一回国政報告会
2013年5月25日、北区区民センターにて高橋みほの第一回国政報告会を開催しました。
報告会ではまず、選挙時に撮って頂いたテレビ番組を流しました。地盤・看板・鞄がない人間が、どのように選挙戦を戦ったのか見て頂き、一票入れて下さった方たちにどれだけ感謝しているか、国民の皆様の信託をどれだけ重く受け止めているのかを申し上げました。
次に、メインの国政報告、国会で、どのような質問をしたのかをお話しました。特に、結果がでたと思われる、外国人実習制度での実習生の待遇問題、札幌市北区と中央区のアイワークの設置、ドクターヘリの導入についてご紹介しました。
その後、北大の荒磯先生との産学官ネットワークの未来についての対談をしました。
驚いたことに、特に質問記入時間をとっていないのに、とても多くの方に質問用紙に質問を記入していただきました。今回集まって下さった方たちが、いかに政治に興味があるのかを知り、驚いたぐらいです。
ただ、残念ながら、質問に答える時間をあまり取れませんでしたので、会場で答えられなかった質問はブログで返答することをお約束しました。
全部のご質問にお答えするのには時間がかかるかもしれませんが、すべてのご質問にお返事を書きたいと思っていますので、お待ちいただければと思います。
参加してくださった方、ありがとうございました。
事務所開き
今日は事務所開きをしました。
急なご案内だったのに、多くの人たちが駆けつけてくれ、とってもうれしかったです。集まって下さいましたみなさな、本当にありがとうございました。
いつもお世話になっている大阪市議団の他に、北陸信越ブロックから出馬するといわれている中田宏さんも駆けつけてくださいました。大阪市議団の皆様、中田さん、塾生の琵琶さん、ありがとね)^o^(
いじめ相談員配置
今日付けの朝日新聞に、文部科学省の方針で「全公立中にいじめ相談員配置」という記事がありました。
一見するとこれはよいことだとも思えますが、考えてみると、遅すぎるともいえます。
校長が自校にいじめがあったらもっと早く手当てをするべきであるし、教育委員会は何をやっていたのかということにもなります。
いじめなどの対応は国で一律にすべきことではなく、その学校で、校長が責任を持って行うべきことしょう。
国と地方の役割分担が必要でしょうし、その上で、校長には権限と財源を与えるが、責任を持って学校
教育をしてもらう時期にきているのではないでしょうか。
都構想法案成立
都構想法案が成立した。
これはかなり画期的な出来事だと思っている。
というのは、今までは国が決めた制度を地方が文句を言わずに受け入れてきたが、今回は、地方自らの意思で、地方の制度を変えることが可能な法案を成立させたからである。
北海道も自らに適した制度をもっと模索する時期が来ているのではないだろうか。
木鶏クラブ
8月16日、札幌木鶏クラブに参加しました。
これは『到知』という雑誌を読んで、感想を話し合う会です。
このクラブ名の木鶏とは、ある人が、立派な闘鶏を育て、そのものに動じないその様子が木の鶏のようであったという故事からきています(『荘子』)。
木の鶏というとなんとなく風見鶏をイメージしてしまいますが(笑)、すぐあわててしまう私には、心しなけばいけない言葉です。
さて、8月号は、「知命と立命」という特集が組まれていました。
天から与えられた素質能力のことを「命」といい、自分がどういう命を与えられているのか知ることが「知命」で、それを完全に発揮していくことが「立命」ということです。
「立命」も大変ですが、「知命」はもっと難しいでしょう。若いうち『命』を知ることができれば、人生がかなり変わります。
『知命』とはいわば自分探しなのでしょうが、若いうちに自分探しができるような教育制度が重要なのかもしれません。