前回分
「あ……の……もしかして、モヤモヤの解消の為の復讐ってさっきのがもしかして……?」
靄面弥生(モヤモ ヤヨイ)は我に返ると、目の前にいた店員に恐る恐る尋ねた。
「はい、おっしゃる通りです、モヤモヤ解消を遂行しました」
店員は淡々を告げる。
弥生はやっぱりそうかとなると、
「あの! お願いです! 対価は私から取ってください! 家族からはやめて下さい!」
次の時にはカウンターに乗り出して言った。
すると、
「あの靄面弥生様、落ち着いて下さい。
対価は今回頂きませんのでご安心下さい」
店員はそう告げた。
「え?」
弥生は耳を疑う。
「申し訳ございません、あまりに迷われたので強制的にモヤモヤ解消執行をさせて頂きました。
まさか……絶好の機会でしたのに、あの場で本当の意味で復讐というより報復出来る機会があったというのに、靄面様の場合はしなかったからです」
まさかの言葉を聞くことになる弥生……
「え? もしかしてあの時、挨拶を返したからってこと?」
弥生は思い出す。
「そうです、もし挨拶を返していなかったらその時は対価を必ず頂くつもりでしたが、残念ながら今回は一切必要がありません。
こんなことはあまり発生しない事例ですが……」
店員は珍しく口元だけではなく目も一緒に笑んでいた。
「あ、そうなんですか~~、じゃあ……」
弥生はカウンターから離れようとした時、
「その代わり……あなたはここで起こった記憶を全て忘れることになりますのでお願いします。
本日はご来店ありがとうございました」
また先が丸い水晶のような杖を弥生の顔に向けると、また何とも言えない衝撃が走り……!
後は何も覚えていなかった。
そして弥生が次に気づいた時には、
「え? 朝……」
寝室にいて弥生は自分の布団の中で目覚めた。
そして、いつもの日常が……
保育園へ行く時間雨が降りだす。
デジャヴュ⁉️
弥生は何だか見覚えのあるような気がしてならず、でも何も思い出せない。
傘をさしていく。
なぜか鼓動が速くなる。
でも、相佐通科(アイサ ツシナ)と菜祈(ナイノ)の母娘はその日から保育園に来なくなり……
なんと急な旦那さんの転勤で引っ越すことになったとのことだった。
弥生は何だかホッとしたような……複雑な気持ちなような……?
挨拶、たかが挨拶、されど挨拶……
#モヤモヤ解消商会、挨拶編終わり#
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