東洋医学的アンチエイジング | たちばな鍼灸院の立ち話

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東洋医学でどうやって病を治すのか。
ざっくりとご説明します。

アンチエイジング。

 

抗老化。

 

いつまでも若々しくいたい人へ。

 

東洋医学的アンチエイジング。

 

考えてみましょう。

 

 

 

はじめに、ある本の内容をご紹介します。

東洋医学の聖書。「黄帝内経素問」という本で、2000年以上前に書かれたものです。

 

訳者の池田政一氏の解説とともに書き出します。

(本文赤。解説黒)

 

黄帝が岐伯先生に問います。

「昔の人は百才になっても元気だった。今時の人は五十才になるともうヨボヨボだ。その理由を聞かせてくれ」

岐伯先生は次のように答えています。

 

①飲食に過不足がないようにすること。

現代にも通じる解答です。好きだからと言って食べ過ぎてはだめです。もっとも食欲のない時は、まず好きで食べたいと思う物から食べさすと、食欲がわいてくることがあります。

 

②心身共の過労を戒しめる。

俗に言うストレスでしょう。最近西洋医学でもその重要性に着目してきた心身医学がこの時代にあったのです。怒りすぎてイライラするとのぼせます。のぼせると頭痛、不眠などになります。高血圧症の人には絶対悪いようです。あるいは恋病いなどで悩みすぎると必ず胃腸の消化力が低下します。古典医学ではこのような精神的動揺を病気の原因の一つにかぞえます。怒り、思う、悲しみなど七種類あります。七情とか内因とか言われています。

 

③酒に酔ってのセックスはよくない。

酒に酔うと身体が温まり活動的になります。古典医学ではこの状態を「陽気が多い」と言います。酔いが醒めると寒くなります。これは酒が醒める時に体内の陽気(熱気や活動力)が余分に取られるからです。

セックスは活動的なものです。陽気を多く使います。酒の勢いで陽気を使うと、セックスで消耗し、酔いが醒めて消耗します。二重に陽気を奪われます。後日必ず身体がだるく、冷えて下痢します。

 

④春夏秋冬の自然の状態に調和した生活をするのがよい。

自然に調和するとは、素問に一貫して述べられている天人合一の考え方です。

春夏は気温が高く陽気も多くあります。それに合わせて、人間も活動的なのがいいのです。ことに夏は適当に汗を流すと涼しくなります。逆に秋冬は陽気の少ない時期です。静かにしているのがいいのです。活動して発汗すると風邪になりやすいものです。

このように自然の状態に調和して生きることが養生法の基本です。これをよく守ると、真人、仙人、聖人、賢人と言われるような人間になり、不老不死も夢ではないそうです。

 

 

注目すべきは、2000年以上前の人が、「昔の人は100才になっても元気だった」と言っていること。

近年寿命が大幅に伸びたと言われているが、色々調べてみると、大昔から人間は100才くらいは生きていたことが伺える。

もちろん700年生きた仙人の話などは除外して。

 

日本を代表する書物。

「養生訓」にもそのような記述があります。

 

人間のからだは百年を期限とする。

(中略)人の命はどうしてこんなに短いのか。これみな養生の術がないからである。短命なのは生まれつき短いのではない。十人のうち九人は、みな自分で損じているのである。それだから人みな養生の術がなくてはならぬ。

 

 

養生訓は300年前の本です。

ここで言う「百年を期限とする」というのは、現代の薬や手術など一切使わず、元気な状態で百才ということです。

 

 

まず!

今回は一つだけ考え方を改めてみてほしい。

 

西洋の科学医学の恩恵により現代人は長寿になったという幻想は、誤りである!

 

 

なにも、大昔の伝説を全て信用して、昔の人は長生きだったと言うのではなく。

病気になってから薬や手術やとやるのでなしに、病気にならないように養生したほうが健康長寿である。

当たり前のことです。

 

その養生こそが、アンチエイジングである。

 

以上、ここまでは前置きでした。

本編はここから。

 

 

まず、老化とは何か。

 

東洋医学では、先天の気と後天の気があります。

 

先天の気とは、生まれ持った気で、腎に蓄えられています。

 

後天の気とは、産まれた後、食事などによって得る気で、脾や胃が関与します。

 

重要なのは、後天の気は後からでも得られますが、先天の気は増えることがありません。

使ったら使った分だけ消耗し、減る一方です。

 

この先天の気が減っていくことを、老化と呼びます。

 

では、先天の気を減らさなければ老化しないのか?

 

その通りです。

 

活動している以上、どうしても気を消費します。

しかし、後天の気がしっかりしていれば、先天の気の消費は最小限に抑えられます。

 

言い換えると、脾胃がしっかりしていれば、腎の気は守れる。

 

そして腎の気が消耗しなければ、老化を最小限に抑えられる。

 

 

「面倒くせえこと言いやがる」

と思ったあなたは正しい。

 

養生って、面倒くさいのです。

 

寝すぎるな、食べ過ぎるな、食後は軽く運動しろ、気を消耗することは避けよ。

 

常日頃から気を付けていないといけない。

そりゃあ、好き勝手な生活をして、ダメになったら薬でごまかすほうが楽です。

 

しかし、理論を知っておくことは無駄ではない。

 

ある程度の理論を知っておけば、熱が出ようが頭痛がしようが自分で対処できます。

 

アンチエイジングの基本は養生です。

養生の第一歩は、自分の心体の状態を知ることです。

 

「急に便秘になった。舌は・・・赤い。あ、昨日暴飲暴食してすぐ寝たから胃に熱がこもったんだな。水分摂っておいたらいいわ」

「寒気がする。熱が出そう。汗は出ていない。じゃあ風呂は止めておいて、布団かぶって汗が出るように寝よう」

「夜間尿で起きるようになって、髪も抜けてきた。下腹部が軟らかい。腎の弱りだな。そろそろ激しい運動は控えよう」

 

 

人間はそもそも100歳まで元気でいられる生き物のようです。

癌も脳梗塞も認知症もあらゆる生活習慣病も、日々の不摂生によるものが多い。

 

東洋医学的アンチエイジング。

自分の身体について理解を深めてみてはいかかでしょう。