昨日東京将棋会館で行われた第2期白玲戦七番勝負の最終局は、振り駒で後手番となった挑戦者の里見女流五冠が相振り飛車戦にて西山白玲を破り、タイトルを奪取。これで里見女流六冠となりました。ただタイトル保持数の動向は女流王将戦が現在1勝1敗で28日に最終局、26日からは女流王座戦五番勝負が開幕し、さらには倉敷藤花戦と秋のタイトル防衛戦シリーズがあるので、あまり気にしても仕方ないと思ってます。もちろん、全部勝って欲しいし、そのつもりで応援しますけど。
本局は大盤解説会が無かったからだと思いますが、YouTube放送の中で長岡六段による解説がありました。
昨日、私は午前中は普通に在宅で仕事の合間にモバイル中継を観戦。里見さんは後手番になったのかというのと、お昼休み前に先手から早々と9筋で仕掛け、そこで激しい変化に飛び込めばAI的にはやや先手良しだったそうですが、西山さんがいったん自重されほぼ五分の状態で昼休に入りました。午後ですが、私は父親のお別れの会と火葬があって、全部終わって夕方にはお骨を持って今は姉が住んでいる実家の日吉まで車を運転していきました。その間、実際には時間があると言えばありましたが、中途半端な気持ちで対局の様子を見るのも嫌だったので、(里見さんが勝つことを)お祈りだけしてました。夕方6時頃に、さあ結果がどうなっただろうかと42手目から一手ずつ追いかけて見て行きましたが(局面をというより正直に言えばどちらかというとAIの%評価を)、徐々に里見さんが追い詰めていく展開で、緻密で正確に優位を築いていき相手に何もさせないという、一番良い(あるいは「らしい」)里見将棋の片鱗が見られたのではないでしょうか。西山さんの対局後のインタビューでは、もう少し積極的に攻めるべきだったというのではなく、慎重に進めるべきだったとのことなので、午前中の仕掛けのあたりで、上手くいくのかどうかの迷いがあったようでもあり、よく言われるところの「今日は自分の日ではなかった」という感じだったでしょうか。
白玲失冠しました。最終局は惨敗でした。観戦して下さったファンの皆様、ヒューリック株式会社会長の西浦三郎様、関係の皆様、大変お世話になり誠にありがとうございました。
— 西山朋佳 (@TMK_0627) October 21, 2022
里見さんについても15日の第6局が良い所を見せられずに負けてしまった一局でしたが(私も現地大盤解説に行きましたが)、敗戦後のコメントで、今日は一方的に負けたので次局は頑張りたいと言われ、今にして思うと(棋士編入試験終了直後であったりしましたが)、もういつまでも落ち込んでられないし、自分自身に対してこんなんじゃいけないみたいな、ある種の力強さを感じました。そしてすぐさまの17日の女流王将戦第2局は背水の陣でしたが、割とスンナリとのようにも感じられますが、中飛車から居飛車に戻してと、ここ最近は少なかった戦形を採用し、中終盤は入玉を目指していくという(伊藤女流名人みたいな?)戦いで、後だし結果論の戯言かもしれませんが、なんか元気モリモリ*回復基調のような気はしました。(*昔、イベントで御本人がちょっとおどけて言ってた言葉です。)
さて来週26日には加藤女流三段を挑戦者に向かえて女流王座戦が始まります。
その2日後の28日には女流王将戦の最終局があり、こちらは西山女王が捲土重来、一冠に後退した汚名返上で向かってくると思われます。
勝って満足することも、負けて腐ることもなく、40歳くらいまであと10年くらいはまだまだ強くなってくれそうですね。休む暇はありませんが、ひとまず白玲のタイトル奪取の一区切りとして、里見さんおめでとうございます