前回分
小俣尚(コマタ ナオ)、35歳の男性、会社員、主任。
あり得ないけれど、ボーとしてコンビニと間違えて入る尚、
「ようこそ、モヤモヤ解消商会へ」
またもや目の前には5人横並びに一斉にお辞儀をする。
「えーと?」
尚は戸惑う。
すると、5人の内の1人の男性が、
「こちらはお客様のモヤモヤを解消出来るお店です。
そして初回は無償ですので、どうぞお気軽にお試し下さい」
尚に話しかけてきた。
「モヤモヤを解消……ですか? それは?」
確かに尚は今もの凄くモヤッとしていた。
「どうぞそちらへお掛け下さい」
いつの間にかカウンターのこちら側にイスが用意されていたので、尚は素直に座る。
「小俣尚さん、あなたのモヤモヤは突然、あなたの断りなしに会社のデスクのイスを片付けられてしまったことですね?」
「ええっ!? 何で知っているんですか!」
尚はメチャクチャ驚いた!
「そういうお店ですので……」と男性店員はニコリとする。
「……は、はあ~~」
すると、
「どう致しましょう? 報復、復讐、動機などなんでも小俣様のお望みをひとつだけ申し付けて下さい」
店員は勧める。
「報復……復讐、動機……」
どれもしたいぐらいだと尚は思った。
「動機と報復ってことは?」と尚が質問する。
「出来ません、どちらか選んで下さい」
きっぱり1択らしい。
「あの……例えばですけど、復讐を選んだら誰がイスを片付けた張本人か判りますか?」
「はい、判ります」と店員は即答。
「じゃあ、復讐でお願いします」
尚はすぐ選んだ。
「復讐の度合いはどのくらいに致しましょう?」
「度合いですか?」
尚は一瞬戸惑う。
「はい、軽め、中くらい、重めが選べます」
そこでまた悩む尚……
そして選んだ度合いは、
「とりあえず軽めでお願いします」
「判りました、復讐、軽めですね、承知しました。
もう取り消しは出来ないのでお願いします、また次回のご依頼は有償になるのでお気をつけ下さい。
ご来店誠にありがとうございました~」
店員がそう言い終わると、
いつの間にか尚はお店を出ていた。
そして、そこにはどこにもモヤモヤ解消商会のお店は無くなっていて……!
え? きつね? まさか~~となりながら家路に着くことになる。
続き
はじめから