さて前回、なぜ風邪ごときで病院へ行くのかと問題提起をしましたが、掘り下げます。
2時間待ちの3分診療と揶揄される病院の本音について。
医者に対する患者側の文句は数多く耳にします。
まず、待ち時間が長いのと、診察時間が短いことについて。
これね、しょうがないんです。
医者の数には限りがあり、診察できる患者の数に限りがあるのに、毎日大勢が詰めかけるので、さっさと済ませないと終わらない。
しかも大半がどうにもならない疾患なので、適当に薬を出しておくしかない。
内科系、循環器科系、整形外科系、精神科、色々ありますが、実は大半はどうにもならない疾患ばかりです。
高血圧、糖尿病、便秘、膝・腰の痛み、痺れ、鬱、不眠などなど。
機械的に対症療法の薬を処方するだけです。
整形外科の見学に行ったことがありますが、酷いモンだった。
半日で40人。
40人の患者に対して、処置は3パターンだけ。
「お変わりありませんね。いつもの薬出しておきます。」
「新規ですか。レントゲン撮って来てください」
「じゃあまた注射しますね」
この3パターンだけです。
処置と言える処置は注射だけ。
肩か膝にヒアルロン酸注射をブチュっとして終了。
しかしこれ、仕方ないんです。
患者の数が多すぎるのだから。
他には、「年のせい」と言われて、薬を出される。
足のむくみが気になると医者に言ったら、上記の対応をされたと。
これもね、仕方ないんです。
患者に、「これが気になる」と言われたら、何かしら応えなければならない。
「足がむくんで・・・」と言われて、「え~何でだろ・・・。よくわからないけど、まあ放っておきましょう」と言ったら、患者が不安になる。
とりあえず年のせいにでもしておいて、効かんとわかっていても薬を出しておくしかない。
中には、しっかり理由を説明して、納得させて薬を出さない医者もいます。
偉いです。
しかし、医学的な説明で患者を納得させるのには時間がかかります。
そこまでやっても、「あの医者は何もしてくれなかった」と言われることもあります。
(実際、患者の愚痴を聞いていて、そういったケースは何度も耳にします。その場合わたしも説得を試みるのですが、多くの患者が聞く耳を持ちません。薬を出さなかったことで、見捨てられたと感じるようです)
つまり、患者は何でもいいから薬を出して欲しいということで病院を訪れるケースも多いということ。
であれば医者としては何かしら薬を出さなければならない。
しかしこれが患者の不利益になることは往々にしてあります。
足のむくみで言うと、利尿剤を出されます。
読んで字のごとく、小便を出す薬です。
むくんでいるんだから水分が溜まっているんだろう。
じゃあ小便で水分を出せばよかろう。
実に短絡的な、対処療法的なやり方なのですが、まあ患者としては納得する。
しかし、この薬を飲むことで、夜間尿が増えるケースがあります。
これまでぐっすり眠れていた人が、薬の影響で夜中に何度も小便で目が覚めるようになる。
で、足のむくみは変わらない。
良いことが一つもない。
世の中には非常に多くの薬がありますが、足のむくみさえ治せない。
肩こり、腰痛も、これだけ多くの人が悩んでいるにもかかわらず、効果的な薬はない。
そしてほとんどの薬が対症療法的に症状をごまかすだけでしかない。
患者はこの事実をもう少し知るべきです。
そうと知っていれば、ちょっとのことで病院に行かなくなり、それにより患者数が減った病院が、もっとじっくり診察できるようになります。
そうなれば保険システムも見直され、病院経営も安定します。
待ち時間も少なくなり、診察時間は増え、誤診が減り、経営は安定し、税金で賄う医療費も減る。
良いことずくめです。
わたしは病院の仕事の半分は診断屋さんだと思っています。
病名を付けるのが仕事の半分を占めていると思っています。
それも社会からの要請なのでしょう。
患者は考えなくてはなりません。
「2時間待ちの3分診療」と言われますが、何故そうなってしまったのか。
風邪ごときで病院に行くからです。
高血圧や糖尿病の軽度なものでも定期的に病院に行くシステムが出来上がってしまったからです。
日本全国一億二千万人がしょっちゅう病院へ行っていたら、そりゃあ忙しい。
今では産まれるのにも死ぬのにも医者の助けが必要と思われていますが、そんなはずはない。
偉大な鍼灸師、澤田健さんが言っておりました。
「医、乱れれば国乱れる」
もう一歩進んで、「患者乱れれば、医乱れる」を足します。
医療を有効に使いましょう。