セルフチェック ~腹部~ | たちばな鍼灸院の立ち話

たちばな鍼灸院の立ち話

東洋医学でどうやって病を治すのか。
ざっくりとご説明します。

お腹の診方。

 

東洋医学では、腹部は非常に重要です。

 

足の裏を人体の縮図として見る捉え方もありますが、同じように腹部を人体の縮図として見る方法もあり、その法に従って腹部だけで治療していた流派もありました。

 

そこまでではないにしろ、腹部は様々なことを教えてくれます。

 

例えば。

 

胸骨ありますね。

胸骨の正中線上、両乳頭間に、壇中というツボがあります。

正確でなくてよいので、胸骨を正中線に沿って押してみてください。

 

強めに押してみてどうでしょう。

 

痛いですか?

 

痛い人は、そこに気が滞っているのですが、何を示すかと言えば、ストレスや疲労です。

ひどい人は軽く触れただけで飛び上がります。

 

ストレス度チェックに使えます。

 

また、前側の肋骨の一番下。

指を肋骨の下に差し込んでみて、骨の裏までズボズボ入りますか?

 

入れば正常。

入らない人は、肝に異常があると診ます。

肝経と関係がある部位なので、そこが緊張しているということは、肝に問題がある。

 

おヘソも診てみましょう。

右や左や上や下に、皮膚が引っ張られていませんか?

引っ張られている側が緊張し、反対側が弛緩しています。

 

あるいは、そもそもヘソの位置が左右どちらかにずれている人。

背骨や骨盤もずれていることが伺えます。

 

更に下に行って、ヘソの下。

丹田(たんでん)と呼ばれる部位です。

圧してみて、弾力があれば良い。

力なくヘコヘコしているようだと、腎や下半身、骨盤内臓器の弱りです。

30代や40代で弱っているようだと、老化が早いので、早めの処置が望ましい。

10代、20代女性は、子宮や卵巣のトラブル。すなわち不妊の素因にもなります。

 

もう少し下。

丹田と恥骨の間くらいは、膀胱です。

ここが弱っているか変に硬い人は、夜間尿や頻尿など、尿のトラブルがあることが多い。

 

その両隣。

ヘソの5~10cm下から横に行って、骨盤上。

圧してみて、痛みがあるか。

ここが痛い人は、全身的に血の滞りがあります。

特に左が痛い人が多い。

生理痛など。

 

脇腹も診てみましょう。

ここは押すのでなしに、つまみます。

肋骨と骨盤の脇腹の間のお肉を、つまんでください。

やわらかい?

硬い?

やわらかいのが理想です。

どちらか一方が硬いこともあります。

これも、肝経です。

腰痛とも関係するので、診断点としても治療点としても使えます。

 

 

あとは、ゆっくり圧してみて、部分的に脈打っている場合があります。

腹大動脈という、太い動脈です。

これは、色々な意味があります。

そもそも正常な腹部は、程よく弾力があり、深く圧したら脈打っているのに触れるというのが理想です。

しかし、腹部に弾力がなく、軽く触れただけで脈が強く打っているというのは、好ましくありません。

 

また、圧したときに、部分的に硬い、冷たい、痛い、気持ち悪いなども、診断基準になります。

 

部分的に、冷たい。

片方だけ、硬い。

昨日は何ともなかったのに、今日は脈が強い。

 

などなど、これまで気にも留めていなかったことでも、身体がずっと出しているサインです。

 

そのサインに耳を傾け、適切に処置をするのが鍼灸師です。

夕飯前にグウと言うだけが腹のサインではありません。

 

 

以上、細かく言えば想像を絶するほど深い腹診の、ごく一部をかいつまんでみました。

 

前に名人のぶっとんだ治療を紹介しましたが、お腹の一点にツンっとやって治すこともあります。

 

ひとまず、自分のお腹を触って、圧して、つまんでみましょう。

冷たい、軟弱、しこりがあるなど診てみましょう。

時には、ノックしてみてもいいでしょう。

返事が返ってきたら、空腹かオメデタです。

 

シコリがあっても、ガンや何やと慌てる必要はない。

鍼や灸をやっていると、硬いシコリがシュワーっと消えることがあります。

こいつの正体は、気や血の滞りであることが多い。

(そうでない、危ない場合もありますが)

 

一番簡単に確認出来て重要なのは、ヘソ下。

 

若くしてヘソ下の丹田に力が無かったら、要注意です。